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空き家管理チェックリスト|室内・屋外・災害後の点検と記録方法

空き家管理チェックリストを、初回・定期巡回・季節・災害前後に分けて解説。屋根・外壁・雨漏り・換気・通水・庭木・郵便・防犯を安全に確認し、写真、異常、担当、期限を記録して修繕や管理委託へつなげます。

更新日 2026-08-25執筆 住まいのよりみち編集部最終確認 2026-08-25住まいのよりみち編集部読了目安 24

空き家管理で大切なのは、チェック欄をすべて埋めることではありません。

前回と同じ場所を見て変化を見つけ、安全でないときは入らず、異常を担当者と期限へ渡すことです。最後に次の巡回日まで決めて、初めて1回の巡回記録が完了します。

この記事では、点検を次の4種類に分けます。

  1. 初回確認:今後比較するための基準を作る
  2. 定期巡回:前回からの変化を同じ場所・画角で追う
  3. 季節前確認:台風、凍結、積雪、草木の繁茂等に備える
  4. 臨時確認:地震、大雨、強風、近隣・自治体からの連絡後に行う

国土交通省の空き家管理チェックリスト(新しいタブで開きます)には、換気、排水設備への通水、清掃、剪定、郵便、建物の傾き、屋根・外壁、屋内、塀・擁壁、立木、動物等の確認項目があります。本記事はそれらを単に並べず、安全確認 → 差分記録 → 対応 → 再点検の順で使える形にします。

まず結論:一回の巡回を7段階で完了させる

空き家の見回りは、次の順番なら「見て終わり」になりません。

  1. 出発前:権限、天候、移動経路、前回の未解決事項を確認する
  2. 道路側から:傾き、落下物、擁壁、侵入痕等の「入ってはいけない兆候」を確認し、一つでも疑い・不明があれば入らない
  3. 屋外:建物外周、屋根・外壁、雨樋、庭木、塀、郵便等を固定地点から見る
  4. 入室前:臭い、煙、浸水、床・天井等に危険がないか確認する
  5. 屋内:雨漏り跡、窓、床・天井、換気、給排水等を安全な範囲だけ確認する
  6. 退出時:戸締まり、鍵、設備、持ち出した物、未確認箇所を照合する
  7. 帰宅後:写真を前回と比べ、異常の担当・期限・再点検日と次回巡回日を決める

異常がなかった場合も、「何もなかった」ではなく、確認した地点、写真、未確認箇所、鍵の返却、次回日を残します。

コピーして使う「巡回1枚票」

表:欄、今回の記録
今回の記録
物件・巡回物件名/日付・天候/実施者/鍵の貸出・返却本数
開始前権限/当日の気象・経路/外観上の危険兆候/臭い・煙・浸水。各項目を可・不可・不明で記録
屋外必須観測点/前回との差/写真/未確認理由
屋内・設備入室可否/必須観測点/換気・通水等の実施・未実施理由/操作しなかった設備
郵便・清掃回収権限/受領物/清掃範囲/動かさなかった物
問題問題番号/観察事実/立入・操作停止範囲/連絡先
対応担当/期限/受付・見積り等の証拠/再点検日
退出戸締まり/設備状態/鍵本数/持出物/退出報告
終わり方完了/安全保留/中止/専門引継ぎ
次回次回日/予定を早める災害・近隣連絡等の条件

点検を始める前の4つの最低条件

次の4項目をすべて満たすまで、敷地や建物へ入りません。ただし、これは安全診断ではなく、「入ってはいけない兆候」をふるい分ける最低条件です。すべて満たしても、入室の安全が保証されるわけではありません。

表:最低条件、出発前・道路側から確認すること、満たさないとき
最低条件出発前・道路側から確認すること満たさないとき
1. 入る権限がある所有者・共有者等との関係、鍵を使う許可、委託範囲が明確鍵を使わず、権限確認へ戻す
2. 行き帰りが安全警報・避難情報、冠水、土砂、倒木、積雪、道路規制がない訪問を延期し、安全確認後に再設定
3. 外から分かる危険兆候がない大きな傾き、部分倒壊、落下しそうな屋根材・外壁、擁壁の著しい変状が見えない近づかず、立入停止として専門先へ
4. 火災・ガス・電気・浸水の危険がないガス・燃料・薬品臭、焦げ臭、煙、火花、浸水した電気設備がない設備に触れず離れ、安全な場所から緊急窓口へ

平時の土地の災害リスクは国土地理院のハザードマップポータル(新しいタブで開きます)で確認し、当日の警報等は気象庁の警報・注意報(新しいタブで開きます)や自治体の避難情報で確認します。大雨時にはキキクル(新しいタブで開きます)も、土砂・浸水・洪水の危険度の高まりを見る資料になります。

道路側から確認するのは、入ってはいけない兆候がないかを絞り込むためです。地震・浸水・土砂・火災後、自治体の立入規制や判定状況が不明、以前の立入停止が未解除、または異常の有無を判断できない場合は、自治体、建築士、ライフライン事業者等のうち該当先へ確認できるまで屋外確認にとどめます。判定ステッカーがないことは「調査済」を意味しません。

巡回頻度は「月1回」と固定せず、次回日と臨時条件を決める

空家法は、所有者・管理者に、周辺の生活環境へ悪影響を及ぼさないよう空家等を適切に管理する努力義務を定めています。一方、空家法(新しいタブで開きます)国土交通省の空き家管理受託のガイドライン(新しいタブで開きます)には、すべての物件に共通する一律の巡回回数は示されていません。

そのため、次の条件から物件ごとに間隔を決めます。

表:間隔を短くする判断材料、例
間隔を短くする判断材料
建物の状態雨漏り跡、外装の劣化、経過観察中のひび、古い給排水設備がある
周囲への影響道路・隣家に近い屋根、越境しやすい枝、落ち葉、ごみ、擁壁がある
地域と季節台風、大雨、積雪、凍結、強風、草木の繁茂期が近い
設備の状態水道・電気・ガスの契約が残る、浄化槽や井戸等がある
人の目遠方で近隣の見守りがない、侵入や郵便物の堆積が心配
未解決事項修繕待ち、専門確認待ち、期限付きの経過観察がある

記録には「定期巡回は毎月」のような一般論ではなく、次回予定日と、予定日を待たず確認する臨時トリガーを書きます。

臨時トリガーの例は、台風・大雨・地震・大雪・凍結の後、近隣からの連絡、自治体や管理会社からの通知、警報装置の作動です。ただし、災害中に現地へ向かう指示ではありません。警報や道路危険が解消し、安全を確認できてから日程を決めます。

初回に「管理台帳」と固定観測点を作る

初回は細かく点検する前に、今後の比較に使う基準を作ります。過去が分からない項目は「異常なし」ではなく「初回・比較資料なし」と記録します。

物件の管理台帳

表:項目、記入内容
項目記入内容
物件所在地、建物・敷地を識別できる名称
権限所有者、共有者、管理担当、委託範囲、入室できる人
鍵番号、保管者、本数、貸出・返却記録
設備電気・水道・ガスの契約状態、元栓・止水栓・ブレーカーの現状。不明は不明と書く
危険箇所近づかない場所、操作しない設備、専門確認待ちの場所
緊急連絡家族、管理会社、自治体、工事業者、保険会社・代理店、各ライフライン
次回次回巡回日、季節対応日、臨時巡回を行う条件

空き家管理を委託する場合も、作業内容、頻度、鍵、報告、緊急時対応を曖昧にしません。国土交通省の空き家管理受託のガイドライン(新しいタブで開きます)契約前の現況確認用参考様式(新しいタブで開きます)は、委託範囲を整理する際の参考になります。

固定観測点は「場所+画角」で決める

同じ外壁でも、撮影場所や距離が変わると、ひびや傾きの変化を比べにくくなります。観測点番号を付け、立つ場所と向きを決めます。

表:観測点番号、立つ場所・向き、対象、初回写真、注意点
観測点番号立つ場所・向き対象初回写真注意点
P-01道路向かい・建物正面建物全景、屋根、軒画像名または保存先車道へ出ない
P-02門の外・北向き門、塀、玄関、郵便受け塀へ触れない
P-03南庭の安全な目印・東向き外壁、雨樋、庭木軒下へ入らない
P-04玄関内側・室内向き廊下、床、天井入室条件通過後のみ
P-05各部屋の入口窓、壁、床、天井床へ踏み入る前に入口から目視

番号は自由です。重要なのは、毎回同じ場所から撮れることと、危険な場所を観測点にしないことです。屋根、はしご、傾いた塀・擁壁、凍結面等へ上る設定は作りません。

各観測点には「毎回必須/条件付き/今回は対象外」を設定します。条件付きは、入室できるときだけ確認する室内、積雪期だけ見る箇所等です。巡回前に今回の必須地点を確定し、一つでも未確認なら通常の「完了」にはしません。危険のため見られない場合は無理に確認せず、安全保留へ分けます。

空き家管理チェックリスト:出発前

現地へ向かう前に、次を確認します。

  • [ ] 当日の確認者と、単独か複数かを記録した
  • [ ] 入室権限、鍵の保管者、本数、返却方法が分かる
  • [ ] 警報・注意報、避難情報、道路・交通状況を確認した
  • [ ] 前回の未確認箇所、要観察、修繕・専門確認待ちを読んだ
  • [ ] 現地で操作してよい設備と、触らない設備が分かる
  • [ ] 緊急連絡先と、携帯電話の充電を確認した
  • [ ] 安全な服装、手袋、ライト、記録手段を準備した
  • [ ] 到着・退出予定と、連絡がない場合の確認担当を共有した

単独での訪問が不安な状態、通信しにくい場所、前回に安全保留がある場合は、無理に自分で確認せず、管理会社や専門業者へ相談します。

空き家管理チェックリスト:屋外

まず道路や安定した地面から全景を見ます。危険があれば、その先へ進みません。

表:対象、安全な範囲で見ること、ここでSTOP
対象安全な範囲で見ることここでSTOP
建物全体前回写真と比べた傾き、沈み、部分的な変形新しい傾き、部分倒壊、落下物の恐れ
屋根・軒・雨樋ずれ、浮き、破損、垂れ、落下物。地上から見る屋根へ上る、はしごを使う、軒下へ近づく必要がある
外壁・窓・雨戸割れ、浮き、剥がれ、破損、開口部、雨水の跡落下しそうな外装、割れたガラスの周囲
基礎・地面目に見える新しいひび、陥没、土砂流出、水たまり陥没、地割れ、建物周りの大きな変化
門・塀・屋外階段傾き、割れ、腐食、部材の外れ押す、揺らす、よじ登る、自己流で固定する必要がある
擁壁離れて見える亀裂、はらみ、傾き、湧水、土砂流出変状へ近づく、水抜き穴を棒等で突く、自己補修する
庭木・雑草枯れ枝、折れ、越境、繁茂、電線や道路との距離倒木しかけ、大枝、高所作業、電線接触
ごみ・害虫・動物ごみ、巣穴、糞、臭い、ハチ等を離れて確認ハチ、攻撃性のある動物、大量の糞・死骸、床下・天井裏への侵入
防犯窓・扉の破損、足跡、施錠、郵便物、見慣れない物在室者・侵入者の可能性。対面せず離れる
周囲への影響道路・隣地への枝、部材、土砂、水、ごみ、臭い現に危険・損害があり、個人作業では止められない

在室者や侵入の可能性がある場合は、建物へ入りません。進行中の事件・緊急事態は110、緊急ではない相談は警察相談専用電話#9110または最寄りの警察署が案内されています。窓口は警察庁の相談案内(新しいタブで開きます)で確認できます。

空き家管理チェックリスト:入室前と屋内

屋外確認で問題がなくても、玄関を開けた瞬間に安全とは限りません。玄関付近から臭い、音、煙、天井・床を見て、危険があれば入室を止めます。

表:対象、安全な範囲で確認すること、ここでSTOP
対象安全な範囲で確認することここでSTOP
臭い・空気前回と違う臭い、ガス・燃料・焦げ・薬品・下水・強いカビ臭ガス・焦げ・薬品臭、刺激、呼吸しづらさ。スイッチを触らず退出
床・天井入口から見える沈み、波打ち、腐朽、濡れ、天井の垂れ・染み・剥離安全を確認できない床へ一歩目を置かない。床を踏んで硬さを試さず、奥へ進まない
柱・梁・壁変形、著しい腐朽、ひび、雨水跡構造部の大きな変形・腐朽、露出・飛散のおそれがある建材
窓・雨戸・扉破損、開閉、施錠、雨水の侵入割れたガラス、高所窓、無理な開閉が必要
雨漏り・水天井・壁・床の染み、濡れ、かび、容器の水量水と電気設備が接触、床下浸水、原因不明の広い濡れ
給排水契約・止水状態、漏れ、臭い、凍結の恐れを確認してから扱う破損・凍結・浄化槽異常・電気付近の水。自己診断や復旧をしない
電気契約と前回状態を記録し、露出配線・焦げ・熱等を目視浸水、露出配線、焦げ、煙、火花。ブレーカーや機器に触れない
ガス・燃料機器契約・閉栓状態、目に見える損傷を確認臭い、損傷、浸水。点火やメーター復帰をしない
害虫・動物離れて糞、巣、音、臭いを記録ハチ、攻撃性動物、大量の糞・死骸。追い出さない
家財・通路転倒、通路を塞ぐ物、重要書類や危険物の変化所有・処分権限不明、崩落しそうな積み上げ、危険物

アスベストを含む可能性のある建材が壊れている場合は、見た目だけで含有の有無を判断しません。触る、掃く、削る等を避け、厚生労働省の石綿総合情報ポータル(新しいタブで開きます)等から専門窓口を確認してください。

安全確認後に行う清掃

清掃は、4つの最低条件を通過し、作業範囲にも危険がない場合だけ行います。通路や床、郵便受け周辺、敷地の飛散ごみ・落ち葉等について、実施範囲、清掃前後の写真、回収物の保管・処分先を記録します。

所有・処分権限が不明な家財、薬品、大量の糞・死骸、飛散のおそれがある建材は動かさず、「未対応」として担当と期限へ渡してください。家財撤去や粗大ごみ処分は日常清掃へ混ぜません。家財を動かす権限や処分方法が不明な場合は、相続した実家を片付ける前に残すものへ戻ります。

換気と通水は、条件を確認してから行う

換気と排水設備への通水は国土交通省の管理項目にもありますが、すべての物件で同じ時間・水量を実施すればよいわけではありません。

換気を行う条件

  • 建物へ安全に入れる
  • ガス・薬品・焦げ等の危険な臭いがない
  • 窓が安全な高さにあり、破損・固着がない
  • 強風・大雨等で開閉が危険でない
  • 開けた窓を退出前に閉め、施錠確認できる

危険な臭いがあるときに、換気扇のスイッチを入れてはいけません。大量のカビや汚染が疑われる場合も、自己判断で長時間作業せず専門先へ相談します。

通水を行う条件

  • 水道契約と止水状態が分かる
  • 給水管・蛇口・排水設備に破損や凍結の疑いがない
  • 浄化槽等の条件が分かる
  • 漏水や床下浸水がない
  • 水が電気設備へ触れる恐れがない
  • 終了後に漏れ、排水、元の設備状態を確認できる

実施時間や水量は、設備、季節、契約、管理方針に合わせます。「何分流せば十分」と全国一律には決めません。異音、逆流、強い下水臭、メーターの不審な動き等があれば使用を止め、水道事業者や指定工事店等へ相談します。

郵便物は「回収」と「住所変更」を分ける

郵便物の堆積は、重要通知の見落としだけでなく、長期不在が外から分かる原因にもなります。

巡回時は次を記録します。

  • 郵便受けの破損・施錠
  • 郵便物や不在票の有無
  • 差出人、受領日、担当者
  • 開封権限の有無
  • 住所変更・連絡が必要な差出人
  • 次回までの保管場所

日本郵便の転居・転送サービス(新しいタブで開きます)は届出日から1年間で、その後は差出人へ返還されます。転居届だけで管理を終えず、契約先・自治体等へ個別に住所変更を行います。

亡くなった人あての郵便物を遺族の住所へ転送する取扱いではないことも、日本郵便のQ&A(新しいタブで開きます)で確認できます。宛名人または正当に手続を担当する人から、郵便物の回収・保管を任されている範囲を確認してください。権限が不明な郵便物は開封・処分せず、そのまま家族や手続担当者へ渡します。

季節前に追加する項目

定期表へ、物件の地域・設備に合う季節項目を加えます。

表:時期・事象、事前に確認すること、自分で行わないこと
時期・事象事前に確認すること自分で行わないこと
台風・強風前地上から見える外装・雨樋、庭の飛散物、窓・雨戸、連絡先屋根へ上る、危険な高所を固定する
大雨前雨水の流れ、前回の雨漏り跡、敷地・擁壁、ハザード、避難情報増水中の水路・擁壁へ近づく
冬・凍結前水道・給湯設備の契約と管理方法、凍結対策の担当、積雪時の連絡不明な設備を自己流で操作する
大雪後道路・玄関までの安全、地上から雪庇・落雪範囲・建物変形を見る屋根、はしご、凍結面へ上る
春〜夏雑草、越境枝、枯れ枝、害虫、排水を妨げる落ち葉高所の大枝、電線付近、ハチの巣へ近づく
落葉期雨樋・排水周辺、道路・隣地への落ち葉を地上から見る高所の雨樋へ上る

災害後は「撮影より安全」が先

台風、地震、豪雨、洪水、大雪後に、すぐ現地へ向かうことを勧める記事ではありません。警報、避難情報、道路冠水、土砂災害、倒木、余震等の危険が残る間は延期します。

安全に現地へ近づける段階になったら、次の順で対応します。

  1. 道路・敷地外から建物全体、落下物、地盤・擁壁を確認する
  2. 危険があれば近づかず、立入停止の範囲を記録する
  3. 安全な場所から全景と被害の位置関係を撮影する
  4. 消防・自治体・ライフライン・専門業者等の該当窓口へ連絡する
  5. 入室可能と判断できる根拠がない限り、室内確認を保留する
  6. 被害箇所ごとに担当・期限を決め、修理や撤去前の記録を安全な範囲で残す
  7. 対応後に再点検し、通常の固定観測点へ戻す

地震後の表示を見つけたら

被災建築物応急危険度判定は、余震等による二次災害を防ぐための応急的な判定です。結果は赤の「危険」、黄の「要注意」、緑の「調査済」の三種類で表示されます。国土交通省のQ&A(新しいタブで開きます)で制度の目的を確認し、表示の注意事項と自治体の案内に従ってください。後の詳細調査に代わるものとは考えません。

赤・黄の表示があるときは通常の点検を止め、表示の注意事項と自治体の案内に従います。緑でも、その後の余震や見えない損傷まで安全を保証するものではありません。

浸水・雨漏り後の電気製品に触れない

浸水・雨漏りで濡れた配線、コンセント、電気製品、ガス・石油機器は、乾いて見えても自己判断で使用を再開しません。NITEの風水害時の注意喚起(新しいタブで開きます)では、水や泥等が内部に残った製品の事故リスクが案内されています。浸水床、露出配線、焦げ、煙、火花がある場合は、ブレーカーにも触れず、安全な場所へ離れて該当窓口へ連絡します。

写真と記録は「前回との差」が読めるように残す

写真が多くても、場所と時点が分からなければ比較できません。一巡回につき「差分」と「対応」の二つに分けると、スマートフォンでも確認しやすくなります。

差分・証拠表

表:観測点、前回状態・写真、今回状態・写真、変化、判定
観測点前回状態・写真今回状態・写真変化判定
P-03 南側外壁7/10、変色なし、写真0038/25、軒先に浮き、写真025浮きが新規緊急・立入停止
P-05 和室入口7/10、天井染み8cm、写真008未確認比較不能未確認

対応・期限表

表:観測点、次の行動、担当、期限、問題・立入停止
観測点次の行動担当期限問題・立入停止
P-03 南側外壁軒下を避け業者へ連絡Aさん8/25I-04/軒下STOP
P-05 和室入口外装安全確認後に専門確認Bさん8/27I-04に統合

判定語は次の六つにそろえると、家族・委託先で意味がずれにくくなります。

  • 初回・基準なし:初めて撮り、過去との比較はできない
  • 変化なし:同じ範囲を確認し、前回写真との差が見当たらない
  • 要観察:変化はあるが、期限を決めて再確認する
  • 要対応:連絡・見積り・作業等が必要
  • 緊急・立入停止:近づかず、緊急窓口または専門先へ渡す
  • 未確認:安全、時間、鍵、報告不足等で見ていない

「空欄」と「異常なし」は別です。写真が届かない、画角が違う、鍵を使えない、危険で入れない場合は未確認にし、理由・担当・期限を残します。

異常を見つけたら、問題票で完了まで追う

異常発見のメモだけでは、誰も対応しないまま次の巡回を迎えることがあります。一つの問題に一つの番号を付け、次の欄を持たせます。

表:欄、記入すること
記入すること
問題番号I-01、I-02等。写真・見積り・連絡記録にも同じ番号を付ける
観察した事実場所、日時、前回との差。原因を断定しない
危険範囲現地へ行かない/敷地へ入らない/建物へ入らない/設備を操作しない
応急安全確保近づかない、周囲へ知らせる等、安全にできたこと
連絡・専門先自治体、消防・警察、ライフライン、建築・設備業者等
担当・期限次に動く人と、連絡・現地確認・再点検の期限
証拠写真、連絡日時、受付番号、見積り、作業報告、請求書
終了条件修繕等の後に安全な範囲を再点検し、写真と結果を残す

状態は、発見 → 安全確保 → 専門確認・見積り → 承認 → 実施 → 再点検 → 完了と進めます。すぐ直さず経過を見る場合は「期限付き監視」とし、次回日を必ず入れます。

専門家へ電話しただけでは完了ではありません。相手が受け付けた日時、確認範囲、現地対応日、こちらの担当・期限、立入制限を記録して「引継ぎ済み」にします。

ケース例:台風後に軒先の浮きを見つけた場合

悪い記録は「台風後、屋根が少し壊れていた。業者へ連絡」です。どこが危険で、次に誰が何をするか分かりません。

次のように記録します。

> 9月15日14時、台風通過後。道路側のP-01から確認。南側軒先の板が8月25日の写真より浮いている。落下の可能性を判断できないため、軒下と南庭を立入停止。屋根には上らず、道路側から全景と位置が分かる写真を保存。管理担当のAさんが同日中に屋根工事業者へ連絡し、9月17日の現地確認を予約。業者確認までは建物へ入らない。現地確認後、立入範囲と再点検日を更新する。

この記録なら、見た事実、していない危険行為、停止範囲、担当、期限、次の確認が一続きになります。

遠方の空き家は「写真が来た」だけで完了にしない

親族、近隣協力者、管理会社へ巡回を頼む場合は、報告の受入条件を先に決めます。

  • 固定観測点ごとの写真がある
  • 撮影日時が分かる原本を保管する
  • 前回との差を言葉でも記録する
  • 見ていない箇所は「異常なし」ではなく未確認とする
  • 危険時の中止条件と連絡順が決まっている
  • 鍵の貸出・返却、本数、入退室者が一致する
  • 異常速報の期限と、通常報告の期限を分ける
  • 担当者が行けない場合の代替担当・延期判断がある
  • 次回日と、臨時巡回の対象事象が記載される

報告期限までに必要な写真・記録が届かない場合は、今回の巡回記録を「安全保留(該当地点は未確認)」で完了させます。照会担当、催促日時、再提出期限、代替確認者、代替訪問日を記録し、確認できるまで「異常なし」に変更しません。

契約に「巡回」「写真報告」とだけ書いてある場合は、屋外だけか室内も含むか、雨漏り・通水・換気・郵便・庭木の範囲、災害後確認、追加費用、再委託、鍵の保管、緊急時対応を確認します。費用と契約の比べ方は、空き家管理サービスの費用で、公開料金を同じ作業範囲と年額へ直して整理できます。

遠方でも売却を進める役割分担は、遠方の実家を売却する方法で整理しています。

退出時チェックリスト

現地作業が終わっても、次を照合するまで巡回完了にしません。

  • [ ] 玄関、勝手口、窓、雨戸、物置等を、開けた箇所ごとに閉めて施錠した
  • [ ] 異常がなく、操作権限と手順が明確な設備だけを、事前に決めた状態へ戻した。臭い、浸水、凍結、漏れ、焦げ、配線損傷、操作方法不明がある設備は触れず、現在状態と引継ぎ先を記録した
  • [ ] 水漏れ、異音、臭い、火気がないことを安全な範囲で確認した
  • [ ] 鍵の本数、保管者、返却日時を記録した
  • [ ] 持ち出した郵便・家財・書類と、渡し先を記録した
  • [ ] 未確認箇所と理由を記録した
  • [ ] 新しい問題と立入停止範囲を家族・管理担当へ速報した
  • [ ] 退出時刻と、無事に退出したことを共有した

鍵の本数が一致しない場合は巡回完了にせず、新しい貸出・入室を止めます。鍵番号、本数、最後に一致した日時、使用者、照会記録、確認担当と期限を残してください。見つからない場合は、所有者と鍵業者へ錠交換等の要否を確認し、鍵台帳の更新と再確認後に安全保留を解除します。

相続直後で家財・書類の権限や重要物が整理できていない場合は、相続した実家を片付ける前に残すものを先に確認してください。管理のために入室できても、家財を自由に処分できるとは限りません。

一回の巡回を完了・安全保留・中止・専門引継ぎに分ける

毎回「完了」にすると、危険や未確認が埋もれます。終わり方を次の四つに分けます。

表:終わり方、条件、次に残すもの
終わり方条件次に残すもの
完了必須地点を確認し、戸締まり・鍵・報告を照合。問題は完了か期限付き監視次回日、臨時トリガー
安全保留危険や権限不明で作業を止め、安全範囲を確保停止範囲、鍵・設備状態、担当、期限
中止天候、アクセス、権限、体調、契約等により巡回を行わない中止理由、未確認範囲、再設定・引継ぎ
専門引継ぎ個人の観察範囲を超え、該当先が対応を受け付けた受付日時、対象、現地日、担当、立入制限、再点検

有効な立入停止や未解決の問題があるとき、物件全体を「異常なし」にしません。一回の巡回記録は安全保留や専門引継ぎとして完了させても、問題票は対応完了・再点検まで残します。

自主管理を続けられるかを定期的に見直す

次のどれかが続くなら、チェック項目を増やすより管理方法を変える段階です。

  • 安全上、建物・敷地へ入れない
  • 遠方や体調のため、予定日に確認できない
  • 写真・報告がそろわず、変化を追えない
  • 鍵、設備、郵便、近隣連絡の担当が曖昧
  • 修繕待ちや立入停止が増え、期限を守れない
  • 草木、積雪、災害後確認等を自分で安全に行えない
  • 維持費と手間を負担できる期限が決まっていない

管理方法を変えるときは、鍵と本数、設備・契約状態、立入・操作禁止箇所、未解決の問題票、郵便・近隣対応、緊急連絡先、次回予定を一覧化します。後任が対象範囲と記録を受領した日時、引継ぎ担当、未処理事項の期限を残し、受領確認前は「引継ぎ済み」にしません。

選択肢は、自主管理の継続だけではありません。管理サービスへの委託、必要な修繕、売却、賃貸・活用、建物の状態や法令を確認したうえでの解体等があります。

判断材料となる実額は空き家の年間維持費を計算する方法、方針比較は家を売る・貸す・残す比較軸、古家の修繕・現況売却・解体の分岐は古い家は直す・そのまま売る・解体する?で整理できます。

管理不全空家等との関係

この表を全部埋めれば、管理不全空家等や特定空家等にならないと保証されるわけではありません。逆に、国土交通省の管理指針どおりでない項目が一つあるだけで、直ちに該当するわけでもありません。

空家法(新しいタブで開きます)上の「管理不全空家等」は、適切な管理が行われておらず、そのまま放置すれば特定空家等に該当するおそれがある状態と市町村長が認める空家等です。管理不全空家等には同法13条による指導・勧告、特定空家等には同法22条による助言又は指導・勧告・命令等があり、手続は同じではありません。市区町村が状態や周辺への影響等を判断する考え方は、国土交通省のガイドライン(新しいタブで開きます)で示されています。

自治体から通知や法に基づく措置が届いた場合は、通常巡回のメモに埋めず、対象、期限、担当を分けて自治体へ確認してください。国土交通省の空家法案内(新しいタブで開きます)では、住宅用地特例の適用を受けている敷地が、管理不全空家等または特定空家等について空家法に基づく勧告を受けると、特例の対象から除外されると説明されています。法定の指導と勧告は別で、実際の適用時期・税額は物件所在地の市区町村へ確認してください。「税金が必ず6倍」とは限りません。制度と税の詳細は別記事で扱います。

よくある質問

空き家の見回りは月1回で十分ですか?

すべての空き家に共通する法定回数ではありません。建物状態、地域、季節、周囲への影響、設備、未解決事項に応じて間隔を決めます。毎回、次回日と、台風・地震・近隣連絡等で予定を早める条件を記録してください。

換気は何分、通水は何分すればよいですか?

全国一律の時間では判断できません。窓や給排水設備の状態、天候、凍結、契約、浄化槽、漏水等を確認し、安全に実施できる範囲を物件ごとに決めます。危険な臭い、破損、浸水、漏電疑い等があるときは設備を操作しません。

屋根の写真が撮れないと点検不足ですか?

屋根へ上ったり、はしごを使ったりして撮る必要はありません。安全な地面から見える全景を同じ画角で残し、見えない範囲は「未確認」とします。落下しそうな部材や前回との差があれば近づかず、専門業者へ確認範囲を伝えます。

台風の直後は、被害写真を撮りに行ったほうがよいですか?

警報、冠水、土砂、倒木、強風等の危険が残る間は行きません。安全確認後も道路・敷地外から始め、危険箇所へ近づかずに撮れる写真だけを残します。撮影より人の安全が優先です。

地震後に緑の「調査済」表示なら入れますか?

緑は応急危険度判定上の「調査済」ですが、その後の余震や見えない損傷まで安全を保証しません。周囲の状況、自治体の案内、その後の変化を確認してください。赤・黄の表示がある場合は通常の巡回を止めます。

管理会社から写真が届かない場合は「異常なし」でよいですか?

いいえ。報告未着、必要な地点の写真不足、画角違いは「未確認」または「報告待ち」です。報告期限と代替担当を決め、確認できるまで正常完了にしません。

不法侵入らしい足跡や割れた窓を見つけたら?

建物へ入らず、物に触れず、在室者と対面しないで安全な場所へ離れます。進行中・緊急なら110、緊急でない相談は#9110または最寄りの警察署へ相談します。連絡後、窓の応急対応等は警察の確認と安全を優先して手配します。

自分で管理できなくなったら、すぐ売るしかありませんか?

売却だけではありません。管理委託、修繕、賃貸・活用、解体等も候補です。ただし、危険を放置したまま方針検討だけを続けないでください。まず安全上の問題を担当・期限へ渡し、そのうえで家を売る・貸す・残す比較へ進みます。

今日決める8項目

この記事を読んだ日に、次の8項目だけは空欄にしないでください。

  1. 管理責任者と代替担当
  2. 鍵の保管場所・本数・貸出記録
  3. 立入禁止・操作禁止の場所と設備
  4. 道路側・屋外・屋内の固定観測点と初回写真
  5. 次回巡回日
  6. 台風・地震・大雨・近隣連絡等の臨時確認条件
  7. 異常時の連絡順と担当・期限
  8. 自主管理を続けるか見直す日

家財が残る空き家を先に整理する場合は、空き家の片付け費用と見積り比較表も使えます。ただし、危険がある建物では片付けを先行せず、立入停止と専門確認を優先します。

空き家管理は「毎回きれいにする作業」ではなく、前回との差を早く見つけ、危険を止め、次の担当へ確実に渡す仕組みです。次回日と臨時トリガーまで登録して、今回の巡回記録を完成させてください。

参照した公的情報

e-Gov法令検索「空家等対策の推進に関する特別措置法」参照日 2026-08-25国土交通省「空き家の管理のやり方」参照日 2026-08-25国土交通省「空き家管理チェックリスト」参照日 2026-08-25国土交通省「空き家管理受託のガイドライン」参照日 2026-08-25国土交通省「空き家管理受託のガイドライン 参考様式1」参照日 2026-08-25国土地理院「ハザードマップポータルサイト」参照日 2026-08-25気象庁「警報・注意報」参照日 2026-08-25気象庁「キキクル(危険度分布)」参照日 2026-08-25国土交通省「被災建築物応急危険度判定制度に関するQ&A」参照日 2026-08-25NITE「風水害による製品事故に注意」参照日 2026-08-25経済産業省「ガス臭いなどの異常を感じたら」参照日 2026-08-25警察庁「ご意見・各種相談」参照日 2026-08-25日本郵便「転居・転送サービス」参照日 2026-08-25日本郵便「亡くなった家族あての郵便物の転送」参照日 2026-08-25国土交通省「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置ガイドライン」参照日 2026-08-25国土交通省「空家法とは」参照日 2026-08-25厚生労働省「石綿総合情報ポータルサイト」参照日 2026-08-25