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親が亡くなって実家や土地が残ると、不動産の相続手続きを何から始めればよいのか迷います。名義変更や片付けを先に思い浮かべがちですが、その前に決めておくことがあります。相続放棄を選べる期間や、税の申告の期限に関わるからです。
最初の数日は、何を止めて何を記録する?
亡くなった直後は、親の財産を動かさないことが先です。相続人が財産を処分すると、財産も借金もすべて引き継ぐ「単純承認」をしたとみなされるからです(出典:民法第921条。参照資料の一覧へ移ります)。そうなると、あとで借金が見つかっても、相続放棄が認められないおそれがあります。
相続放棄(財産も借金も引き継がないこと)を選ぶまでは、放棄に影響するおそれのある次のことを止めておきます。
- 親の預金の引き出しや解約
- 家財や貴金属の売却、形見分け、大量の処分
- 親の借金の返済や、お金を貸した側への返済の約束
- 家や土地の売却、贈与、相続人どうしでの分配
- 家の解体や、長い期間の貸し出し
- 親の財産を自分のために使うこと
一方で、家に鍵をかける、郵便物を集めるといった、今の状態を守ることまで禁じられているわけではありません。ただし、ある行為が「守る行為」か「処分」かは、個別の事情で判断が分かれます。記事の説明だけで線を引かないでください。すでにしたことは日付と中身を書き残し、弁護士か司法書士に確かめます。
片付けをどこまで進めてよいかは、相続放棄を検討中の実家を片付けてよいかの記事で確かめられます。
たとえば、次のような場合です(想定の例)。葬儀のあと、親の口座から入院費を払い、家財の一部を業者に引き取ってもらったとします。その後、実家にカードローンの督促状が届きました。この場合も、放棄はもうできないと自分で決めつける必要はありません。
払った日と金額、引き取ってもらった物を書き出してください。そのうえで、相続放棄の期限が来る前に、弁護士か司法書士に相談します。
最初の記録は、紙1枚にまとめる
止めることを決めたら、分かっていることを紙1枚に書き出します。項目は次の5つで足ります。
- 親が亡くなった日、自分が相続人だと知った日、不動産を取得したと知った日
- 見つかった遺言書や、遺言がありそうな場所
- 分かっている相続人と、まだ確かめていない人
- 見つかった財産と借金の手がかり(分からない所は「未確認」と書く)
- すでにしたことと、その日付
日付を分けて書くのは、期限を数え始める日が手続きごとに違うからです。書き出す手がかりとして、実家で次の書類を探し、ひとところにまとめておきましょう。
- 固定資産税の納税通知書と課税明細書(毎年春に市区町村から届く書類)
- 権利証(登記済証)か、登記識別情報通知書
- 通帳、キャッシュカード、金融機関からの郵便物
- 生命保険の証券、過去の確定申告書の控え
- 督促状、請求書、契約書の束
相続の期限は4つ。いつから数える?
相続に関わる期限は、主に次の4つです。数え始める日が手続きごとに違うため、死亡日だけで計算すると、ずれることがあります。たとえば相続税の申告は、相続の開始を知った日の翌日から数えます(出典:国税庁 No.4205。参照資料の一覧へ移ります)。
| 期限 | 数え始め | 手続き | 出す先 |
|---|---|---|---|
| 3か月以内 | 自分のために相続が始まったと知った時 | 相続放棄・限定承認 | 家庭裁判所 |
| 4か月以内 | 相続の開始を知った日の翌日 | 準確定申告・納税(必要な場合) | 税務署 |
| 10か月以内 | 相続の開始を知った日の翌日 | 相続税の申告・納税(必要な場合) | 税務署 |
| 3年以内 | 相続が始まったと知り、不動産の取得を知った日 | 相続登記 | 法務局 |
準確定申告は、亡くなった親の、その年の所得を相続人が申告する手続きです(出典:国税庁 No.2022。参照資料の一覧へ移ります)。相続登記は、不動産の名義を相続人に移す登記を指します。3か月の数え始めは、親が亡くなり、自分が相続人になったと知った時です(出典:民法第915条。参照資料の一覧へ移ります)。
表の4つは、それぞれ別々に進みます。ひとつの手続きをしている間も、ほかの期限が止まったり延びたりはしません。たとえば、遺産の分け方で話し合いが続いていても、相続税の申告期限は延びないのです(出典:国税庁 No.4208。参照資料の一覧へ移ります)。
2024年(令和6年)4月1日より前に亡くなった人の不動産も、相続登記の義務の対象です。その日の時点ですでに取得を知っていた場合、期限は2027年(令和9年)3月31日です(出典:法務省 相続登記の義務化。参照資料の一覧へ移ります)。それより後に初めて取得を知った場合は、知った日から3年以内になります。祖父母の名義のまま残っている土地があるときは、数え方を法務局か司法書士に確かめてください。
紙に書いた日付を入れると、相続登記の期限の目安を相続登記の期限チェッカーで確かめられます。
家の相続手続きの一覧:期限があるものと目安のもの
親が住んでいた家には、表の4つのほかにも手続きがあります。このうち、全国共通の法律の期限があるのは相続登記です(出典:法務省 相続登記の義務化。参照資料の一覧へ移ります)。ほかは、自治体や契約先の案内、家の事情で決まる目安です。
| 手続き | いつまでに | 詳しい記事 |
|---|---|---|
| 郵便物の回収と確認 | 目安:決まった期限はない。回収する人と見に行く頻度を、早めに家族で決める。家族の家への転送はできない | 親が亡くなった後の郵便物の記事 |
| 公共料金(電気・ガス・水道、NHK、電話) | 目安:届出の時期は契約先の案内で確かめる。手続きをするまで契約が続き、料金がかかる | 公共料金の名義変更と解約の記事 |
| 固定資産税と相続人代表者指定届(税の書類を受け取る代表の相続人を、市区町村に知らせる届) | 自治体ごとに違う(届いた用紙と担当課の案内で確かめる) | 相続人代表者指定届の書き方と期限の記事 |
| マンションの管理費 | 目安:管理費を親の口座から引き落としているなら、口座が止まると引き落とせなくなる。払い方を早めに確かめる | 公共料金の名義変更と解約の記事(管理費の引き落としにも触れる) |
| 火災保険 | 目安:空き家になったと分かった時点で契約先に連絡する。先に解約しない | 空き家の火災保険の記事 |
| 相続登記 | 期限:3年以内(数え始めは上の表) | 相続登記をしないとどうなるかの記事 |
| 空き家の管理(鍵かけ) | 目安:決まった期限はない。鍵かけは今の状態を守る行為だが、処分に当たるかの線引きは専門家に確かめる | 相続放棄を検討中の実家の片付けの記事 |
表の「目安」は、法律で決まった期限ではありません。ただし、公共料金などの契約は、手続きをするまで続き、料金がかかります。相続放棄を考えているなら、親の預金から料金を払う前や、未払いも引き継ぐ形の名義変更の前に、弁護士に相談してください。
図の説明
相続放棄・限定承認は、自分のために相続が始まったと知った時から3か月以内で、出す先は家庭裁判所。準確定申告・納税(必要な場合)は、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内で、出す先は税務署。相続税の申告・納税(必要な場合)は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内で、出す先は税務署。相続登記は、相続が始まったと知り、不動産の取得を知った日から3年以内で、出す先は法務局。4つの期限はそれぞれ別々に進み、ひとつの手続きをしている間も、ほかの期限は止まったり延びたりしない。図の棒の長さは期限の長さで、数え始めの日は行ごとに違う。
遺言書はどこを探し、見つけたらどうする?
遺言書があるかどうかで、遺産の分け方や相続登記の進め方が変わります。まず、実家で重要書類をしまっていた場所や、机、金庫、郵便物を探しましょう。親がパソコンやスマートフォンを使っていたなら、メールやメモに手がかりがないかも見ておきます。
貸金庫を借りていたようなら、その金融機関に、相続人が中を確かめる手続きを問い合わせます。自宅で見つからなくても、遺言がないとは言い切れません。平成元年以降に作られた公正証書遺言は、全国の公証役場で有無を検索してもらえます(出典:日本公証人連合会。参照資料の一覧へ移ります)。法務局に遺言が預けてあるかは、「遺言書保管事実証明書」を請求すると分かります(出典:法務省 遺言書保管事実証明書。参照資料の一覧へ移ります)。
どちらも、請求できる人と必要な書類が決まっています。公証役場や法務局の遺言書保管所に、自分が請求できるかと、持っていく書類を先に聞いておくと確かです。
自宅などで手書きの遺言書を見つけたら、封を開けずに、家庭裁判所へ「検認」を申し立てます。検認は、遺言書の形や状態を記録し、あとで書き換えられないようにする手続きです(出典:裁判所 遺言書の検認。参照資料の一覧へ移ります)。封のある遺言書を家庭裁判所以外で開けると、5万円以下の過料(決まりを破った人が払うお金)を科されることがあります(出典:民法第1005条。参照資料の一覧へ移ります)。
なお、検認は、遺言が法的に有効かどうかを決める手続きではありません。また、公正証書遺言と、法務局に預けた遺言は、検認を受けずに手続きへ進めます。
詳しく:遺言の種類と、検認がいるかどうか
詳しい説明を開く
| 遺言の種類 | 有無の調べ方 | 検認 |
|---|---|---|
| 公正証書遺言 | 公証役場で検索を頼む | いらない |
| 法務局に預けた自筆の遺言 | 遺言書保管事実証明書を請求する | いらない |
| 自宅や貸金庫にあった自筆の遺言など | 家の中を探す、金融機関に聞く | いる |
法務局に預けた遺言の中身は、遺言書保管事実証明書には書かれていません。相続人などは、「遺言書情報証明書」の交付を受けて、中身を確かめられます(出典:法務省 自筆証書遺言書保管制度。参照資料の一覧へ移ります)。
相続人と、財産・借金は何で確かめる?
遺言を探すのと並行して、誰が相続人かと、親に何があったかを調べます。どちらも、家族の記憶だけで決めないことが大切です。
相続人は戸籍で確かめる
相続人は、戸籍で確かめます。家族が知らない相続人がいる場合もあるからです。一般には、亡くなった親が生まれてから亡くなるまでの続いた戸籍と、相続人全員の今の戸籍を集めます。必要な範囲は、手続き先によって変わります。
戸籍は、本籍地の市区町村に請求するのが基本です。最寄りの市区町村でまとめて請求できる仕組みもありますが、請求できる人や方法に条件があります。どこまでの戸籍が要るかと請求の方法は、市区町村の戸籍の窓口か司法書士に確認してください。
戸籍がそろったら、「法定相続情報証明制度」を使う方法もあります。戸籍一式と相続人の一覧図を法務局に出すと、相続関係を示す証明書を交付してもらえます(出典:法務局 法定相続情報証明制度。参照資料の一覧へ移ります)。この証明書の交付は無料です(出典:法務局 法定相続情報証明制度の概要。参照資料の一覧へ移ります)。
これで、戸籍の束を手続きのたびに出し直す手間が減りますが、必要な通数は法務局に確認してください。ただし、遺産分割協議書や印鑑証明書など、ほかの書類まで要らなくなるわけではありません。
財産と借金は、同時に調べる
借金の有無で、相続放棄を選ぶかどうかが変わります。そのため、財産と借金は分けずに、同時に調べていきます。手がかりになるのは、次のようなものです。
- 通帳の引き落としと、クレジットカードの利用明細
- 親あての郵便物に入った督促状や請求書
- 税金や保険の書類をしまってある場所
- パソコンやスマートフォンのメール
実家に届く郵便物の受け取り方と連絡の順番は、親が亡くなった後の郵便物の記事にまとめています。
借金があるか分からないときは、信用情報機関に開示を請求する方法があります。信用情報機関は、お金の貸し借りの記録を集める機関で、相続人も請求できます。対象は、次の3つです。
- CIC:法定相続人が開示を申し込めます(出典:CIC 開示。参照資料の一覧へ移ります)
- 日本信用情報機構(JICC):法定相続人などが開示を申し込めます(出典:JICC 開示。参照資料の一覧へ移ります)
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC):法定相続人と、その法定代理人に限られます(出典:KSC 開示。参照資料の一覧へ移ります)
請求できる人と手順は、機関ごとに違います。ただし、載っているのは、加盟する金融機関や貸金業者との取引だけです。
知人からの借金や、ほかの人の借金の保証、税金や家賃の未払いは載りません。開示で何も出なくても、借金が「ない」とは言い切れないのです。見つからないものは「なし」ではなく「未確認」と書き、取引がありそうな所に確かめ方を聞いていきます。
借金が分からないまま3か月が近づいたら?
相続のしかたは、次の3つから選びます。何も手続きをしないまま期限が過ぎると、原則として単純承認をしたとみなされます(出典:民法。参照資料の一覧へ移ります)。
| 選び方 | 中身 | 手続き |
|---|---|---|
| 単純承認 | 財産も借金もすべて引き継ぐ | 特にない |
| 相続放棄 | 財産も借金も引き継がない | 家庭裁判所に申し立てる |
| 限定承認 | 引き継ぐ財産の範囲で借金を返す | 相続人全員で家庭裁判所に申し立てる |
限定承認は、3か月以内に、相続人全員で家庭裁判所に申し立てる必要があります(出典:裁判所 家事事件Q&A。参照資料の一覧へ移ります)。
相続放棄をすると、初めから相続人でなかったことになります。申立て先は、亡くなった親の最後の住所地を受け持つ家庭裁判所です(出典:裁判所 相続の放棄の申述。参照資料の一覧へ移ります)。
借金が財産より明らかに多いなら、相続放棄が有力な選択肢です。一方で、住み続けたい実家があるときや、どちらが多いか見通せないときは、判断が分かれます。どれを選ぶかは個別の事情で変わるため、期限の前に弁護士か司法書士に相談してください。
調べても、3か月で決めきれないことはあります。そのときは期限が来る前に、家庭裁判所へ「期間の伸長」(考える期間を延ばすこと)を申し立てます(出典:裁判所 期間の伸長。参照資料の一覧へ移ります)。期間が延びるのは、家庭裁判所に認められた場合です。何もしないまま3か月が過ぎると、借金も引き継ぐことになりかねません。
すでに期限を過ぎていても、手続きがもうできないと自分で決めないでください。借金を知った時期などの事情を書き出し、早めに弁護士か司法書士に伝えて確かめます。
準確定申告と相続税の申告は、自分にも必要?
準確定申告と相続税の申告は、どちらも必要な人だけがする手続きです。ただし期限の数え始めは早いので、要るかどうかを先に確かめておきます。
準確定申告では、亡くなった年の1月1日から亡くなった日までの所得を計算します(出典:国税庁 No.2022。参照資料の一覧へ移ります)。出す先は、親が亡くなったときの住所地を受け持つ税務署です。亡くなった親に次のような収入があったなら、申告が要るかを確かめましょう。
- アパートや駐車場を貸して得た収入
- 個人で営んでいた事業の収入
- 生前に土地や建物、株式を売った収入
- 給与の収入が2,000万円を超えていた(出典:国税庁 No.1900。参照資料の一覧へ移ります)
- 2か所以上から給与を得ていた(金額などの条件は税務署に確認)
- 公的年金などが年400万円を超えていた、または年金以外の所得が20万円を超えていた(出典:国税庁 No.1600。参照資料の一覧へ移ります)
申告の義務がなくても、申告すると源泉徴収された税金が戻る場合があります。年金の受け取りだけだった親でも、一度税務署に聞いてみるとよいでしょう。
相続税の申告が要るかは、遺産の額を基礎控除額(税金がかからない枠)と比べて決めます(出典:国税庁 No.4152。参照資料の一覧へ移ります)。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人(法律で決まった相続人)の数」です。相続人が配偶者と子2人の3人なら、3,000万円+1,800万円で4,800万円です。ただし人数の数え方には決まりがあり、たとえば相続放棄をした人も、放棄がなかったものとして数えます。
比べる遺産の額には、不動産や預金のほか、対象となる死亡保険金や生前の贈与も入ります。そこから借金や葬式の費用を差し引いた額が、基礎控除額を超えるかを見ます。配偶者の税額軽減(配偶者が取得した分の税を軽くする特例)で税額が0円になる場合も、特例を使うには申告が要ります(出典:国税庁 No.4158。参照資料の一覧へ移ります)。小規模宅地等の特例(自宅などの土地の評価を下げる特例)も同じで、申告書への記載が要ります(出典:国税庁 No.4124。参照資料の一覧へ移ります)。
実家の評価のしかたや、自分の家で申告が要るかに迷うときは、税務署か税理士に聞いてください。
詳しく:遺産分割がまとまらないまま申告するとき
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相続税の申告が必要な人は、分け方が決まっていなくても、10か月の期限までに申告と納税をします。このときは、法定相続分(法律で決まった割合)で分けたと仮定して計算します(出典:国税庁 No.4208。参照資料の一覧へ移ります)。分け方が決まっていないと、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は、原則として使えません。
あとで使えるようにするには、最初の申告に「申告期限後3年以内の分割見込書」を付けます。その後の手順と期限は、税理士に確認してください。
不動産は1件ずつ、何を照らし合わせる?
親の不動産は、自宅の土地と建物だけとは限りません。私道の持分や遠くの山林など、家族が知らなかった土地が見つかる場合があります。次の4つの資料を突き合わせ、不動産を1件ずつ一覧にしていきます(出典:法務省 不動産を相続した方へ。参照資料の一覧へ移ります)。
| 資料 | 取る所 | 分かること | 注意 |
|---|---|---|---|
| 課税明細書 | 市区町村から毎年届く | 固定資産税がかかる土地と建物 | 税金のかからない土地は漏れることがある |
| 名寄帳(その人の不動産の一覧) | 市区町村の窓口 | その市区町村にある不動産 | 載せる範囲が市区町村で違う |
| 所有不動産記録証明書 | 法務局 | 全国で親の名義になっている不動産 | 登記の氏名や住所が古いと漏れることがある |
| 登記事項証明書(登記の中身を写した書面) | 法務局 | 名義と、借金の担保が付いているか | 不動産ごとに請求する |
所有不動産記録証明書は、親の不動産の完全な一覧ではありません(出典:法務省 所有不動産記録証明制度。参照資料の一覧へ移ります)。登記の住所が昔のままだと、検索で見つからないことがあるためです。昔の住所や手元の権利証、通帳の固定資産税の引き落としと見比べてください。
課税明細書に建物があるのに登記が見つからないときも、すぐに「未登記」と決めないでください。地番や家屋番号の違いで、見つからないだけのこともあるからです。地図や現地と見比べても分からなければ、法務局か土地家屋調査士に聞きます。
書類を照らし合わせたら、現地でも建物の様子と、土地の境目を示す印(境界標)を見ておきます。隣の土地との境を確かめた書面が手元にあるかも探してください。
次のどれかに当てはまるときは、分け方や売買の契約をまだ決めないでください。
- 相続人がまだ確定していない
- 相続人に未成年、行方の分からない人、海外に住む人がいる
- 相続人どうしで意見が分かれている
- 名義が祖父母など、親より前の代のまま
- 登記の名義や住所が、親と一致しない
- 未登記の建物、共有の持分、担保、農地が含まれる
こうした事情があると、必要な手続きや順番が変わることがあります。先に司法書士や弁護士に相談し、何から片付けるかを決めてもらうと手戻りを減らせます。
詳しく:共有名義にすると、何が決めにくくなるか
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遺言がなければ、分け方が決まるまで、遺産は相続人全員の共有です(出典:民法第898条。参照資料の一覧へ移ります)。共有の不動産では、することによって必要な同意が違います。
- 売却や解体などの大きな変更:共有者全員の同意
- 貸し出しなどの管理:期間や内容によって、持分の価格の過半数で決められる場合がある
- 雨漏りの応急修理などの保存:各共有者がひとりでできる
貸し出しの契約をする前に、司法書士か弁護士に確かめてください。
年月がたって共有者が亡くなると、持分がさらに細かく分かれていきます。そのため分け方は、1人が取得する方法、取得した人がほかの相続人にお金を払う方法、売って代金を分ける方法を比べて決めます。
相続登記と相続人申告登記、どちらで期限を守る?
相続登記は、2024年4月1日から義務になりました。正当な理由なく申請しないと、10万円以下の過料の対象になることがあります(出典:法務省 相続登記の義務化。参照資料の一覧へ移ります)。
相続登記には、遺言による方法、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)による方法、法定相続分で共有にする方法があります。遺言がなく、協議による登記を選ぶときは、取得する人と持分を全員で決めます。相続人が1人なら、遺産分割協議は要りません。どの方法かで必要な書類が変わるので、相続登記の必要書類の記事で確かめてください。
話し合いが長引いて、期限に間に合いそうにないときに使えるのが「相続人申告登記」です。法務局に「自分が名義人の相続人だ」と申し出る手続きで、相続人の1人だけでもできます(出典:法務省 相続人申告登記。参照資料の一覧へ移ります)。申し出た人は、自分の申請義務を果たしたものとみなされます。ただし、申し出ていないほかの相続人の義務は残ります。
相続人申告登記は、名義を移す登記ではありません。誰が取得したかや持分を示すものでもないため、これだけでは売却も担保の設定もできないのです。そのあと遺産分割が成立したら、成立した日から3年以内に、その内容で相続登記を申請します。
親名義のままだと困ることや、相続人申告登記でできないことは、相続登記をしないとどうなるかの記事にまとめています。自分で登記するか、司法書士に頼むかの考え方も、同じ記事で確かめられます。
屋根に太陽光発電がある家では、相続登記とは別に、売電の手続きが要ることがあります。売電の契約書や明細を探し、契約先に確かめてください。
最初は誰に、何を持って相談する?
相談先は、いま一番困っていることで選びます。
| 困っていること | 最初の相談先 |
|---|---|
| 借金がありそう、相続放棄を考えている | 弁護士、司法書士、家庭裁判所 |
| 相続人や、必要な戸籍の範囲が分からない | 市区町村の戸籍の窓口、司法書士 |
| 名義の確認、相続登記、相続人申告登記 | 法務局、司法書士 |
| 準確定申告、相続税の申告 | 税務署、税理士 |
| 相続人どうしで分け方がまとまらない | 弁護士 |
| 未登記の建物、隣との境界 | 土地家屋調査士 |
| 売るか持ち続けるかを決めたい | 不動産会社(借金と放棄の見通しが立ってから) |
相談には、最初の記録と、集めた書類の写しを持っていきます。記録に「未確認」と書いた所も、そのまま見せて構いません。何が分かっていないかが伝わると、次に調べることを決めやすくなるからです。
戸籍、登記、相続放棄、税の書類の公式な配布先は、相続・空き家の公的書類の配布先ツールで探せます。物件の所在地や提出先から選べます。この記事の内容は一般的な情報です。自分の場合にどうするかは、個別の事情を相談先に伝えて決めてください。
