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解体業者の選び方は?許可の調べ方、相見積もりと契約書で確かめること

解体業者は、建設業の許可か解体工事業の登録を、公的な検索や都道府県の一覧で確かめます。そのうえで、撤去の範囲をそろえて複数の業者から見積もりを取り、1社を選びます。比べるのは総額だけでなく、アスベスト調査の費用、廃棄物の処理先、追加費用の決め方、工事後に受け取る書類です。

まだしないこと

許可・登録の確認と、条件をそろえた見積もりが手元にそろうまでは、1社に決めて契約しないでください。

まずすべきこと
  1. 候補の業者に許可番号か登録番号を聞き、公的な検索で確かめる
  2. 家に残す物と撤去する物を書き出し、見積もり用の条件表を作る
  3. 図面や登記事項証明書を手がかりに、解体する部分の床面積を業者と確認する

このページで決めること業者の許可・登録の調べ方、相見積もりの条件のそろえ方、契約書と工事後の書類で決めておくことが分かり、1社を選べます。

古い家の解体に向けて、業者と見積書や確認事項を確かめる家主
公開日 2026年10月6日法令・制度確認日 2026年10月6日執筆・編集 住まいのよりみち編集部読了目安 17分
この記事の目次を開く(9項目)

相続した実家を解体すると決めても、解体業者を選ぶのは多くの人にとって初めてです。遠方に住んでいて、現地に何度も足を運べない人もいるでしょう。解体業者の選び方は、口コミや総額を見る前に、許可・見積もりの条件・契約書の順に確かめると迷いにくくなります。以下では、工事を頼む家の持ち主を「発注者」(施主とも呼ばれます)、発注者と直接契約する業者を「元請業者」と呼びます。

解体業者を選ぶ順番と、その前に決めておくこと

解体業者選びは、次の順に進めると手戻りが少なくなります。

  1. 候補の業者が、解体工事の許可か登録を持っているかを確かめる
  2. 直接頼む・紹介・一括見積もりのどれで候補を集めるかを決める
  3. 撤去する範囲などの条件をそろえ、複数の業者から見積もりを取る
  4. 工期・追加費用・書類の受け取りを書いた契約書を交わす
  5. 届出とアスベスト(石綿)の調査を済ませて着工し、工事後に書類を受け取る

床面積の合計が80㎡以上の家の解体では、契約の前に元請業者から書面で説明を受けます。その後の順番は、契約・発注者の届出・解体とリサイクル・元請業者の完了報告です(出典:国土交通省 届出のチラシ。参照資料の一覧へ移ります)。発注者にも届出などの役目があるので、業者に任せきりにはできません。

業者を探す前に、2つのことが決まっているかを確かめてください。1つ目は、本当に解体するかです。古い家を残したまま売る道もあるため、迷っているなら古い家を解体して売るかの判断表で先に比べられます。

2つ目は、費用を誰が払うかです。兄弟など相続人が何人かいるなら、実家の解体費用を誰が払うかの記事で分け方を確かめておきましょう。契約する人と払う人が決まらないうちに見積もりを進めると、契約の段階で話が止まりかねません。

解体業者の許可と登録は、どこで確かめる?

家の解体を請け負う業者は、建設業の許可か、解体工事業の登録のどちらかを持っている必要があります。どちらを持っているかで、請け負える工事の金額が変わります。

どの許可・登録を持っていればよいか

1件の請負代金が税込500万円以上の解体工事は、建設業の許可がないと請け負えません(出典:国土交通省 建設業の許可とは。参照資料の一覧へ移ります)。500万円ちょうどは「以上」に入ります。500万円未満なら、都道府県の解体工事業の登録で請け負えます(出典:埼玉県 登録申請の手引き。参照資料の一覧へ移ります)。

表:業者が持っているもの、解体工事業の登録、請け負える解体工事
業者が持っているもの解体工事業の登録請け負える解体工事
建設業許可(解体工事業)要らない税込500万円以上も請け負える
建設業許可(土木工事業・建築工事業)要らない税込500万円未満。500万円以上の解体を単独で請け負うには、解体工事業の許可も要る
解体工事業の登録だけ—税込500万円未満

土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれかの許可があれば、登録を別に受ける必要はありません(出典:佐賀県 建設業の許可制度。参照資料の一覧へ移ります)。ただし、税込500万円以上の解体工事を単独で請け負うには、解体工事業の許可が別に要ります。許可がない業者は、工事をする都道府県ごとに登録を受けます。その県に営業所があるかどうかは関係ありません(出典:神奈川県 解体工事業登録。参照資料の一覧へ移ります)。

なお、500万円は許可が要るかどうかの基準です。解体費用の目安ではないので、見積もりの金額を考える材料にはしないでください。

番号を公的な検索で確かめる

まず、名刺や見積書に許可番号か登録番号が書かれているかを見ます。書かれていなければ、業者に番号を聞いてかまいません。建設業の許可は、国土交通省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システム(新しいタブで開きます)で調べられます。

ただし、新しく許可を受けた業者や変更があった業者は、掲載まで概ね1か月かかります(出典:国土交通省 検索システムの案内。参照資料の一覧へ移ります)。検索の結果と業者の話が合わないときは、許可を出した都道府県などの窓口に問い合わせます。

解体工事業の登録は、家のある都道府県の登録業者一覧や、登録の担当窓口で確かめます。島根県のように、許可の検索と登録業者の一覧を分けて案内している県もあります(出典:島根県 解体工事等を行う方へ。参照資料の一覧へ移ります)。

許可と登録には、どちらも期限があります。建設業の許可の有効期間は5年間です(出典:国土交通省 建設業の許可とは。参照資料の一覧へ移ります)。解体工事業の登録も5年間で、続けるには更新が要ります(出典:神奈川県 登録の有効期間。参照資料の一覧へ移ります)。有効期間が過ぎて見えても、更新の手続き中で、結果がまだ出ていないだけのこともあります(出典:国土交通省 許可業者一覧。参照資料の一覧へ移ります)。

検索に出ないことや日付だけで、無許可の業者だと決めつけないでください。迷ったら、窓口に問い合わせてください。

工事の実績と保険も聞いておく

許可や登録は、業者を選ぶときの最低限の条件にすぎません。室蘭市は、選ぶ材料として、過去の工事の実績と、損害賠償保険に入っているかを挙げています(出典:室蘭市 空家解体業者を選ぶポイント。参照資料の一覧へ移ります)。

似た大きさの家を解体した例があるか、保険で何が補償されるかを聞いておくと、業者どうしを比べやすくなります。補償の対象と上限も、業者に確認してください。

詳しく:知事許可と大臣許可、一式工事と専門工事

詳しい説明を開く

建設業の許可には、国土交通大臣の許可と都道府県知事の許可があります。どちらになるかは営業所の所在地で決まり、知事の許可でも、ほかの都道府県で工事ができます(出典:国土交通省 建設業の許可とは。参照資料の一覧へ移ります)。

もう1つは、許可の業種です。建築工事業などの一式工事の許可があれば、解体工事業の登録は要りません。ただし、許可が要る規模の専門工事だけを単独で請け負うときは、その専門工事の業種の許可が別に要ります(出典:佐賀県 建設業の許可制度。参照資料の一覧へ移ります)。金額の大きい解体だけを頼むなら、許可の業種に「解体工事業」があるかを見てください。

解体業者の探し方は3つ:直接・紹介・一括見積もり

解体業者の候補の集め方は、大きく分けて次の3つです。探し方だけで、価格や工事の質が決まるわけではありません。そのため、自分の状況に合うかどうかで選び、各社の条件を比べます。

表:探し方、向いている人、自分で確かめること
探し方向いている人自分で確かめること
業者に直接頼む家の近くに知っている業者がある人許可・登録、ほかの業者との比較
不動産会社やハウスメーカーの紹介売却や建て替えを相談している会社がある人紹介元と業者の関係、ほかの業者との比較
一括見積もりのサービス家の近くの業者を知らない人、遠方に住む人連絡が来る業者の数と方法、各社の許可・登録

どの探し方を選んでも、許可・登録の確認と、条件をそろえた見積もりの比較は発注者がします。紹介された業者でも、自分で番号を確かめておきましょう。

一括見積もりのサービスは、業者を見つける入り口の1つです。鳥取県米子市のように、こうしたサービスの運営会社と連携協定を結んだ自治体もあります(出典:米子市 連携協定。参照資料の一覧へ移ります)。ただし、協定があることは、個々の業者の工事の質を保証するものではありません。

相見積もりは、撤去の範囲と条件をそろえて取る

相見積もり(複数の業者から同じ工事の見積もりを取ること)は、条件がそろっていないと比べられません。片方は塀や庭木まで含み、もう片方は母屋だけ、ということが起きるからです。

そこで、次のような条件表を作り、どの業者にも同じものを渡します。法律で決まった項目ではなく、見積もりを比べるための確認項目です。この表は業者に渡す条件をそろえるためのもので、届いた見積書の読み方は、表のあとで紹介する費用欄の記事に任せます。

表:そろえる条件、決めておくこと
そろえる条件決めておくこと
建物母屋のほか、離れ・物置・車庫も壊すか
付帯物塀、門扉、庭木、庭石、土間のコンクリート、屋根の太陽光パネルを撤去するか残すか
家財自分で片付けるか、処分も業者に頼むか
整地解体後の地面をどこまでならすか
アスベスト事前調査の費用が入っているか、見つかったときの除去費をどう見積もるか
廃棄物の処理処分先と、その費用が書かれているか
届出届出の書類づくりや代理の申請を頼むか
追加費用追加が出たときの説明と、承認のしかた

屋根に太陽光パネルがあるなら、解体前の太陽光パネル撤去の記事も確かめます。

家に残ったタンスなどの家財は、解体で出る廃材とは扱いが違います。三重県は、家財を一般廃棄物(家庭などから出るごみ)として、発注者が処理するよう案内しています(出典:三重県 解体工事を発注する皆さまへ。参照資料の一覧へ移ります)。家財の処分も業者に頼みたいときは、誰がどう処分するのかを見積もりの段階で確かめてください。

アスベストの調査費も、見落としやすい項目です。国の発注者向けの資料は、見積もりに事前調査の費用が入っているかと、調査する人の資格を確かめるよう勧めています(出典:厚生労働省ほか 石綿対策。参照資料の一覧へ移ります)。調査費が抜けた見積もりは、総額が安く見えても、後から費用が足されるかもしれません。アスベストが見つかったときの除去費も、各社で含め方が違うと総額を比べられません。

見積書の費用欄の読み方や、解体費用の相場は、空き家の解体費用と見積内訳の記事で確かめられます。補助金を使えるかどうかは、空き家の補助金の調べ方の記事を見て、見積もりを頼む前に調べておくと順番を組みやすくなります。

条件表ができたら、探し方を選んで見積もりを頼む段階です。解体するかどうかが決まっていないなら、解体して売るかの判断表で先に比べてください。誰が払うかが決まっていないなら、費用を誰が払うかの記事を先に確かめます。見積もりはその後でもかまいません。

解体業者と結ぶ契約書で決めておくこと

請負契約(工事を完成させることを約束する契約)は、口約束でも成り立つことがあります。それでも、建設業法は、契約の内容を書面に書き、署名か記名押印をして互いに渡すよう求めています。建設業法が契約書に書くよう求める項目には、次のようなものがあります(出典:中国地方整備局 施工体制Q&A。参照資料の一覧へ移ります)。

表:項目、確かめる点
項目確かめる点
工事の内容条件表と同じ範囲が書かれているか
着手と完成の時期着手の日と、終わる日が書かれているか
前払いと支払い前払いの有無と時期、残りを払う時期と方法
工期・代金の変更追加の工事が出たときの決め方
第三者への損害隣の家などに損害が出たときの負担
完成の確認と引き渡し誰がいつ、どう確かめるか
紛争の解決話がまとまらないときの方法

床面積の合計が80㎡以上の解体では、さらに4つの項目を契約書に書きます(出典:岐阜県 発注者や元請け業者の義務。参照資料の一覧へ移ります)。分別解体(廃材を種類ごとに分けながら壊すこと)の方法と、解体工事の費用が1つ目と2つ目です。残りの2つは、再資源化(廃材をリサイクルすること)をする施設の名称と所在地、そして再資源化の費用です。

追加費用は、決め方を先に書いておく

工事が始まってから、思わぬ物が見つかって追加の費用を求められる場合があります。国土交通省の契約書のひな形では、追加や変更で代金や工期を変えるときは、発注者と元請業者が話し合って決めます(出典:国土交通省 民間建設工事標準請負契約約款(乙)。参照資料の一覧へ移ります)。代金の変更を求める側が、その理由を示すという定めもあります。

そこで、追加が出たら写真つきで説明し、書面で承認してから進める、と契約に書いておきます。言った言わないを防ぎやすくなります。遠方に住む人ほど、連絡の方法と、承認のしかたを決めておくことが役に立ちます。前払いをいつ、いくら払うかも、契約で決める事柄です。

近所への配慮と、損害が出たとき

解体工事では、騒音などの苦情に配慮して進めることが求められます(出典:東京都環境局 施主の方へ。参照資料の一覧へ移ります)。作業の時間帯と、苦情が来たときの連絡先を、契約の前に業者と決めておきましょう。あいさつの範囲や、誰が回るかは、解体工事の近所へのあいさつの記事にまとめています。

国の契約書のひな形では、工事で第三者に損害を与えたときは、元請業者が処理と解決に当たるとしています(出典:国土交通省 民間建設工事標準請負契約約款(乙)。参照資料の一覧へ移ります)。ただし、発注者の側の責任による場合は除かれます。実際に使う契約書に同じ定めがあるかを確かめ、業者の保険とあわせて聞いておきましょう。

契約書の条項が自分に不利でないか判断に迷うときは、署名の前に弁護士にご相談ください。損害の負担がどうなるかは、契約の中身と個別の事情によって変わるからです。

詳しく:国の標準請負契約約款

詳しい説明を開く

国土交通省は、民間の小さな工事向けの標準請負契約約款(乙)を公開しています。案内されている版は2025年(令和7年)12月2日に改正され、同じ年の12月12日から施行されています(出典:国土交通省 標準請負契約約款について。参照資料の一覧へ移ります)。約款は契約書のひな形で、すべての契約にそのまま当てはまる法律ではありません。業者が使う契約書と見比べ、追加工事や第三者の損害の定めがあるかを確かめる材料になります。

工事前の届出とアスベスト調査は、誰がする?

解体の前には、廃材のリサイクルとアスベストについて、別々の手続きがあります。どちらにも80㎡という数字が出てきますが、制度も担当も違います。

床面積が80㎡以上なら、着工の7日前までに届出

建設リサイクル法(解体で出る廃材の分別とリサイクルを定めた法律)の対象には、使われている資材の条件があります。木材やコンクリートなど、法律で定める資材を使った建物の解体が対象で、木造の家も含まれます。そのうえで、床面積の合計が80㎡以上なら届出が要ります(出典:国土交通省 届出のチラシ。参照資料の一覧へ移ります)。判断に使うのは敷地の広さではなく、建物の床面積の合計です。

届け出るのは発注者で、工事に着手する7日前までに都道府県知事へ出します(出典:岐阜県 発注者や元請け業者の義務。参照資料の一覧へ移ります)。たとえば着手日を10月20日とすると、届出の期限は10月13日です。休日の受付や提出の方法は、窓口で確かめておきます。

書類づくりを業者に頼んでも、届け出る義務は発注者に残ります。東京都は、元請業者による代理の申請を認め、その際は委任状が要ると案内しています(出典:東京都環境局 施主の方へ。参照資料の一覧へ移ります)。受付の窓口や代理の扱いは地域で違うため、家のある都道府県・市区町村の担当に確認してください。

床面積は、図面や登記事項証明書を手がかりに、解体する部分について業者と確かめます。登記の面積と、実際に解体する範囲が合わないこともあるからです。

アスベストの事前調査は、80㎡未満の家でも要る

家を解体するときは、元請業者などが、アスベストを含む建材があるかを事前に調べなければなりません(出典:環境省 事前調査結果の報告。参照資料の一覧へ移ります)。80㎡は、調べた結果を役所へ報告するかどうかの基準です。80㎡未満の小さな家でも、調査そのものは要ります。

調査は、2023年(令和5年)10月1日から、資格を持つ人が行う決まりです(出典:厚生労働省 全国一斉パトロール。参照資料の一覧へ移ります)。床面積の合計が80㎡以上なら、アスベストがあってもなくても、結果の報告が要ります(出典:環境省 報告制度の開始。参照資料の一覧へ移ります)。報告先は都道府県などと労働基準監督署の2か所で、共通の電子システムでまとめて出せます。

調べた結果は、工事の開始日の前までに、元請業者から発注者へ書面で説明されます(出典:中野区 発注者の義務。参照資料の一覧へ移ります)。作業の届出が要る工事では、その作業を始める14日前までに説明を受けます(出典:香川県 石綿の規制の概要。参照資料の一覧へ移ります)。説明には、調べた方法や、調べた人の氏名・資格なども含まれます(出典:千葉県 説明事項の記載例。参照資料の一覧へ移ります)。

発注者にも、次のような役目があります(出典:厚生労働省ほか 石綿対策。参照資料の一覧へ移ります)。

  • 設計図など、家の建材が分かる情報を業者に渡す
  • 調査や除去の費用を、適正に負担する
  • 法令を守って作業できる工期にする

書面で説明を受けたら、調べた人の氏名と資格が書かれているかを見て、その書面を保管しておきます。

詳しく:アスベストの作業の届出と、工作物の調査

詳しい説明を開く

吹付けのアスベストや、アスベストを含む断熱材などを除去する工事では、作業の届出も要ります。この届出は発注者がするもので、香川県は対象の作業を始める14日前までと案内しています(出典:香川県 石綿の規制の概要。参照資料の一覧へ移ります)。着工7日前の建設リサイクル法の届出とは別の手続きで、数える起点も作業の開始日です。自治体の条例で追加の手続きが要る場合もあるため、所在地の環境の担当に届出と期限を確かめてください。

建物以外の工作物の一部も、2026年(令和8年)1月1日から資格者による調査の対象になりました(出典:環境省 施行規則の改正。参照資料の一覧へ移ります)。対象は告示で決まった工作物などに限られるため、自分の敷地に当てはまるかは業者や所在地の環境の担当に聞いてください。

廃棄物の記録と、工事のあとに受け取る書類

解体で出た廃材を処理する責任は、発注者から直接請け負った元請業者にあります(出典:環境省 建設廃棄物処理指針。参照資料の一覧へ移ります)。下請の業者が実際に工事をしても、この責任は元請業者に残ります。処理をほかの会社に任せるなら、廃棄物処理法の許可を持つ処理業者と契約しなければなりません(出典:東京都環境局 施主の方へ。参照資料の一覧へ移ります)。解体の許可と、廃棄物を処理する許可は別の制度です。

マニフェストは、廃棄物の行き先を追う記録

マニフェスト(産業廃棄物管理票)は、処理を任せるときに元請業者が出す記録です(出典:環境省 マニフェスト制度の概要。参照資料の一覧へ移ります)。処理が終わると報告が戻ってくるため、廃棄物がどこでどう処理されたかを追えます。紙のほかに、電子マニフェストという仕組みもあります。

マニフェストの写しを発注者に渡すかどうかは、自治体の制度や契約によって違います。たとえば三重県には、条例の対象となる解体工事で、元請業者が発注者に処理の結果を報告する制度があります。報告には、最終処分が終わったマニフェストの写しや、電子マニフェストの通知を示す方法が使われます(出典:三重県 報告書の様式。参照資料の一覧へ移ります)。

家のある地域にこうした制度がなくても、写しや電子の記録を見せてもらえるかを、契約の前に業者と相談しておけます。処理の流れが見えると、廃棄物の不法投棄への心配を減らす手がかりになります。

工事が終わったら、どの書類を受け取るか

床面積の合計が80㎡以上の工事では、廃材のリサイクルが終わったときにも、元請業者から発注者へ書面で報告があります(出典:岐阜県 発注者や元請け業者の義務。参照資料の一覧へ移ります)。東京都は、完了した日、施設の名称と所在地、費用を確かめるよう案内しています(出典:東京都環境局 施主の方へ。参照資料の一覧へ移ります)。この完了の報告とマニフェストは、別の書類です。

工事の前後に受け取る書類を、次の表にまとめました。

表:書類、何に使うか、受け取る時期
書類何に使うか受け取る時期
アスベストの調査結果の説明書面調査の方法と結果を確かめる作業を始める前
アスベストの除去などを行った場合の作業記録(写真つき)作業が行われたことを確かめる工事のあと
リサイクルの完了の報告(80㎡以上)再資源化が終わったことを確かめるリサイクルの完了時
マニフェストの写しや電子の記録廃棄物の処理の流れを確かめる契約の前に相談して決める
取壊証明書や完了済証など市区町村への届出などに使うことがある契約の前に、名前と時期を業者と決める

アスベストの除去などの作業を行った場合は、その記録を、写真を含めて提出してもらうよう国の発注者向けの資料が勧めています(出典:厚生労働省ほか 石綿対策。参照資料の一覧へ移ります)。現地に行けない人にとっては、工事の様子を知る材料にもなります。

工事のあとには、建物滅失登記(建物がなくなったことを登記する手続き)の手続きがあります。どの書類が要るかは、管轄の法務局か土地家屋調査士に確かめてください。申請の手順と書類は、解体後の建物滅失登記の記事で説明しています。

市区町村の税の手続きでも、解体業者の書類を使う場合があります。兵庫県明石市は、家屋がなくなったことの届出に、解体業者が出す完了済証などを添えるよう案内しています(出典:明石市 家屋に関する届出書。参照資料の一覧へ移ります)。代金を払い終える前に、書類の名前と受け取る日を確かめておくと手戻りを防げます。

追加請求などで困ったときの相談先

国民生活センターは、外壁の修理業者に勧められて解体を契約した相談を公表しています(出典:国民生活センター 住宅修理トラブル。参照資料の一覧へ移ります)。将来の地震で家が倒れるという不安をあおられ、工事費は見積もりより高くなったという内容です。これは、災害後の住宅修理に関わる相談として紹介された例です。

同じセンターは、その場で契約せず、複数の事業者で比べることを勧めています。契約のときに工期や費用を確かめることも、あわせて呼びかけています。空き家の解体でも、急いで1社に決めない、という点は変わりません。

契約の前には、次の点を確かめておきましょう。

  • 追加の請求:追加・変更の決め方を契約書に書き、書面で承認してから進める
  • 廃棄物の不法投棄:処理業者の許可と、マニフェストや完了の報告を確かめる
  • 近所からの苦情:作業の時間帯、連絡先、損害が出たときの対応を決めておく
  • 書類が届かない:受け取る書類の名前と時期を、契約のときに書いておく

それでも困ったときは、困りごとに合わせて相談先を選びます。この記事は一般的な情報なので、自分の契約でどうなるかは、相談先で個別に確かめてください。

表:困りごと、相談先
困りごと相談先
契約や追加請求のトラブル消費者ホットライン188(近くの消費生活センターを案内)
業者の許可・登録許可や登録を出した都道府県などの担当窓口
廃棄物の処理家のある地域の産業廃棄物の担当
アスベストの調査や除去家のある地域の環境の担当、労働基準監督署
契約書の読み方や損害の負担弁護士

188は、身近な消費生活センターなどを案内する全国共通の番号です(出典:消費者庁 消費者ホットライン。参照資料の一覧へ移ります)。相談は無料ですが、窓口につながってからの通話料はかかります。

よくある質問

質問と回答を開く(4件)

遠方に住んでいても、解体業者に頼める?

見積もりや契約を遠方から進められるかは、業者によって対応が違うかもしれません。まず、遠方からの見積もりや契約に対応できるかを、業者に確認してください。ただし、写真や報告だけでは、現地で見るのと同じとは言い切れません。現地調査、着工の前、工事の完了時のどこで立ち会うか、家族や代理の人に頼むかを先に決めておきましょう。

いちばん安い見積もりの業者を選んでよい?

総額だけで決めるのは避けたほうが無難です。アスベストの調査費や廃棄物の処理費が抜けていると、後から足されることがあるためです。条件表の項目がそろっているかを先に見比べ、抜けている項目を各社に聞いてから比べてください。

建設リサイクル法の届出は、業者に任せてよい?

書類づくりや提出を業者に頼むことはできます。地域によっては、委任状を出して代理で申請してもらう形です。ただし、届け出る義務は発注者にあるので、いつ提出したかを業者に教えてもらいましょう。

家の近くに営業所がない業者でも頼める?

許可や登録の仕組みでは、営業所の場所で頼める業者が限られることはありません。知事の許可を持つ業者は、ほかの都道府県でも工事ができます。登録だけの業者なら、家のある都道府県で登録を受けているかを確かめてください。

参照資料

※2国土交通省「建設業の許可とは」参照日 2026年10月6日 ↗※3埼玉県「解体工事業登録申請の手引き」参照日 2026年10月6日 ↗※5神奈川県「解体工事業登録」参照日 2026年10月6日 ↗※4佐賀県「『建設業の許可制度の概要・申請の方法等』についてご説明します」参照日 2026年10月6日 ↗※9国土交通省「建設業許可業者一覧及び建設業許可業者数」参照日 2026年10月6日 ↗※8神奈川県「登録の有効期間と登録後の手続き」参照日 2026年10月6日 ↗※6国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」参照日 2026年10月6日 ↗国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム(検索メニュー)」参照日 2026年10月6日 ↗※7島根県「解体工事等を行う方へ」参照日 2026年10月6日 ↗※10室蘭市「空家解体業者を選ぶポイントは何ですか?」参照日 2026年10月6日 ↗※11米子市「空き家等の適切な除却を促進するための連携協定」参照日 2026年10月6日 ↗※1国土交通省「建設リサイクル法の対象となる建設工事では届出が必要です!」参照日 2026年10月6日 ↗※15岐阜県「発注者や元請け業者の義務」参照日 2026年10月6日 ↗※14国土交通省中国地方整備局「適正な施工体制の確保」参照日 2026年10月6日 ↗※18国土交通省「建設工事標準請負契約約款について」参照日 2026年10月6日 ↗※16中央建設業審議会「民間建設工事標準請負契約約款(乙)」参照日 2026年10月6日 ↗※17東京都環境局「解体工事を行う施主(発注者)の方へ」参照日 2026年10月6日 ↗※19環境省「石綿事前調査結果の報告について」参照日 2026年10月6日 ↗※20厚生労働省「石綿対策に係る全国一斉パトロールを実施します」参照日 2026年10月6日 ↗※21環境省「4月1日から石綿の事前調査結果の報告制度がスタートします」参照日 2026年10月6日 ↗※24千葉県「発注者への書面説明事項」記載例参照日 2026年10月6日 ↗※23香川県「大気汚染防止法(石綿関係)の規制の概要」参照日 2026年10月6日 ↗※13厚生労働省・国土交通省・環境省「石綿対策は「皆さま」に関わる問題です(発注者・オーナー向け)」参照日 2026年10月6日 ↗※25環境省「大気汚染防止法施行規則等の一部を改正する省令等の公布について」参照日 2026年10月6日 ↗※26環境省「建設廃棄物処理指針」参照日 2026年10月6日 ↗※27環境省「産業廃棄物のマニフェスト制度の概要」参照日 2026年10月6日 ↗※12三重県「解体工事を発注する皆さまへ」参照日 2026年10月6日 ↗※28三重県「対象解体工事に係る産業廃棄物処理に関する報告書」参照日 2026年10月6日 ↗※29明石市「家屋に関する届出書」参照日 2026年10月6日 ↗※31消費者庁「消費者ホットライン」参照日 2026年10月6日 ↗※30国民生活センター「被災地域は特に注意!災害後の住宅修理トラブル」参照日 2026年10月6日 ↗※22中野区「建設工事発注者の石綿(アスベスト)対策に関する義務等について」参照日 2026年10月6日 ↗