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自分が住んでいた家を売って利益が出ると、その利益に税金がかかることがあります。そのときに使えるのが、居住用財産の3,000万円特別控除です(出典:国税庁 No.3302。参照資料の一覧へ移ります)。ただし、住まなくなってからの年数や売る相手によっては使えず、使えるときも確定申告が要ります。親から相続した空き家の特例とは別の制度なので、まず「自分が住んでいた家か」から確かめましょう。
3,000万円は「売った代金」ではなく「利益」から引く
マイホームを売ったときは、持っていた期間の長さに関係なく、利益から最高3,000万円を引ける特例があります(出典:国税庁 No.3302。参照資料の一覧へ移ります)。ここでいう利益を、税金の言葉で譲渡所得(じょうとしょとく)と呼びます。売った代金そのものから3,000万円を引くわけではありません。
譲渡所得は、売った代金から取得費と譲渡費用を引いて出します(出典:国税庁 No.3202。参照資料の一覧へ移ります)。取得費は家や土地を買ったときの代金など、譲渡費用は売るために直接かかった費用のことです。建物の取得費は、買った値段のままではなく、持っていた間に古くなった分(減価償却費相当額)を差し引きます。
引ける額は、譲渡所得の金額が上限です(出典:国税庁 土地や建物を売ったとき。参照資料の一覧へ移ります)。次の計算例は、1人で持っている家を売り、特例の条件をすべて満たす場合です(想定の例)。取得費は、建物の古くなった分を差し引いた後の金額としています。
| 項目 | 例1:利益が3,000万円以下 | 例2:利益が3,000万円を超える |
|---|---|---|
| 売った代金 | 4,500万円 | 6,000万円 |
| 取得費 | 2,000万円 | 2,500万円 |
| 譲渡費用 | 200万円 | 200万円 |
| 譲渡所得 | 2,300万円 | 3,300万円 |
| 引ける額 | 2,300万円 | 3,000万円 |
| 引いた後に残る額 | 0円 | 300万円 |
例1では、この売却の譲渡所得は、控除の後に0円になる計算です(出典:国税庁 令和7年分 申告のしかた。参照資料の一覧へ移ります)。例2では300万円が残り、これが税金の計算のもとになります。相続した家を例にした記事ですが、長期・短期の税率の区分は自分の家でも同じです。税率や税額の出し方は、相続した家の売却にかかる税金の記事で説明しています。
売って損が出たときは、この特例ではなく、損失についての別の扱いを考えます。使える扱いがあるかは、申告の前に税務署か税理士に相談してください。
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この記事の要件と期限は、2026年(令和8年)4月1日現在の国税庁の案内を中心にまとめています。書類や一部の条件には、令和7年分の手引きとチェックシートも参考にしました。この特例は、租税特別措置法(新しいタブで開きます)の第35条に定められています。
使えるのは「自分が住んでいた家」:相続した空き家の特例との違い
この特例の対象は、自分が住んでいる家と、その家と一緒に売る土地(敷地)です(出典:国税庁 No.3302。参照資料の一覧へ移ります)。以前に住んでいた家も対象になり得ますが、自分が持ち主として住んでいたことが条件です(出典:国税庁 No.3314。参照資料の一覧へ移ります)。住まいを2つ以上持つ人は、主に住んでいた1つの家だけが対象になります。
一方で、次のような家は対象になりません(出典:国税庁 令和7年分 申告のしかた。参照資料の一覧へ移ります)。
- この特例を受けることだけが目的で住んだ家
- 新しい家ができるまでの仮住まいなど、一時的に住んだ家
- 別荘など、趣味や保養のための家
名前が似ていて混同しやすいのが、相続した空き家の特例です。こちらは、亡くなった人が住んでいた家を、相続した人が売るときの特例です(出典:国税庁 No.3306。参照資料の一覧へ移ります)。2つの違いは、誰が住んでいた家かという点にあります。
| 比べる点 | この記事の特例 | 相続した空き家の特例 |
|---|---|---|
| 住んでいた人 | 売る本人 | 亡くなった人 |
| 売る人 | 住んでいた本人 | 家を相続した人 |
| 期限を数える起点 | 住まなくなった日 | 相続が始まった日 |
| ほかの期限 | — | 2027年(令和9年)12月31日までの売却が対象 |
| 主な条件 | 住んでいたこと、売る相手など | 建築時期、耐震か取り壊し、売却代金1億円以下、確認書など多い |
相続した空き家の特例には、売る期限が2つあります。1つは、相続が始まった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までです。もう1つは、2027年12月31日までに売るという期限です(出典:国土交通省 空き家の特例。参照資料の一覧へ移ります)。
親が住んでいた家でも、売る子自身が持ち主として住んでいた場合は、この記事の特例を検討できます。子自身が持ち主として住んでいなかった場合は、相続した空き家の特例の対象かを考えます。その条件は、相続した空き家の特別控除の記事で確かめてください。
住まなくなった家は、いつまでに売ればよい?
以前に住んでいた家は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があります(出典:国税庁 No.3314。参照資料の一覧へ移ります)。「住まなくなって3年以内」ではなく、3年たつ日が入っている年の年末までと考えます。
たとえば、2023年4月10日に住まなくなった家で数えてみます(想定の例)。この場合、3年を経過する日は2026年の4月にあります。そのため、売る期限は2026年(令和8年)12月31日です。ちょうど3年後の4月を期限と思い込むと、残りの期間を短く見積もることになります。
住まなくなった後の使い道は、問われないとされています(出典:国税庁 No.3302。参照資料の一覧へ移ります)。人に貸していた期間があっても、それだけで対象外になるとは書かれていません。ただし、期限やほかの条件はそのまま残ります。貸していた家は、税務署か税理士に相談してください。
詳しく:令和7年分の案内にある「令和4年1月2日以後」
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2025年(令和7年)に売った人向けの案内では、以前の家の対象を「令和4年1月2日以後に住まなくなった家」としています(出典:東京国税局 チェックシート。参照資料の一覧へ移ります)。2022年1月1日と1月2日で、扱いが分かれるということです。年の初めに住まなくなった人は、「転居した年に3を足す」早見だけで決めないでください。売る年の分の国税庁の手引きで、同じ箇所を確かめると安心です。
家を取り壊して土地を売るときの2つの期限
家を取り壊して、土地だけを売る場合にも、この特例を使えることがあります。そのときの主な条件は、次の3つです(出典:国税庁 No.3320。参照資料の一覧へ移ります)。
- 土地の売買契約を、家を取り壊した日から1年以内に結ぶ
- 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る
- 取り壊してから契約の日まで、土地を貸駐車場などに使わない
取り壊した日から期限を数え直すわけではありません(出典:国税庁 No.3302。参照資料の一覧へ移ります)。売る期限は、あくまで住まなくなった日から数えます。
たとえば、2023年4月10日に住まなくなり、2026年6月10日に取り壊したとします(想定の例)。契約は取り壊しから1年の間に結べばよいものの、売るのは2026年12月31日までです。同じ年の11月に契約し、12月に引き渡すなら、2つの期限の内側に入ります。契約と引き渡しが年をまたぐときは、どの年の扱いになるかを含めて、税務署か税理士に確かめてください。
家の一部だけを壊したとき
家の一部を取り壊して敷地の一部を売り、残った家に住める状態なら、取り壊し後の特例は使えない、という案内があります(出典:国税庁 No.3320。参照資料の一覧へ移ります)。「取り壊す」と決める前に、全部を壊すのか一部なのかを確かめておきましょう。
3,000万円特別控除が使えない場合と、使える回数
売る相手との関係によっては、この特例を使えません。親子や夫婦など、特別な関係のある人に売る場合は対象外です(出典:国税庁 No.3302。参照資料の一覧へ移ります)。この範囲には、生計を一にする(生活費を共にしている)親族や、売った後に一緒に住む親族も入ります。内縁の人や、一定の法人に売る場合も同じです。
使える回数にも制限があります。次のどれかに当てはまると、この特例を使えません(出典:東京国税局 チェックシート。参照資料の一覧へ移ります)。
- 売った年の前年か前々年に、この特例を使った
- 前年か前々年に、マイホームの売却損をほかの所得から引く特例を使った(翌年以後に持ち越す「繰越控除」も含む)
- 売った年・前年・前々年のどれかに、マイホームの買い替えや交換の特例を使った
- 売る家や土地について、収用(公共事業などで土地を買い上げられること)などのほかの特例を受ける
たとえば2023年にこの特例を使った人は、2024年と2025年の売却では使えません(想定の例)。2026年の売却なら、この利用歴だけを理由に外れることはなくなります。もっとも、ほかの条件を満たすかどうかは、あらためて確かめる必要があります。
詳しく:相続した空き家の特例の扱いと、住宅ローン控除・買い替え特例との関係
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前年・前々年の制限では、相続した空き家の特例を使ったことは数えません(出典:国税庁 No.3302。参照資料の一覧へ移ります)。
住宅ローン控除は、ローンで住まいを買った人などの税額を減らす制度です。新居に入居した年とその前2年にこの特例を使うと、住宅ローン控除とは併用できません(出典:国税庁 令和7年分 申告のしかた。参照資料の一覧へ移ります)。入居した年の後3年以内も、住宅ローン控除の対象でない家などを売ってこの特例を使うときは制限があります。入居年と売る年、売る家を税務署か税理士に伝えて確かめてください。
マイホームの買い替え特例は、税金をなくすのではなく先に延ばす制度で、3,000万円特別控除とはどちらかを選びます(出典:国税庁 No.3355。参照資料の一覧へ移ります)。買い替え特例の対象期間は、2027年(令和9年)12月31日までに延びました(出典:国税庁 改正のあらまし。参照資料の一覧へ移ります)。
親が施設に入って空いた家を売るときは?
親が施設に入った後に、持ち主である親本人が家を売る場面を考えます。住んでいた家かどうかは、生活の拠点として使っていたかで決まります(出典:国税庁 措置法通達31の3。参照資料の一覧へ移ります)。日々の暮らし、住んだ目的、家のつくりや設備などを合わせて判断するため、住民票だけでは決まりません。住民票や固定資産税の扱いと、売る・貸す・空けておくの比べ方は、親が施設に入った後の実家の記事で説明しています。
施設に入って住まなくなった家なら、「以前に住んでいた家」の期限の考え方が関わってきます。ただし、入所した日を「住まなくなった日」としてよいかは、この記事では決められません。家に戻る意思だけで期限を判断せず、居住の実態と日付を整理して相談してください。入所の時期、一時帰宅の有無、家財の残り方などを書き出し、税務署か税理士に見せて相談してください。
相続した空き家の特例には、亡くなった人が老人ホームに入っていた場合の決まりがあります(出典:国税庁 No.3307。参照資料の一覧へ移ります)。これは親が亡くなった後に相続人が売るときの決まりで、親本人が売るときには当てはめません。親本人が売る場合と、相続した子が売る場合では、確かめる条件が異なります。売る人自身が持ち主として住んでいたかを確かめ、検討する特例を分けてください。
税金が0円になっても、確定申告は要る
この特例は、確定申告をしないと使えません(出典:国税庁 土地や建物を売ったとき。参照資料の一覧へ移ります)。控除の後に譲渡所得が0円になる場合でも、申告なしで特例が使われることはないのです。売った年の分の確定申告で、特例を使うことを書いて出します。
特例を使うときの主な書類は、次のとおりです(出典:国税庁 No.3302。参照資料の一覧へ移ります)。
- 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]
- 契約の前日の住民票の住所と、売った家の所在地が違う場合は、戸籍の附票(住所の履歴を記録した書類)の写しなど
売ったときと買ったときの契約書の写しや、費用の領収書の写しの添付を求める一覧もあります(出典:東京国税局 添付書類一覧。参照資料の一覧へ移ります)。2026年(令和8年)分は、申告書などの様式が変わると案内されています(出典:国税庁 令和8年分の申告に当たって。参照資料の一覧へ移ります)。前の年の様式を使わず、売った年の分の手引きで書類を確かめてください。書類の集め方は、相続した家を売った後の確定申告書類の記事で整理しています。
住民税の計算でも、この3,000万円特別控除が使えます(出典:福岡市。参照資料の一覧へ移ります)。一方で、配偶者控除や扶養控除の所得の判定には、控除を引く前の譲渡所得を使います(出典:東京国税局 チェックシート。参照資料の一覧へ移ります)。税金が0円でも、家族の扶養などに影響が出ることがあるわけです。健康保険料への影響は、売却による住民税と健康保険料への影響の記事で確かめられます。
申告を忘れたときや、税務署から「お尋ね」が届いたときは、売却後の税務署からのお尋ねの記事を見てください。
自分で使えるか判断が難しいとき
次のような事情があると、一般的な情報だけでは結論を出しにくくなります。
- 住まなくなってから年数がたち、期限の年に近い
- 住まなくなった後に、人に貸していた期間がある
- 家の一部を店や事務所に使っていた
- 家や土地を家族と共有している、または家と土地の持ち主が違う
- 住民票はあったが、実際にはほかの家で暮らしていた時期がある
- 親が施設に入った後に、親の家を売る
店や事務所を兼ねた家は、原則として住まいの部分だけが対象です。住まいの部分がおおむね90%以上なら、家全体を住まいとして扱えます(出典:国税庁 No.3452。参照資料の一覧へ移ります)。
住民票を移しただけでは足りないことを示す例に、国税不服審判所の裁決があります(出典:国税不服審判所 2025年6月20日裁決。参照資料の一覧へ移ります)。
争った人は、取り壊す前の家に住民登録を移し、取り壊した後に土地を売りました。裁決では、設備の状態や電気・水道の使い方、郵便物、家族の暮らしぶりを合わせて見ています。その結果、主な生活の拠点は別のマンションとされ、3,000万円特別控除は認められませんでした。1つの事情だけで決まったのではなく、暮らし全体を見た判断です。
国税の一般的な質問は、国税局の電話相談センターで受け付けています(出典:国税庁 相談窓口。参照資料の一覧へ移ります)。特例を使えるかや申告のしかたは、税務署に相談できます。事情が込み入っているときは、税理士に日付と書類を見せて相談する方法もあります。
詳しく:共有名義と、家と土地の持ち主が違うとき
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家と土地の名義は、登記事項証明書(不動産の持ち主や権利関係が載る書類)の所有者の欄で確かめられます(出典:法務省 不動産登記のABC。参照資料の一覧へ移ります)。
家を共有しているときは、条件は共有者ごとに判定されます(出典:国税庁 No.3308。参照資料の一覧へ移ります)。使える人は、それぞれの譲渡所得から最高3,000万円を引き、それぞれが確定申告をします。
家と土地の持ち主が違うときは、土地の持ち主も対象になる例外があります(出典:国税庁 No.3311。参照資料の一覧へ移ります)。ただし、家と一緒に売ることや、親族で生計を一にし同居していることなどが条件です。この例外では、2人を合わせて3,000万円が上限になります。売る手順や同意の取り方は、土地と建物の名義が違う不動産を売却する手順の記事で確かめられます。
