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親が亡くなった後の固定資産税は誰が払う?相続人の確認順

親が亡くなっても固定資産税の納付は止まりません。納税通知書で年度・納期限・未納を確認し、物件所在地の市区町村へ死亡を連絡します。自治体への納付、現所有者・通知先の届出、法務局の相続登記は別々の手続です。

まだしないこと

故人名義だから納付書を放置せず、代表者へ通知が届くことと家族間の最終負担を同一視しない

まずすべきこと
  1. 納税通知書と課税明細書から全物件・税額・納期限を確認する
  2. 未納の期別と口座振替の状態を確認する
  3. 物件所在地の固定資産税担当へ必要な申告と通知先を聞く

このページで決めること今年の納付、現所有者申告、通知先、相続登記を分け、家族の立替記録まで作れます。

親の死後に届く固定資産税通知と相続人間の負担を確認する家族
公開日 2026年9月4日法令・制度確認日 2026年9月4日執筆・編集 住まいのよりみち編集部読了目安 7

親が亡くなった後に届いた固定資産税の納税通知書を見て、「名義人が亡くなっているのに誰が払うべきなのか」「相続人のうち誰が納付書を受け取るのか」と戸惑う方は少なくありません。

固定資産税に対応するときは、自治体に対する手続き(公法上の納付義務)と、相続人同士の負担割合(私法上の精算)を切り離して整理するのが基本です。遺産分割の話し合い(遺産分割協議)がまとまっていない段階であっても、固定資産税の納期限は待ってくれません。通知書をそのまま放置すると、延滞金が発生する恐れがあります。

まずは手元の通知書の年度と親が亡くなった時期を見比べながら、自治体への届出、家族間での立替払いの精算、そして相続登記への流れを順番に確認していきましょう。

死亡日と1月1日の関係で「親の債務承継」か「現所有者課税」かが分かれる

固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)の時点で土地や建物の登記簿などに所有者として登録されている人へ課税されます(e-Gov法令検索「地方税法」第343条(新しいタブで開きます))。親が亡くなった時期と1月1日との前後関係によって、課税の根拠と納税義務の性質が変わります。

1月2日以降に親が亡くなった場合、その年度の納税義務は、1月1日時点で存命だった親本人に確定しています。自治体の事務処理の都合上、通知書自体は亡くなった親の名義で届くのが一般的です。この税金は親が生前に負った金銭債務(支払うべき金銭の義務)となるため、各相続人が法定相続分に応じて引き継ぎます(地方税法第9条)。1月2日以降に亡くなったからといって、その年度の税額が月割りで減額されることはありません。

一方、1月1日以前に親が亡くなり、相続登記を完了しないまま次の1月1日を迎えた場合は、地方税法第343条(新しいタブで開きます)に基づき、その不動産を「現に所有している者(現所有者)」へ課税されます。

遺産分割協議が終わっておらず相続人全員が共有している状態であれば、相続人全員が現所有者として納税義務を負います。もし遺言書や遺産分割協議によって不動産を取得する人がすでに確定していれば、登記がまだ済んでいなくても、その取得者が現所有者となります。

自治体への届出は「代表者指定」「現所有者申告」「送付先変更」を区別する

親が亡くなると、郵便物が届かなくなったり、口座凍結によって引き落としが止まったりして、納期限を過ぎてしまう危険が生じます。そのため、不動産の所在地を管轄する自治体(市区町村の税務窓口や都税事務所)へ速やかに連絡し、必要な書類を届け出ます。

自治体へ提出する手続きには、目的の異なる以下の三種類があります。根拠条文は地方税法(新しいタブで開きます)で確認し、実際の様式と期限は不動産所在地の自治体へ問い合わせてください。

表:手続きの種類、主な対象年度・状況、根拠法令、主な目的
手続きの種類主な対象年度・状況根拠法令主な目的
相続人代表者指定届死亡年度分(親の生前課税分)地方税法第9条の2亡くなった親の未納通知書や還付金受領を代表する相続人を指定する
現所有者申告書翌年度以降(未登記の不動産)地方税法第384条の3等賦課期日現在の現所有者を申告し、課税台帳上の納税義務者を把握させる
送付先変更届(送付先指定)全年度(送付先の変更希望時)各自治体の税務規定通知書や納付書の郵送先を希望の住所・受取人へ変更する

このように、3つの手続きはそれぞれ役割が異なります。

  • 相続人代表者指定届(地方税法第9条の2):亡くなった親に課税された未納分の固定資産税について、納税通知書や還付金の受け取りなどを代表して行う相続人を指定する届出です。
  • 現所有者申告書(地方税法第384条の3等):名義変更が済んでいない不動産について、賦課期日の時点で実際に所有している人(現所有者)を自治体へ申告する手続きです(横浜市「名義人が亡くなられた場合の固定資産税・都市計画税」(新しいタブで開きます))。遺言や遺産分割協議で特定の相続人が不動産を取得した場合は、それを証明する書類を添えて申告します。
  • 送付先変更届(送付先指定):通知書や納付書の送り先の住所を、希望する場所へ変更するための届出です。

自治体によっては、これらの様式が1枚の書類にまとまっている場合もあります。提出期限(条例などに基づく規定)や添付書類(戸籍謄本、遺言書の写し、本人確認書類など)は全国一律ではなく、自治体ごとに運用が異なります。該当する市区町村の窓口へ事前に確認してください。

対外的な納税義務と相続人間の立替精算を切り離す

自治体から納税通知書を受け取った代表者は、納期限までに記載された金額を納める必要があります。ここで重要になるのが、「自治体に対する公法上の関係」と「家族間での私法上の精算」の違いです。

自治体に対する関係では、課税年度や不動産の所有状況によって責任の生じ方が異なります。

親の生前課税分(死亡年度分)については、各相続人がそれぞれの法定相続分に応じて納税義務を引き継ぎます(地方税法第9条(新しいタブで開きます))。自治体が代表者宛てに納付書を送る場合でも、代表者指定と相続人間の最終的な負担割合は同じ意味ではありません。

翌年度以降の未分割共有分については、相続登記が済んでおらず遺産分割前の共有状態にある場合、地方税法第10条の2(新しいタブで開きます)に基づく連帯納付の扱いを確認します。遺産分割協議などによって取得者が確定している場合は、その事実を示す書類と現所有者申告の扱いを自治体へ確認してください。

家族間の関係では、代表者や特定の相続人が全額を立て替えて納付した場合、ほかの相続人に対してそれぞれの負担分を請求(求償)できます。例えば、兄弟2人が法定相続分それぞれ2分の1で相続し、ほかに特別な合意がないとします。この場合、固定資産税が年間10万円であれば、立て替え払いをした兄は弟へ法定相続分に応じた5万円の支払いを請求できます。

実家に特定の相続人が無償で同居・居住し続けている場合などは、話し合いによって「住んでいる人が固定資産税を全額負担する」と決めるケースも一般的です。ただし、これはあくまで家族内の合意です。自治体に対して「実際に住んでいる人だけに全額を請求してほしい」と求めても、公法上の扱いは原則として変わりません。立て替えたときの領収証書や納付書は、後で精算するために確実に保管しておきましょう。

相続放棄を検討している場合は納付方法と書類保管に注意する

亡くなった親に借金が多いなどの事情があり、家庭裁判所での相続放棄を検討している場合は、固定資産税の納付に細心の注意が必要です。

亡くなった親名義の預貯金(遺産)から固定資産税を支払ってしまうと、民法第921条に定める「法定単純承認」(相続財産の処分)とみなされ、相続放棄が認められなくなる恐れがあります。保存行為として認められる余地があるかどうかも含めて、個別の納付が処分に当たるかどうかの判断は一律ではありません。安易に遺産から支払わず、弁護士や司法書士などの専門家へ事前に相談してください。

自分自身の財産(自己資金)で立て替えて納付する場合であっても、慎重な対応が求められます。納付書や領収証書を保管しておくことは、「誰の資金で何を納付したのか」という客観的な事実を後から説明するための資料になりますが、それだけで法的な安全が保証されるわけではありません。法律の専門家に相談する際は、「自己資金で支払ったのか、遺産から支払ったのか」「支払い対象となった年度や債務の内容」「すでに納付済みか未納か」を正確に伝えてください。

家庭裁判所で相続放棄の申述が受理されると、その人は初めから相続人にならなかったものとみなされます。ただし、裁判所から自治体へ自動的に通知される仕組みにはなっていないため、自分で自治体の税務窓口へ連絡する必要があります。自治体への提出書類は、「相続放棄申述受理通知書」のコピーでよい窓口もあれば、「相続放棄申述受理証明書」の提出を求める窓口もあります。必要な書類をあらかじめ確認した上で提出しましょう。

課税明細書で見落としがちな不動産は名寄帳で確認する

親宛てに届いた固定資産税の納税通知書には、「課税明細書」が同封されています。この明細書を見ることで、所在・地番・家屋番号、地目・家屋の種類、価格(評価額)や課税標準額など、親が所有していた主な不動産を把握できます。

ただし、課税明細書を見るだけで、親が所有していたすべての不動産を確認できるとは限りません。次の2点に注意する必要があります。

  • 免税点による記載除外:同じ市区町村の中で同一人物が所有する土地や家屋の課税標準額の合計が、それぞれ免税点(土地は30万円、家屋は20万円)に満たない場合、固定資産税は課税されず、明細書にも記載されないことがあります(地方税法第351条)。土地1筆や建物1棟ごとの評価額ではなく、同じ自治体内にある種類別の合計額で判定される点に注意が必要です。
  • 非課税物件:公衆用道路(私道)など、地方税法によって非課税と定められている不動産は、免税点とは別の制度として課税対象から外れます。

親名義の不動産を調べるには、不動産がある市区町村の窓口で「名寄帳(土地・家屋名寄帳)」を閲覧または取得します。横浜市の固定資産税案内(新しいタブで開きます)のように自治体ごとに案内があり、共有名義や非課税物件の記載範囲も運用によって異なります。名寄帳一通で全国の財産を確認できるわけではないため、不動産登記事項証明書や権利証、ほかの自治体の資料とも照らし合わせてください。

現所有者申告と法務局の相続登記は異なる手続き

自治体へ提出する「現所有者申告」と、法務局で行う「相続登記」は、根拠となる法律も目的も異なるまったく別の手続きです。

自治体の現所有者申告は、地方税法に基づき、賦課期日現在の現所有者へ納税通知書を正しく届けるための税務上の届出です。これを提出しても、法務局の登記簿上の名義が変更されることはありません。

一方、法務局で行う相続登記は、不動産の所有権が誰に移ったのかを登記簿上で法的に公に示す(公示する)ための手続きです。2024年4月1日から相続登記の申請は法的に義務化されました(法務省「相続登記の申請義務化」(新しいタブで開きます))。原則として、自分自身のために相続が始まったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記の申請を行わなければなりません。

また、2024年4月1日より前に開始した相続であっても、施行日時点で所有権の取得を知っていれば義務化の対象です。経過措置として、原則2027年3月31日までに登記申請を行う必要があります。自治体へ現所有者申告を出しても登記申請義務を果たしたことにはならないため注意してください(具体的な登記申請の流れは、関連記事「相続登記の手続き」などを確認してください)。

遺産分割協議が成立して相続登記が完了すると、その登記情報が法務局から自治体へ通知されます。これにより、登記の完了後に迎える次の1月1日(賦課期日)現在の登記名義人に対して、翌年度以降の納税通知書が送られるようになります。年内に登記を終えた場合に課税台帳へいつ反映されるかは、管轄する自治体の資産税窓口へ確認しておくと安心です(横浜市「固定資産の所有者が亡くなった場合の固定資産税」(新しいタブで開きます))。

遺産分割時の合意と売却時の日割精算ルール

遺産分割協議を行うときは、相続が始まってから協議が成立するまでに立て替えた固定資産税の精算と、それ以降の納付を誰が担当するかを書面で明確にしておくことが重要です。

不動産を取得する相続人が過去の立替分をどう精算するかについては、家族間の口約束だけで済ませず、遺産分割協議書に合意内容を文章として盛り込んでおくことで、後々の金銭トラブルを防げます。

また、相続した不動産を第三者へ売却する場合、引渡日を境に買主と売主の間で固定資産税を日割り精算することがあります。ただし、これは売買契約上の取り決めであり、地方税法第343条(新しいタブで開きます)による自治体への納税義務者が途中で買主へ変わるという意味ではありません。日割りの起算日や負担区分は契約ごとに異なるため、売買契約書と精算書を照合してください。

納付が難しいときは滞納前に窓口へ相談し資料を揃える

相続人同士の話し合いがまとまらない、あるいは手元に納税資金がないからといって、納税通知書を放置することは避けてください。

納期限を過ぎると延滞金が加算され、督促状が届いても納付がない場合は、財産の差し押さえ処分を受ける恐れがあります。期限内に納めるのが難しいときは、納期限が来る前に市区町村の税務課納税係などの窓口へ相談し、分割して納める「分割納付(分納)」などの猶予措置について相談してください。

自治体の窓口へ相談や届出に行く際は、以下の資料を前もって準備しておくと手続きがスムーズに進みます。

  • 届いた固定資産税の納税通知書・課税明細書・納付書
  • 親が亡くなった事実を確認できる戸籍謄本または除籍謄本
  • 相談に行く本人の確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
  • 相続関係を把握できる書類(法定相続情報一覧図や簡単な家系図)
  • 遺産分割の進み具合をまとめたメモ(協議中、調停中、遺言書の有無など)
  • 相続放棄を検討している場合は、自分のお金で払ったのか遺産から払ったのか、すでに行った支払いの有無などをまとめた事実関係のメモ

自治体手続きと家族内精算を分けて進める

親が亡くなった後の固定資産税で混乱を防ぐ一番のポイントは、自治体への手続きと家族内の話し合いを明確に切り分けることです。「自治体に対して誰が書類を受け取って納めるか」という対外的な義務と、「相続人の間で誰がいくら負担するか」という内部の精算は、法律の上でも別々に扱われます。

まずは手元にある納税通知書の課税年度と親の死亡日を確認し、自治体へ必要な届出を行って、郵便物が届かなかったり納期限に遅れたりするのを防ぎましょう。その上で、立て替えた分の領収証書をしっかり保管しながら遺産分割協議を進め、速やかな相続登記へとつなげてください。

参照資料

横浜市「固定資産の所有者が亡くなった場合の固定資産税」参照日 2026年9月4日横浜市「名義人が亡くなられた場合の固定資産税・都市計画税」参照日 2026年9月4日e-Gov法令検索「地方税法」参照日 2026年9月4日法務省「相続登記の申請義務化」参照日 2026年9月4日