当サイトはアフィリエイト広告を利用しています

私道に面した家を売却する前に|持分・通行・掘削の確認表

私道に面した家も売却できますが、私道持分があるだけで再建築・通行・掘削が保証されるわけではありません。建築基準法上の道路種別と接道、私道各筆の所有、徒歩・車両の通行、配管工事と維持負担を別々に資料で確認します。

まだしないこと

道路・接道・権利が未確認のまま再建築や車両通行を確約せず、私道へ無断で立入り・掘削しない

まずすべきこと
  1. 宅地・建物・公道までの私道各筆の登記事項と公図を集める
  2. 自治体へ建築基準法上の道路種別、指定範囲、接道を尋ねる
  3. 通行、掘削、配管、維持費に関する合意書と未確認事項を並べる

このページで決めること道路・所有・利用・工事の条件を一枚にし、未確認事項を隠さず同じ条件で売却会社へ査定を依頼できます。

所有者が私道に面する家の持分・通行・掘削・接道を確認する様子
公開日 2026年8月31日法令・制度確認日 2026年8月31日執筆・編集 住まいのよりみち編集部読了目安 15

私道に面した家を売却するときは、登記資料で調べる民法上の権利関係と、自治体で判定を受ける建築基準法上の道路規制という、独立した二つの基準を切り分けます。民法(新しいタブで開きます)建築基準法(新しいタブで開きます)のどちらか一方だけでは判断できません。

持分がない土地であっても、通行権や配管の利用根拠を確かめたり、現況のまま売却したりする選択肢を検討できます。反対に持分を持っていても、公道に出るまでの途中に他人が単独で所有する区画を挟んでいたり、工事に共有者同士の同意が必要だったりして、手続きに手間がかかる場面もあります。

この記事では、査定や売却活動に入る前に、法務局の資料や役所の指定図書、そして現地の状況を突き合わせて権利と建築条件を確かめ、不動産会社の査定担当者へそのまま手渡せる確認表をまとめる手順を解説します。

登記の権利・課税上の認定・役所の道路種別を切り分けて特定する

私道に関する混乱の多くは、土地の所有関係、固定資産税の課税認定、そして建築基準法上の道路規制を混同することから起こります。これらは根拠となる法令も確認する窓口もまったく異なる、それぞれ別の制度です。

法務局の登記事項証明書に地目として「公衆用道路」と記載されていても、当然に固定資産税が非課税になっているとは限りません。また、建築基準法上の道路に該当するとは限らず、建築上の道路として認められる保証もありません。登記の地目は現況の利用状況を示す表示登記に過ぎません。固定資産税が非課税になるかどうかは自治体による公共性の認定に基づいて判断され、建築上の道路指定は特定行政庁が建築基準法に基づいて行います。

道路部分の権利関係を特定する際は、法務局と役所で次の手順に沿って確認を進めます。

  • 法務局で自宅の敷地と前面道路部分の公図(地図・地図に準ずる図面)を取得し、公道へ出るまでの経路上にある道路の地番を漏れなく特定します。
  • 特定した道路地番すべての登記事項証明書(全部事項証明書)を取得し、表題部の地積、権利部(甲区)の所有者氏名や持分割合、権利部(乙区)の地役権設定などを確認します。
  • 市区町村役場の建築指導窓口やWeb閲覧システムで指定道路図や指定道路調書を照合し、その私道が建築基準法第42条のどの道路種別に該当するかを調べます。

特定行政庁による道路情報の公開状況や調書の整備基準は、国土交通省「建築基準法上の道路情報の整備」(新しいタブで開きます)を通じて推進されています。たとえば横浜市「建築基準法の道路について」(新しいタブで開きます)が案内しているように、現地の道が建築基準法上の道路かどうか、第何条の道路に該当するかは各自治体の専門窓口で確定させる必要があります。

私道の所有形態と売主の権利関係を二段階で整理する

前面私道は、道路全体の所有形態と、売主が持つ持分・利用権を分けて確認します。民法(新しいタブで開きます)上の共有・通行・設備設置の扱いと、各筆の登記事項証明書を照合してください。

表:道路全体の所有形態、権利の概要、売主の権利確認事項、売却時の主な注意点
道路全体の所有形態権利の概要売主の権利確認事項売却時の主な注意点
共有持分型1筆または複数筆の私道を近隣住民などで共有している形態持分割合を持っているか、持分価格の過半数による管理行為の成立条件を満たせるか通行そのものをめぐる争いは起きにくい傾向がありますが、配管掘削や舗装工事の合意を取り付ける際に共有者間の協議が必要になります。
分筆単独型(相互持合いなど)私道が敷地ごとに分筆され、各自が自宅前区画などを単独で所有している形態自宅前区画の所有権があるか、公道へ出るまでの他人の区画に対する通行権や掘削承諾があるか自宅前の区画に所有権があっても、他人が所有する区画に対する通行権や掘削利用権が確保されているかを別途確認する必要があります。
第三者単独型旧地主、開発事業者、特定の近隣住民などが道路全体を単独所有している形態売主側の持分はありません。地役権登記の有無、過去の承諾書や協定の有無を確認します私道所有者へ連絡を取り、通行や掘削に関する書面承諾を取得できるか、承諾料の支払いが必要かなどを確認します。
未確定・その他相続登記が未了のまま放置されている形態や、所有者の一部が所在不明の形態売主側の持分の有無のほか、公図や戸籍の調査による現所有者の特定状況相続人を探したり法定手続きを行ったりするのに時間を要する場合があるため、早い段階で専門家と連携して権利関係を精査します。

分筆単独型では、手持ちの登記識別情報が自宅前の一筆だけを指している場合、公道までに通過する他人所有の区画について別の権原が必要です。民法(新しいタブで開きます)上の通行・設備設置に関する規定と、地役権登記や承諾書の有無を区画ごとに確認してください。

建築基準法上の道路種別と接道義務の判定基準を調べる

建物の建て替えを行うには、建築基準法第43条本文に定められた接道義務を満たす必要があります。都市計画区域などの適用区域内では、敷地が幅員4メートル以上の同法上の道路に2メートル以上接していなければなりません。敷地がどれほど広く道に接していても、その道が同法上の道路でなければ原則として建て替えができません。また、特定行政庁が指定する区域での幅員6メートル要件や、自治体の安全条例などによる接道長さ・幅員の加重要件が設けられている場合もあるため、自治体窓口での確認が欠かせません。

私道に関連する主な道路種別は、e-Gov法令検索「建築基準法」(新しいタブで開きます)第42条により次のように規定されています。

  • 第42条1項5号道路(位置指定道路):特定行政庁から道路としての位置の指定を受けた私道です。開発分譲地などで築造され、道路指定図面や指定番号が役所に保管されています。
  • 第42条2項道路(みなし道路):建築基準法の適用時に現に建築物が立ち並んでいた幅員4メートル未満の道で、特定行政庁が指定したものです。建物を建築する際は、原則として道路中心線から水平距離で2メートル(側方が崖や川などの場合は反対側境界線から4メートル)後退(セットバック)する必要があります。なお、幅員の下限や後退基準は同法第42条2項・6項および当該自治体の指定条件によって異なるため、一律に判断せず窓口の指定調書で確認します。
  • 第42条1項2号・3号道路:都市計画法や土地区画整理法などの公法上の認可に基づき築造された道路(2号)、または基準時以前から存在する幅員4メートル以上の道(3号)です。
  • 建築基準法外の通路等:建築基準法第42条の道路に該当しない通路です。公図上で里道・水路などの「法定外公共物」に分類される土地であっても、それだけで直ちに同法42条の道路から除外されるわけではないため、個別の指定状況を調べる必要があります。同法上の道路でない通路に面している敷地は原則として再建築不可ですが、建築基準法第43条第2項第1号の認定を受けるか、同項第2号に基づく特定行政庁の許可(建築審査会の同意)を得ることで、例外的に建築が認められる場合があります。

あわせて、建築基準法第45条(新しいタブで開きます)は私道の変更・廃止の制限を定めています。敷地が接道要件を満たさなくなる変更や廃止は、特定行政庁が禁止または制限できるため、自治体へ確認してください。

建築基準法第42条(新しいタブで開きます)に基づく道路後退の範囲は、建築規制上の敷地面積計算へ影響します。ただし、後退部分の所有権や登記地積が自動的に移転・変更されるわけではありません。舗装や維持管理の扱いも自治体で確認してください。

通行権とライフライン設備利用の法的根拠を把握する

私道に面した家の売買では、購入後に円滑に通行できるかや、給排水・ガスなどの配管工事が可能かどうかが大きな関心事となります。これらには民法の相隣関係や共有に関する規定が深く関係しています。

他人の土地に囲まれて公道に通じていない土地(袋地)の所有者は、e-Gov法令検索「民法」(新しいタブで開きます)第210条に基づき、公道へ出るために他の土地を通行する権利(囲繞地通行権)を持ちます。ただし、通行できる場所や方法は通行権者にとって必要であり、かつ他の土地への損害が最も少ないものに限られます。また、原則として通行によって生じる損害に対して償金を支払う義務があります(土地の分割や一部譲渡によって袋地が生じた場合は、民法第213条により無償となります)。

囲繞地通行権がある場合でも、自動車や大型工事車両による通行、道路全幅の自由な利用までが無条件に法的に保障されるわけではありません。通行できる車両の範囲や通路幅について私道所有者との間に見解の相違がある場合は、自己判断で通行範囲を押し広げず、弁護士などの専門家に相談して権利の範囲を確かめる必要があります。

電気、ガス、水道などのライフライン引き込みに関しては、2023年4月1日施行の改正民法で権利関係が明確に整理されました。これにより「設備設置権」と「設備使用権」が規定されています(国土交通省(法務省民事局資料)「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直しについて」(新しいタブで開きます)参照)。

  • 成立要件(民法第213条の2第1項):他の土地に設備を設置しなければ、または他人が所有する設備を使用しなければ、電気、ガス、水道水の供給その他継続的給付を受けることができない場合に認められます。損害が最も少ない場所と方法を選ばなければなりません。
  • 設備設置権と設備使用権:他人の土地に導管などの設備を新設する権利(設備設置権)と、他人がすでに引き込んでいる導管などの既存設備に接続して使用する権利(設備使用権)に分かれます。
  • 事前通知義務:あらかじめ、その目的、場所、方法を、他の土地の所有者およびその土地を使用している者(借地人など)、または設備の所有者に通知する必要があります。
  • 費用および償金:他人の土地に設備を設置することで損害が生じた場合は償金を支払う義務があり、他人の設備を使用する場合はその利益を受ける割合に応じて修繕費用などを分担します。

下水などの排水設備についても同様の権利関係が整理されていますが、管轄自治体の下水道条例などとの整合が必要です。また、民法上の権利として認められることと、供給事業者(水道局やガス会社)が工事を着工する手続きは別です。妨害や争いがある状況で強行着工はできません。多くの事業者要綱では私道所有者への事前通知や書面承諾の提出を求める実務運用が取られているため、事業者が定めた要領を事前に確かめておく必要があります。

私道を複数人で共有している場合の道路工事は、民法上の共有規定に基づいて判断します。

  • 保存行為(民法第252条第5項):小規模な舗装の補修など、原状を維持・回復する工事は各共有者が単独で行うことができます。
  • 管理行為(民法第252条第1項):日常的な利用規則の決定や、形状・効用の著しい変更を伴わない修繕・舗装替えなどは、共有者の「持分価格の過半数」(頭数の過半数ではありません)で決定します。
  • 変更行為(民法第251条第1項):私道の性質や効用を根本から変えるような著しい変更には、共有者全員の同意が必要です。

共有者の一部が相続未登記で所在が分からない場合や、賛否を明らかにしない場合の枠組みも整備されています。民法に基づき、裁判所が関与する手続き(所在等不明共有者や賛否不明共有者に関する裁判所の決定手続)を利用できます。ただし、これは裁判所の判断を経る厳格な制度であり、反対者を無条件に除外できる制度ではありません。

通行・掘削承諾書の性質と承継条項の限界を確認する

金融機関が買主の住宅ローン審査などで通行・掘削承諾書の提出を求めることがあるのは、将来的な工事妨害や通行トラブルによって担保物件の価値が下がるのを防ぐためです。

過去に取り交わされた承諾書を確認する際や、新たに作成を依頼する際は、以下の条項が含まれているかを点検します。

  • 通行の範囲:歩行だけでなく自家用車や建て替え時の工事車両の通行を認めているか
  • 掘削および埋設の範囲:上下水道、都市ガス、通信回線などの新設・修繕に伴う地下掘削および導管埋設を認めているか
  • 原状回復義務:工事完了後に道路舗装を元の状態に復旧する義務が明確になっているか
  • 権利承継の定め:土地の所有権が第三者へ移転した場合の効力について定めがあるか

承継条項に関する重要な法的注意点として、相続などの包括承継と、売買や贈与などの特定承継の違いがあります。承諾書に「甲および乙が第三者へ権利を承継した場合も効力を及ぼす」といった文言が入っていても、それは契約当事者間の債権的な合意にとどまります。私道所有者が将来その私道を第三者へ売却した場合、新しい所有者に対してその承諾書の効力を無条件に対抗できる物権的な効力を持つわけではありません。

第三者に対する確実な対抗力を備えるには、通行地役権の設定登記などの手段が検討されます。既存の承諾書が将来の所有者変更に対してどの程度の拘束力を持つかは、司法書士や弁護士などの専門家に判断を仰ぐ必要があります。

承諾書の押印にあたり、私道所有者から承諾料(通称:ハンコ代)の支払いを求められるケースがあります。これには法的に定められた一律の相場はなく、当事者間の合意によって決まります(民法第213条の2に定める法定の償金とも性質が異なります)。また、相続人が多数に分かれている場合の承諾取得には時間を要することがあるため、売主自身が直接交渉を進める前に、仲介を依頼する不動産会社や専門家に進め方を相談することが安全です。

現地調査で図面と現況(幅員・配管・境界・維持費)の食い違いを突き合わせる

机上の公図や登記事項証明書、役所の指定道路図を見るだけでなく、現地に足を運んで現況を照合することが欠かせません。国土交通省「重要事項説明書参考様式」(新しいタブで開きます)でも、私道に関する項目は買主へ説明すべき重要事項に位置付けられています。私道負担面積や負担金のほか、飲用水・ガス・排水施設の整備状況、配管が他人の敷地を通過しているかなどを確認します。

現地調査では、登記資料や公図、地積測量図、境界確認書、指定道路図書のそれぞれの役割を切り分けながら、次の4項目を確認します。

  • 道路幅員と境界の予備確認:現地の舗装幅や側溝の内側・外側寸法を巻尺で測り、電柱、擁壁、植栽、塀などの障害物を記録します。ただし、現地の舗装端がそのまま法的な道路境界や建築基準法上の幅員と一致するとは限りません。現況測定は予備調査として位置付け、法的な道路境界や後退線は建築指導窓口の指定図書で確認します。
  • 境界標と境界確認資料:敷地と私道の境界、および私道と向かいの宅地との境界に、金属標、コンクリート杭、刻みなどの境界標が存在しているかを確認します。登記事項証明書だけで境界線は確定できないため、法務局の地積測量図や既存の境界確認書・筆界確認書の有無を調べ、必要に応じて土地家屋調査士へ相談します。
  • 埋設管の引込経路:上水道メーター、下水の最終枡、雨水枡、ガス管の位置を確認します。前面私道の本管から直接引き込まれているか、それとも他人の敷地を経由している(他者地通過)かを、水道局の給水台帳やガス会社の配管図面と突き合わせて照合します。
  • 私道の維持修繕費と清掃負担:私道舗装の補修費用、街灯の電気代、側溝の清掃などを近隣でどのように分担しているかを確認します。私道組合の規約や町内会での取り決めの有無を聞き取って確かめます。

住宅ローンの融資条件と不動産会社の対応実績を査定時に確認する

買主が住宅ローンを利用できるかどうかは売却の成否を左右するため、金融機関の融資要件と不動産会社の私道対応力を査定段階で同時に見極める必要があります。金融機関によって担保評価や提出書類の基準は異なり、個人の属性や物件条件によっても判断が分かれます。一律の融資要件として断定せず、相談先の金融機関に事前確認すべき項目として整理します。

  • 接道条件:建築基準法第42条・第43条(新しいタブで開きます)に照らし、道路種別、接道長、認定・許可の要否を自治体へ確認する
  • 私道の権利資料:私道持分の有無、または持分がない場合に求められる代替書類(通行・掘削承諾書、地役権設定登記など)の要件
  • 承諾書の要求水準:承諾書が必要とされる場合、署名押印を求める対象者(私道所有者全員か、過半数か)、実印の押印や印鑑証明書の添付が必要か
  • 配管の権利状態:公設管から敷地に至る配管が他人の敷地を経由している場合、その土地所有者との合意書や覚書の提出が求められるか

不動産会社へ査定を依頼する際は、次の点について担当者の見解と対応力を確認します。

  • 「この地域で私道持分がない物件や分筆型の私道物件を取り扱い、金融機関の融資承認を得た実績があるか」
  • 「通行・掘削承諾書の取得や私道所有者の調査が必要になった場合、不動産会社がどこまでサポートできるか」
  • 「権利整理を行って一般市場で売却する場合の見込み手取り額と、現況のまま売却する場合の提示額の差をどう試算するか」

費用・期間・手取り額から3つの売却ルートを総合比較する

前面私道の権利関係や近隣住民との関係性に応じて、売却方法は大きく3つのルートに分かれます。根拠のない相場観や一律の優劣で決めるのではなく、解決にかかる費用や所要時間、売却後の手取り額、そして権利整理の実現性を総合して判断します。

表:売却ルート、主な内容、メリット、検討事項・留意点
売却ルート主な内容メリット検討事項・留意点
A. 私道持分の追加取得前面私道の所有者から持分の一部を買い取り、自宅敷地と合わせて売却する敷地と私道持分が揃うため買主側の権利関係が明確になり、住宅ローン審査の選択肢が広がりやすい持分の購入代金、測量費、登録免許税、司法書士報酬などの費用がかかります。所有者の売却合意が得られない場合は成立しません。
B. 通行・掘削承諾書の取得持分は取得せず、現所有者から通行・掘削に関する承諾書を取得して売却する持分を買い取るよりも初期費用を抑えられる場合があります。金融機関所定の承諾書が整えば融資相談が進めやすくなります承諾料の支払いを求められる場合があり、共有者が多数存在するときは交渉に時間を要します。承諾書の承継効力について専門家の確認が必要です。
C. 現況のまま売却(現金買主・買取事業者等)持分取得や承諾書取得を行わず、現状の権利関係のままで売却する近隣との交渉や多額の費用負担をかけずに早期の売却手続きへ進められます住宅ローン利用に制約が出る場合があり、購入希望者が限られるため売却提示額が低くなる傾向があります。

現況有姿売買と契約不適合責任の免責は区別する必要があります。「現況のまま引き渡す」という取り決めであっても、それだけで法的な契約不適合責任が自動的に免責されるわけではありません。また、売主が免責特約を結ぶ場合であっても、民法第572条の規定により「知りながら告げなかった事実」については責任を免れません。私道に関する既知の不具合や過去のトラブルは、正直に査定担当者へ告知して重要事項説明書に記載する必要があります。

査定担当者へ渡す「私道売却の事前確認表」をまとめる

不動産会社へ査定を依頼する際、あらかじめ判明している事実と未確認の事項を整理した「事前確認表」を提出することで、査定の精度が高まり後のトラブルを防げます。

1. 物件および前面私道の基本情報

国土交通省の道路情報整備案内(新しいタブで開きます)と自治体の指定道路図を参照し、確認日を記録します。

表:確認項目、記入欄・確認状況、根拠資料・確認先・確認日
確認項目記入欄・確認状況根拠資料・確認先・確認日
自宅の所在地・地番・家屋番号[所在地:            ]登記事項証明書(確認日:202 年 月 日)
前面私道の地番(公図上の全地番)[地番:            ]公図(確認日:202 年 月 日)
私道の登記地目[ 公衆用道路 ・ 宅地 ・ その他( ) ・ 未確認 ]私道登記事項証明書
固定資産税の課税状況[ 非課税 ・ 課税 ・ 調査中 ]固定資産税課税明細書・自治体税務窓口

2. 私道の所有形態と売主の権利状態

表:確認項目、記入欄・確認状況、根拠資料・確認先・確認日
確認項目記入欄・確認状況根拠資料・確認先・確認日
売主の私道持分[ あり(持分割合: / ) ・ なし ・ 調査中 ]登記識別情報・登記事項証明書
道路全体の所有形態[ 共有持分型 ・ 分筆単独型 ・ 第三者単独型 ・ その他・不明 ]公図および私道登記事項証明書
他人所有区画の通過[ なし(前面が公道直結) ・ あり ・ 調査中 ]公図・地番突合
私道所有者の状況[ 近隣住民で連絡可能 ・ 不動産業者 ・ 相続未了または所在不明あり ・ 未調査 ]住民ヒアリング・登記事項証明書

3. 建築基準法上の道路判定と接道状況

表:確認項目、記入欄・確認状況、根拠資料・確認先・確認日
確認項目記入欄・確認状況根拠資料・確認先・確認日
建築基準法上の道路種別[ 42条1項5号 ・ 42条2項 ・ その他42条道路 ・ 42条外の通路 ・ 窓口確認中 ]自治体建築指導窓口・指定道路調書
位置指定番号および指定年月日[指定番号:第 号 / 指定日: 年 月 日 ・ 該当なし ]自治体建築指導窓口
セットバック(道路後退)[ 要(後退見込み面積:約 ㎡) ・ 不要 ・ 後退完了済 ・ 調査中 ]指定道路調書・現地確認
資料上の指定道路幅員[ 指定幅員:約 m ・ 記載なし・確認中 ]指定道路調書
接道長さ(敷地が道に接する間口)[ 間口:約 m ・ 調査中 ]地積測量図・現地測定

4. 通行・掘削の承諾および合意書

表:確認項目、記入欄・確認状況、根拠資料・確認先・確認日
確認項目記入欄・確認状況根拠資料・確認先・確認日
過去の通行・掘削承諾書[ あり ・ なし ・ 不明 ]手持ち書類・過去の売買契約書類
承諾書の承継条項[ 記載あり ・ 記載なし ・ 書面なし・未確認 ]既存の承諾書面
通行地役権の設定登記[ あり(登記済) ・ なし ・ 調査中 ]私道の登記事項証明書(乙区)

5. ライフライン・配管の埋設経路

表:確認項目、記入欄・確認状況、根拠資料・確認先・確認日
確認項目記入欄・確認状況根拠資料・確認先・確認日
上水道の引込経路[ 前面私道本管から直接 ・ 他人敷地を経由 ・ 公道から単独引込 ・ 調査中 ]水道局給水台帳・配管図
下水・排水の接続方式[ 公共下水本管接続 ・ 合流式/分流式 ・ 浄化槽 ・ 調査中 ]下水道台帳・役所窓口
排水管の他人敷地通過[ なし ・ あり ・ 調査中 ]下水道台帳・現地枡確認
都市ガス配管[ 前面道路本管あり ・ 他人地経由 ・ プロパンガス ・ 調査中 ]ガス会社配管図

6. 現況・境界・維持管理

表:確認項目、記入欄・確認状況、根拠資料・確認先・確認日
確認項目記入欄・確認状況根拠資料・確認先・確認日
現地測定幅員(予備測定)[ 現況有効幅員:約 m / 支障物(電柱等):あり・なし ]現地巻尺測定(確認日:202 年 月 日)
境界標の確認状況[ 全て確認 ・ 一部確認 ・ 見当たらず ・ 未確認 ]現地目視確認
地積測量図・筆界確認書[ 地積測量図あり ・ 筆界確認書あり ・ なし・未確認 ]法務局備付図面・手持ち資料
私道の維持修繕費負担[ 費用負担あり(年額約 円) ・ 都度分担 ・ 規約なし・負担なし ]私道組合規約・近隣ヒアリング

この確認表に「公図」「登記事項証明書」「役所の指定道路図」「地積測量図」を添えて提示することで、未確認の事項が明確になり、不動産会社は必要な調査手順を正確に組み立てられます。

権利と建築条件を切り分けて査定へ進む

私道に面した家を売却する際は、登記上の所有権と役所の建築規制という二つの軸を別々に整理します。

  • 私道持分がない場合でも、地役権や承諾書、現況売却などの選択肢があるため、売却を諦める必要はありません。
  • 共有持分がある場合でも、分筆形態の違いや、工事で掘削するときの共有者合意ルールを把握しておく必要があります。
  • 登記地目が公衆用道路であっても、自治体窓口の指定道路調書で建築基準法上の道路種別を必ず確認します。
  • 配管の掘削や通行については民法上の根拠を把握した上で、供給事業者の工事手続きや提出書類の要領を事前に確かめておきます。
  • 現地調査で図面と現況の食い違いを確かめ、三つの売却ルートの費用や手取りを比較した上で、事前確認表を添えて査定へ臨みます。

判明している資料を手元に揃え、事前確認表に記入した上で、私道物件の取引実績を持つ不動産会社へ査定を相談してください。

参照資料

e-Gov法令検索「建築基準法」参照日 2026年8月31日e-Gov法令検索「民法」参照日 2026年8月31日国土交通省「建築基準法上の道路情報の整備」参照日 2026年9月15日国土交通省(法務省民事局資料)「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直しについて」参照日 2026年9月15日国土交通省「重要事項説明書参考様式」参照日 2026年9月15日横浜市「建築基準法の道路について」参照日 2026年9月15日