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設置から10年ほどたった太陽光では、パワコンの表示が気になったり、点検で交換を勧められたりすることがあります。パワコン交換の費用は数十万円になることもあり、慌てて決めたくない出費です。故障かどうか、保証が残っているか、どんな手続きが要るかを順に確かめましょう。そうすれば、替えるかどうかと、どの型に替えるかを落ち着いて選べます。
パワコンは何をする機械?寿命の目安は10〜15年
パワコン(パワーコンディショナ)は、太陽光パネルがつくった電気を家で使える形に変える機械です。パネルがつくるのは直流の電気ですが、家の電化製品は交流の電気で動きます。この直流を交流に変えるのが、パワコンの役目です(出典:京セラ ハイブリッド蓄電池。参照資料の一覧へ移ります)。
パワコンの寿命の目安は、10〜15年とされています(出典:太陽光発電協会 FAQ。参照資料の一覧へ移ります)。ただし、実際に何年使えるかは、製品や設置した場所の環境で変わります(出典:パナソニック FAQ。参照資料の一覧へ移ります)。設置から10年たったら一律に替える、という決まりはありません。
たとえば2016年に設置した家なら、2026年で10年になります。寿命の目安に入り始める時期ですが、それだけで故障や交換が決まるわけではないのです。
10年という数字は、売電の話でもよく出てきます。住宅用(10kW未満)の太陽光は、国が決めた値段で電気を買い取る期間が10年間です(出典:環境省 太陽光発電。参照資料の一覧へ移ります)。この期間が終わっても、故障していなければ、発電した電気は家で使えます。買取期間の終わりとパワコンの寿命は、分けて考えましょう。
表示の異常や発電量の低下は、すぐ交換のサイン?
パワコンに点検コード(異常を知らせる番号)が出ても、すぐ故障とは限りません。点検コードは、電力会社から来る電気の状態が変わったときにも表示されるからです(出典:パナソニック 点検コード。参照資料の一覧へ移ります)。表示が出たら番号を書き留め、取扱説明書で意味を確かめます。
発電量の変化も、判断の手がかりになります。発電量は日ごろから見ておき、下がったときはメーカーや販売店に問い合わせます(出典:東京都環境局。参照資料の一覧へ移ります)。天気で月ごとの発電量は上下するため、天候による変動も考えながら推移を見ます。
定期的な点検も、不具合を早く見つける手立てです。住宅用のパワコンは4年に1度点検し、必要に応じて部品や機器を取り替えるという案内があります(出典:太陽光発電協会 FAQ。参照資料の一覧へ移ります)。点検の時期や条件は機種と保証で違うため、取扱説明書と保証書でも確認してください。
異常のなかには、すぐに使うのをやめたほうがよいものもあります。2025年7月に公表された製品事故の情報には、パワコンから煙と異音が出て、製品が焼けた火災が載っています(出典:NITE 事故情報。参照資料の一覧へ移ります)。原因は調査中とされています。
煙や火が出ているときは機器に近づかず、安全な場所に離れて119番に通報してください(出典:東京消防庁。参照資料の一覧へ移ります)。異音だけのときも自分では触らず、設置した会社かメーカーに連絡して指示を受けてください。
交換の前に、保証と設置した会社を確かめる
パワコンが故障していても、保証の期間内なら、修理や交換の費用がかからないことがあります。見積もりを取る前に、保証がどこまで残っているかを確かめましょう。
保証の年数は、メーカーや商品、申込みの有無で違います。たとえばパナソニックは、今売っているパワコンに、申込みをすれば無償で15年の機器保証を付けると案内しています(出典:パナソニック FAQ。参照資料の一覧へ移ります)。買い替えたパワコンも、この保証の対象です。京セラは、有償で15年の機器保証を用意する例を示しています(出典:京セラ パワコンとは。参照資料の一覧へ移ります)。
これらは今の商品の例なので、いま付いているパワコンの保証が15年とは限りません。次の順に確かめると、保証が使えるかどうかが分かります。
- パワコン本体のラベルで、メーカー名と型番を書き写す
- 保証書を探し、保証の期間と、延長保証に申し込んだかを確かめる
- 設置した会社に連絡し、点検と見立てを頼む
- 設置した会社と連絡が取れないときは、メーカーの相談窓口に型番を伝えて聞く
親の家の太陽光で書類が見つからないときも、型番が分かればメーカーに問い合わせられます。型番と設置した年は、この先の見積もりや手続きでも使うので、控えておくと話が早く進みます。
パワコン交換の費用はいくら?公表されている目安
交換の費用として公表されている数字は、確認できた範囲では次の2つです。住宅用太陽光設備(5kW)のパワコン交換費用を約38.4万円とする2026年7月の解説があります(出典:東京電力EP 解説。参照資料の一覧へ移ります)。東京都の案内には、パワコンの更新費用は約27万円とあります(出典:東京都環境局。参照資料の一覧へ移ります)。
| 公表されている費用 | 対象 | 時点と内訳 |
|---|---|---|
| 約38.4万円 | 住宅用太陽光設備(5kW)のパワコン交換 | 2026年7月の電力会社の解説。国の2026年2月の資料を引用 |
| 約27万円 | パワコンの更新 | 東京都の案内。調べた時点と内訳の記載なし |
2つの数字は、容量や調べた時点がそろっていません。そのため、1つの相場にまとめず、別々の目安として見てください。差は11.4万円ですが、値上がりの幅とは読めません。どちらも、本体と工事の内訳は確認できないからです。
約38.4万円は、国の資料を引用した電力会社の解説で確かめた数字です。引用元の国の資料そのものは、編集部では直接確認できていません。
自分の家の金額は、見積もりで確かめます。見積もりを頼むときは、次の情報を伝えると、会社ごとの前提がそろいます。
- パワコンのメーカー名と型番
- 太陽光を設置した年
- パネルの容量(kW)
- 買取先(余った電気を買い取っている会社)の名前
- 保証書の有無と、保証の終わりの日
見積もりは、次の項目に分けて出してもらうと、会社どうしで比べやすくなります。
- パワコン本体の値段
- 取り付けの工事費
- 古いパワコンの取り外しと処分の費用
- 国や電力会社への手続きを代行してもらう費用
- 保証を延ばす場合の費用
パワコンの交換だけに使える全国共通の補助金は、確認した範囲では見つかりませんでした。補助金の有無と条件は、自治体や年度で変わります。所在地の市区町村と都道府県の、その年度の公式ページで調べてください。
交換のときに要る手続きは?国の認定と電力会社
交換では、工事のほかに手続きが要ることがあります。FIT(国が決めた値段で電気を買い取る仕組み)の認定を受けた設備には、国への申請が要る変更があります。買取期間中に、出力や自立運転機能が変わる場合です。
電力会社への申込みは、出力が同じでも要る場合があります。何が要るかは、交換で出力や自立運転機能が変わるかどうかで分かれます。
出力や自立運転機能が変わるなら、国の変更認定申請が要る
買取期間中の設備では、交換で認定を受けた発電設備の出力(kW)が変わる場合、国への変更認定申請が要ります(出典:変更認定申請マニュアル。参照資料の一覧へ移ります)。自立運転機能(停電のときに家で電気を使う機能)の有無や設定値、そのための専用コンセントの有無を変える場合も同じです。新しいパワコンで出力や自立運転機能が変わるかどうかは、見積もりの段階で施工する会社に確かめてください。
買取期間中の設備では、出力の変更は、調達価格(国が決めた買取の値段)が変わる可能性がある項目に入っています。ただし、出力が変わると値段が必ず変わる、というわけではありません。買取期間が終わった後の設備には、別の届出の区分もあります。自分の設備でどうなるかは、施工する会社と買取先に確かめましょう。
出力が同じでも、電力会社への申込みが要ることがある
出力が変わらない取り替えでも、電力会社への申込みが要る場合があります。東京電力パワーグリッドの書類の案内では、出力が変わらないパワコンの取り替えも設備変更の欄に載っています(出典:東京電力PG 提出書類。参照資料の一覧へ移ります)。申込先は、買取先によって変わります(出典:関西電力 FAQ。参照資料の一覧へ移ります)。東京電力エナジーパートナーとの契約で、一般家庭で使う低圧の電気につなぐ場合は、設備の変更を電気工事店から申し込みます(出典:東京電力EP FAQ。参照資料の一覧へ移ります)。
同じ出力で型番だけを替える場合に、国への届出が一律に要るかどうかは、公開の資料からは読み取れませんでした。ここまでの手続きの説明は、一般的な情報にとどまります。自分の家で国と電力会社のどちらに何が要るかは、施工する会社と買取先に確認してください。
詳しく:出力が変わるときの手続きの順番
詳しい説明を開く
変更認定申請をする場合、2026年9月17日版の国のマニュアルには次の順番が示されています(出典:変更認定申請マニュアル。参照資料の一覧へ移ります)。
- 変更する内容で、電力会社に申し込む
- 電力会社から、接続に同意する書類を受け取る
- 国に変更認定申請をする
- 届いた変更認定通知書の写しを、電力会社に出す
国への申請には、接続に同意する書類のほか、新しいパワコンの仕様書なども添えます。届出で済む変更では、最後に電力会社へ出す書類が異なります。工事の日程は、この順番にかかる日数も見込んで決めます。
パワコンの交換は同じ型でよい?蓄電池の予定で選ぶ
交換するときの選び方は、大きく2つです。今と同じく太陽光だけにつなぐパワコンに替えるか、蓄電池と一体の型(ハイブリッド型)に替えるかです。住み続ける家なら、蓄電池を足す予定があるかどうかで分かれます。公的な基準はないので、編集部が整理した目安として読んでください。
蓄電池の予定がないなら、今と同じ太陽光用のパワコンで足ります。ハイブリッド型にすると、使う予定のない機能のために機器を選ぶことになるからです。一方で、近いうちに蓄電池を足したいなら、ハイブリッド型も見積もりに入れて比べます。
数年のうちに売る家や空き家になる家での考え方は、住む人と年数で決める卒FIT後の判断表で確かめられます。
想定の例を1つ挙げます。親が一人で住む実家で、設置から11年目にパワコンが止まったとします。保証は切れていて、親はこの家に住み続けるつもりで、蓄電池の話は出ていません。この場合は、今と同じ太陽光用のパワコンで見積もりを取り、出力が変わるかと手続きを確かめる流れです。
どちらの型を選ぶ場合も、新しいパワコンが今のパネルに合うかを確かめる必要があります。パネルの出力とパワコンの出力、設置場所の条件などが合っていることが前提です(出典:京セラ パワコンとは。参照資料の一覧へ移ります)。型番とパネルの容量を伝えて、施工する会社に合うかを確かめてもらいます。
蓄電池と一体の型を考えるなら
住み続ける家で、蓄電池も使いたいと考えるなら、ハイブリッド型が候補に入ります。ハイブリッド型は、1台のパワコンで太陽光と蓄電池の両方を動かす方式です(出典:京セラ ハイブリッド蓄電池。参照資料の一覧へ移ります)。一方で、蓄電池を別の機械として足す方式(単機能型)では、太陽光用と蓄電池用の2台のパワコンを使います。
パワコンの交換と、蓄電池を足したい時期が近いなら、2台にするか1台にまとめるかを比べる意味があります。比べ始める前に、次の点を確かめておくと、見積もりの条件をそろえやすくなります。
- この家に、誰があと何年住むか
- 今のパネルの出力と、新しい機器が合うか
- 交換で出力や自立運転機能が変わり、国や電力会社の手続きが要るか
- 蓄電池を置く場所があるか
蓄電池を足すかどうかは、買取期間が終わった太陽光に蓄電池を足すかの記事で判断の目安を扱っています。費用に見合うかの計算は、蓄電池の元が取れるかの記事で確かめられます。見積もりは複数の会社から、同じ条件で取ると違いが見えます。
よくある質問
質問と回答を開く(5件)
買取期間が終わった太陽光でも、パワコンを替える意味はある?
家に住み続けて電気を使うなら、替えて使い続ける選び方があります。買取期間が終わっても、故障していなければ、発電した電気は家で使えるからです(出典:太陽光発電協会 廃棄の前に。参照資料の一覧へ移ります)。空き家になる家や数年で売る家では、交換するかどうかから考えましょう。
パワコンを替えると、買取の値段は変わる?
FITの買取期間中は、認定を受けた発電設備の出力が変わると、国が決めた買取の値段が変わる可能性があります(出典:変更認定申請マニュアル。参照資料の一覧へ移ります)。ただし、必ず変わるわけではありません。買取期間中の設備でどうなるかは、施工する会社と買取先に確かめてください。買取期間が終わった後の売電の値段は、買取先に確認しましょう。
パワコンの交換は、自分でできる?
できません。パワコンの取り外しや取り付けは電気工事なので、電気工事士の資格を持つ人に任せます(出典:島根県 電気工事士。参照資料の一覧へ移ります)。費用を抑えたいときは、工事を省くのではなく、見積もりの項目を分けて会社どうしで比べましょう。
訪ねてきた業者に、パワコンの交換を勧められたら?
その場では決めず、まず設置した会社かメーカーに、点検と保証の残りを確かめてください。契約のトラブルは、消費者ホットライン188で地域の消費生活センターなどに相談できます(出典:消費者庁。参照資料の一覧へ移ります)。訪問販売への対応と見積書の見方は、蓄電池の訪問販売の記事で説明しています。
親が亡くなった家の太陽光でも、交換の流れは同じ?
故障や保証の確かめ方、交換の手続きの流れは同じです。ただし、国の認定や売電の契約が、亡くなった親の名義のままのことがあります。名義の手続きは親の死亡後の太陽光の名義変更の記事で確かめ、交換の相談と並べて進めると手戻りを減らせます。
