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不動産売却のお尋ねが届いたら|回答の準備と、来ないとき・申告忘れの確認

不動産売却の「お尋ね」は、売った日や金額、買った金額や費用の内訳などについて、税務署が回答を求めることがある文書です。届いたら、記載された連絡先と期日を確かめ、契約書や領収書から数字を整理して答えます。届かなくても申告が必要な場合があり、要否は所得や申告不要の条件、使う特例を確認して判断します。

まだしないこと

回答しない、申告しないという判断は、文書の連絡先と所得・特例の条件を確かめてから決めてください。

まずすべきこと
  1. 届いた文書の差出人、連絡先、回答の期日を確かめる
  2. 売ったときと買ったときの契約書、費用の領収書を1か所に集める
  3. 売った年の分の確定申告をしたかを、申告書の控えで確かめる

このページで決めることお尋ねの意味と回答の準備、届かないときの申告の確かめ方、申告を忘れていたときの期限後申告と相談先が分かります。

自宅の机で届いた封書と売買の書類を確かめる男性と、家の外観。
公開日 2026年10月6日法令・制度確認日 2026年10月6日執筆・編集 住まいのよりみち編集部読了目安 9分
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不動産売却の後に税務署から「お尋ね」が届くと、何か問題があったのかと不安になるものです。届いた文書は、慌てずに日付と書類を順に確かめていけば、答える準備ができます。反対に、何も届かないから申告しなくてよい、とも限りません。

不動産売却の「お尋ね」は、何を確かめる文書?

届いたお尋ねでは、売却の日付や金額などについて、回答を求められることがあります。国税庁が公表した2017年の判決資料に、過去のお尋ねの書式が記されています(出典:国税庁 税務訴訟資料。参照資料の一覧へ移ります)。物件の所在地と用途、契約日と引渡日、売った相手と金額、取得費と譲渡費用の内訳を書く書類でした。

ただし、これは過去の書類についての記録です。いま届く文書の書式や回答の期日は、手元の文書で確かめてください。届く時期や、どのくらいの人に届くかについては、今回確認した公的資料では全国共通の目安が見当たりませんでした。「売ってから何か月で届く」といった話は、当てにしないほうが安全です。

お尋ねが届いたことだけで、税務調査が始まったとは判断できません。税務署は、税務調査とは別に、申告内容の自発的な見直しを求めることがあります。この働きかけを「行政指導」といいます(出典:国税庁 税務調査手続FAQ。参照資料の一覧へ移ります)。

調査と行政指導のどちらに当たるかは、具体的な手続きに入る前に、担当者が伝える扱いです。お尋ねが届いた時点でどちらか分からなければ、文書の連絡先に聞いて確かめられます。

お尋ねに答えるのは義務? 答えないとどうなる?

回答が義務かどうか、答えないとどうなるかは、今回確認した国税庁の資料だけでは判断できませんでした。そのため、「答えなくてよい」とも「答えないと調査になる」とも言い切れません。迷ったときは、届いた文書に書かれた連絡先に問い合わせるのが確かです(出典:国税庁 国税に関するご相談。参照資料の一覧へ移ります)。税務署などから届いた文書についての質問は、その文書の連絡先で受け付けています。

放っておくと、申告が必要だった場合に、そのことに気付くのが遅れます。答える内容に迷うときは、次の節の書類を先にそろえましょう。分からない数字は、分からないまま埋めずに、連絡先で書き方を聞くと手戻りを減らせます。

回答の前にそろえる書類と数字

売却の利益(譲渡所得)は、売った代金から取得費と譲渡費用を引いて出します(出典:国税庁 不動産等を売却した方へ。参照資料の一覧へ移ります)。取得費は買ったときの代金など、譲渡費用は売るために直接かかった費用のことです。お尋ねに答えるときも、確定申告をするときも、この3つの数字の根拠が要ります。

手元で確かめる資料は、次のとおりです(出典:名古屋国税局 チェックシート。参照資料の一覧へ移ります)。

表:確かめること、主な資料
確かめること主な資料
売った日(契約日と引渡日)売買契約書、清算書
売った代金売買契約書、覚書、清算書、預金通帳、領収証
買った代金と時期買ったときの契約書など
売るための費用仲介手数料などの領収証
売った相手売買契約書

表は、お尋ねに答えるための最小限の資料です。確定申告で出す書類全体の集め方は、相続した家を売った後の確定申告書類の記事で整理しています。

確定申告の内訳書では、契約日と引渡日を別々に書きます。お尋ねの欄は、手元の文書に従ってください。契約日は契約書の日付、引渡日は通常、登記に要る書類を買主に渡して残りの代金を受け取った日と説明されています(出典:国税庁 令和7年分 申告のしかた 事例1。参照資料の一覧へ移ります)。

数字を出すときは、次の2点を取り違えないようにします(出典:国税庁 No.3202。参照資料の一覧へ移ります)。

  • 建物の取得費は、買った代金から、古くなった分(減価償却費相当額)を差し引く
  • 譲渡費用は、仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代など、売るための費用に限る

修繕費や固定資産税など、家を持っている間の維持や管理の費用は、譲渡費用に入りません。売る前に直した費用を入れてよいか迷うときは、領収書を分けて取っておき、税務署か税理士に聞いてください。

相続した家で、親の買った金額が分からないとき

相続した家の取得費は、亡くなった親が買ったときの代金などを基に計算します(出典:国税庁 No.3270。参照資料の一覧へ移ります)。取得した時期も、親が買った時期をそのまま引き継ぎます。相続した日に買ったものとして数えるわけではありません。

取得費が分からないときは、売った金額の5%を取得費にできます(出典:国税庁 No.3258。参照資料の一覧へ移ります)。実際の取得費が、その5%の額より少ないときも同じです。

たとえば、取得費が分からないまま3,000万円で売った場合、概算の取得費は150万円になります(想定の例)。5%は税率ではなく、取得費として使える額の割合です。なお、この5%を使う場合、相続人が払った登記費用などを取得費に足すことはできないとされています。

実際の取得費が5%の額より大きいときは、5%を使うと取得費が小さくなり、利益が大きく出ます。契約書が見つからないときも、すぐに5%を使うと決めず、購入代金が分かる資料を探してください。親の契約書を探す手順は、相続した家の取得費が分からないときの記事で説明しています。

契約書があっても、取得費の確認が要る例として、先ほどの2017年の判決があります(実例)(出典:国税庁 税務訴訟資料。参照資料の一覧へ移ります)。父から相続した不動産を売り、父が買った値段より安く売れたとして申告した事案です。

ところが、父が以前に家を買い替えた際、税の特例を使っていました。その特例が、相続後の取得費の計算に使う金額にどう影響するかが争いになりました。親が過去に家を買い替えていたら、その時の申告の控えも探しておくと確かです。

お尋ねが来なくても、申告が要ることがある

土地や建物を売って、取得費と譲渡費用を引いても利益が残る人は、原則として確定申告が必要です(出典:国税庁 不動産等を売却した方へ。参照資料の一覧へ移ります)。申告の要否は、お尋ねの有無ではなく、所得や控除、申告不要の条件、使う特例を確認して判断します。お尋ねが来ないことを、申告しなくてよい理由にはしないでください。

ただし、所得税には例外もあります。一定の給与所得者には、給与・退職所得以外の所得の合計が20万円以下の場合など、申告が要らない例外があります(出典:国税庁 No.1900。参照資料の一覧へ移ります)。この20万円は売った代金ではなく所得の金額で、売却益以外の所得も合わせて見ます。

給与をもらっていることと、20万円以下という金額だけでは判断できません。住民税の申告は、所得税の申告とは別に考えます(出典:台東区 申告に関する質問。参照資料の一覧へ移ります)。住民税の申告や健康保険料への影響は、売却による住民税と健康保険料への影響の記事で確かめてください。

マイホームを売ったときの3,000万円特別控除を使うには、確定申告が必要です(出典:国税庁 No.3302。参照資料の一覧へ移ります)。この特例で税金が0円になる計算でも、申告をしなければ特例は使えません。自分の家を売った人の特例の条件は、マイホームを売ったときの3,000万円特別控除の記事で確かめられます。

売って損が出たときは、原則として給与など、ほかの所得と差し引きできません(出典:国税庁 No.3203。参照資料の一覧へ移ります)。ただし、一定のマイホームの売却には、損失を差し引ける特例があります。損が出たときの申告の考え方は、不動産を売って損が出たときの記事にまとめました。

申告の期限と、忘れていたときの期限後申告

所得税の確定申告の期限は、原則として売った年の翌年3月15日です(出典:国税庁 No.2020。参照資料の一覧へ移ります)。ただし、曜日の関係で、実際の期限がずれる年もあります。たとえば2025年(令和7年)分の期限は、2026年(令和8年)3月16日でした(出典:国税庁 確定申告Q&A。参照資料の一覧へ移ります)。

申告が必要なのに期限を過ぎていたら、気付いた時点でできるだけ早く申告する、というのが国税庁の案内です(出典:国税庁 No.2024。参照資料の一覧へ移ります)。これを期限後申告といいます。国税庁の確定申告書等作成コーナーで作り、e-Taxで送るか、印刷して税務署に郵送などで出せます。

期限後申告で納める税金は、申告書を出した日が納期限です(出典:国税庁 No.9205。参照資料の一覧へ移ります)。申告が遅れると、無申告加算税や延滞税がかかるおそれがあります。無申告加算税は期限までに申告しなかったときの追加の税で、延滞税は納めるのが遅れたときの税です。

率や金額は年や事情で変わるため、ここでは書きません。国税庁の「確定申告を忘れたとき」のページか、税務署で確かめてください。

すでに申告していて、売却の記載が漏れていたと気付いたときは、扱いが変わります。納める税金が少なすぎた場合は、期限後申告ではなく修正申告で直します(出典:国税庁 No.2026。参照資料の一覧へ移ります)。

詳しく:無申告加算税と延滞税の考え方

詳しい説明を開く

無申告加算税は、調査の通知の前に自分から申告したか、通知の後か、調査で決められたかなどで扱いが分かれます(出典:国税庁 No.2024。参照資料の一覧へ移ります)。かからない場合の要件があり、反対に重くなる場合もあります。延滞税は、納期限が申告書を出した日でも、原則として本来の期限の翌日から納めた日までの日数で計算します(出典:国税庁 No.9205。参照資料の一覧へ移ります)。加算税そのものには、延滞税はかかりません。

期限後申告と修正申告は、国税通則法(新しいタブで開きます)の第18条と第19条に定めがあります(出典:国税庁 税理士制度Q&A。参照資料の一覧へ移ります)。

税務署は、不動産を売ったことをどう把握する?

税務署に売却の情報が届く仕組みの1つに、支払調書があります(出典:国税庁 法定調書の手引。参照資料の一覧へ移ります)。不動産の代金を払った法人や、一定の個人の不動産業者は、「不動産等の譲受けの対価の支払調書」を出す義務を負います。一般的な提出の範囲は、同じ相手への支払いが1年で合計100万円を超えるものです。

ただし、すべての買主が出す書類ではありません。出す人の範囲が決まっており、公共事業などは別の扱いです(出典:国税庁 No.7442。参照資料の一覧へ移ります)。支払調書が出ない取引でも、申告が要るかどうかは変わりません。申告の要否は、利益や特例の有無に加えて、ほかの所得などでも変わります。

申告が必要か自信がないとき

迷ったときは、次の順で確かめると整理しやすくなります。これは国税庁が定めた手順ではなく、編集部がまとめた確かめ方の目安です。

  1. 利益が出たか:売った代金から、取得費と譲渡費用を引いてみる
  2. 特例を使うか:3,000万円特別控除や、損失の特例に当てはまりそうか
  3. 取得費の根拠があるか:契約書などで購入代金を確かめられるか
  4. 申告をしたか:売った年の分の申告書の控えがあるか

書類や事実を見ながら相談したいときは、住所地を受け持つ税務署で面接相談ができます(出典:国税庁 国税に関するご相談。参照資料の一覧へ移ります)。面接相談は、電話で日時を予約してから行きます。計算や特例の判断を任せたいときは、税理士に書類を見せて相談する方法もあります。

この記事の内容は一般的な情報です。個別の申告の要否や税額は、税務署か税理士に確認してください。売却にかかる税金の全体は、相続した家の売却にかかる税金の記事で整理しています。

参照資料

※2国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」参照日 2026年10月6日 ↗※3国税庁「国税に関するご相談について」参照日 2026年10月6日 ↗※7国税庁「No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」参照日 2026年10月6日 ↗※9国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」参照日 2026年10月6日 ↗※8国税庁「No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」参照日 2026年10月6日 ↗※12国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」参照日 2026年10月6日 ↗※13国税庁「No.3203 不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合」参照日 2026年10月6日 ↗※4国税庁「不動産等を売却した方へ」(令和7年分確定申告特集)参照日 2026年10月6日 ↗※14国税庁「No.2020 確定申告」参照日 2026年10月6日 ↗※10国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」参照日 2026年10月6日 ↗※16国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」参照日 2026年10月6日 ↗※18国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」参照日 2026年10月6日 ↗※17国税庁「No.9205 延滞税について」参照日 2026年10月6日 ↗※15国税庁「所得税及び復興特別所得税の申告等」(確定申告に関するQ&A)参照日 2026年10月6日 ↗※5名古屋国税局「譲渡所得のチェックシート(令和7年分)」参照日 2026年10月6日 ↗※6国税庁「令和7年分 譲渡所得の申告のしかた(事例1)」参照日 2026年10月6日 ↗※21国税庁「No.7442 「不動産等の譲受けの対価の支払調書」の提出範囲等」参照日 2026年10月6日 ↗※20国税庁「令和7年分 法定調書の作成と提出の手引 第6の1 提出する必要がある方」参照日 2026年10月6日 ↗※19国税庁「税理士制度Q&A 6 税理士法違反行為」参照日 2026年10月6日 ↗※1国税庁「税務訴訟資料 第267号-100(順号13049)」(東京地方裁判所 2017年9月1日判決)参照日 2026年10月6日 ↗e-Gov法令検索「国税通則法」参照日 2026年10月6日 ↗※11台東区「申告に関する質問」参照日 2026年10月6日 ↗