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不動産売却中に不動産会社を変更する手順|契約・費用・引継ぎを確認

不動産会社を変える前に、現在の媒介契約の満了・更新・解除・費用と、交渉中や紹介済みの買主候補を確認します。担当変更、改善期限を置く、満了時に切り替える、途中解除の4案から、活動記録と契約条件に合う進め方を選びます。

まだしないこと

専任媒介・専属専任媒介の期間中は別会社へ重ねて依頼しない。一般媒介でも、追加依頼先の通知など契約上の条件を確認する

まずすべきこと
  1. 媒介契約書から種類・満了日・更新・解除・費用を転記する
  2. 問い合わせ・内覧・申込み・紹介済み顧客の一覧を受け取る
  3. 不満を事実・未回答・希望に分け、現会社へ書面で質問する

このページで決めること買主との売買契約前に、担当変更・改善待ち・満了切替・途中解除から次の一手を選び、切替前の確認事項を整理できます。売買契約後は本ページの手順では進めません。

媒介契約書と販売記録を確認し、不動産会社の変更を検討する売主
公開日 2026年8月31日最終更新日 2026年9月6日法令・制度確認日 2026年8月31日執筆・編集 住まいのよりみち編集部読了目安 17

# 不動産売却中に不動産会社を変更する手順|契約・費用・引継ぎを確認

「不動産会社から定期的な報告が届かない」「内覧(見学)に来てくれる人がまったく現れず、販売活動が進んでいるのか不安だ」と感じる場面があります。しかし、焦って新しい不動産会社へ一括査定を申し込むのはおすすめできません。

不動産会社の変更を検討する際は、新しい会社へ査定を依頼する前に、「現在の媒介契約の終了方法」「これまでの販売活動」「進行中および過去に紹介された買主候補」の3点を止めずに確認します。

現在の契約内容や実際の活動状況を確かめないまま他社へ乗り換えたり解約を伝えたりすると、不要な費用を請求されたり、二重契約トラブルに発展したりする恐れがあります。また、過去に案内されたお客さんとの取引条件をめぐって、前の会社から仲介手数料(媒介報酬)と同じ額の支払いを請求される紛争リスクも生じます。

この記事では、不動産売却中に不動産会社や担当者を変更・解約する手順、契約書の確認ポイント、費用リスクの切り分け、トラブルを防ぐ引継ぎ方法を網羅して解説します。

  1. 現在の媒介契約の内容: 契約の種類(一般・専任・専属専任)、契約期間の満了日、解約条項
  2. これまでの販売活動の実態: 指定流通機構(レインズ)の登録状況、売主専用画面のステータス、問い合わせ数や内覧履歴
  3. 進行中および過去の買主候補: 購入申込書(買付)の有無、過去に案内された検討客の氏名と進捗状況

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変更手続きを止めて先に確認する場面

不動産会社への不満が募っていても、次の3つの場面に該当する場合は、契約解除や他社への切り替え手続きを一旦保留し、客観的な事実確認と状況の整理を優先してください。

flowchart TD
    Start["変更の検討を開始"] --> Q1{"買主候補との交渉中・<br/>買付が入っているか?"}
    Q1 -- "はい" --> Hold1["【保留・状況確認】商談状況と紹介関係を確認<br/>(中途解除による商談破綻や報酬紛争を防止)"]
    Q1 -- "いいえ" --> Q2{"契約満了日まで<br/>2週間〜1か月以内か?"}
    Q2 -- "はい" --> Hold2["【満了待ちを検討】更新拒絶の意向を準備<br/>(途中解除の費用償還リスクを回避)"]
    Q2 -- "いいえ" --> Q3{"囲い込みを疑っているが<br/>客観的証拠がないか?"}
    Q3 -- "はい" --> Hold3["【調査優先】レインズ売主専用画面と<br/>活動報告の記録を確認"]
    Q3 -- "いいえ" --> Action["4つの選択肢の比較検討へ進む"]

1. 購入申込(買付)が入っている・内覧後の交渉が進行している

購入希望者から買付証明書(購入申込書)が提出されている場合や、価格・引き渡し条件の具体的な交渉が進んでいる最中に媒介契約を解除すると、商談自体が白紙に戻る可能性が高くなります。また、商談中の買主と媒介契約の解除後に新会社経由で成約した場合、前の会社の媒介業務への寄与度や直接取引条項をめぐって、媒介報酬の請求を受ける紛争に発展するリスクがあります。

商談があるからといって、会社の変更が一切禁止されるわけではありません。進行中の交渉結果や紹介の経緯を確認し、必要に応じて専門窓口へ相談しながら慎重に調整を進めてください。

2. 契約満了日まで2週間〜1か月程度に迫っている

専任媒介契約や専属専任媒介契約を結んでいる場合、契約満了まで残りわずかであれば、リスクを伴う「契約期間中の途中解除」を急ぐ必要はありません。満了時に「更新しない」旨を通知して終了させる方が、解約に伴う不要な費用償還(約款に基づく広告費等の実費請求)をめぐる争いを法的に回避しやすくなります。ただし、別途個別に依頼・承諾した特別な広告費用などがある場合は、満了時であっても精算が必要になる点に留意してください。

3. 「囲い込み」を疑っているが客観的記録を確認していない

「他社からの客付けを意図的に断っているのではないか(囲い込み)」と疑った場合でも、直ちに感情的な解約通告を行うのは得策ではありません。まずは国土交通省「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ」(新しいタブで開きます)でも案内されている「指定流通機構(レインズ)」の登録証明書を手元に用意してください。その上で、売主専用画面で登録状況や取引ステータスを確認し、客観的な事実関係を把握することが大切です。

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不満を「事実・未回答・希望」に分ける整理表

会社を変更したい動機が「なんとなく対応が遅い」「熱意が感じられない」といった曖昧な感覚のままだと、会社や担当者を変更しても同じ不満を繰り返すことになります。現状の課題を「客観的事実」「会社に問い合わせたが未回答の項目」「売主側の具体的希望」の3つに分解して整理してください。

表:分類、整理項目、具体例、次のアクション
分類整理項目具体例次のアクション
客観的事実<br>(記録・証拠がある内容)・活動報告の有無と間隔<br>・ポータルサイト掲載の有無<br>・内覧件数、問い合わせ件数「契約で定めた間隔どおりに報告が届かない」「レインズ登録証明書が交付されていない」契約違反(債務不履行)の有無を特定する判断材料にします
会社の未回答<br>(確認を求めたが返答がない点)・価格設定の妥当性説明<br>・他社からの反響状況<br>・今後の販売戦略の提案「値下げ提案の根拠となる周辺成約事例を求めたが提示されない」担当者または支店長へ期限を切って回答を求めます
売主の具体的希望<br>(どう改善してほしいか)・連絡手段や報告頻度<br>・写真の撮り直しや掲載サイト追加<br>・担当者の変更「週末の反響を月曜午前中にメールで共有してほしい」「担当者を別の方に変えてほしい」会社への改善要求書または新会社選びの必須条件にします

物件の問い合わせや内覧が少ない場合、不動産会社の販売力不足だけでなく、「売り出し価格が直近の成約相場より高すぎる」「写真や間取り図の掲載情報が不足している」「内覧可能日が限定的」などの要因が重なっていることも少なくありません。客観的事実を整理することで、会社を変えるべきか、売却条件(価格や引き渡し時期)を見直すべきかが明確になります。売却にかかる諸費用や手取りの計算については、不動産売却にかかる費用と手取りの計算方法も併せて確認してください。

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媒介契約書で読む8項目

媒介契約を終了・変更する前に、手元の媒介契約書(または電磁的交付を受けた書面)を取り出し、次の8つの条項を確認してください。

宅地建物取引業法第34条の2に基づき交付される書面には、国土交通省「標準媒介契約約款」(新しいタブで開きます)に準拠した条項が記載されるのが通例です。ただし、契約の種類や個別の特約事項によって具体的な取り扱いが異なります。

表:確認項目、主な記載場所、チェックポイント、確認が必要な理由
確認項目主な記載場所チェックポイント確認が必要な理由
1. 媒介契約の種類表題および第1条「一般」「専任」「専属専任」のいずれであるか契約種別により、他社との重複契約の可否や解除要件が根本から異なるためです
2. 契約の有効期間契約期間欄契約締結日と満了日(専任・専属専任は最長3か月)満了まで何日あるかを確認し、満了時の終了か途中解除かを判断するためです
3. 更新の特約更新に関する条項更新には依頼者の書面等による申出が必要(自動更新は無効)専任系で勝手に契約が継続されていると誤認しないためです(一般媒介の約定は要確認)
4. 業務報告の義務業務処理状況の報告条項専任は2週間に1回以上、専属専任は1週間に1回以上の報告義務義務違反(債務不履行)が生じていれば、相当期間の催告を経て解除を検討できるためです
5. レインズ登録義務指定流通機構への登録条項専任は休業日を除き7日以内、専属専任は休業日を除き5日以内の登録義務登録証明書の交付がない場合、業法違反および契約違反を問えるためです
6. 解除・中途解約条項契約解除・解約に関する条項債務不履行解除の手続き、売主都合による任意解除の定めどのような要件を踏めば法的に有効な解除が成立するかを把握するためです
7. 費用の負担規定費用償還・特別費用条項特別に依頼した広告費、解約時に請求されうる費用償還の範囲と上限解約時に不動産会社から請求される金額の妥当性を事前に見極めるためです
8. 直接取引の制限条項契約終了後の義務条項契約終了後2年以内に、旧会社の紹介した相手と直接契約した場合等の定め新会社への切替後、旧会社を排除した取引として媒介報酬相当額を請求される紛争を防ぐためです

宅地建物取引業法第34条の2第3項および第4項、ならびに不動産適正取引推進機構「2026年度版 不動産売買の手引」(新しいタブで開きます)にも明記されている通り、専任媒介契約・専属専任媒介契約の有効期間は3か月を超えることができず、更新には依頼者(売主)からの申出が必要です。 契約書に「特段の申し出がない場合は自動更新される」旨の特約が記載されていても、その特約は法律上無効となります。そのため、売主が更新を申し出ない限り、期間満了によって契約は終了します。ただし、一般媒介契約については業法上の期間制限がないため、契約書に有効期間や更新条件がどのように定められているかを必ず確認してください。

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4つの選択肢を同じ表で比較する

不動産会社への不満がある場合、取り得る選択肢は「いきなり契約解除」だけではありません。状況や残り期間に応じて、次の4つの手段を比較検討してください。

契約の終了・更新・費用償還は、国土交通省「標準媒介契約約款」(新しいタブで開きます)と手元の契約書・特約を照合して判断します。

表:選択肢、適している状況、手続きの概要、費用発生リスク、売却活動への影響
選択肢適している状況手続きの概要費用発生リスク売却活動への影響
1. 担当者の変更を申し入れる会社自体の広告力や規模には満足しているが、担当者の連絡頻度や相性に不満がある場合支店長や営業責任者に電話・面談・メール等で理由を伝えて交代を要請します原則なし(契約自体の変更ではないため)社内での引継ぎのみで済むため、販売活動が中断しません
2. 改善期限を設けて様子を見る契約満了まで時間があり、現状の指摘事項が改善されれば継続してもよい場合改善してほしい項目(報告日時、ポータル写真の更新等)を明記し、現契約の満了日を踏まえて回答期限を決めますなし(現状の契約を継続するため)改善されればそのまま売却を継続でき、改善されなければ満了時の終了や解除の判断材料になります
3. 契約満了時に切り替える(更新しない)満了が近く、これまでの活動実態から会社の変更が必要と判断した場合満了日前に「更新は行わない」意向を伝えます。専任系は申出をしなければ満了で終了します中途解除に伴う費用償還はなし(※別途合意した特別広告費等の未精算分があれば精算が必要です)満了日翌日から新会社で活動開始できるよう事前準備が可能です
4. 契約期間中に途中解除する会社側に明らかな契約違反がある、または関係修復が不可能で満了を待てない場合会社違反時は相当期間を定めた催告を経て解除します。自己都合時は約款に基づく解約通知を行います会社違反が立証されれば解除費用なし(※別依頼の特別費用は要精算)。自己都合時は約款上の費用償還(実費)を求められるリスクがあります鍵・資料の返却や広告取り下げが完了するまで一時的に活動が停滞します

新会社をどのように比較して選ぶべきかについては、不動産会社の選び方と見極め基準で詳しく解説しています。

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満了で切り替える手順

媒介契約の満了に伴う切り替えは、途中解除に伴う費用償還トラブルを避けやすい確実な方法です。次の4つのステップに沿って進めてください。

ステップ1:満了日と意向伝達の時期を確認する

手元の契約書で契約満了日を確認します。専任媒介契約および専属専任媒介契約では自動更新が無効とされており、売主から更新の申出を行わない限り契約は満了日をもって当然に終了します。

不動産会社が更新を前提に広告出稿や内覧手配を続けないよう、満了日より前に「次回の更新は行わない」旨を伝えます。連絡時期は預託物の回収や広告停止に必要な日数を会社へ確認して決め、一般媒介契約に予告期限の特約がある場合はその定めに従ってください。

ステップ2:新会社の選定と事前準備を並行して進める

旧契約の期間中であっても、他社へ査定を依頼したり今後の売却方針を相談したりすること自体は法的に禁止されていません。

専任・専属専任媒介契約を結んでいる期間中に、他社と有効期間が重複する専任媒介契約を締結して効力を発生させることは約款上禁止されています。ただし、新会社との契約締結にあたって契約の効力発生日(販売活動の開始日)を「旧契約の満了日の翌日以降」と定めておくことで、二重契約を避けてスムーズに移行できます。一般媒介契約であれば、明示型における他社通知などの約款規定を守ることで、旧契約期間中であっても他社と並行して契約を締結できます。

ステップ3:契約を更新しない旨を証拠が残る形で通知する

言った・言わないの争いを防ぐため、通知はメールや問い合わせフォーム、または書面(特定記録郵便や内容証明郵便など)で行います。

【契約満了に伴う更新終了の通知文例】

〇〇不動産株式会社
〇〇支店 店長様(または担当者様)

拝啓
貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。

私こと〇〇〇〇(売主氏名)が貴社に売却の媒介を依頼しております下記物件につきまして、
現在締結中の専任媒介契約(契約締結日:202X年〇月〇日)は、
202X年〇月〇日の契約満了日をもちまして終了とし、次回の契約更新の申出は行わないことといたしました。
ここにその旨をご通知申し上げます。

つきましては、契約満了に伴い次の手続きについてご対応をお願い申し上げます。
1. お預かりいただいている物件の合鍵およびお渡しした書類原本等のご返却
2. これまでに内覧またはお問い合わせをいただいた買主候補者様の案内履歴(日時および進捗状況)のご提示
3. 指定流通機構(レインズ)および貴社が掲載管理されている民間広告媒体(ポータルサイト等)の掲載取り下げ手続き

これまで販売活動にご尽力いただき、誠にありがとうございました。

敬具

記
・物件所在地:東京都〇〇区〇〇丁目〇番〇号
・物件名称:〇〇マンション〇〇号室
以上

202X年〇月〇日
売主:〇〇 〇〇
連絡先:090-XXXX-XXXX

ステップ4:預託物の回収と広告・登録状況の確認

満了日を迎えたら、預けていた合鍵や書類原本をすべて返却してもらいます。同時に、旧会社が管理するポータルサイト広告やレインズ登録の取り下げ手続きが進められていることを確認してください。

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途中解除は「解除理由・手続・費用」を別々に確認する

契約満了を待たずに途中で契約を解除する場合、「会社側に落ち度があるか(債務不履行による解除)」「売主の自己都合か(任意解除)」によって、必要な手続きと発生しうる費用の性質が大きく異なります。

flowchart TD
    Cancel["途中解除を検討"] --> Reason{"解除の理由は?"}
    Reason -- "会社側の義務違反<br/>(報告怠慢・レインズ未登録等)" --> Breach["【債務不履行解除】<br/>相当期間を定めて書面等で催告"]
    Breach --> Correct{"期限内に是正されたか?"}
    Correct -- "是正されず" --> LegalCancel["契約解除通知を送付<br/>(解除に伴う費用償還義務なし)"]
    Correct -- "是正された" --> Continue["業務改善を確認して継続"]
    Reason -- "売主の自己都合<br/>(他社に変えたい・気分等)" --> FreeCancel["【任意解約】<br/>約款に基づく解除通知"]
    FreeCancel --> ExpenseCheck{"約款に基づく費用償還請求<br/>(履行に要した客観的実費の精算)"}
    ExpenseCheck --> Pay["内訳・領収書を確認して実費精算<br/>(上限:仲介手数料相当額)"]

1. 会社側に落ち度がある場合(債務不履行による解除)

不動産会社が宅地建物取引業法や媒介契約約款に定められた義務を怠っている場合、売主は契約を解除できます。

* 主な義務違反の確認点: * 業務処理状況報告の義務違反:専任媒介(2週間に1回以上)・専属専任媒介(1週間に1回以上)の報告を怠っている場合です(※専任契約で1週間報告がないこと自体は直ちに違法とは言えません。契約種類と法定頻度を確認してください)。 * レインズ登録義務違反:法定期間(専任は休業日を除き7日以内、専属専任は休業日を除き5日以内)に登録していない、または登録証明書を交付しない場合です。 * レインズのステータス不正・囲い込み:国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(2026年4月1日以後)」(新しいタブで開きます)等に基づき、正当な理由なく他社からの購入申込や内覧照会を拒否している場合です。 * 手続きの流れ: 会社側に違反がある場合でも、感情的な即時解除の通告は控えてください。まずは「〇月〇日までに業務報告書を提出してください」「レインズ登録証明書を交付してください」と、相当の期間を定めて書面等で是正を催告するのが法的な原則です。催告期間は違反内容や取引の実情に応じて設定されるものであり、一律に特定の日数を待てば無条件で解除できると決まっているわけではありません。催告期間内に是正がなされない場合に、債務不履行に基づく解除通知を送付します。 * 費用の取り扱い: 不動産会社の責めに帰すべき事由による正当な解除であれば、解約に伴う違約金や費用償還の支払義務は発生しません。ただし、売主が事前に別途依頼して合意していた特別費用等がある場合は、その精算関係について確認が必要です。また、会社側が「義務違反はない」と主張して対立することもあるため、客観的な証拠(報告書の未着履歴やメールのやり取り)を残しておく必要があります。

2. 売主の自己都合による場合(任意解除)

「他社の提案の方が魅力的に見えた」「相性が合わないので今すぐ契約をやめたい」といった売主都合による途中解除も法的には可能ですが、費用の精算について慎重な確認が必要です。

* 標準媒介契約約款の定め(費用償還条項): 国土交通省「標準媒介契約約款」(新しいタブで開きます)では、有効期間内に売主の都合によって契約を解除した場合、不動産会社は「契約の履行のために要した費用の償還」を売主に請求できると規定されています。条項の番号は契約種類によって異なり、専任媒介契約約款では第14条、専属専任媒介契約約款では第13条に定められています。なお、一般媒介契約約款では同名の条項の発生条件や規定が異なります。実際に締結した契約書の条文と特約を必ず確認してください。 * 請求できる費用の範囲と上限: 費用償還として請求できる金額は、不動産会社が当該物件の売却活動のために実際に支出した客観的な実費に限られます。また、請求額の上限は「売買契約が成立した場合に受けるべき媒介報酬(仲介手数料)相当額」と定められています。

3. 請求される費用・ペナルティの種別と発生条件

解約時に不動産会社から金銭を請求された場合、その名目が法律上・約款上正当なものであるかを次の基準で判別してください。

表:費用の名目、発生する条件、留意点と確認すべき事項
費用の名目発生する条件留意点と確認すべき事項
仲介手数料(媒介報酬)売買契約が有効に成立したとき(成功報酬)売買契約が成立していない売却活動中の解約時に「仲介手数料」そのものを請求することは宅建業法違反です
特別に依頼した広告費売主があらかじめ明示的に依頼・承諾した実費売主の個別の依頼に基づき通常を超える媒体出稿等を行った実費です。事前の合意書や出稿明細の提示が必要です
途中解除の費用償還(実費)有効期間内の売主都合による解除で、会社が契約履行のために支出した実費通常の広告費であっても売主都合の中途解除に伴い実費償還の対象になり得ます。ただし架空請求や定額請求は不可で、領収書等の根拠提示が必要です(上限:媒介報酬相当額)
違約金専任等の有効期間中に他社で売買を成立させた等の重大な背信行為があった場合単に他社へ相談したことや、期間満了による終了に対して違約金を請求することは認められません

解約を申し出た際に費用を請求された場合は、名目だけで支払いを決めず、国土交通省「標準媒介契約約款」(新しいタブで開きます)と契約書を照合してください。売主都合で期間内に途中解除した場合、約款上の費用償還として、契約履行のために支出した実費が請求対象になり得ます。 トラブルを防ぐため、次の4点を確認してください。

  1. 解除の正当な理由: 会社側の義務違反による解除か、売主都合の任意解除か
  2. 約款上の根拠: 契約書に費用償還条項がどのように規定されているか
  3. 実費の客観的証拠: 概算や一律の請求ではなく、領収書や出稿明細などの支出根拠が示されているか
  4. 上限額の確認: 請求額が約款で定められた上限(成約時の仲介手数料相当額)の範囲内であるか

納得のいかない請求を受けた場合は安易に合意せず、消費生活センターや宅建業協会の相談窓口へ相談してください。

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引継ぎチェックリスト

不動産会社を切り替える際、トラブルになりやすいのが「旧会社が紹介した買主との関係」「預託物の返却と素材の利用権」「広告掲載の重複」です。切り替えを完了するまでに、次のチェックリストを順に確認してください。

1. 預託物の返却確認と制作物の利用権整理

  • [ ] 合鍵の返却受領: 預けた本数がすべて揃っているか確認し、鍵の預かり証を回収・清算します
  • [ ] 物件資料の原本: 建築確認済証、検査済証、設計図書、付帯設備表、権利関係書類などの原本を返却してもらいます
  • [ ] 登記識別情報等の管理: 登記識別情報通知書や印鑑証明書などの重要書類は、安易に預けっぱなしにせず売主自身が保管し、引渡先を限定します
  • [ ] 写真・間取り図等の制作物の利用権: 旧会社が撮影した物件写真や独自に作成した販売図面は、旧会社に著作権等の権利があります。旧会社の許諾がない限り新会社でそのまま再利用することはできないため、新会社であらためて撮影・作成するか、旧会社に利用条件を確認してください

2. 販売活動記録の確認

  • [ ] ポータルサイトの反響データ: 閲覧数、お気に入り登録数、問い合わせ件数などの推移を確認します
  • [ ] 内覧者の意見・反応: これまで内覧した検討客が見送った具体的な理由(価格、日当たり、間取り、周辺環境など)の傾向を把握します
  • [ ] 近隣相場の成約情報: 売り出し以降に近隣で成約した類似事例の価格動向を確認します

3. 買主候補者との関係確認(最重要)

  • [ ] 案内履歴・交渉状況の確認: これまでに内覧や商談を行った検討客について、案内日や当時の検討状況を旧会社に確認して記録を残します(※プライバシー保護の観点から旧会社の社内顧客名簿を一括譲渡させることはできません。直接取引等のトラブル防止に必要な範囲で照合できるよう、紹介の事実や仲介会社名、案内履歴を確認します)
  • [ ] 直接取引の制限条項と事前確認: 旧会社から紹介を受けた顧客と切り替え後に取引を進める場合、旧会社の媒介報酬請求権をめぐって紛争になるリスクがあります。該当する顧客から申込みが入った場合は、売買契約を締結する前に新旧両社へ紹介関係を確認し、手数料の取り扱いを明確にしておきます

4. 既存広告と登録の取り下げ確認

  • [ ] 指定流通機構(レインズ)の登録取り下げ確認: 旧契約が終了した段階で、旧会社がレインズの登録を取り下げたことを確認します。利用する指定流通機構の運用や契約形態によって重複登録の扱いは異なりますが、専任系での重複や誤った情報掲載を防ぐため、旧会社の抹消と新会社の登録スケジュールを調整します
  • [ ] ポータルサイト広告の掲載終了確認: 旧会社が自社で管理している民間ポータルサイト(SUUMO、LIFULL HOME'S、at home等)の掲載取り下げを確認します。なお、検索エンジンのキャッシュ表示や提携サイトによる自動転載などは、取り下げ手続き後も一時的に残存することがあるため、「自社管理の掲載削除手続きが完了しているか」と「外部の残存表示」を区別して確認してください

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相談先を選ぶ

不動産会社との話し合いがこじれたり、不当な請求や解約拒否を受けたりした場合は、問題の性質に応じて適切な相談窓口へ相談してください。

flowchart TD
    Dispute["トラブル・疑問の発生"] --> Type{"トラブルの性質は?"}
    Type -- "法令違反・監督指導<br/>(囲い込み・登録拒否・業務停止事項)" --> Gov["【免許行政庁の窓口】<br/>(知事免許は都道府県、大臣免許は地方整備局)"]
    Type -- "業務上の苦情・和解あっせん<br/>(対応の不誠実・約款トラブル)" --> Org["【宅建業協会・保証協会】<br/>(全宅保証・不動産保証協会など)"]
    Type -- "不当な解約金・費用請求<br/>(消費者契約上のトラブル)" --> Consumer["【消費生活センター】<br/>(局番なし 188)"]
    Type -- "多額の金銭紛争・法的対立<br/>(損害賠償・訴訟予告への対抗)" --> Legal["【弁護士・法テラス】<br/>(法律相談・代理交渉)"]

トラブルの性質に応じた4つの相談窓口

相手先の不動産会社の正確な商号・所在地・代表者名・免許行政庁を確認したい場合は、国土交通省「宅地建物取引業者検索システム」(新しいタブで開きます)を利用できます。

なお、業者検索システムで確認できるのは基本的な免許情報です。過去の行政処分歴を確認したい場合は、国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」や各自治体の公表資料を併せて参照してください。検索システムや公表資料に処分の記録がないこと自体は、過去に一切の苦情やトラブルがなかったことを証明するものではありません。

表:相談窓口、管轄・主な対応内容、相談に適している場面
相談窓口管轄・主な対応内容相談に適している場面
免許行政庁<br>(知事免許:都道府県の建築・宅建主管課<br>大臣免許:地方整備局等の建政部)宅地建物取引業法に基づく指導・監督、行政処分・レインズに登録してくれない<br>・囲い込み(他社への紹介拒否)の客観的証拠がある<br>・重要事項の不実告知や脅迫的な言動がある
宅建業協会の苦情解決窓口<br>(全国宅地建物取引業保証協会、不動産保証協会など)会員不動産会社に対する苦情申出の受付、調査、和解のあっせん・媒介契約の解除に応じてくれない<br>・担当者の対応が著しく不誠実で話し合いが進まない
消費生活センター<br>(局番なし「188」)消費者と事業者間の契約トラブルに関する助言、あっせん・「広告費数十万円を払わなければ解約しない」と言われた<br>・契約書に根拠のない高額な違約金を請求された
弁護士・法律相談窓口<br>(法テラス、各弁護士会)法的手続きの代理、金銭請求や損害賠償請求への対抗・実際に相手方から金銭請求の内容証明や訴訟予告が届いた<br>・契約解除の有効性をめぐって法的に争っている

相談を円滑に進めるための事前準備資料と質問項目

相談窓口を利用する際は、客観的な資料を揃えて持参することが迅速な解決への近道です。

  • [ ] 媒介契約書(原本または写し): 契約種別、有効期間、特約事項、約款の条項が確認できるもの
  • [ ] レインズ登録証明書: 登録日、登録番号、売主専用画面の確認情報
  • [ ] 業務処理状況報告書: これまでに届いたすべての報告書(メール履歴を含みます)
  • [ ] やり取りの記録(時系列ログ): 電話の日時・会話メモ、送受信メール、LINEやチャットの履歴
  • [ ] 広告掲載物: ポータルサイトの掲載画面キャプチャ、チラシ原本
  • [ ] 相手方からの請求書: 費用や違約金を請求されている場合はその明細書
  • 「手元の媒介契約書の約款・特約に照らして、現在の状況での途中解除は有効ですか?」
  • 「請求されている費用について、約款上の費用償還や特別依頼広告として支払義務がありますか?」
  • 「会社側の一連の行為(報告懈怠や登録拒否)は、宅建業法上の指導・監督処分の対象に該当しますか?」

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よくある質問

質問と回答を開く(5件)

Q1. 専任媒介契約を結んだ直後(1〜2週間)ですが、すぐに会社を変更できますか?

A. 原則として、契約期間中の売主都合による即時解約は、標準約款(専任第14条)に基づき「契約の履行のために要した客観的な実費の償還」を請求されるリスクが残ります。

なお、専任媒介契約における業務処理状況の報告頻度は「2週間に1回以上」と定められています(国土交通省「標準媒介契約約款」(新しいタブで開きます))。契約から1週間報告がないことだけで、直ちに義務違反とは判断できません。

ただし、専任媒介で休業日を除き7日以内にレインズへ登録されない場合や、登録証明書が交付されない場合は、国土交通省の標準約款(新しいタブで開きます)と契約書を確認して是正を求めます。改善されないときは、解除要件を確認してください。会社側に落ち度がない場合は、要望を伝えて様子を見るか、満了時の切り替えを準備します。

Q2. 解約を申し出たら「これまでの広告掲載料30万円を支払え」と言われました。支払う必要がありますか?

A. 30万円という金額や名目だけで即座に支払いを決めたり、逆に一律に全額拒否したりせず、契約内容と解除理由に照らして内訳を確認する必要があります。

通常の広告宣伝費(ポータルサイト掲載や自社チラシなど)は、成約時の仲介手数料に含まれるべき営業経費であり、別途の上乗せ請求は認められません。また、売主が事前に明示的に依頼・承諾していない特別な広告費用を請求することもできません。

一方、売主都合で有効期間内に途中解除した場合、標準媒介契約約款(専任第14条、専属専任第13条)(新しいタブで開きます)により、契約履行のために要した費用の償還を請求されることがあります。請求を受けたら、支出の根拠と、約款上の上限内かを確認してください。

不当な請求と思われる場合は、まず会社側に出稿明細書や領収書原本の提示を求めてください。その上で、内訳の妥当性に納得がいかないときは、消費生活センターや宅建業協会の苦情相談窓口へ相談してください。

Q3. 一般媒介契約を結んでいる場合、解約を告げずに他社を追加しても問題ありませんか?

A. 一般媒介契約には、他に依頼している不動産会社を通知する「明示型」と、通知を要しない「非明示型」があります。国土交通省「標準媒介契約約款」(新しいタブで開きます)の標準的な約定(明示型)では、売主が他の不動産会社に重ねて媒介を依頼したとき、その会社名を既存の会社に通知する義務が定められています。

通知を怠ったまま他社で売買を成立させた場合、約款に基づき費用償還などを請求されるおそれがあります。一般媒介契約に他社を追加する場合は、手元の契約条項を確認し、明示型であれば書面やメール等で「〇〇不動産株式会社にも媒介を依頼しました」と既存の会社へ速やかに通知してください。

Q4. 旧会社で内覧した買主が、新会社へ切り替えた後に購入を申し込んできた場合はどうなりますか?

A. 最も慎重な対応が求められる事例です。国土交通省「標準媒介契約約款」(新しいタブで開きます)(専任・専属専任第11条、一般第13条)には、契約終了後2年以内に「旧会社の紹介によって知った相手」と直接売買契約を締結した場合、旧会社が媒介報酬相当額を請求できる旨が定められています。

この直接取引条項は、単に過去に内覧した履歴があることだけで当然に適用されるわけではありません。「旧会社を意図的に排除して取引を進めたか」「成約に至る過程で旧会社の媒介業務がどの程度寄与していたか」などの諸事情を踏まえて判断されます。

新会社を介して成約した場合であっても、旧会社の紹介実績や寄与度をめぐって紛争に発展するリスクは残ります。切り替え時に過去の内覧・商談履歴を整理しておき、該当する顧客から申込みが入った場合は、売買契約を締結する前に新旧両社や宅建協会の相談窓口を交えて媒介報酬の帰属について協議を行ってください。

Q5. 会社自体は大手で安心ですが、担当者が若手で頼りないです。会社ごと変えるべきですか?

A. 会社の広告力や店舗網に不満がないのであれば、まずは「担当者の変更」を支店長や営業責任者に申し出ることをおすすめします。

「熱心に対応していただいているが、報告の頻度や価格交渉力に不安があるため、経験豊富な担当者に代えてほしい」と具体的に伝えてみてください。契約を解除することなく社内での担当替えによって販売活動を継続できます。媒介契約を終了させて新会社を探す手間やリスクを避けられる現実的な選択肢です。

なお、仲介による売却だけでなく即時現金化を急ぎたい事情がある場合は、仲介と不動産買取の違いと使い分けも検討してください。

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実行チェックリスト

不動産会社の変更を検討してから、新会社で販売活動を再スタートするまでの手順を時系列で整理しました。各ステップを漏れなく実行してください。

flowchart LR
    Phase1["【フェーズ1】<br/>現状把握と契約確認"] --> Phase2["【フェーズ2】<br/>方針決定と並行準備"] --> Phase3["【フェーズ3】<br/>満了・解除と引継ぎ"] --> Phase4["【フェーズ4】<br/>新体制での販売開始"]

【フェーズ1】現状把握と証拠集め(今日やること)

  • [ ] 手元の媒介契約書を取り出し、契約種別、満了日、更新特約、費用条項を確認します
  • [ ] レインズ登録証明書を確認し、売主専用画面で取引状況(ステータス)を確認します
  • [ ] 不満を「客観的事実」「未回答」「具体的希望」の3列表に書き出して整理します
  • [ ] 担当者の交代で解決できるか、会社自体の変更や満了切替が必要かを判断します

【フェーズ2】方針決定と事前準備(切り替え決定〜満了・解除前)

  • [ ] 満了切替の場合は「更新しない旨の事前通知」、途中解除(会社違反)の場合は「催告書」を作成します
  • [ ] 通知をメールや特定記録郵便など証拠が残る形で送付し、控えを保管します
  • [ ] 新たに依頼する候補会社(2〜3社)へ相談し、査定や販売戦略の提案を受けます
  • [ ] 新会社との専任契約の効力発生日(販売開始日)を「旧契約終了日の翌日以降」に設定します(一般媒介の場合は約定に沿って他社通知を準備します)

【フェーズ3】引き継ぎと精算(満了日・解除日当日)

  • [ ] 預けていたすべての合鍵と物件資料の原本を回収します
  • [ ] 過去の内覧・問い合わせ履歴(日時や商談状況)を確認して記録を残します
  • [ ] 費用請求がある場合は明細書と支出証拠(領収書等)の提示を求め、約款上の妥当性を確認します
  • [ ] 旧会社が管理するレインズ登録およびポータルサイト広告の取り下げ手続きを確認します

【フェーズ4】新体制での再スタート(切り替え完了後)

  • [ ] 新しい不動産会社との媒介契約を発効させ、販売活動を開始します
  • [ ] 希望する報告頻度や掲載写真への要望を新担当者と共有します
  • [ ] 新会社がレインズに新規登録したことを「登録証明書」で確認します(専任・専属専任の場合)
  • [ ] 新たな売り出し価格や販売戦略(掲載ポータルの拡大、オープンハウス等)を実行に移します

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不動産会社の切り替え方針が決まったら、次のステップとして「後悔しない新会社の選び方」や「売却計画の再点検」を確認しておきましょう。

参照資料

国土交通省「標準媒介契約約款」参照日 2026年8月31日国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(2026年4月1日以後)」参照日 2026年8月31日国土交通省「宅地建物取引業者検索」参照日 2026年8月31日不動産適正取引推進機構「2026年度版 不動産売買の手引」参照日 2026年8月31日国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」参照日 2026年8月31日