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家を売っても、査定額がそのまま手元に残るわけではありません。不動産売却の費用、ローンの返済、翌年の税金は、払う時期も性質も違うからです。時期をそろえずに足し引きすると、手付金を二重に数えたり、税の分まで使ったりしかねません。手取りは、お金の出入りを時期ごとに並べてから計算します。
手取りは「3つの数字」に分けて出す
売却の手取りは、1つの数字ではなく、次の3つに分けて出します。なお、査定額は売り出し価格の目安で、成約する値段や手元に残る額を約束するものではありません。
| 数字 | 何を表すか | 使いみち |
|---|---|---|
| 税の前の手取り | 取引全体で残る額(税を引く前) | 売るかどうか、売り出し価格の判断 |
| 決済日の純増額 | 決済日に口座で実際に増える額 | 住み替えや返済の資金計画 |
| 最終手取り | 税の前の手取りから、確認した税の準備額を引いた見込み | 費用と税額を確認した後の資金計画や分配の目安 |
数字を分けるのは、お金が入る日と出る日がずれるからです。売買代金(契約で決めた値段)は、契約時の手付金と、決済日の残代金に分けて受け取ります。決済日とは、残りの代金を受け取り、家を買主に引き渡す日のことです。一方で、売却益にかかる税金は、翌年に申告して納めます。
ここでは、ローンの返済と税金を「売主が払う費用」に入れません。ローン完済必要額と税の準備額は、それぞれ別の行で引きます。同じお金を2か所で引かないための分け方です。
金額がそろったら、不動産売却の手取り計算ツールでそれぞれの手取りを出せます。このツールは、入力した金額を足し引きするだけのものです。仲介の報酬や印紙税、税額を自動で見積もるわけではありません。
最初に探す資料と、見つからないときに聞く相手
計算に使う金額は、手元の書類から集めます。実家を売る場合は、親の書類の中から次のものを探してください。
- 売買契約書(契約の前なら、不動産会社の査定書)
- 住宅ローンの返済予定表、または残高証明書
- 固定資産税の納税通知書と課税明細書
- 家を買ったときの売買契約書と領収書
- 登記事項証明書(法務局で取れる、不動産の登記の記録)
買ったときの書類は、翌年の税金を見積もるときに使います。資料の種類と取り寄せ方は、相続した家の売却に必要な書類の記事にまとめています。
見つからない資料があっても、その金額を0円や空欄のまま進めないでください。次の相手に、それぞれ一文で聞けば足ります。
- 不動産会社:売主が払う費用を、税込の金額と支払日つきで一覧にしてほしい
- 金融機関:決済予定日時点の完済必要額と内訳、抹消書類がそろう日数を知りたい
- 司法書士:抹消登記や住所変更の登記が要るか、税と報酬を分けて見積もってほしい
- 税務署や税理士:取得費と使える特例を確かめ、税の準備額を出したい
一枚の表に、入出金を時期ごとに書く
集めた金額は、次の表1枚に書き込みます。建物の傷みを調べる調査など、表にない費用があれば、払う時期に合わせて行を足してください。「状態」の欄には、未確認・概算・確定・支払済のどれかを書きます。どの金額がまだ固まっていないかが、ひと目で分かるようにするためです。
| 時期 | 項目 | 確かめる書類・相手 | 金額 | 状態 |
|---|---|---|---|---|
| 参考 | 売買代金(手付金+残代金) | 売買契約書、査定書 | ||
| 契約時 | 手付金(入金) | 売買契約書 | ||
| 決済日 | 残代金(入金) | 売買契約書 | ||
| 決済日 | 固定資産税などの清算金(入金) | 清算書、売買契約書 | ||
| 契約前 | 測量・片付けなどの着手金 | 見積書 | ||
| 契約時 | 印紙税 | 売買契約書の金額 | ||
| 契約時 | 仲介手数料(契約時の分) | 媒介契約書 | ||
| 決済日 | 仲介手数料(残り) | 媒介契約書 | ||
| 決済日 | ローン完済必要額 | 金融機関の完済額の案内 | ||
| 決済日 | 金融機関の手数料(完済必要額に含まれない分) | 金融機関 | ||
| 決済日 | 登記の登録免許税 | 司法書士の見積書 | ||
| 決済日 | 司法書士の報酬 | 司法書士の見積書 | ||
| 決済日 | 証明書の取得費 | 市区町村、法務局 | ||
| 決済日 | 測量・解体・片付けの残金 | 見積書、請負契約書 | ||
| 決済後 | 固定資産税の残りの期の納付 | 納税通知書 | ||
| 翌年 | 所得税・住民税の準備額 | 税務署、税理士 |
売買代金の行は、手付金と残代金の合計が合っているかを見るための参考欄です。手取りの計算では、この行を足しません。登録免許税と司法書士の報酬のように、払う先が違う費用は行を分けて書きます。
3つの手取りの式と、二重に数えやすい4つの所
表の金額を、次の式に当てはめます。
- 税の前の手取り=売買代金+清算金−売主が払う費用の合計−ローン完済必要額
- 決済日の純増額=残代金+清算金−決済日に払う費用−ローン完済必要額
- 最終手取り=税の前の手取り−税の準備額
「売主が払う費用の合計」は、契約前から決済後までの費用をすべて足した額です。契約時の手元残高は、手付金から契約前と契約時に払う費用を引いて出します。この額と決済日の純増額を足し、決済後に払う費用を引くと、税の前の手取りと同じ額になります。翌年の税は、その後に引きます。
時期ごとに足した額が税の前の手取りと合わないときは、どこかで同じ金額を二重に数えていることがあります。間違えやすいのは、次の4か所です。
手付金を売買代金に足さない
手付金は、売買代金とは別にもらうお金ではありません。売買代金の一部を、契約のときに先に受け取るものです。そのため「売買代金+手付金」と足すと、手付金の分だけ手取りが多く出てしまいます。
決済日の計算は、残代金から始める
決済日に振り込まれるのは、売買代金から手付金を引いた残代金です。全額が入ると思って住み替えの資金を組むと、当日の口座が足りなくなるおそれがあります。また、契約時に払った印紙税や仲介手数料は、決済日ではなく契約時の出金として書きます。
完済必要額に含まれる利息と手数料を重ねない
完済必要額に、元金のほか、日割りの利息や繰上返済の手数料が含まれるかは、金融機関の案内で分かります。含まれているなら、利息や手数料を別の行でもう一度引きません。含まれない分があれば、表の「金融機関の手数料」の行に書きます。
固定資産税の清算金と、納付済みの分を分ける
清算金は、決済日に買主から受け取る入金です。固定資産税と都市計画税は、毎年1月1日時点で、市区町村の固定資産課税台帳に載っている所有者にかかります(出典:国税庁 未経過固定資産税。参照資料の一覧へ移ります)。清算をしても、その年の税を市区町村に納めるのは売主のままなので、決済後に残りの期を納めるならその額を支出に入れます。すでに納めた期の分は、もう一度支出に書きません。
清算をするかどうか、何日を境に分けるかは、法律ではなく売買契約で決まります。清算書の数字だけで判断せず、売買契約書の条項と見比べてください。
現金の出入りと、税金の計算で引ける経費は、別のものです。手取りの表では引く支出でも、税の計算では引けないものがあります。
図の説明
お金の出入りを、契約前、契約時、決済日、決済後、翌年の5つの時期に並べる。契約前は、測量や片付けなどの着手金を払う。契約時は、手付金を受け取り、印紙税と、契約時の分の仲介手数料を払う。手付金は売買代金の一部。決済日は、残代金と、固定資産税などの清算金を受け取り、ローン完済必要額、残りの仲介手数料、登記の登録免許税と司法書士の報酬、証明書の取得費、測量・解体・片付けの残金、完済必要額に含まれない金融機関の手数料を払う。残代金は売買代金から手付金を引いた額。決済後は、固定資産税の残りの期を納める。翌年は、所得税と住民税の準備額を用意する。決済日の純増額は決済日だけ、税の前の手取りは契約前から決済後まで、最終手取りは翌年の税の準備額まで数える。
分からない費用があるときと、計算を止めるとき
見積もりが出ていない費用は、0円として計算しないでください。0円にすると、手取りが実際より多く出るからです。分からない費用は、考えられる最大の額を仮に置き、状態を「概算」にします。
たとえば、片付けの見積もりが2社から30万円と45万円で出たとします(想定の例)。この場合は高いほうの45万円を置くと、手取りを多く見積もらずに済みます。見積もりが1社だけなら、追加の費用がかかる条件をその業者に聞いておきましょう。
測量や解体のように、最大の額すら置けない費用もあります。その場合は、手取りの下限を出せたように見えても、完成した数字として扱いません。表に「範囲未完成」と書き、確認先と期限を添えておきます。
次のどれかが確かめられていないときは、手取りを確定させず、契約の判断もいったん止めます。
- 売主は誰で、誰に売却を決める権限があるか(相続した家なら、相続の登記が済んでいるか)
- 共有者の全員が、売ることに同意しているか
- ローンを売却代金で完済できるか
- 測量・解体・片付けの費用を、売主と買主のどちらが負担するか
- 税の特例が使えるか
親の家を兄弟で共有しているときの進め方は、共有名義の実家を売却するときの記事で確かめられます。
この記事の計算は、日本国内の不動産を売る個人の売主を前提にしています。法人の売主、売買をくり返す事業としての売却、競売や任意売却、信託受益権などの特殊な取引は対象外です。
売主が海外に住む非居住者の場合も、この記事の計算の対象外です。買主側の源泉徴収によって、入金額が変わる場合があります(出典:国税庁 No.2879。参照資料の一覧へ移ります)。適用の有無と税額の精算方法は、税務署か税理士に確認してください。
3,000万円で売る想定の例で照らし合わせる
3つの式を、想定の例で確かめます。仲介手数料は、法律で決まった上限いっぱいの額とします(出典:国土交通省。参照資料の一覧へ移ります)。
- 売買代金3,000万円(手付金300万円、残代金2,700万円)
- ローン完済必要額1,503万3,000円(元金1,500万円、利息と手数料3万3,000円を含む)
- 仲介手数料105万6,000円を、契約時と決済日に半分ずつ払う前提
- 印紙税1万円(売主の契約書1通分)、登記の税と司法書士の報酬で計5万円
- 清算金、測量、解体はなし
- 税は、売った年の1月1日時点で持っていた期間が5年を超える前提で、概算取得費を使い、特例なしの20.315%で計算
| 段階 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 契約時の手元 | 手付金300万円−印紙税1万円−仲介手数料52万8,000円 | 246万2,000円 |
| 決済日の純増額 | 残代金2,700万円−完済必要額1,503万3,000円−仲介手数料52万8,000円−登記5万円 | 1,138万9,000円 |
| 税の前の手取り | 246万2,000円+1,138万9,000円 | 1,385万1,000円 |
| 税の準備額 | 課税譲渡所得2,743万4,000円×20.315% | 約557万3,217円 |
| 最終手取り | 1,385万1,000円−約557万3,217円 | 約827万7,783円 |
課税譲渡所得は、3,000万円から概算取得費150万円と譲渡費用106万6,000円を引いた額です(出典:国税庁 No.3202。参照資料の一覧へ移ります)。譲渡費用は仲介手数料と印紙税の合計で、ローンと登記の費用は入れていません。実際の税額は、端数の処理や使える特例で変わります。
照らし合わせとして、税の前の手取りを売買代金から直接出してみます。売主が払う費用の合計は、111万6,000円です。3,000万円からこの費用と完済必要額1,503万3,000円を引くと、1,385万1,000円になります。時期ごとに足した額と同じなので、二重に数えていないことが分かります。
同じ条件で、売買代金が10%下がって2,700万円になったとします。最終手取りは約593万5,649円で、3,000万円のときより約234万2,000円少なくなります。減る額が値下げ幅の300万円より小さいのは、代金に応じて決まる仲介の報酬と税も下がるからです。
ただし割合で見ると、代金の10%の値下げで、最終手取りは約28%減ります。ローン完済必要額は、売る値段が下がっても変わらないためです。価格の交渉に入る前に、最低限残したい額を決めておくと判断しやすくなります。
決済日のローン完済と、売主が払う登記の費用
ここからは、表に書く費用の中身を見ていきます。まずは、決済日に出ていく額が大きくなりやすいローンの完済です。
ローンが残る家は、決済日にローンを完済する取引で売ります。その場合は、抵当権(ローンの担保として家に付けた権利)を消してから、買主に引き渡します。売却代金で返しきれないなら、足りない分を手持ちの資金で用意しなければなりません。
契約の前に、金融機関に次の2つを聞いておきます。
- 決済予定日時点の完済必要額と、その内訳(元金、日割りの利息、繰上返済の手数料など)
- 抵当権の抹消に使う書類がそろうまでの日数
抵当権の抹消登記には、登録免許税(登記のときに国に納める税金)がかかります。税額は、不動産1個(土地1筆、建物1棟)につき1,000円が基本です(出典:法務局 情報番号1312。参照資料の一覧へ移ります)。たとえば土地2筆と建物1棟なら、3個で3,000円になります。これとは別に、司法書士(登記の専門家)に頼めば報酬がかかり、額は事務所ごとに違います。
税額は登録免許税法(新しいタブで開きます)の別表で決まっています。最新の額は、法務局か司法書士に確認してください。
登記簿の住所や氏名が今のものと違うときは、抹消などの登記の前に、変更の登記を求められることがあります。変更の登記にも、登録免許税と司法書士の報酬がかかります。必要かどうかと費用は、司法書士か法務局に確認してください。
登記には、住民票や印鑑証明書などの証明書も使います。取り寄せにかかる費用も、登録免許税や報酬とは別の行に書いておくと、見積書と見比べやすくなります。
名義を買主に移す登記の税と報酬、抵当権の抹消や住所変更の登記の費用は、誰が払うかを売買契約で決めます。法律で決まっているわけではないので、売買契約書で確かめてください。
詳しく:抹消登記の税額の上限と、住所・氏名の変更登記
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多くの不動産をまとめて抹消するときは、税額に上限が設けられています。同じ申請書で20個以上の不動産の抹消をするときは、税額は20,000円で頭打ちになります(出典:法務局 情報番号1312。参照資料の一覧へ移ります)。
住所・氏名の変更登記は、2026年(令和8年)4月1日から申請が義務になっています(出典:法務省。参照資料の一覧へ移ります)。申請の期限は、変更の日から2年以内です。2026年4月1日より前の変更は、2028年(令和10年)3月31日までに申請すればよい決まりです。
仲介手数料・印紙税と、物件によって増える費用
売主が払う費用には、法律で額が決まる税金と、見積もりや合意で決まる料金があります。仲介手数料は後者で、印紙税は前者です。
仲介手数料
仲介手数料は、売買が成立したときに不動産会社に払う報酬です。法律で決まっているのは上限の額で、実際の額はその範囲で不動産会社と合意して決めます(出典:国土交通省。参照資料の一覧へ移ります)。
売買代金が400万円を超えるときの上限は、「売買代金×3%+6万円」に消費税を足した額です。税抜3,000万円なら、上限は105万6,000円(税込)になります。
払う時期は、媒介契約(不動産会社と結ぶ、売却を頼む契約)で決めます。契約時と決済日に分けて払う取り決めもあります。金額と支払日は、媒介契約で確かめてください。仲介ではなく不動産会社に直接買い取ってもらう方法もあり、違いは仲介と買取の違いの記事で比べられます。
印紙税
紙の売買契約書には、書かれた金額に応じて印紙税がかかります。契約書を売主と買主が1通ずつ持つ場合は、印紙税を誰が負担するかを契約で確かめます。2027年(令和9年)3月31日までに作る契約書は、税額が軽くなっています(出典:国税庁 No.7108。参照資料の一覧へ移ります)。
| 契約書の金額 | 軽くなった税額 | 本来の税額 |
|---|---|---|
| 500万円を超え1,000万円以下 | 5,000円 | 1万円 |
| 1,000万円を超え5,000万円以下 | 1万円 | 2万円 |
| 5,000万円を超え1億円以下 | 3万円 | 6万円 |
電子契約で紙の契約書を作らない場合は、印紙税がかかりません。
物件によって増える費用
契約の条件や家の状態によっては、次の費用もかかります。
- 境界確定測量:隣の土地との境界をはっきりさせる測量で、土地家屋調査士に頼む
- 解体:古い家を壊し、更地で引き渡す約束をしたときの工事
- 片付け:家具や家電など、家に残った物を処分する費用
- 建物状況調査:建築士が、基礎や柱、雨水が入りやすい所の傷みを調べる
どれも民間の見積もりで決まる費用で、一律の相場はありません。契約の前に着手金を払うこともあるため、払う時期も表に書いておきます。誰が負担するかは、売買契約書と重要事項説明書で取り決めます。家を解体してから売るかどうかは、古い家を解体して売るかの判断の記事で比べられます。
詳しく:仲介手数料の価格帯ごとの計算と、安い物件の特例
詳しい説明を開く
上限は、売買代金(建物に消費税がかかるときは税抜の額)を価格帯ごとに分けて計算します。
- 200万円以下の部分:5%+消費税
- 200万円を超え400万円以下の部分:4%+消費税
- 400万円を超える部分:3%+消費税
「3%+6万円」は、この3つを足した額を一度に出す式です。売買代金が800万円以下の土地・建物には、2024年(令和6年)7月1日から特例があります。空き家かどうかは問いません。
不動産会社から事前に説明を受け、媒介契約で合意した場合に限り、売主側の上限は税込33万円です(出典:国土交通省。参照資料の一覧へ移ります)。自動で当てはまるものではなく、通常の上限に上乗せする決まった料金でもありません。
翌年の税金は、手取りからどう見積もる?
売却で利益が出たら、原則として翌年に確定申告をして、所得税と復興特別所得税を納めます(出典:国税庁 No.3102。参照資料の一覧へ移ります)。住民税も、そのあと市区町村からの通知に沿って納めます。つまり、決済日に受け取ったお金には、翌年に納める税の分が含まれています。
税がかかる利益(課税譲渡所得)は、次の式で出します(出典:国税庁 No.3202。参照資料の一覧へ移ります)。
- 課税譲渡所得=収入金額−(取得費+譲渡費用)−特別控除額
収入金額には、売買代金に加えて固定資産税などの清算金も入ります(出典:国税庁 No.3214。参照資料の一覧へ移ります)。清算金は、税金が戻ってきたお金ではなく、売った代金の一部として扱われるからです(出典:国税庁 未経過固定資産税。参照資料の一覧へ移ります)。清算金を受け取るなら、税の準備額もその分を含めて試算してください。
取得費:買ったときの値段
取得費は、家を買ったときの代金に、買ったときの仲介手数料や登録免許税などを足した額です(出典:国税庁 No.3252。参照資料の一覧へ移ります)。建物は、買った代金から、年数に応じた減価償却費(古くなった分)を引きます。相続した家は、原則として親が買ったときの代金と時期を引き継ぎます(出典:国税庁 No.3270。参照資料の一覧へ移ります)。相続税の計算に使った評価額を、取得費の代わりにすることはできません。
取得費が分からないときは、収入金額の5%を「概算取得費」として使えます。ただし、実際の取得費より低くなり、税が重くなることがあります。通帳の記録や当時のローンの書類から、実際の額を示せないか探す余地は残っています。探し方は、相続した家の取得費が分からないときの記事にまとめました。
譲渡費用:売るために直接かかった費用
譲渡費用に入るのは、売るために直接かかった費用だけです(出典:国税庁 No.3255。参照資料の一覧へ移ります)。手取りの表で引いた支出でも、次のように扱いが分かれます。
| 扱い | 主な費用 |
|---|---|
| 譲渡費用に入る | 仲介手数料、売買契約書の印紙税、売るための境界確定測量費、売る条件として行った解体費 |
| 譲渡費用に入らない | ローンの元金と完済の手数料、抵当権の抹消登記の費用、ふだんの修繕費、固定資産税 |
家の価値を高める改良の費用は、取得費に足せる場合があります。片付けや工事の費用は、売る条件とどう結び付くかで扱いが変わります。目的と契約の条件を書いたものを持って、税務署に確かめてください。
税の準備額の出し方
税の準備額は、課税譲渡所得に税率を掛けて出します。税率は、売った年の1月1日時点で、持っていた期間が5年を超えるかどうかで変わります(出典:国税庁 No.3208。参照資料の一覧へ移ります)。相続した家の税額と特例は、相続した家の売却にかかる税金の記事で計算の順に追えます。
取得費や特例が使えるかは、家ごとに判断が分かれます。この記事の計算は一般的な情報です。自分の家の税額は、税務署か税理士に確認してから最終手取りに反映してください。
詳しく:税率と特例の条件
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| 区分 | 売った年の1月1日時点の所有期間 | 税率の合計 |
|---|---|---|
| 長期 | 5年を超える | 20.315% |
| 短期 | 5年以下 | 39.63% |
長期は所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%の合計です。短期は所得税30%、復興特別所得税0.63%、住民税9%を足します(出典:国税庁 No.3211。参照資料の一覧へ移ります)。
自分が住んでいた家を売るときは、最高3,000万円を差し引ける特例があります(出典:国税庁 No.3302。参照資料の一覧へ移ります)。住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることなど、いくつかの要件があります。特例で税額が0円になっても、原則として確定申告が必要です。新居で住宅ローン控除を使う予定があるときは、特例と一緒に使えない場合もあります。
