当サイトはアフィリエイト広告を利用しています

相続した実家の片付けは何から?捨ててはいけない物と7つの手順

親が亡くなった後の実家・空き家を片付ける前に、遺言書や重要書類、写真記録、家族確認、処分方法を7つの手順で整理します。

更新日 2026-08-25執筆 住まいのよりみち編集部最終確認 2026-08-25住まいのよりみち編集部読了目安 12

相続した実家の片付けで、最初の目標は「物を減らすこと」ではありません。失うと戻せない書類や品を分け、家の状態を記録し、誰が何を決めるかをそろえることです。

急いで処分すると、遺言書や売却時に使う購入資料を捨てたり、家族が残したかった物まで手放したりするおそれがあります。反対に、何も決めず放置すると、建物の傷みや管理負担が増えます。この記事では、親が亡くなった後の持ち家・空き家を想定し、今日から迷わず動ける順番を整理します。

まず30秒で確認:今日は処分せず、3つだけする

初日に全部を終わらせる必要はありません。まず、次の3つを終えれば十分です。

  1. 玄関から各部屋、外周、設備を写真と動画で残す
  2. 遺言書・通帳・契約書・鍵を入れる「捨てない箱」を1つ作る
  3. 写真と作業予定を家族へ共有し、処分を決める人を確認する

この3つが、家財整理、査定、管理、売却の共通の出発点になります。片付け業者や不動産会社へ相談するときも、写真と一覧があれば状況を同じ条件で伝えられます。

作業を始めず、先に相談したい4つのケース

次のケースでは、片付けの速さより、取り返しのつかない判断を避けることを優先します。

表:見つかった状況、その場での対応、確認先
見つかった状況その場での対応確認先
自筆の遺言書などを見つけた(封印の有無を問わない)原本を保管し、封印があれば開封しない家庭裁判所
借金の有無が分からず、相続放棄も検討している売却・廃棄など不可逆な処分を止める家庭裁判所、弁護士
相続人や所有者が分からない、家族の意見が割れている価値のある物や大型家財の処分を止める法務局、司法書士、弁護士
床の抜け、傾き、強いガス臭、漏電・倒壊のおそれがある中へ入らず、立入り範囲を限定する消防、契約事業者、建築の専門家、自治体

公正証書遺言と法務局で保管されている自筆証書遺言を除き、遺言書の保管者または発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく家庭裁判所へ検認を請求します。封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いのもと開封する扱いです。詳しくは裁判所「遺言書の検認」(新しいタブで開きます)を確認してください。

相続放棄の申述は、原則として自分のために相続が始まったと知ったときから3か月以内です。相続財産を調査しても承認・放棄を判断できない場合は、3か月の熟慮期間が終わる前に、家庭裁判所へ相続の承認又は放棄の期間の伸長(新しいタブで開きます)を申し立てることができます。民法921条(新しいタブで開きます)は、相続財産の全部または一部を処分した場合を法定単純承認の一類型とし、保存行為等を除いています。何を、どの目的で、どのように処分したかで扱いが変わり得るため、放棄を考えている間は先に裁判所「相続の放棄の申述」(新しいタブで開きます)を読み、相続財産に当たり得る家財を売る・譲る・捨てる前に弁護士などへ確認します。

相続した実家を片付ける7つの手順

1. 鍵と建物の安全を確認する

作業前に、誰が鍵を持ち、誰が現地作業を担当するかを決めます。いきなり室内の箱を開けるのではなく、まず外から屋根・外壁・窓・庭木・郵便受けを見ます。室内へ入って安全なら、雨漏り、カビ、害虫、窓の施錠を確認します。通電・通水・ガスは、契約書類、メーター表示、栓やブレーカーの位置を目視で確認します。異臭、漏水、配線・設備の破損がある場合は操作せず、契約事業者や専門業者へ連絡します。

確認結果は「異常なし」だけで終わらせず、日付と写真番号を残します。遠方の家族が次に訪問するとき、前回から変化した箇所を比較できます。

国土交通省は、空き家を当面活用・除却できない場合でも適切な管理が必要と案内しています。方針が決まるまでの間も、管理担当者と点検日を決めてください。国土交通省「空き家になったら早めの行動を」(新しいタブで開きます)

2. 動かす前の状態を写真と動画で残す

撮影は「きれいに見せるため」ではなく、家族や相談先と同じ現状を見るために行います。スマートフォンで十分ですが、撮影順を固定すると後から探しやすくなります。

表:場所、最低限残す写真、一緒に記録すること
場所最低限残す写真一緒に記録すること
外まわり正面、四方向の外壁、屋根の見える範囲、庭、接道撮影日、破損、越境しそうな枝、郵便物
各部屋入口から全景、四隅、天井、床部屋名、臭い、雨染み、家財のおおよその量
水まわり台所、浴室、洗面、トイレ漏水、通水の有無、設備の型番
設備・鍵分電盤、メーター、給湯器、エアコン、鍵一式契約状況、鍵の本数、停止した設備

写真のファイル名を「01_玄関」「02_居間」のようにそろえ、共有フォルダには原本を残します。重要書類や通帳の内容を共有するときは、口座番号や個人番号が不用意に見えないよう注意します。

3. 捨ててはいけない物を「捨てない箱」へ分ける

段ボールや収納ケースを1つ用意し、最初は処分品ではなく残す物だけを集めます。見つけた場所も写真で残してください。

表:分類、先に確保する物、残す理由
分類先に確保する物残す理由
遺言・相続遺言書、戸籍関係、遺産分割に関する資料相続人と手続きの確認に使う
不動産登記識別情報、権利証、固定資産税通知、測量図、建築図面名義・物件・境界を確認する
購入・修繕売買契約書、建築請負契約書、仲介手数料、増改築・設備工事の領収書将来の売却や税務確認に使う可能性がある
金融・契約通帳、証券、保険証券、ローン、賃貸・リース契約、請求書財産・債務・継続契約を確認する
本人確認・デジタル印鑑、身分証、スマートフォン、パソコン、記録媒体手続きとデータの確認が必要になる
家族で決める物写真、手紙、形見、貴金属、収集品一人で処分を決めない

相続した土地・建物を将来売却する場合、取得費は被相続人が購入したときの代金や手数料などを基に計算します。取得費が分からない場合には売却額の5%相当を取得費にできる扱いもありますが、実額を示す資料を残しておくことが判断材料になります。国税庁「相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」(新しいタブで開きます)

4. 名義・相続人・期限を確認する

片付けと相続登記は別の作業ですが、誰が家を引き継ぐか分からないまま家財処分だけを進めると、家族の判断がそろいません。登記事項証明書、固定資産税通知、遺言書、戸籍関係を手掛かりに、所有者と相続関係を確認します。

相続登記は2024年4月1日から義務化され、原則として不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請が必要です。2024年4月1日より前の相続も対象です。同日以前にその不動産を相続で取得したことを知っていた場合は、原則2027年3月31日まで。同日以後に初めて知った場合は、その日から3年以内です。遺産分割で取得した場合には、遺産分割成立日から3年以内の申請義務もあります。詳細と例外は法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」(新しいタブで開きます)で確認してください。

必要書類を探す順番は、次に公開する「相続登記に必要な書類」の記事で詳しく扱います。それまでは、上記の法務省Q&Aと、実家の所在地を管轄する法務局で確認してください。

5. 家族で「残す・売る・処分・保留」を決める

共有する一覧は、品名だけでなく、決めた人と日付まで残します。口頭だけでは、後から「聞いていない」が起きやすいためです。

相続人が複数いる場合、相続財産は原則として共有に属します(民法898条(新しいタブで開きます))。家財の帰属が確定する前は、一人で売却・譲渡・廃棄を決めないでください。

表:管理項目、記入例
管理項目記入例
写真番号・場所02-15・居間の飾り棚
品名掛け時計
現在の分類保留
希望する人長女が確認中
期限9月10日まで
最終判断・日付9月8日、長女が保管

判断に迷う物は「保留箱」へ入れ、保管期限と保管場所を決めます。保留を無期限にすると、別の家へ荷物を移しただけになります。写真で判断できない物だけを絞って、次回の家族確認へ回します。

6. 家の方針を仮決定してから、大型家財を動かす

片付けを完了させてから家のことを考える必要はありません。「売る」「貸す」「残す」「当面保留」のどれに近いかを仮決定し、次に確認する条件を決めます。

表:仮の方針、大型家財を処分する前に確認すること
仮の方針大型家財を処分する前に確認すること
売る残置物がある状態で査定可能か、現況引渡し・買取の選択肢があるか
貸す修繕、設備、残す家具、入居可能時期、管理を誰に頼むか
残す年間の税・保険・点検・庭木管理を誰が負担するか
保留管理担当者、鍵、点検間隔、再判断日をいつにするか

価値の判断がつかない古家でも、解体や大量処分を発注する前に、現状を見られる不動産会社や自治体窓口へ相談します。片付け費用をかけた後で別の方法が分かっても、元には戻せません。方針の比較は家を売る・貸す・残す。迷ったときの比較軸で整理できます。

7. 処分方法を選び、完了記録を残す

家財の量、現地までの距離、階段や駐車条件、家族が使える日数を見て方法を選びます。業者名ではなく、誰が仕分け、誰が運び、どこで処分するかまで確認します。

表:方法、向いている状況、事前に確認すること
方法向いている状況事前に確認すること
自分で分別・搬出少量、近距離、作業できる人がいる自治体の分別、予約、搬入先、車両、けが防止
自治体の戸別収集大型家具を品目ごとに出せる申込期限、料金、搬出場所、収集対象外の物
一般廃棄物収集運搬の許可業者家庭ごみが多い、運搬を任せたい対応区域、許可、見積範囲、追加料金
遺品整理・片付け事業者仕分けや探索から支援が必要廃棄物を実際に運ぶ事業者、許可、貴重品の扱い

家庭ごみを収集運搬できるのは、実家所在地の市区町村で一般廃棄物収集運搬業の許可を受けた業者、または市区町村の委託業者です。産業廃棄物処理業許可や古物商許可だけでは回収できません。環境省の無許可回収業者に関する案内(新しいタブで開きます)を確認し、自治体の案内で許可業者を確認します。一覧がなければ窓口へ照会してください。

家庭用のエアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機は家電リサイクル法の対象で、一般の粗大ごみとは別の手続きが必要です。買替え時は新しい製品を買う店、処分のみなら原則として購入店へ依頼し、購入店が不明な場合などは実家所在地の市区町村の案内に従います。経済産業省「家電4品目の正しい処分」(新しいタブで開きます)

作業後は、処分前後の写真、処分品一覧、領収書、業者名、鍵の本数、保管品の場所を1つのフォルダへまとめます。これで、次の査定・管理・売却相談に同じ情報を引き継げます。

業者へ見積もりを頼むときの質問リスト

金額だけで比べると、作業後に追加料金や対象外品が分かることがあります。同じ条件を伝え、次の項目を書面で確認します。

  1. 仕分け、梱包、搬出、清掃のどこまでが見積もりに含まれるか
  2. 家庭ごみを収集運搬する事業者名と許可を確認できるか
  3. 家電4品目、消火器、金庫、液体、危険物などの対象外品は何か
  4. 階段、駐車距離、車両追加、作業員追加の料金条件は何か
  5. 通帳・現金・貴金属・写真などを見つけた場合の報告方法は何か
  6. 鍵を預ける場合の保管、返却、紛失時の対応はどうなるか
  7. キャンセル料と、見積額が変わる条件は何か

見積もりには同じ写真、同じ部屋数、同じ希望作業を伝えます。A社は仕分け込み、B社は搬出だけという状態では、合計額を公平に比較できません。

よくある質問

家財が残ったままでも不動産査定を頼めますか?

対応できる会社はありますが、対象地域や物件、残置物の量によって条件が異なります。申込み前に「片付け前の訪問が可能か」「撤去費用を分けて示せるか」「仲介と買取のどちらを想定しているか」を確認してください。まず相場観を知りたい段階なら、机上査定と訪問査定の違いも先に確認できます。

相続登記が終わるまで、何も片付けてはいけませんか?

登記の手続きと、危険物・腐敗物への応急対応は同じではありません。ただし、誰が相続人か分からない、相続放棄を検討している、価値のある家財がある場合は、一人で不可逆な処分を決めないことが重要です。個別事情は司法書士や弁護士などへ確認してください。

片付けには何日、いくらかかりますか?

全国一律の答えはありません。床面積だけでなく、物量、分別状態、階段、駐車距離、家電4品目、遠方からの移動、家族の確認回数で変わります。「一軒いくら」という数字より、作業範囲をそろえた見積もりを確認してください。

遠方で何度も現地へ行けない場合は?

初回に全景写真と品目一覧を作り、現地の鍵を管理する人と、家族側の最終判断者を分けて決めます。業者へ鍵を預ける場合は、作業前後の写真、発見物の報告方法、鍵の返却方法を契約前に書面で確認します。

今日やること

最初の一日は、処分を終わらせる日ではありません。

  1. 家の外と各部屋を同じ順番で撮影する
  2. 「捨てない箱」を作り、重要書類と鍵を入れる
  3. 写真を家族へ共有し、次回までの保留範囲を決める

ここまでできれば、次は名義確認、家の方針、片付け方法のどこへ進むべきかを選べます。急いで一つの結論へ飛ばず、戻せない判断から先に守ってください。家族で方向性を話すときは、次に家を売る・貸す・残す。迷ったときの比較軸を使ってください。

参照した公的情報

e-Gov法令検索「民法 第898条・第921条」参照日 2026-08-25裁判所「遺言書の検認」参照日 2026-08-25裁判所「相続の放棄の申述」参照日 2026-08-25裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」参照日 2026-08-25法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」参照日 2026-08-25国税庁「相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」参照日 2026-08-25国土交通省「空き家になったら早めの行動を」参照日 2026-08-25環境省「無許可の回収業者を利用しないでください」参照日 2026-08-25経済産業省「家電4品目の正しい処分」参照日 2026-08-25