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親が亡くなった後のマンション管理費|請求・滞納・連絡先の確認順

親が亡くなってもマンションの管理費・修繕積立金の請求は自動で止まりません。管理会社へ死亡と相続確認中であることを伝え、月額、未納、支払方法、届出、駐車場等の個別契約を確認します。

まだしないこと

相続放棄を検討中・相続方法が未定なら、支払いに使うお金を確認せず支払いを進めない。請求や督促の確認は放置しない

まずすべきこと
  1. 請求書や管理案内で連絡先を探し、通帳で直近の引落額を確認する
  2. 管理費、修繕積立金、その他費用、未納を分けて聞く
  3. 支払期限と方法を聞き、相続方法が未定なら支払いに使うお金を整理して弁護士へ相談する

このページで決めること管理会社への連絡、請求・滞納、規約・総会、個別契約、売却前資料を相続手続と分けて整理できます。

親の死後、マンション管理費の請求書と連絡先を整理する相続人
公開日 2026年9月4日最終更新日 2026年9月6日法令・制度確認日 2026年9月4日執筆・編集 住まいのよりみち編集部読了目安 7

親(区分所有者)が亡くなっても、マンションの管理費や修繕積立金の請求は自動では止まりません。誰も住んでいない空室であっても、建物の共用部分を維持・管理するための費用として毎月発生し続けます。

金融機関へ死亡届を提出して親の口座が凍結されると、それまでの口座振替が停止します。そのまま放置すれば未納となり、督促状が届くようになります。しかし、慌てて亡くなった親(被相続人)の預金から支払ってしまうと、相続放棄ができなくなるおそれがあります。

最優先で進めるべき行動は、管理会社へ所有者が亡くなった事実を連絡し、当面の書類送付先を指定することです。そのうえで、誰がどの資金から支払うかという相続の判断とは切り離して、請求状況を確認してください。初期対応の確認手順から管理会社への連絡文例、相続方針別の支払判断、売却に向けた準備資料まで順を追って解説します。

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初期対応の確認順:管理会社の特定と連絡を先行させる

親が亡くなった後は、遺産の全体像が分かるのを待たずに、まず管理会社を特定して最初の連絡を入れましょう。そうすることで、請求書や総会案内が空室のまま放置されるのを防ぎやすくなります。

flowchart TD
    A["ステップ1: 郵便物・通帳で管理会社の連絡先を特定"] --> B["ステップ2: 管理会社へ死亡事実と暫定送付先を連絡"]
    B --> C["ステップ3: 口座凍結の状況と直近の引落結果を確認"]
    C --> D["ステップ4: 請求内訳(管理費・積立金・付帯契約)と未納を照合"]
    D --> E["ステップ5: 相続方針が決まるまで被相続人名義の出金を保留"]

ステップ1:郵便物や通帳から管理会社を特定する

親の自宅にある預金通帳の引き落とし履歴や、届いている郵便物(総会招集通知、管理費等の振替案内、領収書など)を確認します。管理業務を引き受けている管理会社の名称、管理事務室や担当部署の連絡先、毎月の引き落とし日(振替日)を確かめます。

ステップ2:管理会社へ死亡事実と暫定送付先を連絡する

管理会社が分かったら、遺産分割や相続放棄の方針が決まっていなくても、まずは所有者が亡くなった事実を伝えます。請求書や重要書類が空室の郵便受けに放置されないよう、相続人の代表や当面の窓口となる方の送付先住所を届け出ます。

ステップ3:口座の凍結状況と引落結果を確認する

金融機関へ死亡を届け出ると名義人の預金口座が凍結され、管理費などの自動引き落としは止まります。直近の引き落とし期日までに引き落とされたのか、すでに口座凍結によって引き落とせなくなっているのかを、通帳の記帳や取引履歴で確かめます。

ステップ4:請求内訳と未納の有無を照合する

毎月引き落とされていた金額の内訳を整理します。国土交通省「マンション標準管理規約」(新しいタブで開きます)(単棟型第25条・第28条)では、管理費と修繕積立金は分けて経理(区分経理)されます。これらに加え、町内会費や自治会費、駐車場や駐輪場などの使用料が含まれていないかを、契約ごとに確認します。

ステップ5:相続方針の整理まで被相続人名義の支払いを保留する

相続人全員で物件を引き継ぐのか、負債が多くて相続放棄を検討するのかを確認します。相続の方針が確定する前に、親名義の預金口座からお金を出したり、室内に残された現金を管理費などの支払いに充てたりすることは避けてください。

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管理会社・管理組合へ確認する項目チェックリスト

一般社団法人マンション管理業協会「マンション管理お役立ちコーナー」(新しいタブで開きます)でも触れられている通り、所有者が亡くなっても管理費などの支払義務は免除されません。管理会社へ連絡する際は、手元のメモに次の項目を控えて確認を進めましょう。

表:確認項目、主な確認内容、確認する理由・判断の根拠
確認項目主な確認内容確認する理由・判断の根拠
毎月の請求内訳管理費、修繕積立金、町内会費等のそれぞれの金額国土交通省の標準管理規約モデルでも管理費と修繕積立金は区分経理されているため
未納・滞納の有無死亡前後の未納月数、遅延損害金、督促手数料の有無直近の引落停止分だけでなく、生前に未納がなかったかを確定させるため
振込先と納付方法口座振替停止後の振込先口座、納付書の発行手順口座引落が止まった後の入金先や納付手順を把握するため
付帯契約の状況駐車場・駐輪場・トランクルームの使用契約と利用区画住戸の所有権とは別個の使用契約・細則が結ばれていることが多いため
付帯契約の終了条件死亡時の契約終了要件、解約届の提出期限(当月・前月等)利用していない区画に使用料が発生し続ける事態を防ぐため
専用使用権の扱い専用庭やルーフバルコニー等の使用料負担の有無住戸に付随する専用使用権は、利用の有無に関わらず費用が継続することが多いため
今後の書類送付先請求書、総会招集通知、定期報告等の送付先変更用紙書類の未着による滞納督促の見落としや総会議案の把握漏れを防ぐため
一時徴収金の予定直近の総会で決議された、または予定される一時金の有無修繕積立金の改定や一時金の徴収予定がないか確認するため

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管理会社へ連絡する際の文例(電話・書面)

管理会社へ連絡する際に伝える要点は、「死亡の事実」「相続手続きと調査の状況」「請求明細と納付方法の確認」「今後の書類送付先」の4点です。

1. 電話連絡での伝達メモ

【伝えること】
・〇号室の所有者である[被相続人の氏名]が[死亡年月日]に亡くなったこと
・連絡している[自分の氏名]は相続人の1人(長男など)であること
・現在、遺産や相続方針の調査・確認を進めている段階であること
・金融機関の口座凍結により、従来の口座引落が停止すること
・以後の案内や請求書の送付先を[自分の氏名・住所・電話番号]宛てに変更したいこと

【確認すること】
・直近の管理費・修繕積立金・付帯施設使用料の引落状況および未納額
・口座引落停止後の振込先口座や納付書の発行時期
・駐車場等の解約・継続に必要な届出書類と提出期限

2. 書面・メール送信用テンプレート

電話連絡の後、行き違いを防ぐため、または管理会社所定の変更届に添える文面として次の文面を活用できます。

件名:[マンション名][部屋番号]号室 所有者逝去に伴う連絡先変更および請求状況確認のお願い

[管理会社名]
[担当部署名 / マンション担当窓口]御中

前略
貴社におかれましては、平素より[マンション名]の維持管理にご尽力いただき厚く御礼申し上げます。

さて、同マンション[部屋番号]号室の区分所有者でありました[被相続人の氏名]が、令和[年][月][日]に永眠いたしました。
それに伴い、被相続人の金融機関口座が凍結され、従来の口座振替による管理費等のお支払いが一時的に停止いたします。

現在、相続人におきまして遺産および権利関係の調査を進めております。
つきましては、以後の手続きを円滑に進めるため、下記のとおり一時的な連絡窓口の指定と請求状況の確認をお願い申し上げます。

記

1. 対象物件
  マンション名:[マンション名]
  専有部分番号:[部屋番号]号室
  登記名義人(被相続人):[被相続人の氏名]

2. 相続人代表(暫定窓口)の連絡先・書類送付先
  氏名:[氏名](被相続人との続柄:[長男 / 長女 等])
  住所:〒[郵便番号][住所]
  電話番号:[電話番号]
  メールアドレス:[メールアドレス]

3. 確認・送付をお願いしたい事項
  (1) 現在の管理費、修繕積立金、付帯施設使用料等の未納・滞納状況の内訳
  (2) 駐車場・駐輪場等の契約状況および解約・継続に関する規約上の手続き方法
  (3) 口座引落停止後の振込先および請求書の発行手順
  (4) 今後の総会招集通知・管理組合関係書類の送付先変更手続き用紙

なお、相続方針が確定次第、正式な組合員資格承継等の届出を提出いたします。
何卒よろしくお願い申し上げます。
草々

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支払う人と最終負担を分ける:相続方針に応じた判断

管理会社から請求案内が届いた際、支払ってよいかどうかや資金の出どころは、相続方針によって慎重に判断する必要があります。e-Gov法令検索「民法」(新しいタブで開きます)の定めに沿い、請求の確認と実際の支払いは切り離して対応しましょう。

flowchart TD
    A["管理費等の請求案内を受領"] --> B{"相続方針の状況は?"}
    B -- "相続することが確定" --> C["対外的な請求関係と相続人間の負担を区分<br/>代表者が立替払いする場合は領収書を保管"]
    B -- "相続放棄を検討中" --> D["被相続人の遺産からは支出しない<br/>放棄検討と相談中を伝え安易な支払いを保留"]
    B -- "財産調査が終わらず未定" --> E["家庭裁判所へ熟慮期間伸長の申立てを検討<br/>(申立てと伸長決定・督促停止を混同しない)"]

1. 相続することが確定している場合(単純承認)

マンションを相続することが決まっている場合、管理費や修繕積立金の支払義務は相続人が引き継ぎます(民法第896条(新しいタブで開きます))。ただし、管理組合に対する外向きの責任と、相続人間での精算は分けて考える必要があります。

  • 対管理組合の請求関係:

死亡前の滞納分は、被相続人の金銭債務として相続人に引き継がれます。死亡後に発生する管理費等については、遺産分割が終わるまでの間、共有者となった各相続人に対して管理組合がどのように請求できるかが、規約や債務の性質によって問題となります。管理規約の定めなどにより、各相続人が自分の法定相続分だけを支払っても、対外的な義務を果たしたと扱われない場合があります。そのため、請求への対応方法は管理組合への確認が必要です。

  • 相続人間の精算:

実務上は、代表の相続人が自分のお金(固有財産)から立て替えて支払う例が多く見られます。しかし、立て替えた金額が当然に遺産総額から自動で差し引かれると法律上決まっているわけではありません。立て替え払いを行う際は振込受領証や領収書を保管し、後の遺産分割協議において相続人間で精算方法を取り決めておく必要があります。

2. 相続放棄を検討している場合

被相続人に多額の負債があるなど相続放棄を検討している場合は、資金の出どころと行動の法的な意味を厳格に区別しなければなりません。

民法第921条第1号(新しいタブで開きます)では、相続人が相続財産の全部または一部を「処分」したときは、すべて相続する単純承認をしたものとみなされます。管理費等の支払いが現状維持のための「保存行為」に当たるか「処分行為」に当たるかは法的な争いがあり、被相続人の預金や現金から安易に支払うと、相続放棄が認められなくなる重大なリスクを負います。 一方で、相続人自身の固有財産(自分のお金)から支払う行為は、相続財産の処分そのものには当たりません。しかし、管理組合に対して債務の存在を承認したり、連帯保証したりしたと受け取られるリスクが残ります。相続放棄を検討している間は自己判断で支払わず、管理会社へ「相続放棄を検討して専門家へ相談している」旨を伝え、支払うべきかどうかを事前に弁護士等へ確認してください。

なお、家庭裁判所で相続放棄が受理されれば、その相続人は初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法第939条(新しいタブで開きます))。

3. 財産調査に時間がかかり判断できない場合(熟慮期間の伸長)

相続の承認または放棄は、民法第915条第1項(新しいタブで開きます)により「自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内」(熟慮期間)に行わなければなりません。何もしないままこの期間を経過すると、原則として単純承認とみなされます(民法第921条第2号(新しいタブで開きます))。また、相続人はその固有の財産におけると同一の注意をもって、相続財産を管理する義務を負います(民法第918条第1項(新しいタブで開きます))。

負債や物件の状況が分からず3箇月以内に判断できない場合は、家庭裁判所へ裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」(新しいタブで開きます)を申し立てます。

表:項目、手続きの内容(裁判所基準)
項目手続きの内容(裁判所基準)
申立先被相続人の最後の住所地の家庭裁判所
申立人利害関係人(各相続人など)
申立時期自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内
必要費用収入印紙800円(伸長を求める相続人1人につき)+ 裁判所所定の連絡用郵便切手
主な提出書類家事審判申立書、被相続人の戸籍(除籍)謄本、申立人の戸籍謄本等

注意すべき点は、申立てが受理されただけで期間が延長されるわけではなく、家庭裁判所による審判を経て伸長(延長)が認められる点です。延長される期間も裁判所が事案に応じて個別に定めます。さらに、熟慮期間の伸長は相続放棄の判断期限を延ばす手続きにすぎず、管理費の支払期限を猶予したり、督促や遅延損害金の発生を自動的に停止させたりする効力はありません。支払いを待ってもらえるかどうかは、管理組合や管理会社への個別相談と話し合いによる問題です。

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空室でも確認すべき管理規約と専有部分の維持

誰も住んでいない空室であっても、区分所有者(部屋の所有者)である以上、管理組合に対する規約上の義務は続きます。

1. 管理費・修繕積立金は空室でも免除されない

国土交通省「マンション標準管理規約」(新しいタブで開きます)の第25条を参考モデルとする各マンションの管理規約に基づき、管理費などは共用部分を維持・管理するために区分所有者の全員で負担します。「室内の電気や水道を使っていない」「誰も住んでいない」という個人的な理由で、支払いを免除または減額することは原則としてできません。

2. 駐車場等の解約手続きと専用使用権の確認

駐車場や駐輪場、トランクルームなどの使用契約は、専有部分の管理費とは別個の細則に基づきます。車両を処分した場合は、規約に定められた予告期間や届出要件を確認し、速やかに解約手続きを行わなければ、空の区画に使用料が発生し続けます。一方、専用庭やルーフバルコニーなどの専用使用権は、住戸の所有権に付帯していることが一般的です。使用していないからといって任意に解約して費用の発生を止められるとは限らないため、規約の条文を確認してください。

3. 総会の招集通知と議決権行使の指定

管理組合における最高の意思決定機関である総会の招集通知は、届け出た送付先に届きます。ただし、書類の送付先を変更しただけで、その相続人が当然に総会の議決権を行使できるわけではありません。区分所有権が複数の相続人で共有されている場合、建物の区分所有等に関する法律(新しいタブで開きます)第40条に基づき、あらかじめ「議決権を行使すべき者1人」を定めて管理組合に届け出る必要があります。電磁的方法(インターネット等)による議決権行使の可否も含め、管理組合の所定手順に従ってください。

4. 専有部分の保全(封水切れ対策と配管点検)

空室を放置すると、排水トラップ内の水が蒸発する「封水切れ」を起こし、下水臭や害虫が室内に侵入します。これを防ぐには定期的な注水や換気が役立ちます。ただし、定期的な注水は老朽化した給水管の漏水事故を防ぐ手段ではありません。老朽配管の漏水を防ぐには、専有部分の水道の元栓を確実に閉めておくことや、配管の点検が重要です。設備に老朽化や故障の疑いがある場合は安易に通水せず、管理会社や専門の設備業者へ点検方法を相談してください。

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マンションを売却するなら追加で取り寄せる資料

相続後にマンションの売却を検討している場合は、管理費の精算だけでなく、買主への重要事項説明や売買契約に備えて、次の資料を取り寄せる必要があります。

flowchart LR
    A["売却検討の開始"] --> B["管理会社等へ資料確認"]
    B --> C["管理規約・細則の写し"]
    B --> D["管理状況の調査報告書"]
    B --> E["総会議事録(直近数年分)"]
    C & D & E --> F["契約で滞納・精算条件を合意"]

1. 管理規約および使用細則の最新の写し

専有部分の利用制限(ペット飼育、リフォーム基準、民泊の可否など)が記載された現行規約です。必ずしも原本である必要はなく、最新の総会決議が反映された規約・細則の写し(書面または電子データ)を取り寄せます。

2. 管理状況に関する調査報告書

宅地建物取引業法に基づく重要事項説明に必要な書類で、不動産の仲介会社を通じて管理会社へ発行を依頼するのが実務上一般的です。「重要事項調査報告書」などの名称で発行され、その住戸の管理費・修繕積立金の月額や滞納額、マンション全体の積立総額、改定予定などが記載されます。書類の名称、発行手続き、発行手数料は管理会社ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。

3. 直近2〜3年分の総会議事録

提示を求められる主な目的は、修繕積立金の値上げ決議や外壁補修・配管更新の履歴、今後の修繕計画、マンション内でのトラブルの有無などを確認するためです。仲介会社や買主からの求めに応じて準備します。

4. 区分所有法第8条(特定承継人の責任)と売買契約での精算

建物の区分所有等に関する法律(新しいタブで開きます)第7条では、共用部分に関する債権の先取特権(優先的に弁済を受けられる権利)が定められています。続く第8条では、区分所有者に対する管理費等の債権を「債務者の特定承継人に対しても行うことができる」と定めています。特定承継人には、売買による買主が含まれます。

もし前所有者に管理費や修繕積立金の滞納がある場合、管理組合は新しく購入した買主に対しても支払いを法的に請求できます。そのため実際の不動産売買では、買主のリスクを避ける目的から、「引渡決済までに売主が滞納分を全額支払う(完納する)」か、「決済時の売買代金から精算して完納する」条件を売買契約書で具体的に定めます。売主と買主の間で負担割合を取り決めても、管理組合が持つ第8条に基づく請求権は消滅しません。そのため、管理組合への確実な完納手続きが契約上欠かせません。

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専門家へ相談する前に揃える資料と質問リスト

相続の方針や滞納処理について、弁護士、司法書士、不動産会社へ相談する際は、次の資料と質問を事前に準備しておくと相談がスムーズに進みます。

事前に手元に揃える資料

  1. 被相続人の戸籍謄本・除籍謄本(相続関係が分かる書類)
  2. 固定資産税の納税通知書・課税明細書(不動産の評価額確認)
  3. 管理費・修繕積立金の請求書や振替案内(直近の請求額と引落状況)
  4. 管理会社からの未納・督促通知書(滞納がある場合)
  5. 預金通帳の記帳コピー(口座凍結前後の収支確認)
  6. 住宅ローンの残高証明書や返済予定表(残債がある場合)

専門家への具体的な質問リスト

  • 弁護士へ(相続放棄を視野に入れている場合)
  • 「現在、管理費等の請求書が届いていますが、自身の固有財産から立て替えて払うことにはどのような法的リスクがありますか?」
  • 民法第915条第1項(新しいタブで開きます)の熟慮期間(相続の開始を知った時から3箇月)を過ぎそうですが、家庭裁判所へ期間伸長の申立てを行うべき状況でしょうか?」
  • 司法書士へ(相続登記・名義変更を行う場合)
  • 「遺産分割協議書を作成するにあたり、未払いの管理費等を誰がどのような方法で清算するか明記すべきですか?」
  • 「相続登記の完了までにどれくらいの期間を要し、その間の管理組合への届出はどう進めればよいですか?」
  • 不動産会社へ(売却を検討している場合)
  • 「管理費の未納がある状態でも仲介活動を開始できますか。決済時の精算条件はどう設定しますか?」
  • 「重要事項調査報告書の発行手続きを仲介会社経由で依頼できますか?」

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よくある質問(FAQ)

Q1. 口座凍結で引き落とせなくなった場合、すぐに法的措置や競売になりますか?

口座引き落としが止まったことだけをもって、直ちに差押えや競売請求などの法的手続きが取られるわけではありません。国土交通省「マンション標準管理委託契約書」(新しいタブで開きます)を参考とする一般的な管理実務では、まず管理会社による書面や電話での督促業務が行われます。ただし、「一定期間放置しても法的手続きが始まらない」という全国共通の待機期間があるわけではありません。マンションの管理規約や生前からの滞納残高、遅延損害金の規定によって対応は異なります。すでに裁判所から支払督促や訴訟関係の通知が届いている場合は期限を最優先し、直ちに弁護士などの専門家に相談してください。

Q2. 誰も住んでおらず水道も電気も使っていませんが、管理費を減額・停止できますか?

管理費や修繕積立金を自己都合で減額したり、支払いを停止したりすることはできません。管理費等はエレベーターの保守点検、共用部分の照明や清掃、建物の保全など、マンション全体を維持管理するために使われるためです(標準管理規約の第25条参照)。ただし、専有部分(室内)の水道・電気・ガスについては、供給会社へ個別に休止や解約を届け出ることで基本料金や使用料の発生を止められます。また、駐車場や駐輪場などの付帯契約は、管理規約の手続きに従って返還届・解約届を提出すれば、翌月等から費用の発生を停止できる場合があります。

Q3. 相続放棄をする予定ですが、管理会社から滞納分の支払いを求められたらどうすればよいですか?

「現在、家庭裁判所への相続放棄の申立てを検討中(または申立て中)であり、専門家に相談しているため、今すぐの支払いは控えています」と、検討・相談中である事実を伝えてください。管理会社は回収の受託業務として連絡を行いますが、焦って支払不能や支払禁止を決めつけたり、支払猶予が確定したと一方的に宣言したりすることは避けてください。家庭裁判所で相続放棄が受理されれば、初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法第939条)。督促を恐れて被相続人の預金から支払ってしまうと、法定単純承認(民法第921条第1号)とみなされるおそれがあります。自身の財産による立替払いや支払いの約束をしてよいかも含め、まずは弁護士等へ相談してください。

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まとめ:請求を放置せず、連絡と相続判断を順序立てて進める

親が亡くなった後のマンション管理費は、放置すれば督促が進む一方、慌てて遺産から支出すると相続放棄の選択肢を狭めるおそれがあります。

次のチェック項目に沿って、連絡と判断を順序立てて進めてください。

  • [ ] 郵便物や通帳から管理会社の連絡先を特定したか
  • [ ] 管理会社へ「所有者死亡の事実」と「暫定的な書類送付先」を連絡したか
  • [ ] 口座の凍結状況と直近の引落結果を通帳で確認したか
  • [ ] 毎月の請求内訳(管理費・修繕積立金・付帯施設使用料)と未納の有無を確認したか
  • [ ] 車両がない場合、規約に沿って駐車場や駐輪場の解約届を提出したか
  • [ ] 相続放棄の可能性がある場合、被相続人名義の預金からの支払いを保留したか
  • [ ] 財産調査に時間がかかる場合、家庭裁判所への熟慮期間伸長の申立てを検討したか
  • [ ] 売却を予定している場合、規約の写しや調査報告書の発行準備に入ったか

請求の存在を把握したうえで、事実の連絡と支払い判断を正しく切り分けることが、親のマンションをめぐるトラブルを防ぐ確実な第一歩です。固定資産税の扱いや不動産全体の相続手続きについては、死亡後の固定資産税の確認手順もあわせてご参照ください。

参照資料

国土交通省「マンション標準管理規約」参照日 2026年9月4日国土交通省「マンション標準管理委託契約書」参照日 2026年9月4日一般社団法人マンション管理業協会「マンション管理お役立ちコーナー」参照日 2026年9月4日e-Gov法令検索「建物の区分所有等に関する法律」参照日 2026年9月4日e-Gov法令検索「民法」第915・918・920・921条参照日 2026年9月6日裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」参照日 2026年9月6日