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相続した土地を国に引き取ってもらう相続土地国庫帰属制度は、2023年(令和5年)4月27日に始まりました(出典:国土交通省掲載 法務省資料。参照資料の一覧へ移ります)。申請件数や、国の土地になった件数は、法務省が統計のページで公表しています。ここに載せた表は、その統計を編集部が写してまとめたもので、数字の読み方と引用のしかたも添えました。
相続土地国庫帰属制度の申請件数と帰属件数は?
2026年(令和8年)8月31日現在の件数は、次のとおりです。数字はすべて速報値なので、あとで直されることがあります。
| 区分 | 件数 | 意味 |
|---|---|---|
| 申請 | 5,997件 | 制度の利用を申し込んだ件数 |
| 帰属 | 3,119件 | 国の土地になった件数 |
| 却下 | 85件 | 申請の要件を満たさないとして、退けられた件数 |
| 不承認 | 100件 | 審査の結果、承認されなかった件数 |
| 取下げ | 1,139件 | 申請した人が、申請を取りやめた件数 |
出典:法務省民事局「相続土地国庫帰属制度の統計」(2026年8月31日現在、速報値)(出典:法務省 統計。参照資料の一覧へ移ります)。元のページの更新日は2026年9月16日で、編集部が写した日は2026年10月6日です。「意味」の欄は、編集部が書き足した説明です。
帰属とは、土地が国のものになることです。却下と不承認は、どちらも国に引き取られなかった件数を指します。ただし、退けられる理由が違うので、統計では別々の件数として載っています。
申請と帰属は、土地の分け方が違う
申請は田・畑、宅地、山林、その他の4区分で、帰属は宅地、農用地、森林、その他の4区分で載っています。この記事では、申請の区分を「地目」、帰属の区分を「種目」と呼びます。地目は、田や宅地といった土地の種類のことです。
申請の内訳(地目)
| 地目 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 田・畑 | 2,335件 | 38.9% |
| 宅地 | 2,091件 | 34.9% |
| 山林 | 902件 | 15.0% |
| その他 | 669件 | 11.2% |
| 合計 | 5,997件 | 100.0% |
出典:法務省民事局「相続土地国庫帰属制度の統計」の申請件数の内訳(2026年8月31日現在、速報値)(出典:法務省 統計。参照資料の一覧へ移ります)。元のページの更新日は2026年9月16日で、編集部が写した日は2026年10月6日です。割合は、件数を合計で割った編集部の計算で、小数第2位を四捨五入しています。
帰属の内訳(種目)
| 種目 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 宅地 | 1,164件 | 37.3% |
| 農用地 | 989件 | 31.7% |
| 森林 | 203件 | 6.5% |
| その他 | 763件 | 24.5% |
| 合計 | 3,119件 | 100.0% |
出典:法務省民事局「相続土地国庫帰属制度の統計」の帰属件数の内訳(2026年8月31日現在、速報値)(出典:法務省 統計。参照資料の一覧へ移ります)。元のページの更新日は2026年9月16日で、編集部が写した日は2026年10月6日です。割合は編集部の計算です。
申請の「山林」と帰属の「森林」、「田・畑」と「農用地」が同じ範囲だとは限りません。そのため、2つの表を並べて「山林は通りにくい」と読むことはできません。地目ごとに何割が帰属したかは、この統計からは出せないからです。
国の資料には、森林が国に帰属した例も載っています。北海道苫小牧市の広葉樹林では、2024年4月に、森林管理署が札幌法務局の審査に協力し、実地調査をしました(出典:林野庁 事例27。参照資料の一覧へ移ります)。審査の結果、この森林は国庫に帰属し、帰属したあとは森林管理署が管理しています。
制度のほかに、農地や森林を売って手放す道もあります。確かめる順番は、相続した農地を売却する記事と相続した山林を売却する記事にまとめました。
却下・不承認は何件で、どんな理由か
却下は、申請の要件を満たさないとして、申請を退けることです。申請の権限がない人の申請や、正当な理由なく調査に応じない場合が当たります(出典:e-Gov 帰属法。参照資料の一覧へ移ります)。建物がある土地のように、法律で申請できない土地も当たります。一方で不承認は、審査の結果、管理に過分な費用や労力がかかるなどとして、承認されないことを言います。
統計の注記に、「1つの事件で複数の却下の理由又は不承認の理由が認められる場合があります」とあります(出典:法務省 統計。参照資料の一覧へ移ります)。理由別の合計が総数を上回るのは、この注記のためと考えられます(編集部の読み取り)。
理由別の合計は、却下が97件で総数85件、不承認が128件で総数100件です(足し算は編集部の計算)。差の12件や28件を、そのまま申請の件数と読み替えないでください。注記の「事件」が表の「件」と同じ単位かどうかは、注記からは分かりません。
却下の理由別
| 理由(編集部の短縮名) | 統計の項目名(原文) | 中身(編集部の要約) | 件数 |
|---|---|---|---|
| 建物存在 | 建物の存する土地 | 建物がある土地 | 4件 |
| 通路用地 | 通路の用に供されている土地 | 他人の使用が予定される土地として、政令(法律の細部を決める国のルール)で定める、現に通路に使われている土地などを含む土地 | 22件 |
| 水道・用悪水路・ため池 | 水道用地、用悪水路又はため池の用 | 他人の使用が予定される土地のうち、政令で定める、現に水道用地、農業用の水を引いたり排水したりする水路(用悪水路)、ため池として使われている土地を含む土地 | 1件 |
| 境界不明 | 境界が明らかでない土地 | 境界が明らかでない土地 | 23件 |
| 申請権限なし | 申請の権限を有しない者の申請 | 申請の権限がない人の申請 | 10件 |
| 書類不備 | 添付書類の提出がなかった | 添付書類が提出されなかった申請(書類全般の不備とは限らない) | 37件 |
| 総数 | — | 理由別の合計(97件)とは一致しない | 85件 |
出典:法務省民事局「相続土地国庫帰属制度の統計」の却下件数(2026年8月31日現在、速報値)(出典:法務省 統計。参照資料の一覧へ移ります)。元のページの更新日は2026年9月16日で、編集部が写した日は2026年10月6日です。「理由」の欄は編集部の短縮名で、「統計の項目名」の欄は元の表の表記です。項目名の全文は、元の統計で確かめてください。
建物がある土地は、そのままでは申請できません。建物を取り壊すときの費用の見方は、空き家の解体費用の記事で説明しています。
不承認の理由別
| 理由(編集部の短縮名) | 統計の項目名(原文) | 中身(編集部の要約) | 件数 |
|---|---|---|---|
| 過分な費用を要する崖 | 崖がある土地 | 勾配30度以上・高さ5メートル以上の崖があり、管理に過分な費用や労力がかかる土地 | 7件 |
| 管理阻害物件 | 工作物、車両又は樹木が存する土地 | 工作物・車両・樹木などが地上にあり、通常の管理や処分を妨げる土地 | 46件 |
| 地下有体物 | 地下に有体物が存する土地 | 取り除かなければ通常の管理や処分ができない物が、地下にある土地 | 3件 |
| 通行権阻害 | 通行権利が妨げられている土地 | 民法上の通行が現に妨げられ、争いを解決しなければ管理や処分ができない土地 | 4件 |
| 使用収益妨害 | 所有権に基づく使用又は収益が妨害されている土地 | 土地を使うことや、そこから収益を得ることが現に妨げられ、争いを解決しなければ管理や処分ができない土地 | 8件 |
| 災害危険 | 災害の危険がある土地 | 土砂の崩壊などが原因で災害が起きるおそれがあり、管理に過分な費用や労力がかかる土地 | 11件 |
| 追加整備必要(森林) | 国による追加整備が必要な森林 | 造林(木を植えること)や間伐(木を間引くこと)などが適切にされておらず、追加の作業が必要で、管理に過分な費用や労力がかかる森林 | 37件 |
| 金銭債務負担 | 金銭債務を負担する土地 | 所有権を取得すると、土地改良法に基づく賦課金などの金銭債務を国が引き継ぐことになる土地 | 12件 |
| 総数 | — | 理由別の合計(128件)とは一致しない | 100件 |
出典:法務省民事局「相続土地国庫帰属制度の統計」の不承認件数(2026年8月31日現在、速報値)(出典:法務省 統計。参照資料の一覧へ移ります)。元のページの更新日は2026年9月16日で、編集部が写した日は2026年10月6日です。項目名の扱いは、却下の表と同じです。
理由ごとの件数を見ても、自分の土地が却下や不承認になるかは分かりません。崖は管理に過分な費用や労力がかかるか、樹木などは通常の管理や処分を妨げるかで、扱いが変わります(出典:法務省 要件。参照資料の一覧へ移ります)。個別の土地については、土地の所在地を受け持つ法務局に相談してください。
詳しく:却下・不承認の理由は法律でどう決まっているか
詳しい説明を開く
法律は、申請できない土地として次の5つを定めています(出典:衆議院 制定法律。参照資料の一覧へ移ります)。
- 建物がある土地
- 担保権(抵当権など、借金の担保にした権利)や、使用・収益のための権利が設定されている土地
- 通路など、他人の使用が予定される土地で、政令で定めるものを含む土地
- 法務省令の基準を超える特定有害物質(土壌を汚す有害な物質)で汚れた土地
- 境界が明らかでない土地や、所有権の有無・誰のものか・範囲に争いがある土地
不承認の理由も5つで、崖、地上の物、地下の物、争いのある土地、そのほかの過分な費用・労力に分かれます。争いのある土地は、裁判などで解決しなければ通常の管理や処分ができない場合に限られます。条件は理由ごとに違い、政令による基準や対象の限定もあります。
ここで見た条文は制定時のものなので、いまの条文はe-Gov法令検索(新しいタブで開きます)で確かめてください。
取下げ1,139件は、どんな理由か
取下げは、申請した人が自分で申請を取りやめた件数です。理由別の内訳は次のとおりで、こちらは足すと総数と一致します。
| 理由 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 有効活用の見込みが生じた | 586件 | 51.4% |
| 却下・不承認であることが判明した | 405件 | 35.6% |
| その他 | 148件 | 13.0% |
| 合計 | 1,139件 | 100.0% |
出典:法務省民事局「相続土地国庫帰属制度の統計」の取下げ件数(2026年8月31日現在、速報値)(出典:法務省 統計。参照資料の一覧へ移ります)。元のページの更新日は2026年9月16日で、編集部が写した日は2026年10月6日です。割合は編集部の計算です。
いちばん多いのは「有効活用の見込みが生じた」の586件で、取下げの約半分にあたります。つまり、取下げのすべてが、審査に通らなかったという意味ではありません。ただし「見込みが生じた」は、売却や貸し出しが実際に決まったことまでは示していません。
「却下・不承認であることが判明した」の405件は、取下げの欄で数えられています。却下・不承認の総数とは別の欄で数えられています。この405件が85件や100件と重なるかどうかは、元の統計で確かめてください。
売却も考えるなら、土地の条件や売れる見込みを、不動産会社に相談する方法があります。売るまでの流れは、相続した土地を売却する流れの記事で確かめられます。
申請件数を読むときの4つの注意
統計の数字は、読み方を誤ると、制度の実際と違う印象を与えます。引用する前に、次の4つを確かめておきましょう。
帰属÷申請は、承認率ではない
帰属件数を申請件数で割ると、約52.0%です(編集部の計算)。ただし、この数字を承認率や成功率と呼ぶことはできません。申請件数には、審査が終わっていない申請も含まれるためです。2024年4月の国会でも、当時は審査中のものが相当数あると政府参考人が答えています(出典:参議院 法務委員会 会議録。参照資料の一覧へ移ります)。
帰属・却下・不承認・取下げの4つを足すと、4,443件です(編集部の計算)。申請の5,997件より、1,554件少なくなります。ただし、この差が、そのまま審査中の件数だとは言い切れません。編集部が写した表には、審査中という欄がなかったからです。
土地が国のものになるのは、負担金を納めた時点
法律では、土地が国のものになるのは、承認を受けて負担金を納めた時点です(出典:e-Gov 帰属法。参照資料の一覧へ移ります)。そのため、承認された件数と帰属件数は、同じとは限りません。法務省の統計が、どの時点で「帰属」を数えるかは、確かめられていません。負担金のしくみは、後の節で触れます。
1件は1人とは限らない
法律では、承認は土地の一筆ごとに行います(出典:e-Gov 帰属法。参照資料の一覧へ移ります)。筆(ひつ)は、登記で土地の1区画を数える単位です。
1人で何筆もの土地を持っていることもあるので、件数を申請した人の数と読み替えないでください。件数が土地の筆数かどうかは、法務省の統計のページには書かれていません。
速報値と、過去・地域別の数字の確かめ先
法務省の統計は速報値で、あとで直されることがあります(出典:法務省 統計。参照資料の一覧へ移ります)。このページには、2026年8月31日現在の1時点の表だけが載っていました。過去の時点の表と都道府県別の表は、2026年10月6日に確かめた範囲では、このページに見当たりませんでした。そのため、引用する前に、データの時点を確かめてください。
ほかの法務省の資料に都道府県別の件数があるかは、編集部では確かめていません。必要なときは、法務省や、土地の所在地を受け持つ法務局に問い合わせてください。この記事では、写した時点の数字を、更新の記録に残していきます。
財務省の資料には、財務省に帰属した土地の都道府県別の件数(2025年9月30日時点)があります(出典:東海財務局 資料。参照資料の一覧へ移ります)。財務局が引き受けた分の帰属件数の推移を載せた資料もあります(出典:財務省 資料。参照資料の一覧へ移ります)。ただし、都道府県別の図と推移の図は、財務省が受け持つ分です。どちらの資料にも別の時点の全国の帰属総数が載っていますが、この記事の表とは、時点も範囲も違います。
制度を考えている家族が、数字のあとに確かめること
件数は、制度全体の動きを示す数字です。自分の土地が引き取られるかどうかは、その土地の条件で決まります。数字を見たあとは、次の3つを確かめると、制度を使うかどうかを考えやすくなります。
申請できる人か
申請できるのは、相続か、相続人への遺贈(遺言で財産を渡すこと)で土地を取得した人です。共有の土地は、共有者の全員がいっしょに申請します(出典:衆議院 制定法律。参照資料の一覧へ移ります)。共有者の中に相続などで取得した人がいれば、売買などで取得した共有者もいっしょに申請できます。ただし、自分の取り分だけを国に引き渡す申請はできません。
制度が始まる前に相続した土地も、対象になります(出典:国民生活 2023年9月号。参照資料の一覧へ移ります)。
費用はいくらかかるか
審査手数料は、土地一筆あたり14,000円です(出典:国土交通省掲載 法務省資料。参照資料の一覧へ移ります)。納めた手数料は、却下・不承認・取下げになっても戻りません(出典:法務省 概要。参照資料の一覧へ移ります)。
承認されたあとに納める負担金は、国が管理する10年分の標準的な費用をもとに決まります(出典:法務省 負担金。参照資料の一覧へ移ります)。金額は20万円が基本です(出典:国民生活 2023年9月号。参照資料の一覧へ移ります)。ただし、一部の市街地の宅地や、一定の田・畑、森林などは、面積に応じて計算します(出典:国庫帰属法施行令。参照資料の一覧へ移ります)。
たとえば一筆で負担金が20万円の場合、手数料と合わせて21万4,000円です。必要に応じて頼む測量や建物の解体などの費用は、これとは別です。条件と費用を売却と比べる考え方は、相続土地国庫帰属制度の条件と費用の記事で説明しています。
どこに相談するか
申請と相談の窓口は、土地の所在地を受け持つ都道府県の法務局・地方法務局の本局です。土地が遠くにあるときは、近くの法務局・地方法務局の本局でも相談できます(出典:国民生活 2023年9月号。参照資料の一覧へ移ります)。相談の方法や予約の要否は、各法務局の案内で確かめてください。
この記事の内容は一般的な情報です。相続放棄も考えているなら、相続放棄を考えているときの実家の片付けの記事で注意点を見ておきましょう。
この記事の数字を引用するとき
記事や資料でこの数字を使うときは、次の文を出典として書き添えてください。
出典:住まいのよりみち「相続土地国庫帰属制度の申請件数と帰属件数|却下・不承認・取下げの数と読み方」(https://sumaiyorimichi.com/sozoku/land-return-system-statistics)
元の統計:法務省民事局「相続土地国庫帰属制度の統計」(令和8年8月31日現在、速報値。令和8年9月16日更新)このページの表は、記事・資料・SNSなどで自由に使えます。そのときは、出典として「住まいのよりみち」の名前とこのページへのリンクを示してください。数字を書き換えたり、元の意味を変えたりしないでください。
表の数字は、元の統計から編集部が写して表にまとめたものです。法務省が作った表ではないため、政府の資料として示さないでください。割合や差は、編集部の計算です。数字を使う前に、法務省の統計のページ(新しいタブで開きます)で最新の時点と注記を確かめてください。
更新の記録
| 更新日 | 内容 | 元の統計の時点 |
|---|---|---|
| 2026年10月6日 | 公開。法務省の統計を2026年10月6日に写して作成 | 2026年8月31日現在(2026年9月16日更新、速報値) |
法務省の統計は更新されます。編集部は、3か月ごとを目安に元のページを確かめます。新しい時点の件数は、日付とあわせて、この表の「内容」の欄に書き足していきます。
