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太陽光発電のない一戸建てで、営業や広告から「何年で元が取れます」と聞いたとします。自宅でも、これから住む実家でも、太陽光発電で元が取れるかは家ごとの数字で変わります。見積書と電気の明細、あと何年住むか、屋根の状態がそろえば、回収の見当は自分でつけられます。
太陽光発電で元が取れるかは、何と何を比べる?
太陽光で発電した電気は、まず家の中で使われます。使いきれずに余った電気は、買取先(その電気を買い取っている会社)に売るのがふつうの形です。蓄電池がなければ、余った電気をためておいて夜に使うことはできません(出典:京セラ 費用対効果。参照資料の一覧へ移ります)。
そのため、太陽光から入ってくるお金は2つに分かれます。1つは、家で使う分(自家消費)だけ、電力会社から買う電気が減ることです。もう1つは、売った分の電気の代金です。
同じ電気を、両方に数えないようにしてください。家で使った1kWh(キロワット時。電気の量の単位)は、もう売れないからです。発電した量のすべてに買う電気の値段を掛けると、見込みは実際より大きくなります。
一方で、出ていくお金もあります。最初に払う総額(工事費込みで、補助金を引いた額)と、点検や機械の交換にかかる維持費です。
元が取れるかは、1年ごとに「減る電気代+売る分の収入−維持費」を足していき、総額を上回る年で決まります。売る値段は5年目から下がるため、総額を1年目の効果で割るだけでは年数を出せません。結果は家ごとに違うので、この記事の数字は目安として読んでください。
設置費用の目安は、1kWあたりいくら?
大きさの違う設備どうしは、容量1kW(キロワット。発電する力の大きさ)あたりの値段にすると比べられます。
設置費用には、パネルのほかに、パワコンや架台、工事費も入ります。パワコンは発電した電気を家で使える形に変える機械で、架台はパネルを屋根に固定する台です。機械の代金だけの値段と、工事込みの総額は比べられません。
公表されている1kWあたりの目安には、次の3つがあります(出典:東京電力EP 設置費用。参照資料の一覧へ移ります)。
| 数字 | 何の数字か | 1kWあたり |
|---|---|---|
| 今ある家に後から付けた場合 | 2025年の平均 | 30.1万円 |
| 新築の家に付けた場合 | 2025年の平均 | 28.9万円 |
| 国が買取の値段を決めるときの想定 | 2026・2027年度の計算用 | 25.5万円 |
25.5万円は、国の資料の想定の値として、京セラの解説が引いている数字です(出典:京セラ 費用対効果。参照資料の一覧へ移ります)。引用元の国の資料は、編集部では開いて確かめられていません。実際の平均や、個別の見積もりの額を表す数字でもありません。
この記事の読者に近いのは、今ある家に後から付けた場合の平均です。ただし、引用した解説では、税込みかどうかや、足場などの工事がどこまで入るかを確認できていません。容量を掛けた額を、そのまま自分の家の総額と考えないでください。回収の計算には、税込みの見積書の総額を使います。
補助金は、使えると確かめてから総額から引く
補助金を使えれば総額が下がり、回収は早まります。国・都道府県・市区町村の支援は、環境省の全国省エネ住宅支援検索ページで、都道府県と市区町村を選んで探せます。ただし、検索結果には公募が終わった事業も表示されることがあります(出典:環境省 検索ページ。参照資料の一覧へ移ります)。
金額や対象、受付の状況、契約や工事の前に申し込む必要があるかは、地域と年度で違います。制度を実施する自治体の公式ページと募集要領で確かめてから、記入表の総額から引いてください。受付を終えた制度や、条件の合わない制度の額は引けません。
年間の発電量と、家で使う割合はどう見積もる?
発電量の目安には、容量1kWあたり年に約1,000kWhという計算例があります(出典:太陽光発電協会 FAQ。参照資料の一覧へ移ります)。これは、真南向きで傾き30度にパネルを置いた条件の例です。実際の発電量は、地域やパネルの向き、傾きで変わります。
周りの山や建物、木、電柱などの陰がパネルにかかると、発電量は下がります(出典:太陽光発電協会 陰の影響。参照資料の一覧へ移ります)。隣に高い建物がある家では、計算例どおりにはならないと考えておきましょう。
発電した電気のうち、家で使う割合(自家消費率)も家ごとに違います。東京電力エナジーパートナーが国のデータを引いた解説では、家で使う割合の平均は35.2%、売る割合は64.8%です(出典:東京電力EP 電気代試算。参照資料の一覧へ移ります)。あくまで平均で、自分の家がこうなるという値ではありません。
割合を決めるのは、昼にどれだけ電気を使うかです。太陽光は夜に発電しないので、年間の発電量が使用量に近い家でも、夜の電気は買うことになります。昼に家にいる人が多い家ほど割合は上がりやすく、日中に留守が多い家では下がりやすくなります。
計算例として、5kWの太陽光で、平均どおり35.2%を家で使うとします。年間の発電量は、5kW×1,000kWhで5,000kWhです。そのうち家で使う分は1,760kWh、売る分は3,240kWhになります。
減る電気代と売電収入は、どの値段で計算する?
家で使う分には買う電気の値段を、売る分には売る電気の値段を掛けます。どちらも1kWhあたりの値段で、時期や契約によって変わります。
売る電気の値段は、5年目から下がる
住宅用(10kW未満)の太陽光では、余った電気を国の制度で決まった値段で買い取る期間が、合計10年間あります(出典:TEPCOホームテック FAQ。参照資料の一覧へ移ります)。この仕組みを、FIT(固定価格買取制度)と呼びます。2026年度に認定を受ける家の売る値段は、次のとおりです(出典:東京電力EP 電気代試算。参照資料の一覧へ移ります)。
| 期間 | 売る電気の値段(1kWhあたり) |
|---|---|
| 1〜4年目 | 24円 |
| 5〜10年目 | 8.3円 |
最初の4年を24円、続く6年を8.3円とする形は、2025年度の下半期から使われています(出典:京セラ 費用対効果。参照資料の一覧へ移ります)。24円が10年続くとする計算は誤りです。見積もりの売電収入が、5年目から下がる計算になっているかを確かめてください。
東京都環境局の資料にも、住宅用の24円(4年目まで)と8.3円(5〜10年目)の記載があります(出典:東京都環境局 Q&A。参照資料の一覧へ移ります)。
これから設置する設備の11年目以降の買取単価は、現時点では確定できません。いま買取期間を終えた家に示されている値段が、11年後も同じとは限らないからです。蓄電池の記事は、満了後の例として8.50円(東京電力エナジーパートナー、2026年9月30日時点)で計算しています。10年が終わった後の選び方は、買取期間が終わった太陽光の判断表で確かめられます。
買う電気の値段は、電力量料金に燃料費調整と賦課金を反映する
家で使う分で減る電気代は、1kWhあたりの買う電気の値段で計算します。東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bでは、2026年10月6日時点の値段は次のとおりです(出典:東京電力EP 従量電灯B。参照資料の一覧へ移ります)。
| 月の使用量 | 1kWhあたり(税込) |
|---|---|
| 120kWhまで | 29.80円 |
| 120kWh超〜300kWhまで | 36.40円 |
| 300kWh超 | 40.49円 |
このほかに、再エネ賦課金(再生可能エネルギーの買い取りの費用を、電気を使う人が負担するお金)もかかります。2026年度の単価は1kWhあたり4.18円で、2026年5月分から2027年4月分の電気料金が対象です(出典:中部電力ミライズ 賦課金単価。参照資料の一覧へ移ります)。買う電気の値段の中身は、蓄電池の元が取れるかを計算する記事にも同じ単価で書いています。
この記事の計算例では、減る電気がすべて36.40円の段階に当たると置き、4.18円を足した40.58円を使います。燃料費調整額(燃料の値動きで毎月変わる加算や減算)は0円と置いた条件です。基本料金は契約のアンペアで決まります。アンペアを変えない通常の月は変わらないため、この例の削減額には入れません。
電気の値段は電力会社と契約で違い、燃料費調整額や賦課金も変わっていきます。今の値段が、回収の年まで続くとは限りません。
自分の家では、減らせる使用量に当たる電力量料金を、明細で確かめて使います。燃料費調整額と再エネ賦課金に加え、料金の値引きを受けていればその分も反映してください。明細の単価にすでに含まれている項目は、重ねて足し引きしません。段階料金をまたぐ分は、段階ごとに分けて計算します。
詳しく:段階料金と、2026年11月の料金の見直し
詳しい説明を開く
従量電灯Bは、月に使う量が増えるほど1kWhの値段が上がる3段階の料金です。太陽光で買う量が減るときは、上の段階で買っていた分から減っていきます。そのため、使用量の少ない家では、減る1kWhの値打ちが計算例より小さいことがあります。
東京電力エナジーパートナーは、2026年11月1日から料金を見直すと公表しています(出典:東京電力EP 低圧の見直し。参照資料の一覧へ移ります)。見直し後の従量電灯Bの電力量料金は29.85円、36.45円、40.54円で、どの段階も0.05円上がります(出典:東京電力EP 単価表。参照資料の一覧へ移ります)。
点検とパワコン交換の費用も差し引く
太陽光は、付けた後にも費用がかかるものです。パワコンの使用期間の目安は10〜15年で、実際の交換の時期は機種や使う環境で変わります(出典:太陽光発電協会 耐用年数。参照資料の一覧へ移ります)。パネルの目安は20年以上ですが、その間に故障せず、性能も変わらないという意味ではありません。
点検は、設置から1年目、その後は4年に1度が勧められています(出典:太陽光発電協会 長く使うために。参照資料の一覧へ移ります)。日ごろは機器の外観や異音、においを見て、月に1度、発電量を前年の同じ月と比べる方法も案内されています。これは業界団体が勧める目安なので、自分の設備の点検の決まりは施工会社に確かめてください。
費用の目安は、2026年の国の資料にある、5kWの設備を想定した数字です。京セラの解説が、この数字を引いています(出典:京セラ メンテナンス。参照資料の一覧へ移ります)。ただし、引用した解説では、税込みかどうかや、足場・撤去処分などをどこまで含むかを確認できていません。自分の家の計算には、工事費と消費税を含む点検・交換の見積もりの額を使ってください。
| 項目 | 5kWの設備の想定 |
|---|---|
| 定期点検 | 1回 約3.8万円 |
| パワコン交換 | 38.4万円(20年に1回を想定) |
| 点検と交換を1年あたりにならした額 | 1kWあたり年5,740円 |
20年に1回は費用を計算するための想定で、20年間交換しなくてよいという意味ではありません。パワコン交換を42.3万円とする別の解説もあります(出典:中部電力ミライズ。参照資料の一覧へ移ります)。調べた時点や容量、工事の範囲で、金額は変わると考えてください。パワコン交換の費用の記事には、東京都の案内として約27万円も載せています。
国が買取の値段を決めるときの維持費の想定は、1kWあたり年3,000円です。5,740円とは数字の作り方が違い、どちらも毎年の実際の支払額ではありません。この記事の計算例では、点検と交換をまとめて見込める5,740円を使います。
交換の時期の見分け方や、交換のときの手続きは、パワコン交換の費用の記事にまとめました。
何年で元が取れる?記入表で計算する
ここまでの数字を、記入表にまとめて計算します。出てくるのは、電気の値段や使い方が今のまま続くと置いた、単純な目安です。手順は次の4つです。
- 1年の差し引き=家で使う分×買う電気の値段+売る分×売る電気の値段−維持費
- 売る値段が変わる5年目と11年目で期間を分け、期間ごとに1年の差し引きを出す
- 1年目から差し引きを足していき、総額を上回る年を探す(これが回収年数)
- 回収年数を、あと何年住むかと、屋根を直すまでの年数と比べる
自分の家の数字を記入表に入れる
手元の見積書と電気の明細を見ながら、「自分の家」の欄を埋めます。例の欄は、この後の計算例で使う値です。
| 記入する数字 | 例 | 自分の家 |
|---|---|---|
| 総額(工事費込み、補助金を引いた額。利息があれば足す) | 見積書の額 | 万円 |
| 容量 | 5kW | kW |
| 年間の発電量 | 5,000kWh | kWh |
| 家で使う分 | 1,760kWh(35.2%) | kWh |
| 売る分 | 3,240kWh | kWh |
| 買う電気の値段(燃料費調整・賦課金を反映) | 40.58円 | 円 |
| 売る電気の値段 | 1〜4年目24円、5〜10年目8.3円 | 円 |
| 維持費(1年あたり) | 28,700円 | 円 |
| あと何年住むか | — | 年 |
| 屋根を直すまでの年数 | — | 年 |
年間の発電量は、見積書にある発電の見込みから入れます。家で使う分は、昼に使う電気の量から考えますが、分からなければ平均の35.2%を仮に置いてください。仮の値を置いた欄には、その旨を表の横に書き残しておきます。
計算例:5kWの太陽光の10年間
条件は、ここまでの例の値です。5kWの太陽光で年5,000kWhを発電し、1,760kWhを家で使い、3,240kWhを売るとします。買う電気は40.58円、維持費は年28,700円で、どれも毎年同じと置きます。
| 項目 | 計算 | 1〜4年目(1年) | 5〜10年目(1年) |
|---|---|---|---|
| 家で使う分で減る電気代 | 1,760kWh×40.58円 | 71,421円 | 71,421円 |
| 売る分の収入 | 3,240kWh×24円/8.3円 | 77,760円 | 26,892円 |
| 維持費 | 5,740円×5kW | −28,700円 | −28,700円 |
| 1年の差し引き | — | 120,481円 | 69,613円 |
円未満は四捨五入しています。10年間の合計は、1年約12.0万円の4年分と、1年約7.0万円の6年分で、約90万円です。維持費をならした額での試算です。この条件で10年のうちに取り戻せるのは、総額が約90万円までの場合だと分かります。
総額がこれを超えるなら、残りは11年目より後に取り戻すことになります。11年目からの売る値段は確定できないため、計算は仮の話です。売る分を0円と置くと、1年の差し引きは71,421円から維持費を引いた約4.3万円になります。
たとえば、総額が10年間の合計を30万円上回るとします(仮の数字です)。30万円を約4.3万円で割ると約7年なので、11年目からさらに約7年強かかる計算です。年末ごとに数えると、18年目に当たります。
表の既築の平均30.1万円に5kWを掛けた約150万円なら、上回る額は約60万円で、約14年強かかる計算です。どちらも、この条件で売る分を0円とした遅いほうの目安です。売る値段が付けば、その分だけ早まります。
この例には、発電量が年ごとに少しずつ下がる分、燃料費調整額、ローンの利息、料金の見直しは入れていません。最後に、出た回収年数を、あと何年住むかと屋根を直すまでの年数の短いほうと比べます。
回収年数より住む予定が短いなら、住まなくなる年から、家で使う分と売る分を見直して計算し直します。屋根の改修が先に来るなら、パネルを外して付け直す費用も、その年の費用に加えてください。住む年数や屋根を直す年だけを理由に、元が取れないとは決められません。
詳しく:維持費をならした額と、実際に払う年のずれ
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計算例の28,700円は、20年間の点検とパワコン交換の費用をならした額です。点検5回(38,000円×5)と交換1回(384,000円)の合計574,000円を、20年で割りました。
実際には、点検は1年目とその後4年ごとに、交換は1度にまとめて払います。交換の年が早く来れば、その年の差し引きは大きく減り、回収の年も後ろにずれます。ならした額を使うときに、交換費をもう一度足すと二重に数えることになります。
元が取れにくい家と、付けないという判断
計算の結果は家ごとに違いますが、元が取れにくくなる条件はあります。当てはまるものが多いほど回収年数は延び、計算の前提も崩れやすいと考えてください。
あと何年住むかが短い、空き家になる見込みがある
太陽光で電気代が減るのは、その家で電気を使う人がいる間だけです。住み替えや施設への入居で空き家になり、電気をほとんど使わなくなれば、家で使う分で減る電気代は小さくなります。主な収入は、売る分の代金になります。
計算例の家が、6年目から空き家になったとします。家で使う電気がなく、全量の5,000kWhを売れると仮定します。8.3円なら41,500円で、維持費を引くと1年約1.3万円です。数年のうちに住まなくなる家では、回収年数に届く前に家を離れることになりかねません。
家を売るときの評価額は、不動産会社に確かめてください。上乗せされるか分からない額は、回収の計算に入れないでおきます。親の家に住み替えるかどうかが決まっていないなら、空き家になった実家に住む前の確認表で先に考えておきましょう。
屋根が傷んでいる、近く葺き替えが要る
家の状態によっては、屋根や建物の補強が要る場合や、付けられない場合があります(出典:太陽光発電協会 設置できる屋根。参照資料の一覧へ移ります)。パネルの年数の目安が20年以上でも、屋根があと何年もつかは、そこからは分かりません。付けた後に葺き替え(屋根材の張り替え)が来て、パネルを外して付け直す必要があるなら、その見積もりの費用も加えます。
この記事の資料からは、屋根の残りの年数は分かりません。屋根の材質と傷み、雨漏りの跡は、築年数の古い家に太陽光を付ける前の確認表の順で確かめてください。屋根を先に直すか、葺き替えと同時に付けるかも、そこで比べられます。
陰がかかる、向きや傾きが合わない
発電量は、地域やパネルの向き、傾き、陰で変わります。見積もりの発電の見込みが、自分の家の向きと周りの陰を入れた数字かを見てください。真南向きの計算例をそのまま当てはめた見込みなら、実際は少なくなるおそれがあります。
昼に家で使う電気が少ない
日中に留守が多い家では、発電の多くが売る分に回ります。5年目からの売る値段は8.3円で、買う電気の40.58円よりずっと低い値です。そのため、家で使う割合が低いほど、1年の差し引きは小さくなります。
計算例の条件で、売る分のうち100kWhを家で使う分に回したとします。1年の差し引きは、1〜4年目で1,658円、5〜10年目で3,228円増える計算です。反対に、家で使う分が100kWh減れば、同じだけ減ります。
洗濯機や食器洗い機のように時間をずらせる家電を、余った電気が出る昼に回すと、家で使う割合を上げられることがあります。
計算で取り戻せないなら、付けないのも1つの答え
住まなくなった後の分や、屋根を直す費用まで入れて計算し直しても取り戻せないなら、今は付けないのも1つの答えです。次の家では、見積もりの前にこの点を確かめてください。住む年数が短い家(数年のうちに売る家を含む)、空き家になる見込みの家、屋根が傷んでいる家です。
蓄電池を一緒に付ける場合は、蓄電池の総額と、それで減る電気代を別に計算します。手順は太陽光に蓄電池を足すときの記入表にあります。この記事の計算は、太陽光だけを付ける場合のものです。
「初期費用0円」をうたうリースなどは、払い方も設備の持ち主も違うため、この記事の計算はそのまま当てはまりません(出典:横浜市 Q&A。参照資料の一覧へ移ります)。仕組みと契約で確かめる点は、太陽光のリース・0円設置の記事で扱っています。
見積書で確かめる点と、営業の回収年数の聞き方
記入表で取り戻せる見込みがありそうなら、次は見積書で、自分の家の数字を知る段階です。1kWあたりの目安や平均の割合で出した年数は、見当にすぎません。見積書で確かめる点は、次のとおりです。
- 工事費を含めた総額と、パネル・パワコン・架台・工事費の内訳
- 容量(kW)と、年間の発電の見込み
- 発電の見込みの前提(地域、向き、傾き、陰、年ごとの発電量の低下)
- 家で使う割合をどう置いたかと、その根拠
- 売る値段が5年目から下がる計算になっているか
- 点検・交換・足場などの費用と、ローンなら利息を含めた支払いの合計
- 補助金を引く前の値段か、引いた後の値段か
見積もりが届いたら、記入表の数字を置きかえて計算し直します。見積もりが2つ以上そろったら、同じ表に並べて比べます。取り戻せないと分かれば、契約せずにやめられます。見積もりと契約は別です。
営業の「何年で元が取れる」は、計算の前提を聞く
営業が口にした年数は、前提がそろっているかで見方が変わります。発電量と家で使う割合を、どの数字から置いたのかを聞いてください。売る値段が5年目から下がる計算か、維持費や利息が入っているかも、あわせて見ます。
発電量を実際より多く見積もって説明するトラブルは、2012年に内閣府消費者委員会も取り上げています(出典:内閣府 消費者委員会。参照資料の一覧へ移ります)。説明の年数と自分の計算が合わないときは、まず前提の数字を見比べましょう。
消費者庁が公表した事案に、ある事業者の太陽光の表示を巡るものがあります。光熱費の削減と売電収入で、長い期間に利益が出るとする表示でした。適格消費者団体(消費者に代わって差止めを求められる団体)が、その削除や修正を求めました。表示の削除が確かめられ、2024年11月26日に申入れは終わっています(出典:消費者庁 COCoLiS。参照資料の一覧へ移ります)。
これは裁判の判決や行政の処分ではありません。それでも、回収の説明は年数だけでなく、前提ごと確かめる必要があることが分かります。
手元の数字で確かめられないときの相談先
説明に納得できないまま、その場で契約を決める必要はありません。太陽光の点検の契約についても、その場で決めずに複数の会社から見積もりを取るよう呼びかけられています(出典:国民生活センター。参照資料の一覧へ移ります)。手元の数字で確かめられない点は、次の窓口に聞きます。
- 買う電気の単価と、明細の項目:契約している電力会社
- 売った電気の代金の入金:買取先の明細
- 補助金の有無と受付の状況:家の所在地の市区町村や都道府県
- 屋根や建物の状態:建築士や施工会社
- 勧誘や契約のトラブル:消費生活センター
消費者ホットライン188に電話すると、近くの消費生活センターなどを案内してもらえます。
よくある質問
質問と回答を開く(4件)
太陽光発電は、ふつう何年で元が取れますか?
すべての家に共通する年数はありません。総額、発電量、家で使う割合、電気の値段で、年数は大きく変わるからです。この記事の計算例では、10年のうちに取り戻せるのは総額が約90万円までの場合でした。自分の家の数字で記入表を埋めて確かめてください。
蓄電池も一緒に付けたほうがよいですか?
太陽光だけで取り戻せるかを確かめてから、蓄電池は別に計算するのが順番です。蓄電池を足すと、増える自家消費で減る電気代から、減る売電収入や損失を引くからです。計算の手順は、蓄電池の元が取れるかの記事で確かめられます。
10年の買取期間が終わった後は、どうなりますか?
これから設置する設備の11年目以降の買取単価は、現時点では確定できません。回収の計算では、売る分を0円と置いた遅いほうの目安も出しておくと、見通しを立てやすくなります。終わった後の選び方は、買取期間が終わった太陽光の判断表にまとめています。
住む予定のない実家に付けても、元は取れますか?
電気をほとんど使わない空き家では、家で使う分の電気代はあまり減らず、主な収入は売る分の代金です。計算例の条件で5,000kWhを全部売るなら、差し引きは1〜4年目で年約9.1万円、5〜10年目で年約1.3万円です。空き家の実家なら、太陽光を付けるかより先に、家をどうするかを決めるのが順番です。
