日本の法律では、土地とその上に建つ建物は「まったく別の独立した不動産」として扱われます。親の土地に子どもが家を建てた場合や、相続によって敷地と建物を別々の親族が引き継いだ場合でも、家族だからといって一方の所有者がもう一方の権利を勝手に売却したり処分したりすることはできません。
土地と建物の名義が異なる不動産を売却するときは、親族関係などの心理的な思い込みをいったん脇に置きます。そのうえで、両方の権利関係、敷地を利用する権利(利用権)、担保、費用の負担を整理して、客観的な現状を把握することから始めます。
| 整理項目 | 土地(敷地)の確認内容 | 建物(家屋)の確認内容 |
|---|---|---|
| 法的根拠・登記簿 | 土地の登記事項証明書(表題部・甲区・乙区) | 建物の登記事項証明書(表題部・甲区・乙区) |
| 所有権の及ぶ範囲 | 地面そのものの所有権(民法第206条) | 地上にある独立した建物構造体の所有権 |
| 相手方に対する権利 | 地代の請求権、敷地明渡請求権など | 敷地を利用する権利(賃借権・地上権・使用貸借) |
| 売却時の処分権限 | 土地(底地)の所有権を処分できるが、建物側の敷地利用権の承継等への配慮を要する | 建物の所有権を処分できるが、敷地利用権の譲渡には地主承諾等の要件が伴う |
| 担保設定状況 | 土地単独または共同抵当の有無 | 建物単独または共同抵当の有無 |
土地と建物の登記事項証明書を別々に取り寄せて名義人を確定する
売却に向けた最初の実務は、土地と建物それぞれの登記事項証明書(全部事項証明書)を取得することです。日本の不動産登記制度では、土地1筆、建物1棟ごとに独立した登記記録が作成されています(法務省「不動産登記のABC」(新しいタブで開きます))。
登記事項証明書を取得する窓口は法務局です。最寄りの法務局窓口での交付請求のほか、郵送による請求も利用できます。また、インターネットを利用した「登記ねっと 供託ねっと」によるオンライン請求も可能です(法務局「登記事項証明書(土地・建物)、地図・図面証明書を取得したい方」(新しいタブで開きます))。なお、オンラインで請求した場合でも、証明書自体は紙(窓口受取または郵送)で受け取ります。
取得にあたって注意したいのは、日常で使う建物の「住居表示(〇丁目〇番〇号)」と、登記記録を特定するための「地番・家屋番号」が異なる場合が多い点です。固定資産税の納税通知書に記載された所在地番を見るか、法務局に備え付けられているブルーマップ(住居表示地番対照図)で確認します。
登記事項証明書が手元に届いたら、甲区(所有権に関する事項)に記載されている以下の項目を照合します。
- 現在の登記名義人の氏名と住所が現在の実態と一致しているか
- 登記名義人が既に亡くなっており、相続登記が未了のまま放置されていないか
- 単独所有か、複数人による共有名義(共有持分)になっているか
- 差押え、仮差押え、仮処分などの処分制限の登記が付されていないか
登記名義人が亡くなっている場合、買主へ所有権移転登記を行う前提として相続登記を完了させなければなりません。登記の手続きは、遺言書や法定相続分、遺産分割協議など、原因に応じた手順で進めます。なお、不動産会社への早期相談や査定、売買契約の締結準備自体は登記手続きと並行して進められる場合もありますが、買主への最終的な引渡し期日までに前提登記を完了させておく必要があります。また、共有名義になっている場合は、持分所有者全員の合意が欠かせません。
建物が土地を利用している法的根拠(借地権か使用貸借か)を調べる
土地と建物の所有者が異なる場合、建物所有者が土地を正当に占有・利用するための法的な権原(敷地利用権)が必要です。この敷地利用権には、物権である「地上権」、債権である「賃借権(借地権)」、無償の「使用貸借」があります。どの類型に該当するかによって、第三者に対する効力や売却時の手続きは大きく異なります(e-Gov法令検索「民法」(新しいタブで開きます))。
親族間では契約書を交わしていない事例も多いため、契約書の有無だけでなく、合意内容や過去の金銭の授受実態を確かめて権利関係を特定します。借地権の第三者への効力などはe-Gov法令検索「借地借家法」(新しいタブで開きます)も照合し、判断が難しい場合は専門家へ確認します。
| 区分 | 地上権 | 賃借権(借地権) | 使用貸借 |
|---|---|---|---|
| 対価の支払い | 地代の支払いは当事者の取り決めによる(無償の設定も可能) | 近隣相場や合意に応じた地代を支払っている | 無償、または固定資産税相当額や実費程度の負担 |
| 権利の性質 | 物権であり、自由に他人に譲り渡しやすい(強い譲渡性がある) | 債権であり、原則として地主の承諾が必要 | 無償の人間関係に基づく合意であり、他人に譲り渡すことは認められない |
| 第三者への対抗力 | 地上権設定登記があれば対抗できる | 借地権者名義の建物登記などがあれば対抗できる(借地借家法第10条。土地の登記との優先関係の確認が必要) | 原則として対抗できない(買主と新しく利用合意を結ばなければ、立ち退きを求められる可能性がある) |
| 相続時の扱い | 相続財産として相続人に引き継がれる | 相続財産として相続人に引き継がれる | 原則として借りていた人が亡くなると契約が終了する(民法第597条第3項。特約や立ち退きの話し合いが必要) |
| 第三者への譲渡 | 土地所有者の承諾がなくても単独で譲り渡せる | 土地所有者の承諾、または裁判所の許可(借地非訟)が必要 | 土地所有者の承諾がない限り譲り渡せない(買主と新しく利用合意を結べるか話し合う) |
借地権を第三者に主張できる力(対抗力)については、e-Gov法令検索「借地借家法」(新しいタブで開きます)第10条により、建物の登記があれば土地の買主に対抗できると定められています。ただし、単に建物の登記があるだけで安心できるわけではありません。その登記名義人が土地を借りている本人(借地権者)と一致しているかや、土地につけられた抵当権の登記とどちらが先だったか(先後関係)も確かめる必要があります。また、タダで借りている「使用貸借」の場合、敷地を利用する権利は原則として土地の新しい所有者には主張できません。そのため、立ち退き(明渡し)を求められるリスクが伴います。とはいえ、土地が売却されたり借りていた人が亡くなったりしたからといって、その場ですぐに自分から退去しなければならなかったり、建物を壊す義務が生じたりするわけではありません。新しい所有者との間で新しく利用合意を結べるかどうかの話し合いや、立ち退く条件の協議を経て、法的に整理していきます。
抵当権の有無と担保範囲を乙区で確認する
登記事項証明書の乙区(所有権以外の権利に関する事項)を確認し、金融機関などの抵当権や、事業資金などで枠の上限額(極度額)まで担保する根抵当権がついていないかを調べます。
不動産を売却して買主に名義を移す(所有権を移転する)実務では、売買代金の残金を受け取るときに融資の返済(ローンの完済)を行います。そのうえで金融機関から受け取った抹消書類を使い、名義変更(所有権移転登記)と同時に抵当権を消す登記(抵当権抹消登記)を申請する手順を整えます(国土交通省「重要事項説明書参考様式」(新しいタブで開きます))。名義が異なる不動産では、抵当権のつき方によって必要な手続きが分かれます。
- 土地と建物の両方に、同じ借入に対する抵当権がついている(共同抵当)
- 土地だけに先代の住宅ローンや事業資金の抵当権が残っている
- 建物だけに建物所有者の住宅ローン残高に基づく抵当権がついている
売却できる見込み額が、抵当権がついている借入金の残高(被担保債権・ローン残債)を下回る状態を「オーバーローン」と呼びます。この状態では、売却代金だけではローンを完済できません。原則として、不足分を手持ちの自己資金(貯金など)で補って完済し、金融機関から抵当権を消す承諾をもらいます。自己資金で補えない場合であっても、金融機関などの債権者と個別に話し合い、残ったローンの分割返済や任意売却、担保を外す条件について協議できる余地があります。そのため、すぐに売却を諦める必要はありませんが、債権者と事前に綿密な調整を行っておくことが欠かせません。
売却方針の3大選択肢と実現可能性を比較する
土地と建物の名義が異なる不動産を売却するときは、大きく分けて3つの選択肢があります。どの方法を選ぶかによって、取引価格の計算方法、必要となる費用や承諾の条件、関係者同士で調整すべき内容が異なります。
| 売却手法 | 価格・査定の目安 | 承諾要件・関連費用 | 実現可能性・比較の視点 |
|---|---|---|---|
| A. 土地・建物の同時売却(第三者へ一括売却) | 土地・建物一体の実額査定に基づく市場価格 | 当事者双方の同意が必須。承諾料等は不要だが代金・諸費用の配分合意が必要 | 買主が一体で利用できるため需要層が広く、条件合意が成立すれば有力な選択肢 |
| B. 当事者間での名義一本化(買い取り・贈与) | 当事者間取引時の適正時価(実額査定等に基づく) | 名義一本化と第三者への再売却で二段階の取得・移転費用(登記費用・税金等)が発生 | 一本化により以降の処分判断を単独で行えるが、買取資金の調達と税務配慮が不可欠 |
| C. 土地のみ/建物のみの単独売却 | 底地または敷地利用権付き建物としての個別実額査定 | 賃借権譲渡には地主承諾料(または借地非訟費用)が必要。使用貸借は買主の新合意が必要 | 権利制限に伴う制約を受け需要層は限定されやすいが、個別権利の処分として検討可能 |
パターンA:土地と建物を同時に一括売却する(最も一般的で有利な方法)
土地の所有者と建物の所有者が協力し、1人の買主に対して土地と建物を同時に売却する方法です。買主にとっては土地と建物の完全な所有権をまとめて手に入れられるため、住まいとして住宅ローンを組んだり、将来建て替えたりする計画が立てやすく、買ってくれる人の幅が広がる傾向にあります。
この方法を選ぶためには、双方が事前に合意しておくべき大切な条件があります。売却する意思や売却条件、物件を引き渡す時期、そして後ほど説明する「売買代金の配分比率」について、関係者同士でしっかり気持ちや条件を擦り合わせます。どちらか一方が反対している場合は、話し合いを重ねて条件面での合意を目指す必要があります。
パターンB:どちらか一方が相手の権利を買い取って一本化する
将来的な管理や処分を円滑にするため、土地所有者が建物を買い取るか、建物所有者が土地を買い取って名義を単独所有に揃えた上で売却する方法です。
例えば、建物所有者が親から土地を買い取って完全な所有権者となれば、その後は自分の判断だけで自由に不動産を売却できます。ただし、買い取る側には相応の購入資金や住宅ローンの借換調達力が必要になるほか、当事者間での権利取得時と第三者への売却時で二段階の登記費用や税金などのコストが生じる点に留意が必要です。
パターンC:土地だけ、または建物だけを単独で売却する
相手が売却に同意してくれない場合や、自分の権利だけを個別に処分したい場合は、自分が所有している権利の部分だけを単独で市場に売り出すことになります。
建物のみを売却する場合、敷地を利用する権利が賃貸借(借地権)であれば、「借地権付き建物」として売却できる余地があります。民法第612条により、賃借権を他人に譲り渡すには原則として土地の所有者(地主)の承諾が必要です。ただし、承諾が得られない場合でも、裁判所に申し立てて地主の承諾に代わる許可をもらう手続き(借地非訟)を利用できます。一方、敷地を利用する権利が「使用貸借」である場合は、買った人がそのまま土地を使い続けられるよう、土地の所有者と新しく利用合意を結べるかどうかが売却成立の分かれ目となります。
土地のみを売却する場合、他人の建物が建っている土地は「底地(借地権が設定された土地)」または「使用貸借中の土地」になります。買主にとっては自由に土地を使えない制限があるため、個別の査定額をもとに、不動産投資家や専門の買取会社などを対象として取引条件を調整していくことになります。
売買代金と諸費用の配分根拠を客観的に決める
同時売却(パターンA)を行うときに、もっとも揉めやすいのが「受け取った売買代金を、土地の所有者と建物の所有者でどのように分けるか」という問題です。
親族の間だからといって、合理的な根拠もないまま適当な割合で分けてしまうと、一方からもう一方へ資金を移動したとみなされ、税務署から贈与税を課される恐れがあります。
売買代金の配分比率を決めるときは、いくつかの客観的な基準を見比べながら当事者同士で話し合います。
- 固定資産税評価額の比率:市区町村から送られてくる固定資産税課税明細書に書かれた、土地と建物の評価額の割合を使う方法です。公的な評価に基づくため、分かりやすい基準になります。
- 路線価や借地権割合に基づく評価:相続税路線価図に定められている借地権割合(地域によって30%〜90%など)を参考にしながら、土地の価格(更地価格や底地価格)、敷地を利用する権利、建物自体の評価をそれぞれ個別に切り分けて計算する方法です。
- 不動産鑑定評価や専門業者の査定額:建物の築年数が古くて公的な評価がゼロに近い場合や、土地の条件が特殊な場合に、不動産鑑定士や宅地建物取引業者(不動産会社)に依頼して個別に価格の割合を出してもらう方法です。
また、売買にかかる諸費用の負担についても、契約を結ぶ前に合意書を交わしておきます。仲介手数料の上限と低廉な空家等の特例は、国土交通省の「不動産取引に関するお知らせ」(新しいタブで開きます)で最新条件を確認してください。下の表にある配分は、契約前にお互いで話し合って決めるための目安となる案であり、法律で一律に決められた割合ではありません。代金を受け取る人ごとに、売買代金、負担する諸費用、ローンの返済額をはっきりと記録しておく必要があります。
| 費用項目 | 対象となる主な作業 | 負担者の標準的な考え方 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 不動産会社への成功報酬(成約価格が400万円を超える場合は「価格の3%+6万円+消費税等」、または800万円以下の低廉な空家等の特例上限式) | 土地と建物の売買代金を受け取る割合に応じて分けて負担(按分) |
| 境界確定・測量費用 | 隣の土地との境界標の確認、確定測量図の作成 | 原則として土地の所有者が全額負担 |
| 建物解体費用 | 古い家を取り壊して更地として引き渡す場合の解体費用・建物滅失登記費用 | 建物を処分するための費用なので建物の所有者が負担、または話し合いで調整 |
| 登記費用 | 売主側の住所・氏名の変更登記、抵当権抹消登記 | それぞれの権利に関係する名義人が自己負担 |
| 契約印紙税 | 売買契約書に貼る収入印紙代 | 売買契約の結び方に応じて等分、または代金の割合に応じて按分負担 |
税務の落とし穴と特例適用の事前確認
土地と建物の名義が異なる不動産を売却するときは、税金の特例が使えるかどうかで手元に残る金額(手取り額)が大きく変わることがあります。また、親族同士の取引ならではの課税リスクにも十分注意しなければなりません。
居住用財産の3,000万円特別控除の適用関係
国税庁「マイホームを売ったときの特例」(新しいタブで開きます)によると、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」は、マイホームを売却したときに売却益(譲渡所得)から最大3,000万円を差し引ける制度です。原則として「自分が住んでいる家とその敷地」を売却した場合に使えます。
建物の所有者がその家に実際に住んでいた場合、建物の所有者の売却益についてはこの特例を利用できます。一方、土地だけを所有していてその家に住んでいない親(土地の所有者)については、原則としてこの特例の対象になりません。
土地の所有者にも特例を適用するためには、次の条件をすべて満たす必要があります。
- 家屋と敷地を同時に売却すること
- 土地所有者と建物所有者が親族であり、生計を一にしていること
- 土地所有者もその家屋に同居していること
国税庁「家屋と土地の所有者が異なる場合の特別控除」(新しいタブで開きます)で示されている一定の要件を満たす場合、控除限度額は両所有者を合わせて最高3,000万円となり、家屋所有者が控除を受けた後の残額を土地所有者が利用します。自己判断で適用を決めつけず、売買契約を結ぶ前に所轄税務署または税理士へ適用可否を確認してください。
親族間売買における「みなし贈与」のリスク
当事者間で名義を一本化するために土地や建物を売買する場合、個人間で相場よりも著しく低い価格(著しい低額譲渡)で取引を行ってはいけません。
客観的な時価と売買金額との差額は、税務上「経済的利益の贈与」と判定され、買主に多額の贈与税(みなし贈与課税)が課されるおそれがあります。適正な時価を算定し、売買契約書の作成や実際の代金決済の証跡(銀行振込記録)を確実に残さなければなりません。
相手が売却に同意しない・連絡が取れない場合の対処手順
土地と建物の名義が異なる不動産では、感情的な対立や音信不通などが原因で話し合いが進まなくなるケースがよく見られます。同意してくれない相手に対して、法律を使って売却を強制することはできません。そのため、相手の状況(反対している、話し合いを拒絶している、行方が分からない)に合わせて、法律や実務に沿った方法で段階的に解決を図る必要があります。
状況に応じた現実的な対処手順は、次の通りです。
- 相手が売却に反対している場合:不動産会社などの第三者に入ってもらい、今のまま放置したときにかかる固定資産税の負担や、将来の修繕費、放置された空き家(特定空家)に指定されるリスクを客観的な数字で示します。そのうえで、同時に売却することの経済的なメリットを粘り強く説明します。
- 相手が話し合い自体を拒絶する場合:弁護士に代理人を依頼し、法律上の権利(敷地を利用する権利があるか、地代の未払いを理由に契約を解除できるか、地代の値上げを請求できるかなど)を法的に整理したうえで、正式に交渉を申し入れます。
- 相手と連絡が取れず行方不明の場合:戸籍の附票や住民票の除票を取り寄せて現住所を追跡します。どうしても居場所が分からない場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人」を選んでもらう申し立てを行い、裁判所から売却の許可(権限外行為許可)を得て売却手続きを進めます。また、長い間生死が分からず「失踪宣告」を申し立てる場合は、法律上亡くなったものとみなされて新しい相続が始まるため、相続人を確定させたうえで遺産の分け方を話し合い(遺産分割)、売却手続きを進めます。
- 相続登記が放置され多くの相続人がいる場合:司法書士に依頼して、亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本をすべて集めます。法律上の相続人(法定相続人)を全員突き止めたうえで、遺産分割の話し合い(遺産分割協議)を進めます。
専門家への相談準備と窓口別の最初の質問
権利関係が複雑な不動産であっても、すべての調査を自分ひとりで終えてから相談に行く必要はありません。準備が完璧ではない段階でも、手元にある資料だけで専門家への相談をすぐに始められます。
手元にある資料と二列メモで相談をスタートする
初回の相談は、手元にある次の資料を揃えるだけで十分です。
- 土地と建物それぞれの登記事項証明書(全部事項証明書)
- 土地と建物の現状を並べた「二列メモ」(名義人、住んでいる人、利用状況などを左右に書き出したもの)
- 過去の契約書や地代の支払い記録(手元にある場合のみ)
- 住宅ローンや借入金の返済予定表・残高証明書(残債証明書)
自分で調べて分からなかった項目は、無理に予想せず「確認できていない」とそのまま専門家に伝えて差し支えありません。専門家は、何が確認できていて何が未確認かを把握できれば、次に確認すべきことを的確に案内してくれます。
相談先ごとの役割と日常語で伝える最初の質問
専門家には、それぞれ法律で担当できる業務の範囲(職域)が決まっています。それぞれの役割に合った質問を普段の言葉で投げかけることで、的確な助言をスムーズに引き出せます。
| 相談先(窓口) | 専門家の役割 | 日常語で伝える最初の質問例 |
|---|---|---|
| 不動産会社(宅地建物取引業者) | 相場価格の査定、売却活動、買主との条件交渉 | 「土地と建物の名義が別々ですが、一括で売った場合の査定額と、土地または建物だけを単独で売った場合の現実的な査定額を教えていただけますか?」 |
| 司法書士 | 相続登記、所有権移転登記、抵当権抹消手続き | 「土地の名義が亡くなった親のままです。売却を進める前提として、現在の相続人へ名義を変更するにはどのような書類が必要ですか?」 |
| 税理士(または所轄税務署) | 譲渡所得税の計算、特例適用の可否、贈与税リスクの判定 | 「親の土地に子が家を建てて住んでいますが、一緒に売却した場合、親の土地にも3,000万円控除は使えますか? 代金配分で贈与税を疑われない基準も知りたいです」 |
| 弁護士 | 権利関係の法的確定、相手方との交渉代理、調停・訴訟 | 「建物の所有者である親族が売却の話し合いに応じてくれません。敷地利用権の有無などの法的関係を整理した上で、代理人として交渉に入っていただけますか?」 |
※不動産会社を選ぶ際は、国土交通省の「宅地建物取引業者検索システム(新しいタブで開きます)」を利用すると、免許を出した行政機関(免許行政庁)や免許証番号、過去の行政処分歴などの公的な情報を事前に確認できます。
権利の整理から売却完了までの実務手順
二つの異なる権利を一つの取引として完結させるため、手続きの工程を整理します。
- 現状調査:土地・建物双方の登記事項証明書、公図、固定資産税課税明細書を取り寄せます。
- 権利・契約の整理:敷地利用権の種類(賃貸借・地上権・使用貸借)、契約書の有無、地代支払い実態、抵当権残債を二列メモなどに一覧化します。
- 条件の協議:同時売却に向け、最低売却希望額、解体費用の負担、代金配分比率(客観的評価比率など)を協議し、書面で合意書を作成します。
- 税務・法務の事前確認:3,000万円特別控除の適用可否、みなし贈与課税のリスクを税理士または税務署で確認します。
- 媒介契約の締結:不動産仲介会社と媒介契約を締結します(売主欄には土地所有者・建物所有者の双方が署名捺印します)。
- 売買契約の締結:買主との間で売買契約を交わし、手付金を受領します。
- 残金決済・引渡し:売買代金の受領と同時に融資返済を行い、抵当権抹消書類を受領して所有権移転登記と連動して申請し、買主へ物件を引き渡します。
