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相続した家を売却する流れ|名義確認から引渡しまで7ステップ

相続した家を売却する流れを、遺言・相続人の確認、遺産分割、相続登記、査定、媒介契約、売買契約、引渡し、売却後の税の確認まで順番に整理。急いで売却準備を進めない方がよいケースも解説します。

更新日 2026-08-25執筆 住まいのよりみち編集部最終確認 2026-08-25住まいのよりみち編集部読了目安 12

相続した家の売却は、通常の不動産売却の前に、誰が家を取得し、誰が売主になるのかを確定する段階が入ります。

基本の順番は、相続関係の確認、家の取得者の決定、相続登記、査定、売り方の選択、売買契約、決済・引渡し、税の確認です。片付けや査定の相談を並行できる場合はありますが、名義や売る権限が曖昧なまま契約へ進めないことが重要です。

この記事では全工程を7段階に分け、「何を終えれば次へ進めるか」を整理します。一律の売却期間や費用を示す記事ではありません。地域、物件状態、境界、相続人の合意によって期間は変わるため、まず現在地を特定してください。

相続した家を売却する流れは7段階

表:段階、完了させること、次へ進む目安
段階完了させること次へ進む目安
1遺言・相続人・財産と負債を確認する誰が相続に関係するか説明できる
2家を取得する人と売却方針を決める売主になる人と費用負担が決まる
3売却に必要な相続登記を進める名義変更の必要書類と完了時期が分かる
4書類・物件状態を整理して査定する査定条件と未確認事項が分かる
5仲介・買取と依頼先を選ぶ価格だけでなく売却条件にも納得する
6売却活動・条件交渉・契約を行う引渡し条件まで書面で確認する
7決済・引渡し・税の確認を行う代金・鍵・書類・申告資料を整理する

この順番どおりに一つずつ完了させる必要はありません。相続登記の準備中に家の資料を探したり、「登記準備中」と伝えて不動産会社へ相談したりできる場合もあります。

ただし、次の状態なら査定額を比べる前に作業を止め、該当する確認先へ進みます。

売却準備を急がない4つのケース

相続するか、放棄するか決めていない

借入金や保証債務など、家以外の負債が残っている可能性があるなら、先に財産と負債の範囲を調べます。

相続放棄の申述期間は、原則として自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内です。単に死亡日から3か月と決めつけず、裁判所の相続放棄案内(新しいタブで開きます)を確認し、財産の処分前に弁護士等へ相談してください。

開封していない遺言書が見つかった

自宅等で保管されていた遺言書は、家庭裁判所の検認が必要になる場合があります。公正証書遺言や法務局保管の自筆証書遺言など、検認不要のものもあります。

検認は遺言書の有効・無効を決める手続きではありません。扱いが分からない場合は自分だけで開封や判断をせず、裁判所の検認案内(新しいタブで開きます)を確認します。

誰が家を取得するか決まっていない

相続人が複数いる場合は、誰が家を取得し、誰が売主になり、費用をどう負担するかを先に整理します。家族の代表者を不動産会社との連絡窓口にすることと、その人が単独で売主になれることは同じではありません。

「売ってから代金を分ける」と考えても、登記名義、売買契約の当事者、代金の扱いが曖昧なら途中で止まります。相続人間で意見が対立している場合は、不動産会社ではなく弁護士などへ相談します。

通常の売却だけでは処理できない事情がある

  • 住宅ローンや抵当権が残っている
  • 建物が未登記、または土地と建物の名義人が違う
  • 相続人に未成年者、判断能力に懸念のある人、連絡の取れない人がいる
  • 家が賃貸中で入居者がいる
  • 土地の境界や私道持分が分からない
  • 相続人同士で意見が対立している

このような場合は、司法書士、弁護士、土地家屋調査士、税理士、不動産会社のうち、問題に合う確認先を選びます。

Step 1 遺言・相続人・財産と負債を確認する

最初に確認するのは「いくらで売れるか」ではなく、相続関係です。家族が同じ資料を見られるよう、次の項目を一枚にまとめます。

表:確認項目、最初に見るもの、分からない場合の確認先
確認項目最初に見るもの分からない場合の確認先
遺言の有無金庫、書斎、貸金庫、法務局保管の手掛かり法務局(遺言書保管事実証明書)、公証役場(公正証書遺言の検索)、司法書士・弁護士等
相続人戸籍、家族関係の記録市区町村、司法書士等
土地・建物固定資産税の通知書、登記事項証明書法務局、市区町村
関連不動産私道持分、山林、農地、駐車場等の資料登記事項証明書、課税明細書
負債ローン返済表、金融機関の通知金融機関、専門家
家の状態室内外の写真、修繕記録不動産会社、建築関係者

土地と建物だけで終わらせず、私道持分や物置など、売却時に関係する不動産がないかも確認します。

家にある資料や家財を整理する場合は、遺言書、権利関係の書類、親が購入・建築したときの契約書と領収書を先に分けてください。詳しい順番は相続した実家を片付ける前に残すもので整理しています。

Step 2 家の取得者と売却方針を決める

遺言の内容と相続関係を確認したら、家の取得者と売却方針を整理します。

表:決めること、確認する内容
決めること確認する内容
家の取得者誰の名義へ相続登記するか
売却方針売却するか当面保留するか、希望時期を決める
費用負担登記、片付け、測量、修繕等を誰が払うか
連絡担当不動産会社との窓口を誰にするか
優先順位価格・手間・期間のうち何を優先するか
代金の扱い契約前に専門家へ確認する事項を洗い出す

不動産会社は売却相談には対応できますが、相続人間の法的な争いを解決する立場ではありません。話合いがまとまらない場合や、代金の扱いに法務・税務上の疑問がある場合は、契約前に専門家へ確認します。

Step 3 売却に必要な相続登記を進める

相続した家を買主へ引き渡し、所有権を移すには、亡くなった人から相続人への相続登記を済ませる必要があります。

2024年4月1日から相続登記は義務化され、原則として、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請します。2024年4月1日より前に相続で取得したことを知っていた未登記不動産も対象で、期限は2027年3月31日です。不動産を取得したことを知った日が2024年4月1日以降であれば、その日から3年以内です。遺産分割が後から成立した場合には、成立日から3年以内にその内容を反映する追加的な義務があります。法務省の制度案内(新しいタブで開きます)で起算点と例外を確認してください。

相続人申告登記は、期限内に基本的な義務を果たすための簡易な制度です。しかし、権利関係を公示する相続登記とは異なり、相続人申告登記だけでは家を売却できません法務省の案内(新しいタブで開きます)でも、売却時は別途相続登記が必要と説明されています。

遺言・法定相続・遺産分割協議で必要書類が変わります。名義確認がまだなら、相続登記の必要書類を3ケース別に確認するへ戻ってください。

Step 4 書類と物件状態を整理して査定する

査定前に家を空にしたり、高額な修繕を行ったりする必要があるとは限りません。先に、見つかった資料と未確認事項を分けます。

表:確認する範囲、最初に見るもの、査定前の到達点
確認する範囲最初に見るもの査定前の到達点
名義・不動産登記事項証明書、課税明細書土地・建物・関連土地を把握する
借入・権利ローン資料、登記事項証明書残高と抵当権の有無を伝えられる
土地・建物の状態測量図、修繕記録、室内外の写真分かることと未確認箇所を分ける
取得時資料購入・建築時の契約書、領収書税の確認が終わるまで保管する

すべての書類がそろうまで相談できないわけではありません。「ある・ない・確認中」に分けて伝えるだけでも、査定条件が明確になります。

概算価格を知りたい段階と、実際の売出価格を決めたい段階では、適する査定方法が違います。机上査定と訪問査定の違いで現在の段階を選べます。

Step 5 仲介・買取と依頼先を選ぶ

家の状態と希望条件が見えたら、売り方を比べます。

表:売り方、仕組み、向いている状況、主な確認点
売り方仕組み向いている状況主な確認点
仲介不動産会社が購入希望者を探す時間をかけて市場で売りたい売出価格、販売方法、媒介契約
買取不動産会社等が直接買う期間、残置物、建物状態を優先したい買取条件、差し引く費用、引渡し条件

査定額だけで依頼先を決めず、査定の根拠、想定する買主と期間、測量・片付け・修繕の負担者を同じ条件で確認します。

国土交通大臣指定の不動産流通機構である東日本レインズの売却案内(新しいタブで開きます)でも、調査や取引事例等に基づく査定、媒介契約、売却活動、契約、引渡しという流れが示されています。査定額は売却を保証する価格ではないため、根拠と前提を比較してください。

Step 6 売却活動・条件交渉・売買契約を行う

仲介を選んだ場合は、不動産会社と媒介契約を結び、広告、購入希望者の案内、条件交渉へ進みます。購入申込みが入ったら、価格だけでなく次の条件を確認します。

表:契約前の確認、見落としやすい点
契約前の確認見落としやすい点
売買代金・支払日手付金、残代金、精算方法
契約解除手付解除、違約、買主のローン条件
土地境界、測量、越境の扱い
建物雨漏り、シロアリ、設備故障、増改築
家財残す物、撤去する物、撤去期限
費用仲介、登記、測量、解体等の負担
引渡し日付、鍵、書類、現地確認
税・管理費固定資産税、管理費等の精算

売主が知っている物件の不具合や履歴は、分かっていること、調べたこと、分からないことに分けて伝えます。不動産適正取引推進機構の2026年度版手引(新しいタブで開きます)も、売主が知っている状況や不具合を購入希望者へ伝える流れを案内しています。

売買契約後は、売主だけの都合で簡単に条件を変えられるとは限りません。不明点を残したまま署名せず、解除、引渡し、設備、残置物の扱いを契約前に確認します。

Step 7 決済・引渡し・税を確認する

決済日には、一般に残代金の受領、買主への所有権移転登記の申請、鍵や関係書類の引渡しを行います。抵当権が残っている場合は、一般に所有権移転登記と併せて抵当権抹消登記を申請できるよう、事前に金融機関・司法書士と調整します。

引渡し後は、売買契約書、売却にかかった費用の領収書、相続登記の書類、親が購入・建築したときの契約書や領収書を一つのファイルへ保管します。相続した土地・建物は、原則として被相続人の取得費と取得時期を引き継ぐためです。国税庁の取得費に関する説明(新しいタブで開きます)

売却後に譲渡所得の申告が必要になる場合があります。取得費・譲渡費用・特例の適用可否は個別に異なるため、国税庁の譲渡所得案内(新しいタブで開きます)を確認し、税務署または税理士へ相談してください。相続した空き家の控除も複数の要件があるため、契約や解体の前に国税庁の特例要件(新しいタブで開きます)を確認します。

期限から逆算する

家が売れるまでの期間は全国一律ではありません。先に、自分に関係する動かせない期限を確認します。

表:期限の目安、対象となる人、先に行うこと
期限の目安対象となる人先に行うこと
原則3か月以内相続放棄を検討する人財産と負債を調べ、必要なら専門相談
通常10か月以内相続税の申告が必要な人課税対象財産を把握して申告・納税を準備
原則、取得を知った日から3年以内(2024年4月1日より前に取得を知っていた未登記不動産は2027年3月31日まで)不動産を相続で取得したことを知った人相続登記を申請
売却翌年の申告期間譲渡所得の申告や特例適用が必要な人契約書・取得費・譲渡費用の資料を保管

相続税の申告が必要な場合、期限は通常、相続開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。全員に申告が必要なわけではないため、対象と基礎控除は国税庁の相続税案内(新しいタブで開きます)で確認してください。

売却前に戻せない3つの判断

相続関係が曖昧なまま契約する

連絡担当者と売主は同じとは限りません。家の取得者、登記名義、契約当事者を確定してから署名します。

現状の査定前に、解体や全撤去を契約する

建物を残すか、残置物付きで扱えるかは物件と売り方によって変わります。戻せない工事・処分の前に、現状で相談します。

親の購入時資料を捨てる

購入契約書、建築請負契約書、領収書は取得費を確認する資料になる可能性があります。税の確認が終わるまで保管します。

今日、現在地を一つ進める

  1. 7段階のうち、自分が完了している最後の段階に印を付ける
  2. 「売却準備を急がない4ケース」に該当しないか確認する
  3. 次の段階で必要な資料と、確認する相手を一つ決める

名義と相続書類が未整理なら、次は相続登記の必要書類を確認してください。相続人の合意と登記の見通しが立ち、概算価格を知りたい段階なら、机上査定と訪問査定の違いから目的に合う方法を選べます。

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