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遠方の実家を売却するとき、まず気になるのは「何回、現地へ行くことになるのか」ではないでしょうか。減らせるのは本人の移動であって、建物や書類の確認そのものではありません。誰が決め、誰が現地で動き、誰が手続きをするかを分けると、本人が行くべき場面はかなり絞れます。
遠方の実家の売却で、本人が現地へ行く場面は?
ここでは、実家を相続して売る人を「本人」と呼びます。売却の多くの工程は、鍵を預けたり書類を郵送したりして、人に任せられます。ただし、どこまで遠方で進められるかは一律ではありません。買主が借りる金融機関の条件や、担当の司法書士(登記の専門家)の確認の方法によって変わるからです。
| 工程 | 遠方から進める方法 | 本人が出向く可能性がある場面 |
|---|---|---|
| 査定 | 書類だけの査定、鍵を預けての訪問査定 | 立会いを求められたとき |
| 空き家の管理 | 親族や管理会社に任せ、写真で報告を受ける | 建物に危険の疑いがあるとき |
| 片付け | 探す物と処分の範囲を書面で業者に伝える | 形見や書類を自分で選びたいとき |
| 売買契約 | 契約書の郵送、双方が合意すれば電子契約 | 相手が対面の契約を望むとき |
| 決済・引渡し | 事前の本人確認と、着金の電話連絡 | 金融機関が本人の同席を求めるとき |
| 境界の確認 | 土地家屋調査士や代理人への委任 | 本人の立会いを求められたとき |
表の右の列は「そうなる場合がある」という意味で、毎回そうなるわけではありません。反対に、一度も行かないと決めてかかると、建物の状態や家財、境界(隣の土地との境目)の確認が抜けやすくなります。行く回数を減らすことと、確認を省くことは、分けて考えましょう。売却の全体の手順は、相続した家を売る流れの記事で確かめられます。
売り出す前に確かめる4つのこと
次の4つのうち1つでも分からないと、準備を進めても途中で止まることがあります。不動産会社や司法書士に相談する前に、分かる範囲で書き出しておくと話が早く進みます。
| 確かめること | 見るもの | 分からないとき |
|---|---|---|
| 名義 | 登記事項証明書 | 法務局で証明書を取る |
| 売る意思 | 共有者やほかの相続人の意向 | 家族で話し合う |
| 鍵 | 本数と、いま誰が持っているか | 親族や近所の人に聞く |
| 建物の安全 | 異臭・漏水・傾きなどの有無 | 中に入らず、事業者や自治体に相談する |
名義は、相続した人に移っているか
亡くなった親の名義のままでは、実家を買主に売り渡せません。売るには、先に相続人の名義に変える登記(相続登記)が要ります。
相続登記は、2024年(令和6年)4月1日から義務になりました(出典:法務省 相続人申告登記。参照資料の一覧へ移ります)。相続で取得したと知った日から3年以内に申請が必要で、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料(行政上の罰)の対象です(出典:不動産登記法。参照資料の一覧へ移ります)。2024年4月1日より前に相続した場合は、期限の数え方が変わることがあるため、法務局で確かめてください。
話し合いがまとまらないときは、相続人申告登記(自分が相続人だと届け出る手続き)で申請の義務を果たせます。ただし、売却するときは、これだけでは足りない場合があります。買主へ売り渡す前に、話し合いや遺言で決まった人への名義変更か、法律で決まった割合での共有の登記を済ませます。手順は、司法書士や法務局に確かめてください。
売ることに、全員が同意しているか
兄弟姉妹などで共有している家は、家全体を売るときは、共有者全員の同意を前提に進めるのが一般的です。共有物を変えるときに、ほかの共有者の同意が要ることは、民法にも定められています(出典:民法第251条。参照資料の一覧へ移ります)。一方で、自分の持分(共有の割合)についてなら、査定や売却の相談を始められます(出典:法務省 不動産に関するルールの改正。参照資料の一覧へ移ります)。
家全体の売却を不動産会社に頼む前には、共有者全員の合意があるかを確かめます。共有者が全員そろって依頼できないときもあります。その場合は、依頼する人がほかの共有者から正式な代理権(代わりに契約する権限)を受けているかを確かめてください。必要な書類は、不動産会社や司法書士に相談しましょう。
共有の家の売り方は、共有名義の実家を売る記事にまとめています。
相続人の中に、認知症などで判断する力に不安がある人がいることもあります。その場合は、売却の前に別の手続きが要ることがあるため、下の「詳しく」も確かめてください。
鍵と建物は、安全に扱えるか
鍵が何本あり、誰が持っているかが分からないと、査定も内覧も始められません。親族や近所の人、以前に管理を頼んでいた会社などに聞き、所在を1本ずつ書き出します。
異臭、漏電や水漏れ、傾きや倒壊の疑いがあれば、中に入るのも設備に触るのもやめてください。電気・水道・ガスは関係する事業者に、建物の傾きなどは自治体や建築の専門家に相談します。写真を撮る、貴重品を探すといった作業は、安全が確かめられた範囲で行うものです。
詳しく:成年後見人がついている相続人がいるとき
詳しい説明を開く
成年後見人は、判断する力が十分でない人に代わって、財産を管理する人です。売る家が、後見を受けている人の住まいにあたる場合があります。そのときは、家庭裁判所の許可がなければ売れません(出典:裁判所 居住用不動産処分許可。参照資料の一覧へ移ります)。
後見を受けている人が施設や病院に移り、家が空いていても、住まいにあたるとされる場合があります。許可までにかかる期間も含めて、後見人や家庭裁判所に確かめてください。判断する力に不安がある相続人がいるときの進め方は、相続人が認知症のときの記事で説明しています。
本人・現地対応者・専門家の担当表をつくる
遠方からの売却では、作業を3つの役に分けて考えます。1人が2つの役を兼ねてもかまいません。大切なのは、役ごとに「どこまで任せるか」をはっきりさせておくことです。
| 役 | 受け持つこと | 担い手の例 |
|---|---|---|
| 本人 | 売るかどうか、価格、条件を決める | 実家を相続した人 |
| 現地対応者 | 鍵の管理、現地の確認、写真での報告 | 近くに住む親族、空き家の管理会社 |
| 専門家 | 仲介、登記、測量などの手続き | 不動産会社、司法書士、土地家屋調査士 |
担当表には、作業ごとに「誰が」「どこまで」「何を報告するか」「いつまでに」を1行で書きます。値下げや修繕の発注など、本人の事前の承認が要る判断も書き添えます。たとえば、次のように書き始められます(想定の例)。
| 作業 | 担当 | 任せる範囲 | 任せないこと | 受け取る報告 | いつまで |
|---|---|---|---|---|---|
| 鍵の保管 | 近くに住む弟 | 鍵1本の保管と受け渡し | 合鍵を作ること | 受け渡しのたびの連絡 | 引渡しまで |
| 訪問査定 | 不動産会社A | 鍵を借りて室内を見る | 売り出す価格の決定 | 写真つきの査定書 | 依頼から2週間 |
| 片付け | 片付け業者B | 1階の不用品の搬出 | 書類や写真の処分 | 作業の前と後の写真 | 引渡しの前 |
| 修繕の手配 | 管理会社C | 見積もりを取る | 本人の承認なしの発注 | 見積書と傷みの写真 | 依頼から1週間 |
この例は、書き方を示すためのものです。全国共通の決まりではありません。媒介契約(不動産会社に売却を頼む契約)や管理の依頼の内容、共有者の有無に合わせて変えてください。
担当表は、遠方の実家売却・役割分担整理シートでも作れます。入力した内容は保存も送信もされず、登録不要の空欄PDFもあります。
空き家の管理と鍵は、何を決めて任せる?
売り出してから引き渡すまで、実家は空き家のまま管理が要ります。換気や通水など、家の状態に応じた管理が必要です(出典:国土交通省 空き家の管理。参照資料の一覧へ移ります)。管理が行き届かないと、査定の価格や内覧の印象にも響きかねません。
管理が不十分な空き家として、自治体から改善の勧告を受けることがあります。そうなると、固定資産税の住宅用地特例(土地の税を軽くする仕組み)の対象から外れます(出典:国土交通省 空き家管理受託ガイドライン。参照資料の一覧へ移ります)。売り出している間も、点検と必要な手入れを誰が受け持つか決めておきましょう。
電気・水道・ガスと郵便物
電気・水道・ガスは、内覧や点検の予定に合わせて、続けるか止めるかを決めます。電気を使い続けるなら、先に漏電のおそれがないことを確かめておきます。
| 項目 | 決めること |
|---|---|
| 電気 | 内覧の照明や換気扇に使うか。使わないならブレーカーを落とすか |
| 水道 | 点検で水を流し続けるか。元栓を閉めて水を抜くか。寒い地域は凍結に注意 |
| ガス | 使う予定がなければ、閉栓や契約の解除を検討する |
| 庭木・雑草 | 隣へのはみ出しや虫を防ぐため、草刈りや剪定を誰に頼むか |
亡くなった親宛ての郵便物は、家族へ転送できません(出典:日本郵便 転送のFAQ。参照資料の一覧へ移ります)。届いた郵便物の扱いは、郵便局や差出人に相談します。
鍵を預けるときに決めること
鍵の扱いは、無断の立ち入りや紛失につながりやすい部分です。不動産会社や管理会社に預けるときは、次のことを書面で決めておきます。
- 預ける相手と、送り先の住所・担当者
- 鍵の本数と、受け取ったことの記録
- なくしたときの連絡先と対応
- 頼む作業の範囲(見回り、換気、通水など)
管理作業の範囲や責任、報告の方法は、管理の契約で決めます(出典:国土交通省 空き家管理受託ガイドライン。参照資料の一覧へ移ります)。鍵の保管と、なくしたときの対応も、個別に書面へ加えておきましょう。預け先が複数あるなら、誰が何本持っているかを担当表に書いておきます。
たとえば、暗証番号つきのキーボックスを玄関に掛け、番号を何社にもメールで送った場合を考えます(想定の例)。住所と番号が一緒に外へ漏れれば、誰でも家に入れる状態になってしまいます。物件の情報と暗証番号は、別々の経路で伝えるようにしましょう。
入った記録と写真を残してもらう
法律で決まった義務ではありませんが、預け先とは、家に入るたびに記録を残す取り決めをしておくとよいでしょう。あとから誰がいつ入ったかをたどれます。記録してもらう項目の例は、次のとおりです。
- 入った日時と出た時刻(例:9月10日の14時〜15時)
- 入った人の名前と会社(例:A不動産の担当者と、内覧の希望者1名)
- 入った目的(内覧の立会い、設備の点検、修繕の見積もりなど)
- 出るときの確認(窓と玄関の施錠、水道の元栓、写真の送付)
この項目は一例で、全国一律のものではありません。依頼の内容や家の状態に合わせて決めてください。
鍵を郵送するときは、普通郵便ではなく、追跡や受け取りの記録が残る方法を選びます。簡易書留やレターパックプラスなどがあります(出典:日本郵便 レターパック。参照資料の一覧へ移ります)。補償の範囲や扱いの条件は、送る前に確かめておいてください。
家財の片付けと貴重品探しは、どう頼む?
室内に残った家具や日用品を、どこまで片付けるかは、買主との約束で変わります。今の状態のまま引き渡すのか、建物を壊して土地で渡すのかで、要る作業が違うからです。すべての部屋を空にしなければならないとは限りません。
片付けを頼む前に、探してほしい物を書き出して、業者に書面で渡します。
- 権利証(登記済証、または登記識別情報通知)
- 建築確認済証、検査済証、図面、境界の確認書
- 亡くなった親の実印、通帳、保険証券、確定申告の控え
- 貴金属や美術品など、お金に換えられる物
- 写真のアルバム、手紙、親族の連絡先
作業は、次の順で進めてもらう方法があります。誤って捨てられるのを防ぐための一例で、支払いの時期などは業者との契約で決めます。
- 作業の前に、各部屋の全体の写真を送ってもらう
- 残す物、処分する物、迷う物の扱いを、契約書や仕様書に書いておく
- 迷う物が出たら捨てずに写真を送ってもらい、本人の返事を待ってもらう
- 作業後の写真で、約束した範囲が片付いたことを確かめる
査定と不動産会社選びは、遠方からどう進める?
査定には、書類やデータで出す机上査定と、担当者が家を見る訪問査定があります。机上査定は、登記の情報、築年数、土地の広さ、近くの取引の例などから、おおよその価格を出すものです。遠方からは、まず複数の会社に机上査定を頼み、相場と各社の対応を比べると進めやすくなります。
訪問査定を、本人が立ち会わずに頼めるかどうかは、依頼先に確かめます。鍵の預け方を決めて担当者に渡し、担当者だけで家を見てもらう方法があります。水回り、床の傾き、外壁のひび割れ、境界の目印の有無は、写真つきで報告してもらいましょう。
ただし、訪問査定は、売れそうな価格を出すための確認です。建物の専門的な調査(建物状況調査)や、境界を確定させる測量の代わりにはなりません。2つの査定の違いは、机上査定と訪問査定の違いの記事で説明しています。
遠方の売主への対応を比べる
不動産会社を比べるときは、会社の大きさより、遠方にいる売主への対応を確かめます。
- メールやオンライン会議で、決まった間隔で連絡をくれるか
- 内覧のたびに担当者が現地で鍵を開け、終わったら施錠と換気をするか
- 内覧した人の反応を、文章で報告してくれるか
- 契約の書類を電子で受け取れるか
会社の選び方は、不動産会社の選び方の記事で確かめられます。
報告の決まりがある媒介契約を選ぶ
媒介契約には、専任媒介、専属専任媒介、一般媒介の3種類があります(出典:国土交通省 標準媒介契約約款。参照資料の一覧へ移ります)。遠方にいると販売の様子が見えにくいため、報告の決まりがある専任系の契約が候補になります。
| 種類 | 不動産会社からの報告 |
|---|---|
| 専任媒介 | 2週間に1回以上 |
| 専属専任媒介 | 1週間に1回以上 |
| 一般媒介 | 一律の決まりはない。特約で決めれば、その内容による |
専任系の契約では、レインズ(不動産会社どうしが物件の情報を共有する仕組み)に登録する期限も決まっています。日数と数え方は、結ぶ契約書で確かめてください。媒介契約書を電子で受け取れるかは、会社の仕組みによって違います。
売買契約は郵送やオンラインで結べる?
買主が見つかったあとも、現地へ行かずに契約まで進める方法があります。重要事項説明のオンライン化(IT重説)と、書面の電子化は、別の手続きです(出典:国土交通省 ITを活用した重要事項説明。参照資料の一覧へ移ります)。契約書そのものの扱いには、電子契約と持ち回り契約もあります。あわせて、次の4つに分けて考えます。
- IT重説:重要事項説明を、テレビ会議などで行う
- 書面の電子交付:重要事項説明書や契約の書面を、電子データで渡す
- 電子契約:売買契約書そのものに、電子署名などで合意する
- 持ち回り契約:紙の契約書を郵送などで回し、順に署名と押印をする
重要事項説明は、宅地建物取引士が買主に、物件や取引の条件を説明する手続きです。本人もオンラインで同席すれば、説明の内容をその場で確かめられます。書面を電子で受け取るには、相手の事前の承諾と、書面を見たり印刷したりできる環境が要ります。電子契約は、買主と本人の双方が合意し、使うサービスが対応していれば選べます。
持ち回り契約の進め方
持ち回り契約は、本人と買主が同じ場所に集まらず、紙の契約書を郵送などで回して結ぶ方法です。進め方の一例は、次のとおりです。実際の手順は、不動産会社によって違います。
- 不動産会社が契約書と重要事項説明書を作り、本人に送る
- 本人が内容を確かめて署名・押印し、不動産会社に返す
- 買主が重要事項説明を受けてから、契約書に署名・押印する
- 買主が手付金を、本人の口座に振り込む
- 本人が着金を確かめ、前もって決めた契約の成立時点や効力が生じる時点になったことを、不動産会社と確認し合う
- 不動産会社が、本人と買主に契約書を渡す
気をつけたいのは、契約がいつ成立したことにするかです。契約は、申込みに相手方が承諾をしたときに成立し、手付金の受け渡しは成立の条件ではない、というのが民法の基本の考え方です(出典:消費者庁 民法第522条。参照資料の一覧へ移ります)。郵送で進めると、手付金が振り込まれる前に、書類だけが相手に渡ってしまうおそれがあります。
そこで、契約が成立する時点や効力が生じる時点と、手付金の着金の確かめ方を、前もって不動産会社と決めておきましょう。特約の書き方やその効果は、取引ごとに違います。不安があるときは、不動産会社や弁護士に確認してください。
詳しく:代理人に渡す委任状に書くこと
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近くに住む親族などに契約を任せるときは、民法の代理の決まりが関わります(出典:民法第99条。参照資料の一覧へ移ります)。何でも任せる白紙の委任状は渡さず、任せる中身を具体的に書きましょう。
- 代理人の氏名と住所、本人との続柄
- 物件の所在、地番、家屋番号
- いくら以上なら売ってよいか
- 手付金の額と、代金は本人名義の口座で受け取ること
- 任せる範囲(契約だけか、引渡しや登記の手続きまでか)と有効期限
実印の押印や印鑑証明書を求められる場合もあります。書式は、不動産会社や司法書士に確かめてください。
決済と引渡しを遠方で済ませる条件
決済は、買主が残りの代金を払い、名義を移す登記を申請して、鍵を渡す日です(出典:不動産適正取引推進機構 不動産売買の手引。参照資料の一覧へ移ります)。本人がその場にいなくても進められることはありますが、次の確認が前提になります。
- 登記を頼む司法書士が、本人と売る意思を前もって確かめている
- 買主が借りる金融機関が、売主のいない決済を受け入れている
司法書士による本人確認
登記を頼まれた司法書士は、依頼した人が本人であることや、売る意思を確かめるのが一般的です。日本司法書士会連合会も、不動産取引の本人確認についての案内を出しています(出典:日本司法書士会連合会。参照資料の一覧へ移ります)。確かめ方に、遠方の取引向けの統一されたやり方があるわけではありません。
事前に会うのか、どこで会うのか、本人確認書類をどう見せるのかは、事務所や金融機関によって違います。早めに担当の司法書士に聞いておきましょう。
前もって用意するものの例は、次のとおりです。書類は、司法書士の指示によって変わります。
- 運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類
- 登記原因証明情報(売買があったことを示す書類)
- 司法書士に登記の申請を頼む委任状
- 印鑑証明書
- 登記識別情報通知、または権利証
登記の申請で使う印鑑証明書は、作成後3か月以内のものが必要です(出典:不動産登記令 第16条。参照資料の一覧へ移ります)。書類への署名や押印のしかたは、司法書士の指示に従います。売却に使う書類の全体は、相続した家を売るときの必要書類の記事で確かめられます。
相続人が海外に住んでいて印鑑証明書を取れないときは、海外在住の相続人がいる不動産売却の記事で確かめられます。
決済の当日の流れ
本人が遠方にいるときの進め方の一例です。司法書士や不動産会社は、決済の場所に集まっている前提です。実際の流れは、司法書士・金融機関・不動産会社に確かめてください。
- 司法書士が、前もって預かった書類に不備がないことを確かめる
- 買主の金融機関から、本人の口座に残りの代金が振り込まれる
- 本人がネットバンキングなどで着金を確かめ、現地の司法書士や不動産会社に電話で伝える
- 司法書士が法務局に登記を申請し、不動産会社が買主に鍵を渡す
本人が出向くよう求められる場合
次のような場合は、面談や決済の場への出席を求められることがあります。
- 買主の金融機関が、決済の場に売主の同席を求めている
- 権利証(登記識別情報)をなくしている
- 境界の目印がなく、測量で本人の立会いを求められる
権利証がないときは、司法書士が本人確認の書類を作る方法や、法務局から本人に通知が届く方法があります(出典:不動産登記法 第23条。参照資料の一覧へ移ります)。ただし、対面が必要でも、実家のある場所まで行くとは限りません。本人の住まいの近くで司法書士と会える場合や、境界の立会いを代理人に委任できる場合があります。
ここまでの内容は一般的な情報です。現地へ行く必要があるかどうかは、担当の司法書士、土地家屋調査士、不動産会社に個別に確認してください。
自分で通うか任せるか、費用をどう比べる?
現地へ何回行くかは、移動の費用と、人に任せる費用を比べて決めます。金額は、実家までの距離や家の状態、頼む会社によって大きく変わります。そのため、目安の額ではなく、自分の場合の見積もりを並べて比べるのが確かです。
| 比べる項目 | 自分で通う場合 | 任せる場合 |
|---|---|---|
| 交通費・宿泊費 | 往復の費用×行く回数 | 残した訪問の分だけ |
| 時間 | 移動と立会いに使う日数 | オンラインの打ち合わせの時間 |
| 空き家の管理 | 通うたびの見回りの実費 | 管理会社への委託費 |
| 決済の本人確認 | 決済の場所へ行く費用 | 司法書士の出張や郵送の費用 |
| 片付け | レンタカーやごみ処分の実費 | 業者の見積額 |
表の各欄に、自分の見積もりを入れていきます。お金だけでなく、仕事の休みや体の負担も、比べる材料になるでしょう。どの工程に自分で行き、どれを任せるかが決まったら、遠方の実家売却・役割分担整理シートの担当表に書き込みます。
