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相続した実家を解体しようとしたとき、屋根の太陽光パネルをどうするかは迷いやすいところです。パネルは、家と一緒に壊して捨てる物とは扱いが違います。外す人、処分のしかた、売電と国の手続きが、それぞれ別にあるからです。撤去費用の目安と、解体の前後にする順番を押さえておけば、見積もりの段階で漏れを防げます。
解体の前後で、何をどの順番でする?
屋根にパネルがある家の解体では、ふつうの解体に加えて、パネルの撤去と処分が要ります。売電の契約があれば買取先に、国の認定があれば国に、それぞれ廃止の手続きを確かめます。買取先とは、屋根で余った電気を買い取っている会社のことを指します。
余った電気を売っていた設備は、国の認定を受けていることがあります。固定価格買取制度(FIT。国が決めた値段で一定期間、電気を買い取る仕組み)を使うための認定です。解体の前後にすることを、時期ごとに並べると次のようになります。
| 時期 | すること | 相手 |
|---|---|---|
| 解体の前 | 買取先と契約者の名前を確かめる | 売電の明細、買取先 |
| 解体の前 | パネルの撤去と処分を見積もりに入れてもらう | 解体業者など |
| 解体の前 | 撤去前・工事中・撤去後の写真を頼む | 解体業者など |
| 工事中 | パネルを外し、リサイクルか処分に回す | 解体業者など |
| 工事の後 | 産業廃棄物管理票の写しと写真を受け取る | 解体業者など |
| 窓口の案内に従う | 国の認定の廃止届出と、売電の契約の廃止 | 国の電子申請サイト、買取先 |
写真の依頼を解体の前に置いたのには、理由があります。国の廃止届出では、設備を捨てた場合の添付書類に、撤去前・工事中・撤去後の写真が挙がっているからです(出典:廃止届出マニュアル。参照資料の一覧へ移ります)。工事が始まってしまうと、撤去前の写真は撮れません。
産業廃棄物管理票は、廃棄物がどこへ運ばれ、どう処理されたかを記録する伝票です。これも添付書類の1つなので、業者から写しを受け取れるかを先に聞いておきます。
太陽光パネルの撤去は誰に頼む?
家の解体に合わせてパネルを外すときは、解体業者に相談するよう案内されています(出典:太陽光発電協会。参照資料の一覧へ移ります)。パネルを屋根から外すには、専門の技術が要るからです。ほかにも、次のような相談先があります。
| 相談先 | 向いている場合 |
|---|---|
| 解体業者 | 家の解体と一緒に、撤去から処分までまとめて頼みたい |
| 購入した販売店・設置した施工店 | 設置した会社と連絡がつき、設備のことを知る人に頼みたい |
| 電気工事の業者 | パネルや配線の取り外しを、解体とは別に頼みたい |
| メーカーの相談窓口 | 販売店や施工店と連絡がつかない |
販売店や施工店がもう営業していないこともあるでしょう。その場合は、メーカーの窓口のほか、太陽光発電協会が載せている「対応できる施工業者」の一覧も手がかりになります。
解体業者に頼むときは、パネルの撤去を自社でするのか、ほかの業者に任せるのかを聞いておきましょう。誰が屋根に上がり、誰が処分先まで運ぶのかが分かると、見積書の中身が読みやすくなります。
太陽光パネルの撤去費用はいくら?
家の屋根のパネルを外す費用について、全国で共通の料金表は公的な資料に見当たりません。目安として使える数字に、東京都の試算があります。住宅用の4kW(キロワット。設備が一度に発電できる大きさ)の設備で、約30万円です(出典:東京都 Q&A。参照資料の一覧へ移ります)。
この約30万円には、条件が付いています。屋根のふき替えなどと合わせて撤去し、リサイクルする場合の、2025年10月時点の試算です。撤去費を含む金額ですが、解体の現場での一律の値段ではありません。
解体ではなく屋根の葺き替えでパネルを外す場合は、外す・載せ直す・足場・防水を分けて見積もってもらいます。その確かめ方は、築年数の古い家に太陽光を付ける前の確認表にあります。
撤去費は、次のような条件で変わります(出典:太陽光発電協会。参照資料の一覧へ移ります)。
| 変わる条件 | 費用が変わる理由の例 |
|---|---|
| パネルの枚数 | 外す手間と、運ぶ量が変わる |
| 屋根の形と傾き | 急な屋根や複雑な形では、作業が難しくなる |
| 建物の階数 | 高い所ほど、上げ下ろしの手間が増える |
| 足場の要否 | 足場を組むかどうかで費用が変わる |
見積もりでは、撤去費のほかに、運搬費と、リサイクルか処分の費用が、それぞれ書かれているかを確かめましょう。東京都の約30万円は撤去とリサイクルを合わせた試算なので、処分の費用を重ねて足さないでください。地域や業者によっても金額は変わるため、1社だけで決めず、複数の業者から見積もりを取るのが基本です。
家庭の屋根の設備は、国の積立の対象外のことが多い
国には、太陽光発電の設備を捨てる費用を、前もって積み立てる制度があります。ただし、対象は国の認定を受けた設備のうち、10kW以上のものとされています(出典:環境省 法律の概要。参照資料の一覧へ移ります)。家庭の屋根の設備は、この制度の外にあることが多い、ということです。対象かどうかは、国の窓口や買取先で確かめてください。
積み立てがないからといって、撤去の費用が要らないわけではありません。対象外の場合、撤去と処分の費用は持ち主の側で用意すると考えておきましょう。
解体の見積書で、何を分けて確かめる?
見積書でパネルの費用が「一式」とだけ書かれていると、ほかの業者と比べられません。撤去の費用と、その後の運搬・処分の費用は、分けて考えるものだからです(出典:太陽光発電協会。参照資料の一覧へ移ります)。見積もりを頼むときは、次の項目を分けて書いてもらいます。
| 項目 | 確かめること |
|---|---|
| 撤去 | 枚数、架台(パネルを載せる金具)や配線も含むか |
| 足場 | 家の解体の足場と兼ねるか、別に組むか |
| 運搬 | 外したパネルをどこへ運ぶか |
| リサイクル・処分 | リサイクルか埋立か、どの業者が処理するか |
| 書類・写真 | 管理票の写しと、撤去前・工事中・撤去後の写真をもらえるか |
メーカー名と型式を業者に渡す
パネルに含まれる有害な物質の情報は、メーカーなどが公表しています(出典:東京都 処分・リサイクル。参照資料の一覧へ移ります)。メーカー名と型式が分かれば、処理する業者がその情報を確かめやすくなります。設置したときの書類や保証書が残っていないか、探してみてください。見つからないときは、設置した施工店やメーカーに、型式などを問い合わせる方法があります。
家全体の解体費用の内訳や、あとから増えやすい費用は、空き家の解体費用の記事で確かめられます。
外したパネルは、どう処分される?
業者が外したパネルや架台は、市区町村が集める家庭ごみ(一般廃棄物)ではありません。産業廃棄物として扱われます(出典:太陽光発電協会。参照資料の一覧へ移ります)。処分に責任を持つのは、基本的に解体・撤去をした業者です。業者が、廃棄物の法律でいう排出事業者(廃棄物を出した者として処理の責任を負う人)にあたるためです。
使い終わったパネルからは、金属やガラスを取り出せます。そのため、埋め立てるより先にリサイクルを考えるよう、業者に案内されています。埋め立てる場合は、管理型最終処分場に埋める必要があります(出典:東京都 処分・リサイクル。参照資料の一覧へ移ります)。しみ出た水を集めて処理する仕組みを持つ処分場のことです。
処分は業者の責任でも、持ち主にできることはあります。見積もりの段階で、リサイクルか埋立か、どこの業者が処理するかを聞いておくことです。処分先の選び方で迷うときは、所在地の都道府県や市区町村の廃棄物の担当、産業廃棄物の処理業者が相談先になります。
詳しく:有害な物質と、処理の書類
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パネルには、鉛などの有害な物質が含まれている可能性があります(出典:環境省 解体・撤去業者向け。参照資料の一覧へ移ります)。
処理を頼む契約書や産業廃棄物管理票に、パネルの種類やメーカー名・型式をどう書くかは、処理を頼む業者に確かめてください。型式が分かる書類を持ち主から業者に渡しておくと、その確認が進みやすくなります。
パネルに自分で触らない方がよいのはなぜ?
屋根から外したパネルも、光が当たると電気をつくることがあります。パネルを外すには専門の技術が要ると案内されています(出典:太陽光発電協会。参照資料の一覧へ移ります)。屋根の上の作業には、落ちる危険もあります。費用を抑えたくても、自分で外すのは避けて、業者に任せてください。
割れたパネルにも注意が要ります。けがをするおそれがあるうえ、鉛などの有害な物質が含まれている可能性もあるからです(出典:環境省 解体・撤去業者向け。参照資料の一覧へ移ります)。素手で触らず、ほかの人が近づかないようにして、業者に連絡してください。
解体まで空き家として置く間は
解体までの間、パネルを載せたまま空き家にしておくこともあるでしょう。強い風や雪の重みで、パネルや支えの金具が壊れ、飛んで近所の家に被害を出すおそれがあります(出典:経済産業省。参照資料の一覧へ移ります)。設置した人には、定期的な点検と、異常があったときの早めの対処が求められています。
飛んできた物がぶつかって傷んだパネルが、焼けた事故もあります。製品評価技術基盤機構(NITE)は、2020年に兵庫県の倉庫でパネルが焼けた事故を公表しています(出典:NITE。参照資料の一覧へ移ります)。原因は、飛来物の衝突などによるパネルの損傷と推定されました。空き家の屋根で起きた例ではありませんが、壊れたパネルを放っておかない理由の1つです。
台風や大雪の後は、パネルがずれていないか、割れていないかを地上から見ておきましょう。見回りのときに確かめることは、空き家の管理チェックリストにまとめています。
売電の契約と国の認定は、どう廃止する?
売電の契約と国の認定は、届け出る窓口が別々です。国の電子申請サイト(再生可能エネルギー電子申請)と、買取先です。片方を済ませても、もう片方の手続きは終わりません。
どちらの手続きも、届け出るのは契約や認定の名義人です。名義がまだ亡くなった親のままなら、誰が届け出るのかを先に窓口で確かめてください。名義を変える手続きは、親の死亡後の太陽光発電の名義変更の記事にまとめています。
国の認定の廃止届出
国の認定を受けた設備をやめたときは、国の電子申請サイトで「廃止届出」を出します(出典:廃止届出マニュアル。参照資料の一覧へ移ります)。2026年7月24日版のマニュアルでは、認定を受けた設備の一覧から対象を選んで届け出る流れです。入力する項目には、廃止日、設備を捨てる予定日、廃止の理由などがあります。
認定を受けた事業を廃止したときは、認定を受けた人が国へ遅滞なく届け出る決まりです。この決まりは、再エネ特措法(再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法)の第11条(新しいタブで開きます)にあります。添付書類には、管理票の写しや撤去後の写真など、工事の後でないとそろわない物が含まれます。必要な書類と出す段取りは、工事を始める前に、国の電子申請サイトの窓口で確かめてください。
売電の契約の廃止
売電の契約をやめるやり方は、契約の相手と契約した時期で変わります。たとえば北陸電力は、FITの期間中か、期間が終わった後か、FITを使わない契約かで、契約の相手が異なると説明しています(出典:北陸電力 様式集。参照資料の一覧へ移ります)。東北電力ネットワークは、2017年4月以降に同社と結んだ家庭用などの小さな契約の窓口をまとめています(出典:東北電力ネットワーク 申込み。参照資料の一覧へ移ります)。
同社が公開する高圧・特別高圧向けの「電力受給契約廃止申込書」の記入例は、設備の撤去を理由にした例です(出典:東北電力ネットワーク 記入例。参照資料の一覧へ移ります)。その記入例には、設備を撤去するときは国にも廃止を申請するよう書かれています。家庭用の様式ではありませんが、売電の契約をやめても国の手続きが済むわけではないことが分かります。
まず、売電の明細や振込の通知で、今の買取先の会社名を確かめます。そのうえで、その会社の案内で、廃止の申込書と出す時期を確かめてください。
詳しく:廃止届出に付ける書類
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2026年7月24日版のマニュアルでは、設備を捨てる場合の添付書類として次が挙がっています(出典:廃止届出マニュアル。参照資料の一覧へ移ります)。
- 産業廃棄物管理票の写し
- 撤去前・工事中・撤去後の写真
- 認定を受けている人の印鑑証明書など
本人以外が手続きするときは、委任状も挙がっています。書類の決まりは改められることがあるので、届け出るときのマニュアルで確かめてください。
撤去の補助金や、新しいリサイクルの制度はある?
撤去や処分に使える補助があるかは、家のある自治体によって違います。ここでは東京都の例と、ほかの地域での調べ方、国の新しい法律の状況を見ていきます。
東京都の例
東京都には、都内の住宅の使用済みパネルを、指定の施設でリサイクルする場合の補助があります(出典:東京都環境公社。参照資料の一覧へ移ります)。対象になり得るのは、排出事業者(撤去をした業者)か、撤去を頼んだ持ち主です。補助額は、対象のパネルの発電出力(kW)に25,000円をかけて算定されます(出典:東京都環境局 3R。参照資料の一覧へ移ります)。
2026年7月版の手引きでは、受付の期限は2027年(令和9年)9月30日17時必着です(出典:補助金申請の手引。参照資料の一覧へ移ります)。ただし、予算を超えた日に受付を止めるため、期限より前に終わることがあります。
計算例として、対象のパネルが4kWの場合を考えます。算定額は、4kW×25,000円で100,000円です。ただし、対象事業に当たるか、交付されるかは、経費の条件・審査・予算で決まるため、決定前には当てにできません。対象になる費用の書き方も資料によって表現が違うので、最新の手引きと窓口で確かめてください。
ほかの地域で調べる方法
環境省の「全国省エネ住宅支援検索ページ」では、都道府県や市区町村ごとに支援の制度を探せます(出典:環境省 検索ページ。参照資料の一覧へ移ります)。ただし、募集が終わった制度も表示されることがあります。撤去や処分が対象になるかは、所在地の自治体の最新の募集要項で確かめてください。
新しいリサイクルの法律
2026年(令和8年)6月5日に、「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」が公布されました(出典:環境省 リサイクル関連。参照資料の一覧へ移ります)。主な規定の施行日は、公布から1年6か月以内の政令で決める日です(出典:環境省 法律の概要。参照資料の一覧へ移ります)。施行の後、まずリサイクルへの取り組みを義務付けられるのは、多量の事業用のパネルを捨てる人です。
家の屋根のパネルすべてに、すでにリサイクルの義務がかかったわけではありません。対象を広げる見直しは、これから検討するとされています。施行の日や対象の範囲は、環境省の案内で確かめてください。
解体をやめて売る道と、解体の後の手続き
パネルがあるからといって、解体しか道がないわけではありません。家を解体せず、今の形のまま売る方法もあります。更地にして売るか、古い家付きで売るかの考え方は、解体して売るかの判断の記事で比べています。
パネルを載せたまま売るときの書類や名義の手続きは、太陽光発電付きの家を売るときの記事にまとめました。解体を終えた後には、建物がなくなったことを登記する手続きがあります。その流れは、解体後の建物滅失登記の記事で確かめられます。
費用や手続きの時期は、家の所在地や契約によって違います。ここまでの内容は一般的な情報なので、自分の家の場合は、手続きごとに次の相談先で確認してください。
| 手続き | 相談先 |
|---|---|
| パネルの撤去 | 解体業者、設置した施工店、電気工事の業者 |
| 処分のしかた | 撤去をする業者、産業廃棄物の処理業者、所在地の自治体 |
| 売電の契約の廃止 | 買取先 |
| 国の認定の廃止届出 | 国の電子申請サイトの窓口 |
| 撤去や処分の補助 | 所在地の都道府県・市区町村 |
| 解体せずに売るかどうか | 不動産会社 |
| 解体後の建物滅失登記 | 土地家屋調査士、法務局 |
