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相続登記は自分でできる?自力申請の難易度チェック相談の分かれ

相続登記は、相続人本人でも申請できます。自力で進めやすいのは、相続人全員と連絡が取れ、争いがなく、誰がどの家や土地を相続するか、その根拠と住所のつながりを資料で説明できる場合です。分からない点や複雑な事情があれば、書類作成前に相談します。

まだしないこと

相続人の人数や物件数だけで自力申請と決め、申請書を作り始めない

まずすべきこと
  1. 親の権利証・納税通知書など手元の資料を探し、足りない書類の取得先を本文で確認する
  2. 記事の7項目で、自分に当てはまる状態と分からない点を確認する
  3. 「先に相談したい」に当てはまる項目や分からない点を、法務局または司法書士へ伝える

このページで決めること自力で進める範囲と、法務局の案内や司法書士・弁護士へ切り替える範囲を決められます。

相続関係と不動産の書類を机に広げ、自分で相続登記を進める人
公開日 2026年8月31日最終更新日 2026年9月6日法令・制度確認日 2026年8月31日執筆・編集 住まいのよりみち編集部読了目安 14

相続登記は、司法書士などの専門資格者に依頼せず、相続人本人が自分で申請(本人申請)できます。法律上、司法書士などの代理人を立てることが一律に義務付けられているわけではないためです。

ただし、誰でも簡単に完了できるとは限りません。自力で進められるか、専門家へ相談すべきかは、次の7つの状況によって分かれます。

  1. 登記名義人: 直近で亡くなった被相続人(亡くなった方)本人の名義になっているか、祖父母など過去の世代の名義のままになっているか
  2. 相続人の関係と人数: 配偶者と子のみか、兄弟姉妹・代襲相続人・相続放棄した人・連絡が取れない人がいるか
  3. 取得の根拠: 検認済の遺言書や公正証書遺言があるか、相続人全員で円満に遺産分割協議ができているか、分け方をめぐって争いがあるか
  4. 対象不動産の状態: 自宅の敷地1筆と建物1棟のみか、道路の持分(私道持分)・登記されていない建物(未登記建物)・地方の農地や山林があるか
  5. 登記上の住所と住所履歴の確認: 登記簿に記録された所有者の住所から、亡くなった方の死亡時の住所までの移転履歴が公的証明書でつながるか
  6. 義務化期限までの時間: 申請期限(自分が相続人になったことを知り、かつ不動産の所有権を取得したと知った日から3年。過去の相続は2027年3月31日または知った日から3年のいずれか遅い日)に余裕があるか
  7. 平日日中の対応力: 平日の昼間に、役所や法務局への問い合わせ、書類集め、不備の手直し(補正対応)に動けるか

これらがすべて当てはまる単純なケースであれば、法務局が公開している手引を活用して、自力で申請を進められます。

一方で、先代の名義のまま放置された相続(数次相続)や私道持分の見落とし、複雑な親族関係がある場合は注意が必要です。自力だけで進めようとすると、戸籍集めや書類作成で行き詰まり、申請期限が迫ってしまうおそれがあります。

この記事では、自分で申請できるかを7項目でセルフチェックしたうえで、手続きの流れ、法務局の「登記手続案内」でできること・できないこと、専門家に相談すべき境界線までをわかりやすく整理します。

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自分でできるかを7項目で判定する難易度チェック

自力で申請できるかどうかは、「申請書の様式を穴埋めできるか」だけでなく、「登記の原因を証明する公的な書類を漏れなく集めて作成できるか」で決まります。手続きを始める前に、次の7項目で難易度を確かめてみてください。

表:チェック項目、自力申請が現実的な状態(難易度:低〜中)、専門家(司法書士等)への相談・依頼が推奨される状態(難易度:高)、判定の背景・理由
チェック項目自力申請が現実的な状態(難易度:低〜中)専門家(司法書士等)への相談・依頼が推奨される状態(難易度:高)判定の背景・理由
① 登記名義人直近で亡くなった親または配偶者本人の名義になっている祖父母やそれ以前の先代名義のままになっている(数次相続)先代名義のままの場合、中間の相続関係をすべて調査し、必要な登記申請を整理して順番に進める必要があります。そのため、戸籍集めや書類作成の難易度が高くなるためです。
② 相続人の構成配偶者と実子のみ(第1順位)で、全員の居場所がわかり連絡が取れる兄弟姉妹や甥姪が相続人(第3順位)、代襲相続や相続放棄が発生している、行方不明者や判断能力に不安のある方がいる第3順位や代襲相続、相続放棄では、集める戸籍謄本などの範囲が広くなる傾向があります。また、行方不明者がいる場合の不在者財産管理人の選任や、認知症などで判断能力が低下している場合の成年後見制度の利用など、家庭裁判所での手続きが必要になる場合があるためです。
③ 取得の根拠公正証書遺言や法務局保管の自筆証書遺言がある、または相続人全員で遺産分割の内容に合意できている遺言書の形式に疑いがある(自宅保管の自筆証書遺言で検認を受けていないなど)、相続人の間で取り分に争いがある法務局は、遺産分割の話し合いの仲介や、争いがある場合の法的な有効性の判断を行わないためです(法務局:登記申請を御自身ですることを検討されている方からよくある質問(新しいタブで開きます))。
④ 対象不動産自宅の敷地1筆と建物1棟のみで、権利関係がわかりやすいマンション(敷地権がある)、道路の負担(私道の共有持分がある)、未登記の増築部分や離れがある、遠方に山林や農地がある私道持分の登記漏れを防いだり、登記されていない建物部分について土地家屋調査士による「建物表題登記」を行ったりするなど、権利関係を漏れなく確認する必要があるためです。
⑤ 住所・氏名の連続性登記簿上の所有者住所から、亡くなった方の最後の本籍や死亡時の住所までの履歴が公的証明書でつながる引っ越しを繰り返しており、戸籍の附票や住民票の除票だけでは、登記簿上の住所までの移転履歴が直接確認できない登記簿上の名義人と亡くなった方が同一人物であることを証明する必要があるためです。役所での保存期間経過などで履歴がつながらない場合は、法務局の案内に沿って別の証明方法を検討しなければならないためです。
⑥ 申請期限の猶予申請期限(取得を知った日から3年、過去の相続は2027年3月31日または知った日から3年のいずれか遅い日)まで半年以上の余裕がある申請期限まで残り2〜3カ月を切っている戸籍謄本などの収集、法務局の予約、書類の作成や不備の修正(補正対応)には、まとまった時間がかかるためです。
⑦ 平日日中の稼働力平日に役所や法務局へ行ける(またはオンライン申請や郵送申請の不備連絡に対して、日中に電話対応ができる)平日日中は仕事などで完全に電話や窓口の対応ができず、手続きの時間が取れない申請したあとに法務局から書類の修正(補正)を求められた場合、決められた期間内に対応しなければならないためです。

右側(専門家相談が推奨される状態)に当てはまる項目がある場合でも、すぐに自分で申請できなくなるわけではありません。ただし、権利関係の調査漏れや書類の不備によるやり直しを防ぐためにも、まずは法務局の「登記手続案内」や司法書士への相談をご検討ください。

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自力申請の前に知るべき「登記原因」と手続の分岐

相続登記を申請するときは、登記申請書に「登記原因(権利が移った理由)」を正しく書く必要があります。実務上の登記原因は主に「相続」または「遺贈(いぞう)」ですが、不動産を取得した経緯によって、必要な書類や手続きの流れが分かれます(法務局:不動産の所有者が亡くなった(新しいタブで開きます))。

flowchart TD
    Start["被相続人が所有する不動産の確認"] --> Q_Will{"遺言書はあるか?"}
    
    Q_Will -- "ある" --> Q_WillType{"遺言書の保管・作成形式は?"}
    Q_WillType -- "公正証書遺言 または<br/>法務局保管の自筆証書遺言" --> Doc_Will["検認不要で登記申請に利用可能"]
    Q_WillType -- "自宅等で保管していた<br/>自筆証書遺言" --> Step_Court["家庭裁判所で『検認』を受ける"] --> Doc_Will
    
    Doc_Will --> Cause_Will["【原因:相続 または 遺贈】<br/>相続人への遺贈等は単独申請可能"]
    
    Q_Will -- "ない" --> Q_Divide{"遺産分割協議を行うか?"}
    Q_Divide -- "協議を行い特定の相続人が取得" --> Step_Agree["相続人全員の実印押印等により<br/>遺産分割協議書を作成"]
    Step_Agree --> Cause_Agree["【原因:相続】<br/>遺産分割による所有権移転登記"]
    
    Q_Divide -- "協議を行わず法定割合で共有" --> Cause_Legal["【原因:相続】<br/>法定相続分による共有名義の登記"]
    
    Q_Divide -- "期限内に協議がまとまらない" --> Step_Report["【過料回避の選択肢】<br/>相続人申告登記を単独で申出"]

1. 遺言書による登記:保管形式によって検認の要否が分かれる

遺言書がある場合、遺産分割協議を行わずに遺言内容に沿って登記を進められます。

  • 公正証書遺言、または法務局の遺言書保管所(自筆証書遺言書保管制度)に預けていた遺言: 家庭裁判所の検認手続を経ずに登記申請に使用できます。法務局保管の遺言は、法務局で交付される「遺言書情報証明書」を使用します。
  • 自宅等で保管されていた自筆証書遺言: 必ず家庭裁判所で検認を受け、検認済証明書が付いた遺言書原本を提出する必要があります。
  • 相続人に対する遺贈: 2023年(令和5年)4月1日の法改正により、遺贈によって不動産を取得した相続人(受遺者)は、他の相続人の協力を得ることなく単独で登記申請できるようになりました(法改正前の相続にも適用されます)。なお、相続人以外の受遺者への遺贈については、遺言執行者や他の相続人との共同申請となります。

2. 遺産分割協議による登記:最も一般的だが全員の合意と押印が必要

相続人全員で話し合い、特定の誰かが不動産を取得する方法です。もっとも広く利用されています。

相続人全員で「遺産分割協議書」を作成し、全員が自筆で署名して実印を押し、印鑑証明書を添えます。なお、法務局の手引では「登記を申請する相続人本人の印鑑証明書は添付しなくてもよい」とされる扱いもありますが、実務上は全員分の実印の押印と印鑑証明書を揃えるのが一般的です。

3. 法定相続分による登記:共有名義にすると将来の処分時に合意形成が必要

民法で定められた法定相続割合(例:配偶者が2分の1、子どもたちが残りの2分の1)の通りに、共有名義として登記する方法です。この場合、遺産分割協議書は不要です。

ただし、不動産を共有名義にすると、将来売却したり建て替えたりする際や、維持管理の方針を決めたりする際に、共有者全員で意見を一致させなければなりません。安易に共有名義を選ばず、慎重に検討してください。

4. 相続人申告登記:協議が難航している場合に過料を避けるための特例申出

遺産分割の話し合いが難航している場合や、相続人の調査に時間がかかり3年の期限内に分割がまとまらない場合に選択できる制度です(不動産登記法第76条の3)。

  • 相続人が単独で申し出ることができます。
  • 申出人が被相続人の相続人であること、および相続が開始したことが分かる戸籍謄本等を提出することで、申出人自身の相続登記申請義務(基本的義務)を履行したものとみなされ、過料の対象から外れます。
  • 注意点: 相続人申告登記は「名義を書き換える所有権移転登記」ではありません。登記簿の所有者欄に申出人の氏名・住所等が付記されるにとどまり、権利取得を第三者に対抗できる正式な移転登記ではないため、売却や担保権の設定はできません。また、遺産分割協議が成立して不動産を取得したときは、協議成立日から3年以内に正式な所有権移転登記を申請する追加的義務が発生します(法務省:相続登記の申請義務化について(新しいタブで開きます))。

詳しい全体像や義務の仕組みは、相続登記の初歩解説および相続登記の義務化と期限のルールでも解説しています。

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自分で申請する実務の流れ

自分で申請を進める場合は、次の流れに沿って作業します。途中で書類の不足や要件の食い違いに気づくとやり直しになるため、物件情報と戸籍の確認から進めてください。全体の様式・必要書類は法務局「不動産の所有者が亡くなった」(新しいタブで開きます)で確認できます。

flowchart LR
    S1["1. 物件情報・登記の確認"] --> S2["2. 戸籍等の収集"]
    S2 --> S3["3. 評価証明書・税額確認"]
    S3 --> S4["4. 取得原因に応じた書類作成"]
    S4 --> S5["5. 登記申請書作成・税計算"]
    S5 --> S6["6. 原本還付等の準備"]
    S6 --> S7["7. 法務局へ申請"]
    S7 --> S8["8. 完了証・識別情報受領"]

物件情報と現在の権利関係を確認する

自宅にある固定資産税の「納税通知書・課税明細書」や、インターネット上の「登記情報提供サービス」を利用して、対象不動産の地番・家屋番号や権利関係の概要を確認します。法務局へ提出する証明書が必要な場合は、法務局窓口または登記・供託オンライン申請システム(新しいタブで開きます)で登記事項証明書を請求します。

  • 亡くなった方が単独で所有しているか、他者との共有持分かを確認します。
  • 私道負担(私道持分)や敷地権、抵当権などの担保権が設定されていないかを確認します。

取得原因に応じた戸籍謄本・除籍謄本・住民票を収集する

遺産分割協議や法定相続分で登記する場合は、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本を集めます。あわせて、相続人全員の現在の戸籍謄本や、新しく名義人になる方の住民票なども取得します。遺言書を使う場合など、必要な範囲は申請原因で変わるため、法務局の申請案内(新しいタブで開きます)で対応する様式を確認してください。

  • 全国の市区町村の窓口で「戸籍謄本等の広域交付制度」を利用すれば、本籍地以外の役所窓口でも戸籍謄本などをまとめて取得できます(請求できる人や対象書類に制限があり、兄弟姉妹などの戸籍や除籍の一部は対象外です。対象外の書類は、本籍地の市区町村の窓口へ行くか、郵送で請求します)。
  • なお、法務局で「法定相続情報証明制度」を利用して法定相続情報一覧図の写しを取得・提出すれば、登記申請の際に戸籍謄本一式の提出を省略できます(詳しい手順は法定相続情報証明制度の手順を参照してください)。

固定資産評価証明書を取得して課税価格の基礎を把握する

不動産がある市区町村の役場(東京23区の場合は都税事務所)で、最新年度の「固定資産課税台帳登録事項証明書(固定資産評価証明書)」を取得します。なお、毎年4月〜5月頃に届く固定資産税の「納税通知書・課税明細書」でも、管轄の法務局によっては評価額の確認資料として代用できる場合があります。

取得原因に応じた添付書類を確定・調製する

登記原因(遺産分割・遺言・法定相続)によって、申請書に添える書類は異なります。法務局の相続登記案内(新しいタブで開きます)から該当する手続を選び、必要な書類を確認してください。

  • 遺産分割協議の場合: 遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名して実印を押したうえで、全員分の印鑑証明書を添付します。
  • 遺言の場合: 公正証書遺言の原本、または家庭裁判所の検認済証明書が付いた自筆証書遺言の原本を用意します(法務局で保管されていた自筆証書遺言の場合は「遺言書情報証明書」を使用します)。
  • 法定相続分の場合: 遺産分割協議書や遺言書は不要です。相続関係を証明する戸籍謄本一式が主な添付書類となります。

登記申請書を作成し登録免許税を計算する

法務局のホームページから、該当する様式(遺産分割協議用、遺言用、法定相続分用など)をダウンロードして作成します。インターネット上で申請書を作成して送信できる「登記・供託オンライン申請システム」を利用することも可能です。

  • 登録免許税を計算する基準となる不動産の価格には、固定資産課税台帳に登録された価格(評価額)を用います。住宅用地の特例などで軽減されたあとの課税標準額ではない点にご注意ください。
  • 土地と建物の価格を合算した金額から1,000円未満を切り捨て、その金額に税率0.4%(1,000分の4)を掛けます。算出された税額から100円未満を切り捨てます。最低税額や免税措置を含む税率は、申請時点の国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」(新しいタブで開きます)と法務局の案内で確認してください。

原本還付等の準備を行う

戸籍謄本一式や遺産分割協議書、印鑑証明書などの原本を登記完了後に返却してもらいたい場合は、申請時に「原本還付(げんぽんかんぷ)」の手続きを行います。

  • 返却してほしい書類のコピーを取り、コピーの余白などに「原本に相違ありません」と記載して、申請人の氏名を記入し押印(認印で構いません)します。
  • ※法定相続情報一覧図の写しを提出している場合は、戸籍謄本の原本そのものを提出しないため、戸籍に関する原本還付の手続きは不要です。

不動産の所在地を管轄する法務局へ申請する

書類一式をそろえ、不動産を管轄する法務局の不動産登記部門へ提出します。

登記完了証および登記識別情報通知を受け取る

申請後、管轄の法務局や時期によって異なりますが、一定期間の審査を経て登記が完了します。

  • 記入内容や書類に不備があれば、法務局から「補正(修正)」の連絡が入ります。指示された期間や方法(窓口へ行く、または郵送など)に従って訂正を行います。
  • 完了後、窓口または郵送などで「登記完了証」と、新たな権利証となる重要な「登記識別情報通知」を受け取ります。

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法務局の「登記手続案内」で確認できること・できないこと

法務局では、自分で登記を申請する人向けに「登記手続案内」を実施しています。手続きの流れや書類の書き方を確認できる有効な窓口ですが、書類を代わりに作成してくれたり、法律上の判断をしてくれたりする場所ではありません(法務局:登記申請を御自身ですることを検討されている方からよくある質問(新しいタブで開きます))。

表:項目、法務局の登記手続案内で「確認・案内を受けられること」、手続案内の対象外であり「対応できないこと」
項目法務局の登記手続案内で「確認・案内を受けられること」手続案内の対象外であり「対応できないこと」
手続全般・手続き全体の流れの確認<br>・自分の状況に応じた申請書様式や手引の案内・法務局の担当者による申請書や遺産分割協議書の下書き・代行作成
必要書類・一般的な添付書類が揃っているかのチェック<br>・原本還付の手順やコピーへの書き方(奥書き)の確認・遺言書が法律上有効かどうかの判定<br>・何世代にもまたがる複雑な相続関係の戸籍調査や相続人の特定
記載内容・自分で記入した申請書の誤字・脱字や、形式的な不備の確認・「どのように遺産を分けるべきか」「誰が相続すると得か」などの法律相談や税務相談
登録免許税・登録免許税の計算式の確認、端数処理ルールの説明・相続税や贈与税の計算・試算(これらは税務署の管轄です)
審査の効力・予約時間内での一般的な手続きや形式に関する助言・提出前の事前承認や完全な審査(手続案内を受けて問題なさそうに見えても、実際に提出したあとの正式な審査で手直し〈補正〉を求められることがあります)

手続案内を利用するための事前準備

  • 予約方法を確認する: 予約の要否や受付方法は管轄法務局の案内で確認します。
  • 事前資料を用意する: 登記事項証明書、固定資産税の課税明細書、手元にある戸籍、申請書の下書きなどを準備します。
  • 実施形態を確認する: 対面、電話、ウェブ会議など、利用できる方法は法務局によって異なります。

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この状態なら自分で進めず専門家へ任せるべき境界線

次のいずれかの状況に当てはまる場合、自力での申請は難易度が高くなります。無理に自力だけで進めようとせず、司法書士などの専門家への相談をご検討ください。

flowchart TD
    Border["専門家への相談を検討すべき状況"]
    
    Border --> C1["【数次相続】<br/>亡くなった親ではなく<br/>祖父母や曾祖父の名義のまま"]
    Border --> C2["【相続人の関係調整】<br/>代襲相続、相続放棄、連絡不能者、<br/>意思能力に不安がある方、争い"]
    Border --> C3["【不動産の権利関係】<br/>私道負担の見落とし懸念、<br/>未登記建物・増築の存在"]
    Border --> C4["【住所の連続性】<br/>登記簿上の住所から死亡時まで<br/>移転履歴がつながらない"]
    Border --> C5["【期限の切迫】<br/>義務化期限まで<br/>残り時間が少ない"]

数次相続(先代名義のまま)は中間の相続関係調査が必要

不動産の名義人が祖父母や曾祖父(ひいおじいさん・ひいおばあさん)のまま放置されている場合、過去から現在までに複数の相続が発生している「数次相続」の状態です。この場合、中間の相続関係をすべて調査し、誰が権利を引き継いできたのかを整理したうえで、必要な登記申請を順番に組み立てる必要があります。関係する親族がおじ・おば・いとこなど広範囲に枝分かれし、集めるべき戸籍も多数に及ぶため、司法書士への相談をおすすめします(詳細は数次相続後の不動産売却と登記手順を参照してください)。

相続人に関係調整や法的手続きが必要な方が含まれる場合

相続人のなかに法的な手続きや特別な配慮を要する方がいる場合、遺産分割の話し合いを進める前提として、家庭裁判所での手続きが必要になることがあります。

  • 相続放棄をした(または検討中の)相続人がいる: 相続放棄をした人がいる場合、家庭裁判所が発行する「相続放棄申述受理証明書」を登記申請の際に添付する必要があります。また、同じ順位の相続人全員が放棄した場合は次の順位(親などの直系尊属や、兄弟姉妹)へ相続権が移るため、調査して集めるべき戸籍の範囲が大幅に広がります。
  • 未成年者と親権者がともに相続人になっている: 親と子の利益がぶつかる関係(利益相反:りえきそうはん)になる場合、家庭裁判所で「特別代理人」を選任してもらわなければ、親権者が子を代理して遺産分割協議を行うことはできません。
  • 意思能力に不安のある相続人がいる: 認知症などで十分な判断能力を欠く状態にある場合、法律上有効な遺産分割協議を行えないおそれがあります。成年後見制度を利用するなど、家庭裁判所での手続きや専門家への事前相談が必要です。
  • 行方不明の相続人がいる: 連絡の取れない相続人がいる場合、家庭裁判所に「不在者財産管理人」を選任してもらう手続きや、「失踪宣告(しっそうせんこく)」の手続きなどを検討する必要があります。

物件の権利関係が複雑(私道負担・未登記建物など)

不動産の実際の状況と登記記録が一致していない場合や、見落としやすい付属の権利がある場合は、権利関係の網羅的な確認が求められます。

  • 私道持分の負担がある場合: 一戸建ての場合、前面道路の一部(私道)に共有持分を持っているケースがあります。自宅の敷地と建物だけを名義変更して私道持分の申請を漏らすと、将来売却する際に買い手へ完全な所有権を移せず、トラブルにつながります。
  • 未登記の建物や増築部分がある場合: 登記簿に載っていない建物や未登記の増築部分がある場合、法務局の不動産登記部門に対する権利の登記だけでなく、土地家屋調査士による「建物表題登記」や「建物表題部変更登記」が必要となります。

登記簿上の住所から死亡時住所へのつながりが公的証明書で証明できない

亡くなった方が何度も転居している場合、最後の住民票の除票や戸籍の附票を取得しても、役所の保存期間経過などによって登記簿に記録された過去の住所が記載されていないことがあります。この場合、「不在籍証明書」や「不在住証明書」を取得したり、登記済証(権利証)の原本を提示したりして、別の資料で同一人物であることを証明する方法を検討する必要があります。どのような資料が必要になるかは、管轄法務局への確認や専門家への相談が有効です。

申請義務化の期限が迫っている

申請期限まで十分な余裕がなく、戸籍収集や書類作成が終わる見通しを立てられない場合は、早めに司法書士へ相談してください。遺産分割がまとまらない場合の当面の選択肢として相続人申告登記もあります。期限と制度は法務省「相続登記の申請義務化について」(新しいタブで開きます)で確認できます。

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費用だけで「自力」と「依頼」を比較しない

「司法書士に頼むと報酬がかかるから自分でする」と考えがちですが、自分で申請する場合であっても、登録免許税や戸籍謄本などの発行費用(公的な実費)は同じように発生します。

表:費用・コスト項目、自分で申請する場合、司法書士に依頼する場合、備考・注意点
費用・コスト項目自分で申請する場合司法書士に依頼する場合備考・注意点
登録免許税不動産の固定資産税評価額を基礎に0.4%(免税措置あり)同左どちらの方法をとっても、国へ納める税額は同じです
書類収集実費戸籍謄本・除籍謄本・住民票・登記事項証明書などの交付手数料や郵送料同左(司法書士が職務上請求などで取得を代行できます)相続人の人数や世代数によって金額が変動します
専門家報酬0円各事務所の報酬基準に基づく(事案の難易度・物件数・相続人数による)法務局による一律の手数料の定めはないため、事前の見積もりで確認します
時間・手間の負担役所の窓口・郵送手配、手引の確認、書類作成、補正対応に多くの労力が必要必要書類の準備、本人確認・意思確認への対応、押印などが必要専門家に依頼する場合でも、実印の押印や印鑑証明書の準備、事実関係の確認は本人が行います
付帯リスクの軽減・私道などの登記漏れリスク<br>・書類不備による補正や手戻り<br>・期限超過による過料リスク・権利関係の調査による漏れ防止<br>・法的に適正な協議書の調製<br>・その後の売却や相談への円滑な接続専門家へ依頼することで、手続きの正確性と安全性を高められます

見落としやすい「登録免許税の免税措置」

相続登記には、特定の条件を満たす場合に登録免許税が免除(非課税)となる特例措置が設けられています(2027年3月31日までの期間限定の措置、租税特別措置法第84条の2の2)。自力で申請する場合でも、適用漏れがないか確認してください(法務省:相続登記の申請義務化について(新しいタブで開きます))。

  1. 不動産の価額が100万円以下の土地(第2項): 土地の固定資産税評価額が100万円以下である場合、その土地の相続登記にかかる登録免許税は全額免税となります(建物は対象外です)。
  2. 数次相続における死亡した相続人の登記(第1項): 相続により土地を取得した方が、自らの名義への登記を完了しないまま亡くなった場合、その亡くなった方を名義人とする途中段階の登記(中間登記)は、土地に限り登録免許税が免税となります。建物は対象外です。

詳しい税額計算のルールや端数処理の方法は、相続登記の登録免許税と計算実務で詳しく解説しています。

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自力申請の実行チェックリスト

自分で申請書類を提出する直前に、次の点に不備がないか点検してください。法務局で実際に発生しやすい手直し(補正)の原因をまとめたものです。

### 申請前セルフチェックリスト
- [ ] 1. 登記申請書の「不動産の表示」が、現在有効な登記記録(下線等で抹消されていない現在の所在・地番・地目・地積・家屋番号等)と完全に一致しているか(普段使っている住所表示ではなく地番になっているか、土地と建物の各欄を区別して確認したか)
- [ ] 2. 登録免許税の課税標準額について、固定資産課税台帳登録価格(評価額)を基礎とし、1,000円未満を切り捨てて計算しているか
- [ ] 3. 算出された登録免許税額の100円未満を切り捨てているか(課税される場合の最低税額1,000円を確認したか)
- [ ] 4. 免税措置を適用する場合、申請書の登録免許税欄に「租税特別措置法第84条の2の2第1項により非課税」(死亡した相続人名義の登記の場合)または「租税特別措置法第84条の2の2第2項により非課税」(100万円以下の土地の場合)と根拠条項を正確に記載したか
- [ ] 5. 遺産分割協議書による場合、協議書に押印された印鑑が、添付した印鑑証明書の実印の印影と合致しているか(登記申請人以外の印鑑証明書など、手引の添付要件を確認したか)
- [ ] 6. 登記簿上の所有者住所から被相続人の死亡時住所までの移転履歴が、住民票の除票や戸籍の附票等の公的証明書で確認できているか
- [ ] 7. 収入印紙を台紙(登録免許税納付用台紙)に貼り、「割印・消印」をしてしまっていないか(法務局側で消印するため)
- [ ] 8. 戸籍謄本や協議書の原本を返却してもらうための「原本還付手続き」(コピーの作成と奥書き・署名押印)を申請時に準備したか(法定相続情報一覧図の写しを提出する場合を除く)

原本還付の奥書き作成例

戸籍謄本一式や遺産分割協議書を返却してもらうには、コピーをすべてホチキスで留め(複数枚ある場合は見開きごとに契印〈割り印〉を押し)、最終ページなどの余白に次のように記載します。

原本に相違ありません。
申請人(または代理人) 法務 太郎 (認印)

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相談先の選び方と相談前の準備

ご自身の状況に応じて、どこへ相談すべきかを判断してください。相談先によって対応できる権限や業務範囲が分かれています。

flowchart TD
    Choice{"相談したい内容は?"}
    
    Choice -- "申請書の書き方や<br/>必要書類の一般的な確認" --> Office_Houmu["法務局の登記手続案内<br/>(事前予約制・無料・原則20分)"]
    
    Choice -- "戸籍収集から書類作成、<br/>登記申請の代行まで頼みたい" --> Office_Shiho["司法書士<br/>(登記手続の代理専門家)"]
    
    Choice -- "相続人間の遺産分割や<br/>遺留分で争いがある" --> Office_Lawyer["弁護士<br/>(法的紛争の代理・調停)"]
    
    Choice -- "相続税の申告要否や<br/>節税対策を相談したい" --> Office_Tax["税理士<br/>(税務申告・税務相談の専門家)"]

相談に行く前にそろえておくべき「最小限の資料リスト」

法務局の手続案内や司法書士の初回相談を利用する際は、手元にある範囲で構いませんので、次の3点を揃えて持参してください。

  1. 不動産の登記事項証明書(手元になければ、登記情報提供サービスの画面確認資料や、最新の固定資産税納税通知書・課税明細書)
  2. 亡くなった事実がわかる戸籍謄本(または除籍謄本・住民票の除票)
  3. 相続関係がわかる簡単なメモ(誰が亡くなり、配偶者や子どもが何人いるかを書き出した図)

初回相談で専門家や法務局へ確認すべき「質問リスト」

窓口や相談の時間を有効に活用するため、事前に確認したい質問をメモして持参しましょう。

  1. 難易度の確認: 自分たちの相続関係や物件内容から見て、自力申請を進めるのは現実的かどうか
  2. 書類の不足確認: 現在手元にある資料のほかに、具体的にどこの役所で何の書類を取得する必要があるか
  3. 手続の分岐: 遺産分割協議書や遺言書の内容について、登記申請上の形式的な不備がないか
  4. 見積もりと内訳(司法書士の場合): 依頼した場合の報酬額の見積もりと、登録免許税などの実費の内訳はそれぞれいくらになるか

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よくある質問(FAQ)

Q1. 相続登記の申請期限を過ぎると、直ちに過料が科されますか?

期限が過ぎた瞬間に自動的に過料が科されるわけではありません。実務上は、法務局の登記官が登記義務違反を把握した場合、まず義務者に対して相当の期間を定めて申請を促す「催告(さいこく)」を行います。正当な理由(重い病気、家庭裁判所で遺産分割調停の係属中であること、相続人の把握が極めて困難なことなど)がないにもかかわらず催告に応じない場合、裁判所へ通知されます。その後、裁判所の判断によって10万円以下の過料に処される流れとなります。ただし、放置するほど過料のリスクが高まるため、早めの対応が必要です(法務省:相続登記の申請義務化について(新しいタブで開きます))。

Q2. 相続人申告登記を行えば、その後は何もしなくてよいですか?

相続人申告登記を完了しても、恒久的な名義変更が済んだわけではありません。相続人申告登記は申出人についての過料を回避するための暫定的な措置であり、登記簿に申出人の氏名・住所などが付記されるにとどまります。不動産の所有権を取得したことを第三者に主張できる正式な登記ではないため、売却や担保権の設定はできません。また、遺産分割協議が成立して正式に不動産を取得したときは、協議成立日から3年以内に正式な所有権移転登記を申請する追加の義務が課されます。申出をしていない他の相続人全員の義務まで自動的に履行されるわけではない点にも注意が必要です。

遠方にある実家の不動産でも、居住地の近くの法務局で申請できますか?

申請先はその不動産の所在地を管轄する法務局です。窓口へ出向くほか、郵送やオンラインで申請できる場合があります。申請方法と管轄は法務局の相続登記案内(新しいタブで開きます)で確認してください。

Q4. 登記申請書を提出した後に間違いが見つかったらどうなりますか?

法務局の審査で記載誤りや添付書類の不足が見つかった場合、登記官から電話などで「補正(手直し)」の連絡が入ります。指示に従い、法務局窓口や郵送など指定された方法で訂正印の押印や書類の差し替えなどを行います。重大な不備がある場合や期日までに補正が完了しない場合は申請が却下されることがあります。なお、手続きを最初からやり直すために、申請人自ら申請を取り下げることも可能です。

Q5. 親が所有していた不動産がどこにあるか分からない場合はどうすればよいですか?

2026年(令和8年)2月2日から施行された「所有不動産記録証明制度」(不動産登記法第119条の2)を利用できます。法務局に対して請求することで、特定の被相続人が登記簿上の所有者として記録されている不動産の一覧(所有不動産記録証明書)の交付を受けられます(法務省:所有不動産記録証明制度について(新しいタブで開きます))。ただし、旧氏名・旧住所のまま登記されている物件や未登記物件などは一覧に反映されない場合があります。市区町村から届く固定資産税の課税明細書や名寄帳(なよせちょう:土地・家屋課税台帳)、権利証などの手元資料とも突き合わせて確認してください。

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まずすべきこと

相続登記を自力で進めるか専門家へ依頼するかを決める第一歩は、対象不動産の状況と現在の登記記録を確認することです。

【今週中に進めるファーストステップ】
1. 自宅にある「固定資産税の納税通知書(課税明細書)」を探し、所有者名義と不動産の所在・地番を確認する
2. 登記情報提供サービスで概要を確認するか、法務局窓口・オンライン請求で「登記事項証明書」を取得する
3. 登記名義人が被相続人本人になっているか、権利関係(持分・私道・担保権など)に複雑な点がないか確認する
4. 「難易度チェック7項目」に照らし、自力で進められそうなら取得原因に応じた書類の収集を開始し、不明点があれば管轄法務局の手続案内を予約する

不動産の名義を正しく引き継ぐことは、将来の不要な近隣トラブルや売却時のつまずきを防ぎ、大切な資産を守るための基礎となります。まずは現在の名義と権利関係を正確に把握することから始めてみてください。

参照資料

法務局「登記申請を御自身ですることを検討されている方からよくある質問」参照日 2026年8月31日法務局「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ」参照日 2026年8月31日法務局「不動産の所有者が亡くなった」参照日 2026年8月31日法務省「相続登記の申請義務化について」参照日 2026年9月6日法務省「所有不動産記録証明制度について」参照日 2026年9月15日国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」参照日 2026年9月19日e-Gov法令検索「司法書士法」参照日 2026年9月19日