不動産売却を任せる不動産会社は、査定額が最も高い会社、知名度がある会社、口コミ点数が高い会社のどれかに自動的に決まるものではありません。
比べたいのは、その会社の担当店舗と担当者が、自分の物件を、どの根拠と計画で売ろうとしているかです。査定額は契約後の成約を保証する金額ではありません。説明のない高値だけで選ぶと、売り出した後に値下げの判断材料がなくなるおそれがあります。
この記事では、候補各社へ同じ条件を渡し、次の4点を残します。
- 第一候補の会社・店舗・担当者
- 第一候補にした具体的な理由
- 提案の弱点と未確認事項
- 回答期限と媒介契約案を読む日
点数を足して順位を作るのではなく、まず契約を止める条件を確認し、その後に回答の根拠を「書面確認済み・口頭のみ・未回答・矛盾」で比較します。
結論:会社・店舗・担当者・提案書を分けて比べる
「A社は大手」「B社は地元で長い」という会社属性だけでは、今回の担当者が出す販売計画までは分かりません。比較対象を4層に分けます。
| 比較する層 | 確認するもの |
|---|---|
| 会社 | 正確な商号、免許、行政情報、取引の基本方針 |
| 店舗・チーム | 対象地域と同種物件への対応経験、広告・内覧の実行体制 |
| 担当者 | 質問への回答、説明記録、連絡・報告、休日時の引継ぎ |
| 提案書 | 査定根拠、想定成約価格帯、販売手順、見直し条件、費用 |
選び方は2段階です。
第1段階:契約を保留する条件がないか確認する 会社情報の不一致、説明を拒まれた費用、空欄の契約書などがあれば、点数比較へ進まず回答を待ちます。
第2段階:同じ質問への回答と根拠資料を比べる 高い・安いという感想ではなく、何が書面で確認でき、何が未回答かを会社別カードへ移します。
ここで決めるのは「絶対に優良な会社」ではなく、現時点で契約案を詳しく読む第一候補です。売却価格や買主がまだ確定していない段階で、結果を保証できる会社はありません。
会社を比べる前に、全社へ同じ条件を渡す
物件の状態や希望条件を会社ごとに変えると、査定額や販売提案の差が会社の実力によるものか、前提の違いによるものか分かりません。まず一枚の「共通条件シート」を作ります。
共通条件シート
| 項目 | 記入する内容 |
|---|---|
| 物件 | 所在地、種類、土地・建物面積、築年、占有状況 |
| 権利 | 登記名義、共有・相続・賃貸借の有無、分かる範囲の担保 |
| 現況 | 居住中・空き家・賃貸中、荷物、把握している不具合 |
| 売却理由 | 住み替え、相続、管理負担など、伝えてよい範囲 |
| 希望時期 | 売出開始、売買契約、引渡しの希望と動かせない期限 |
| 価格条件 | 希望額、下回ると再検討する金額、残債確認の状況 |
| 引渡条件 | 現況、家財、修繕、測量、解体等の方針。未定は未定と記載 |
| 制約 | 内覧可能日、広告で伏せたい情報、近隣対応、連絡方法 |
売却理由や最低希望額は交渉に関わります。初回問い合わせで必要以上の家族事情や資産情報まで送る必要はありません。一方、雨漏り、設備故障、境界の不明点など、物件の判断に関わる既知の事情を隠して比較するのも避けます。「確認中」を使い、分からないことを分かったように書かないのが基本です。
相続した家で名義や必要書類が曖昧なら、先に相続不動産を売却する流れで、売主になれる人と手続の順番を確認してください。
最初の足切りは、会社名と免許を公式情報で照合する
見積書、メール、名刺、媒介契約案に書かれた会社名を、ブランド名ではなく契約主体となる正確な商号で確認します。国土交通省の宅地建物取引業者検索(新しいタブで開きます)では、商号、所在地、代表者、免許証番号、免許行政庁等を検索できます。
確認した結果は次のように残します。
- 契約書上の商号と検索結果が一致したか
- 担当店舗の所在地と連絡先を確認したか
- 免許証番号と免許行政庁が一致したか
- 契約・請求の相手が別会社になっていないか
国土交通大臣免許と都道府県知事免許の違いは、主に事務所を置く都道府県の範囲によるものです。大臣免許だから知事免許より優良、免許証番号の括弧内の数字が大きいから担当力が高い、と順位付けする材料にはしません。
ネガティブ情報等検索サイト(新しいタブで開きます)では宅地建物取引業者の処分情報を確認できます。ただし、掲載対象や期間には範囲があります。検索結果がないことは、苦情や問題が一度もないこと、安全が保証されたことを意味しません。情報が出た場合は、対象の法人・店舗・時期・処分内容が今回の候補と一致するかを読みます。
査定額ではなく、査定根拠と価格の役割を比べる
媒介契約で定める媒介価額について宅地建物取引業者が意見を述べるときは、その根拠を明らかにする義務があります。国土交通省の解釈・運用の考え方(新しいタブで開きます)では、価格査定マニュアルや同種取引事例等による合理的な説明が例示されています。契約前に受け取った査定書についても、会社選びの判断材料として同じ根拠を求めます。
ただし、法令上求められる根拠の説明と、会社選びに十分な比較資料は同じではありません。次の項目を自分から質問します。
- 比較に使った成約事例・売出事例はどれか
- 事例の時期、場所、面積、築年、状態は対象物件とどう違うか
- 対象物件の長所・短所を価格へどう反映したか
- 想定成約価格は一点か、幅か。その幅の理由は何か
- 推奨売出価格と想定成約価格を分けているか
- 想定する販売期間と、反応が弱いときの見直し条件は何か
ここで使う3つの価格は、次のように分けます。
- 査定価格:会社が資料と現地条件から示す価格意見
- 推奨売出価格:販売開始時に広告へ出す提案価格
- 想定成約価格帯:価格交渉等も含め、会社が成約を見込む範囲
3つは一致するとは限らず、いずれも成約を保証する金額ではありません。
「4,000万円です」という数字だけではなく、「どの事例から、どの差を調整し、どの期間なら、どの範囲を見込むのか」が書面でつながっているかを見ます。高い査定にも合理的な理由があれば候補になります。理由が未提示なら、直ちに虚偽と決めつけず「回答待ち」に置きます。
相場感を確かめる補助資料として、国土交通省の不動産情報ライブラリ(新しいタブで開きます)で周辺の取引価格情報を確認できます。ただし、個々の物件は接道、階数、管理状態、修繕、権利関係等が異なります。近隣事例を一件見つけただけで、自宅の成約価格を確定しないでください。
机上査定の段階で会社を絞っている場合は、机上査定と訪問査定の違いも確認し、売出条件を決める前に現地確認が必要かを判断します。
「実績」は会社全体でなく、対象範囲を聞く
「年間取扱件数が多い」「地域No.1」といった会社全体の表示だけでは、今回の店舗・担当チームが、同じ地域の同種物件を扱った経験までは分かりません。
実績を聞くときは、範囲をそろえます。
| 聞く項目 | 確認したい範囲 |
|---|---|
| 地域 | 同一市区町村、沿線、商圏のどこまでか |
| 物件種別 | 土地、戸建て、区分マンション、収益物件等 |
| 条件 | 築年、広さ、空き家、賃貸中、共有等 |
| 期間 | 直近何年間の経験か |
| 担当主体 | 会社全体、店舗、チーム、担当者のどれか |
| 役割 | 売主側の仲介か、買主側か、両方か |
成約事例を求めるときは、個人が特定できる資料や非公開情報まで要求しません。匿名化した概要、公開可能な販売事例、事例から今回の計画へ反映した点を聞けば十分です。
担当者個人の件数が少なくても、経験者が同席し、チームで査定・契約・引渡しを支える仕組みが確認できれば候補に残せます。反対に、会社全体の件数が多くても、担当店舗の説明がないなら「会社実績のみ確認、店舗実績は未回答」と分けます。
販売計画は「どこに載せるか」だけでなく、見直しまで聞く
広告媒体の数だけを競わせても、物件に合う買主へ届くとは限りません。次の順番で計画を確認します。
1. 誰を買主候補と考えているか
自宅用、建替え前提、投資用、近隣の住み替え等、想定する買主像と理由を聞きます。売主の希望と、物件の法令・現況に合っているかを見ます。
2. 何を、いつ、どこで公開するか
写真、間取り、物件説明、修繕履歴、周辺情報等をどの順で整え、どの媒体へ掲載するかを確認します。居住中なら、室内写真や所在地の見せ方、内覧時間も先に合意します。
3. 他社からの購入相談をどう受けるか
自社の見込み客だけでなく、指定流通機構のシステムであるレインズ等を通じ、他の不動産会社が買主候補を紹介できる状態をどう作るか聞きます。
4. 反応を何で判断し、次に何を変えるか
閲覧、問い合わせ、内覧、内覧後の意見、購入申込みを区別して報告してもらいます。最初から全国一律の「30日で値下げ」などを当てはめず、担当者が提案する初回確認日と、その日に何を見て価格・写真・説明・条件を見直すのかを書面にします。
価格変更だけが改善策ではありません。写真、図面、説明、内覧可能日、引渡条件、修繕情報の不足が反応を弱めていないかを先に確認します。
費用は「無料です」ではなく、含む範囲と発生条件を見る
仲介手数料は、法令上の上限以内で依頼者と会社が合意する報酬です。国土交通省も、媒介契約を結ぶ前に上限額と合意額を確認するよう案内(新しいタブで開きます)しています。候補各社に、税込の合意予定額、支払時期、手数料に含まれる業務を提示してもらいます。
あわせて、次の提案が仲介手数料に含まれるのか、別料金か、第三者との直接契約か、成約しなくても費用が出るのかを確認します。
- 測量、境界確認、登記、建物状況調査
- 家財撤去、清掃、修繕、解体
- 写真撮影、ホームステージング、追加広告
- 住宅設備の保証、建物・設備の検査
- 遠方立会い、鍵管理、空き家管理
必要なサービスを有料で頼むこと自体が悪いわけではありません。「誰に、いくら、いつ、どの条件で支払うか」が分かる見積りにします。業者を紹介された場合も、利用が必須か、自分で相見積りを取れるかを聞きます。
査定額が高くても、売主負担や残債を引いた手取りが希望に届かないことがあります。候補ごとの成約価格帯と費用を受け取ったら、不動産売却の費用と手取りの計算表へ入れ直してください。
担当者は印象ではなく、回答行動と引継ぎで見る
話しやすさは大切ですが、それだけでは長い売却活動を支えられるか判断できません。初回から契約前までの行動を記録します。
- 売却理由、期限、価格、広告上の制約を正しく復唱したか
- 分からない質問を推測で答えず、確認先と回答日を示したか
- 高い査定や便利なサービスだけでなく、弱点と条件も説明したか
- 口頭で変わった条件をメールや提案書へ反映したか
- 税、登記、境界、建物状態等を必要な専門家へつなぐか
- 休み・不在・異動時に、誰が情報を引き継ぐか
- 売却活動の報告方法と緊急時の連絡方法が具体的か
担当者が宅地建物取引士かどうかを確認しても、それだけで担当力を決めません。重要なのは、資格が必要な説明・手続を誰が担当するかが明確で、主担当が自分の権限外・専門外のことを曖昧に断定しないことです。
回答が遅い場合も、即座に不誠実と決めつけるのではなく、約束した回答日、遅れる連絡、代替担当の有無を見ます。遅延よりも、期限を示さず放置することや、回答が毎回変わることを区別してください。
大手か地元密着かは、看板でなく今回使える証拠で決める
大手と地域密着会社のどちらが常に優れる、という結論はありません。期待する強みを、今回の担当店舗が本当に提供できるかに変換します。
| 期待する強み | 見せてもらう証拠 |
|---|---|
| 広い広告網 | 実際の掲載先、開始時期、作成物、他店舗との連携方法 |
| 地域情報 | 類似物件の根拠、買主像、地域特有の論点、店舗の担当範囲 |
| 多様なサービス | 利用条件、料金、除外条件、提供者、契約終了後の扱い |
| 担当体制 | 主担当、責任者、契約担当、休日時の窓口、情報共有方法 |
全国展開していても担当店舗によって地域経験は変わります。地元で長く営業していても、今回の物件種別や価格帯に合うとは限りません。ブランドではなく、会社別カードの未回答が少なく、提案の因果関係が確認できる方を第一候補にします。
口コミは、担当者名、時期、物件種別、売主・買主のどちらの体験かが不明なことがあります。候補を見つける補助には使えても、口コミ点数だけで契約相手を決めません。具体的な懸念が書かれていたら、その論点を候補各社への共通質問へ変えます。
契約前に、媒介契約・レインズ・報告方法を読む
仲介を依頼する媒介契約には、一般媒介、専任媒介、専属専任媒介があります。本記事では種類を選び切らず、候補会社が提案する種類と理由を聞き、次を契約案へ記入してもらいます。
| 契約前の確認欄 | 会社の回答 |
|---|---|
| 提案する種類と理由 | (記入) |
| 他社への依頼・自分で見つけた相手との取引 | (記入) |
| 有効期間・更新 | (記入) |
| 解除・違約金・費用 | (記入) |
| レインズ登録期限・登録証明書 | (記入) |
| 業務報告の頻度・内容 | (記入) |
法定条件の説明が正しいかを見る最低限の基準として、専任媒介と専属専任媒介の有効期間は3か月以内です。専任媒介は媒介契約締結日の翌日から会社の休業日を数えず7日以内にレインズへ登録し、少なくとも2週間に1回報告します。専属専任媒介は同じく5日以内に登録し、少なくとも1週間に1回報告します。更新は有効期間満了の都度、売主からの申出と会社の同意が必要です。あらかじめ自動更新を約定することはできず、更新後の期間も3か月以内です。国土交通省の標準媒介契約約款(新しいタブで開きます)と説明が食い違う場合は、契約前に理由と修正内容を確認します。3種類をどの条件で選ぶかは別記事で詳しく扱います。
標準媒介契約約款に基づく契約か、異なる条項があるかも聞きます。標準と異なる契約が直ちに違法という意味ではありません。違う部分、売主に不利になり得る条件、費用・解除・違約金等を、署名前に説明してもらうための確認です。
専任系の契約では、レインズへ登録したことを示す登録証明書を受け取ります。2025年1月以降、売主は登録証明書のQRコード等から専用画面へ入り、公開中、書面による購入申込みあり、売主都合で一時紹介停止中といった取引状況を確認できる仕組みがあります。制度変更は国土交通省の発表(新しいタブで開きます)、操作と表示は売主向けリーフレット(新しいタブで開きます)で確認できます。
契約前に、次の流れを担当者自身の言葉で説明してもらいます。
- いつレインズへ登録するか
- 登録証明書をいつ、どう渡すか
- 売主専用画面をどう確認するか
- 取引状況を変更する場面と売主への説明方法
- 他社からの問い合わせと内覧希望をどう記録するか
- 書面による購入申込みをいつ、どう報告するか
国土交通省の解釈・運用の考え方(新しいタブで開きます)では、書面による購入申込みは、売主の希望条件を下回る場合等も含め、遅滞なく、その都度、依頼者へ報告する考え方が示されています。「希望額に届かない申込みは担当者の判断で知らせない」という説明なら、契約前に修正を求めます。
いわゆる「囲い込み」を心配する場合も、両手仲介そのものと、他社からの紹介を不当に妨げる行為を同じものとして扱いません。売主専用画面の表示と説明が食い違ったときは、意図を決めつける前に、理由、変更日時、根拠、訂正予定を書面で求めます。2025年の機能強化があるから問題が起こり得ない、とも考えません。
そのまま送れる10の質問
各社へ同じ文面を送り、回答の比較可能性を上げます。物件情報は共通条件シートを添付してください。
- 査定価格帯、推奨売出価格、想定成約価格帯を分け、その根拠事例と調整点をご提示ください。
- 想定する買主像、販売開始までの作業、主な掲載先をご説明ください。
- 初回の販売状況確認日はいつで、何を見て価格・写真・説明・条件を見直しますか。
- 今回の地域・物件種別に近い経験を、会社・店舗・担当者の範囲と対象期間が分かる形で教えてください。
- 仲介手数料の税込予定額、支払時期、含まれる業務、別料金・第三者契約・成約しない場合にも発生する費用をご提示ください。
- 今回の物件について、契約前に確認すべき境界、建物状態、設備、管理、相続・共有等の問題と、確認する人・期限を教えてください。
- 主担当と代替担当の役割、主担当が不在の場合の窓口、情報の引継ぎ方法を教えてください。
- 提案する媒介契約の種類、その理由、有効期間、更新、解除、違約金等をご説明ください。
- レインズ登録、登録証明書、売主専用画面、他社からの問い合わせ、購入申込みの報告手順を教えてください。
- 媒介契約案と費用資料を、署名前に持ち帰って確認できますか。
「はい・いいえ」だけで終わらないよう、資料名、実施日、担当者、条件を含めた回答を依頼します。電話で回答を受けたら、その日のうちに「本日の理解は次のとおりです」とメールを送り、訂正があるか聞きます。
会社ごとに一枚の比較カードを作る
横長の比較表へ3社分を詰め込むと、スマートフォンで読みにくく、未回答も見落とします。会社ごとに同じカードを複製します。
```text 【会社別比較カード】 会社・店舗: 主担当/代替担当: 回答日:
Q1 査定3価格・根拠事例・調整点 回答要約: 根拠資料・約束日: 状態[書面確認済み/口頭のみ/未回答/矛盾]
Q2 買主像・販売開始作業・掲載先 回答要約: 根拠資料・約束日: 状態[書面確認済み/口頭のみ/未回答/矛盾]
Q3 初回確認日・見直す指標と条件 回答要約: 根拠資料・約束日: 状態[書面確認済み/口頭のみ/未回答/矛盾]
Q4 類似経験の地域・種別・期間・担当範囲 回答要約: 根拠資料・約束日: 状態[書面確認済み/口頭のみ/未回答/矛盾]
Q5 仲介手数料・追加費用・不成立時の費用 回答要約: 根拠資料・約束日: 状態[書面確認済み/口頭のみ/未回答/矛盾]
Q6 物件固有の問題・確認者・期限 回答要約: 根拠資料・約束日: 状態[書面確認済み/口頭のみ/未回答/矛盾]
Q7 主担当・代替担当・引継ぎ 回答要約: 根拠資料・約束日: 状態[書面確認済み/口頭のみ/未回答/矛盾]
Q8 媒介契約の種類・期間・更新・解除等 回答要約: 根拠資料・約束日: 状態[書面確認済み/口頭のみ/未回答/矛盾]
Q9 レインズ・他社紹介・申込み報告 回答要約: 根拠資料・約束日: 状態[書面確認済み/口頭のみ/未回答/矛盾]
Q10 契約案・費用資料を持ち帰れるか 回答要約: 根拠資料・約束日: 状態[書面確認済み/口頭のみ/未回答/矛盾]
未確認事項: 回答する人: 回答期限: 確認できなければどうするか: ```
「口頭のみ」は不合格ではありません。金額、契約条件、販売計画等、判断に必要な内容を、署名前に書面へ移してもらうための状態です。「矛盾」は、口頭と契約案、査定書とメール、担当者と責任者の説明が一致しない状態として、解消するまで残します。
質問を送る際は、各社へ回答可能日も記入してもらいます。約束日を過ぎたら一度確認し、新しい回答日も示されない項目は「未回答」のまま比べます。査定根拠、費用、契約、レインズ・報告の必須項目が未回答なら、急いで第一候補にしません。
署名を保留して回答を待つ条件
次に当てはまる場合は、会社を即座に断罪するのではなく、署名を止め、正しい契約主体や修正後の書面を待ちます。解消しなければ候補から外します。
- 名刺・見積書・契約案と公式検索で、商号、所在地、免許等が一致しない
- 査定価格の合理的な根拠を求めても説明しない
- 査定額を「必ずこの金額で売れる」と保証する
- 媒介契約の種類、有効期間、更新、解除、費用の説明を拒む
- 専任媒介・専属専任媒介で3か月を超える期間、またはあらかじめ自動更新する条項があり、質問後も削除・修正されない
- 専任系なのにレインズ登録、登録証明書、法定の業務報告は行わないと説明される
- 既知の不具合や権利上の問題を買主へ隠すよう勧められる
- 内容が未記入の書面、読めない添付、後で差し替える書面への署名を求められる
- 書面による購入申込みを担当者の判断だけで売主へ知らせないと説明される
一方、査定が高いが根拠資料が未着、広告計画が抽象的、担当者の実績範囲が不明、追加サービスの無料条件が曖昧、代替担当が未定、といった状態は、まず「回答待ち」です。回答期限を決め、資料が届いた後に評価します。
第一候補は、必須条件と自分の優先条件で決める
点数を合計すると、重大な未回答を別項目の高評価で打ち消してしまいます。次の順番で選びます。
- 停止条件が一つでも未解決の会社は「保留」にする
- Q1の査定根拠、Q2・Q3の販売計画、Q5の費用、Q8・Q9の契約・報告が書面でつながる会社だけを第一候補の対象にする
- 比較前に、自分が譲れない条件を最大3つ決める
- その3条件について、今回の物件に即した根拠・担当者・期限が最も明確な候補を選ぶ
- 同程度なら無理に決めず、差が出る一つの追加質問へ回答を求める
譲れない条件の例は、手取り下限を守る価格計画、引渡期限、居住中の内覧負担、広告で伏せたい情報、境界・相続等の問題解決、連絡・引継ぎ体制です。候補各社の回答を見る前に優先条件を書けば、後から高い査定額に引かれて基準を変えるのを防げます。
最終的には、契約保留条件がなく、査定根拠・販売計画・費用・報告体制が書面でつながり、残る弱点を自分が受け入れられる候補を第一候補にします。
追加質問は「どちらが熱心ですか」ではなく、例えば「希望期限までに問い合わせが0件なら、何をどの資料から見直しますか」のように、二社の提案差が出る内容にします。
最終決定シート:第一候補と「まだ署名しない理由」を残す
カードが埋まったら、点数の合計ではなく、次の一枚で決めます。
```text 【最終決定シート】 第一候補:会社/店舗/担当者
選んだ理由1: 根拠資料:
選んだ理由2: 根拠資料:
選んだ理由3: 根拠資料:
提案の弱点:
未確認事項: 回答者/期限: 未解決なら候補を変える条件:
媒介契約案を受け取った日: 提案された媒介契約の種類/理由: 契約期間: レインズ登録予定日/証明書の受領方法: 業務報告の頻度/内容: 追加費用が発生する条件: 解除/違約金: 標準約款との違いを確認した日: 費用・解除・違約金を確認した日: 家族・共有者と読む日:
署名してよい条件: まだ署名しない理由: 判断[署名する/回答待ち/別候補へ]: 判断日: ```
第一候補の理由は「有名だから」ではなく、例えば「査定の事例と調整点が書面でつながる」「初回確認日と改善手順が明記された」「費用と外部サービスの条件が見積りで分かれた」のように、後から検証できる形にします。
候補が決まっても、その場で署名する必要はありません。契約案を持ち帰り、共通条件と提案内容が反映されているか、空欄がないか、費用・期間・解除・違約金を読んでから判断します。
よくある質問
何社へ査定を依頼すればよいですか
全国一律の正解はありません。目的は社数を増やすことではなく、査定根拠と販売計画の差を見つけ、自分が回答を管理できる範囲で比較することです。一社だけで判断材料が足りないなら候補を増やし、同じ説明が重なって管理できないなら絞ります。電話対応が不安な場合は、先に不動産査定の電話対策で連絡条件を文章にしてください。
査定額が一番高い会社は避けるべきですか
高いことだけで除外する必要はありません。成約事例、物件差の調整、想定期間、売出価格との関係、見直し条件まで根拠がつながれば候補に残せます。根拠がないまま「契約後に考える」と言われたら回答待ちにします。
大手と地元の不動産会社を一社ずつ残すべきですか
必須ではありません。会社規模をそろえるより、対象地域・物件種別への提案が異なる候補を比べる方が判断材料になります。各社の店舗・担当者・提案書を同じカードで確認してください。
口コミが悪い会社は候補から外すべきですか
口コミの対象店舗、担当者、時期、取引上の立場が今回と一致するか確認できない場合があります。重大な懸念は共通質問へ変え、公式情報、契約案、担当者の回答と合わせて判断します。口コミ点数だけで安全性や結果を断定しません。
行政処分の検索結果がなければ安心ですか
絶対安全の証明にはなりません。検索の対象期間・行政庁等に範囲があるためです。免許・行政情報の確認は入口とし、今回の査定根拠、費用、契約、販売計画、回答行動を別に見ます。
契約後に担当者や会社を変えられますか
媒介契約の種類、契約期間、解除条項、既に使われた費用、売主側の事情等で確認事項が変わります。契約前の段階では、変更方法を当てにするより、契約案の解除・費用・担当変更の手順を先に読み、質問記録を残してください。
次にすること
今日から行う作業は、次の7段階です。
- 共通条件シートと10問を候補各社へ送る
- 各社から回答可能日を受け取る
- 回答を同じ番号の会社別カードへ転記する
- 停止条件と必須項目を確認する
- 先に決めた優先条件で第一候補を選ぶ
- 媒介契約案へ回答内容が反映されたか照合する
- 「署名する・回答待ち・別候補へ」のどれかを最終シートへ記入する
次の条件がそろうまで署名しません。
- 契約主体と免許が一致している
- 査定根拠と想定成約価格帯を説明できる
- 販売開始から初回見直しまでの計画がある
- 仲介手数料と追加費用の条件が分かる
- 媒介契約・レインズ・報告方法を理解した
- 第一候補の弱点と未確認事項が書面に残っている
この状態まで進めば、会社選びは「雰囲気で一社を選ぶ作業」から、契約案を読む相手を根拠で選ぶ作業に変わります。仲介ではなく直接買取も並行して検討している場合は、価格の意味を混ぜず、空き家の仲介と買取の違いで引渡条件と手取りをそろえて比較してください。