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留守にしている実家(空き家)で、動物の侵入に気づくきっかけは家ごとに違います。近所の人から「夜に天井で音がする」と連絡が来ることもあれば、久しぶりに帰って糞や異臭に気づくこともあるでしょう。空き家のネズミも、ハクビシンやアライグマも、最初にするのは片づけではなく記録です。動物の種類によって、捕まえてよいかどうかと、誰に何を頼むかが変わってきます。
空き家にネズミや動物が入ったと気づく手がかりは?
ネズミと、ハクビシンやアライグマとでは、家に残る跡が少し違います。ネズミは、夜の天井の物音やかじり跡、糞などが目印です(出典:さいたま市 ネズミの防除。参照資料の一覧へ移ります)。ハクビシンやアライグマでは、天井のシミや大きな足音が挙げられています(出典:東京都 侵入チェックシート。参照資料の一覧へ移ります)。
| 手がかり | ネズミ | ハクビシン・アライグマ |
|---|---|---|
| 音 | 夜間に天井で物音がする | 天井裏で大きな足音や物音がする |
| 糞 | 糞が落ちている | 天井裏に大量の糞がある |
| そのほかの跡 | 食べ物やコードのかじり跡、足跡、黒光りするこすり跡 | 天井のシミ、水滴 |
ハクビシンやアライグマが入ると、建物が壊されたり、天井裏が糞尿で汚れたりします(出典:東京都環境局 アライグマ・ハクビシン。参照資料の一覧へ移ります)。ネズミでは、かじる被害にも気をつけたいところです。配管や電線をかじられると、火災の原因になることがあるからです(出典:横浜市港北区 ネズミ。参照資料の一覧へ移ります)。
留守の家では、こうした跡に気づくまでに時間がかかります。近所からの連絡は、侵入に気づく大事なきっかけです。ただし、音や糞だけで動物の種類を決めつけないでください。種類の見当は、写真と体の特徴でつけます。
気づいたら、まず近づかずに記録する
野生の動物は、どんな病原体を持っているか分かりません。咬まれたり引っかかれたりした傷から、病気がうつることもあります(出典:厚生労働省 動物由来感染症。参照資料の一覧へ移ります)。動物にも糞にも素手で触らず、写真は離れた場所から撮りましょう。
記録は、自治体や業者に相談するときの材料になります。たとえば船橋市は、動物の判別がつかないとき、担当課に連絡してから写真を送るよう案内しています(出典:船橋市 ハクビシン。参照資料の一覧へ移ります)。残しておくとよい項目は、次のとおりです(編集部の提案です)。
- 気づいた日時と、音がした時間帯
- 場所(天井裏、押し入れ、台所、軒下など)
- 糞・かじり跡・シミの写真(近くと、周りが分かる引きの2枚)
- 動物の姿の写真(離れた場所から撮れたときだけ)
- 近所の人から受けた連絡の日時と内容
遠方に住んでいて、すぐに行けないこともあるでしょう。その場合は、管理を頼んでいる人に、安全な場所から確認できる範囲で記録を相談する方法があります。
人に危険があるとき、体調が悪いとき
動物が部屋に居座って出ていかないときは、追い払おうとせずに離れてください。襲われそうな差し迫った危険があるときは、警察に通報します。けがをしたときは、救急(119番)に連絡してください。差し迫った危険がなければ、所在地の市区町村の担当窓口に相談します。
体の不調を感じたときは、早めに医療機関を受診してください。咬まれたり引っかかれたりしたときも、医療機関に相談してください。その際は、動物とどう接触したかを医師に伝えます(出典:厚生労働省 動物由来感染症。参照資料の一覧へ移ります)。
ネズミ・ハクビシン・アライグマはどう見分ける?
姿を写真に撮れたら、体の特徴で見当をつけられます。ハクビシンは体と尾が細長く、鼻から額にかけて白い筋があります(出典:船橋市 ハクビシン。参照資料の一覧へ移ります)。アライグマは尾の黒い縞が手がかりで、東京都はタヌキやアナグマとの見分け方もまとめています(出典:東京都 見分け方。参照資料の一覧へ移ります)。ネズミは、姿のほかに、かじり跡や糞、黒光りするこすり跡が手がかりです(出典:さいたま市 ネズミの防除。参照資料の一覧へ移ります)。
写真がぼやけていたり、姿を見ていなかったりするなら、無理に決めなくてかまいません。自治体の窓口に写真を見せれば、見当をつける助けになります。種類によって取れる手が変わるので、分からないうちは捕まえる準備を始めないでおきましょう。
自分の家でも、動物を勝手に捕まえてはいけない?
自分の家の天井裏にいる動物でも、自由に捕まえてよいわけではありません。鳥獣保護管理法(新しいタブで開きます)(野生の鳥や獣の保護と捕獲を定めた法律)により、野生の鳥獣の捕獲は原則として規制されています(出典:船橋市 ハクビシン。参照資料の一覧へ移ります)。住宅の被害を防ぐためでも、ハクビシンやアライグマを許可なく捕まえられるとは考えないでください(出典:大阪市福島区 アライグマ。参照資料の一覧へ移ります)。
一方で、ネズミは扱いが違います。環境省の捕獲許可の案内では、ハツカネズミ・ドブネズミ・クマネズミの3種を、規制の対象から除いています(出典:環境省中部環境局。参照資料の一覧へ移ります)。この3種は、家の中や周りにすむネズミ(家ネズミ)です。
ただし「ネズミならすべて対象外」とは書かれていません。除外される種類は、鳥獣保護管理法の施行規則(新しいタブで開きます)で決まっています。種類がはっきりしないときは、窓口で確かめてください。
| 動物 | 捕まえるときの扱い(一般的な考え方) |
|---|---|
| 家ネズミ(3種) | 鳥獣保護管理法の捕獲の規制から除かれている |
| ハクビシン | 原則として、許可なく捕まえられない |
| アライグマ | 原則として許可が要る。特定外来生物でもある |
アライグマは、外来生物法(新しいタブで開きます)で特定外来生物(生態系などに被害を与えるとして国が指定した外来の生き物)に指定されています(出典:環境省 特定外来生物等一覧。参照資料の一覧へ移ります)。特定外来生物は、生きたまま保管・運搬することや、野外に放すことが原則として禁じられています(出典:環境省近畿環境局。参照資料の一覧へ移ります)。捕まえたアライグマを遠くの山に放す、といった対応はできないと考えてください。
許可の窓口や手続きは、地域によって違います。たとえば横浜市は、ネズミなどと野生鳥獣を別の相談先として案内しています(出典:横浜市 近隣の空家。参照資料の一覧へ移ります)。わなを置く前に、所在地の自治体に確認してください。
詳しく:アライグマの防除と、捕獲の許可
詳しい説明を開く
アライグマには、外来生物法にもとづく「防除」(数を減らす取り組み)の仕組みがあります。外来生物法で定められた手続きをとった防除では、鳥獣保護管理法の捕獲許可を受けずに捕獲できる取扱いがあります(出典:環境省 防除Q&A。参照資料の一覧へ移ります)。ただし、自分の捕獲がこれに当たるかは、個人では判断しにくいところです。参加できるかどうかや条件は、所在地の自治体の窓口に確認してください。
糞や尿の掃除は自分でしてよい?
動物の糞や尿には、病原体が含まれていることがあります。たとえばレプトスピラ症は、細菌による感染症です。菌を持つネズミなどの尿で汚れた水や泥から、皮膚を通じてうつる場合があります(出典:厚生労働省 レプトスピラ症。参照資料の一覧へ移ります)。アライグマも、レプトスピラ症やアライグマ回虫症(寄生虫による病気)の病原体を持っているかもしれません(出典:奈良県 アライグマの感染症。参照資料の一覧へ移ります)。
糞を見つけたら、掃除を始める前に、量と場所を確かめてください。天井裏に広がった汚れは、自分で片づけようとせず、専門の業者への相談を考えます。中野区も、天井裏の清掃・消毒などは専門業者に頼むよう勧めています(出典:中野区 ハクビシン・アライグマ。参照資料の一覧へ移ります)。
自分で少しだけ片づけるときの注意
床に落ちた少しの糞などを自分で片づけるときも、方法は動物の種類によって変わります。大阪府のハンタウイルス感染症の案内は、ネズミの糞尿の片づけ方を示しています(出典:大阪府 ハンタウイルス感染症。参照資料の一覧へ移ります)。ほこりを巻き上げる掃除機やほうきは、使わないよう案内されています。漂白剤で十分に湿らせてから、ペーパータオルなどで拭き取る方法もあります。
これはハンタウイルス対策の案内で、ほかの病原体にも足りる手順とは限りません。アライグマの糞の掃除では、手袋とマスクを着けるよう案内されています(出典:大阪市福島区 アライグマ。参照資料の一覧へ移ります)。ただし、ネズミの糞と同じ方法で足りるとは限りません。種類が分からない糞は、片づける前に自治体や専門の業者に相談してください。
片づけたあとに体の不調を感じたら、早めに医療機関を受診してください。そのとき、動物の糞を片づけたことを医師に伝えましょう。
業者には、捕獲のほかに何を頼む?
動物の被害への対応は、捕獲または追い出し、侵入口をふさぐ工事、清掃・消毒の3つに分かれます。どれか1つで終わるとは限らないので、作業ごとに誰に頼むかを決めていきます。
| 作業 | 中身 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 捕獲または追い出し | 動物を捕まえる、または家から追い出す | ハクビシン・アライグマの捕獲には、原則として許可や手続きが要る |
| 侵入口をふさぐ工事 | 入り込んだ穴や隙間を金網などでふさぐ | 追い出したあとに行う |
| 清掃・消毒 | 糞尿の片づけと消毒 | 天井裏は業者への相談を考える |
自治体が捕獲を手伝う地域でも、ほかの2つが含まれるとは限りません。たとえば東京都北区は、区の対応に清掃・消毒や侵入口の補修を含めていません(出典:東京都北区 アライグマ・ハクビシン。参照資料の一覧へ移ります)。自治体がどこまで受け持つかは地域で違い、確かめ方は害獣駆除を市役所に相談するときの記事にまとめています。
追い出してから、侵入口をふさぐ
侵入口をふさぐのは、動物を追い出したあとです。ハクビシンの案内でも、追い払ったあとに侵入口をふさぐ順番が示されています(出典:酒田市 ハクビシン。参照資料の一覧へ移ります)。中にいるうちにふさぐと、動物が家の中に残ってしまうおそれがあります。
アライグマの案内も、追い出した後にふさぐ順番で、侵入口は1か所とは限らないと注意しています(出典:大阪市福島区 アライグマ。参照資料の一覧へ移ります)。見つけた穴だけでなく、部屋につながる隙間もまとめて調べてもらいましょう。ネズミなら、天井や配管の周りの隙間を、金属たわしや金網でふさぐ方法が案内されています(出典:新宿区 ねずみ。参照資料の一覧へ移ります)。
見積もりは比べてから決める
業者に頼むときは、3つの作業のどれが見積もりに入っているかを確かめます。費用の目安や見積書の読み方は、害獣駆除の費用と見積書の記事で説明しています。
国民生活センターには、ネズミ駆除の契約をめぐる相談が寄せられています。空き家ではなく自宅の例で、見積もりを頼んだ人が動画サイトのネズミ被害の動画を見せられ、不安になって契約しました。その後、別の業者の調査で侵入経路が分かり、先の作業に疑問を持ちました。解約を申し出たという相談です(2023年12月受付、相談者の申告による)(出典:国民生活センター 報告書。参照資料の一覧へ移ります)。
国民生活センターは、複数の見積もりを比べる時間を与えない事業者とは契約しないよう呼びかけています(出典:国民生活センター 害虫・害獣駆除。参照資料の一覧へ移ります)。留守の家では立ち会える日が限られ、その場で決めたくなるかもしれません。それでも見積書は持ち帰り、家族と相談してから決めてかまいません。
近所への連絡と、所有者として求められること
空き家の管理は、所有者が自らの責任で進めることが基本とされています。国の指針は、動物のすみつきを点検し、認められた場合は駆除などで対応することを挙げています(出典:国の基本指針。参照資料の一覧へ移ります)。留守の家の動物は、近所の暮らしにも関わる問題です。
ネズミは、餌が得られなくなると、周りへ移ることがあります。解体工事や引っ越しなどで餌がなくなると、すんでいたネズミが周辺へ移動する可能性があるからです(出典:新宿区 ねずみ。参照資料の一覧へ移ります)。家財の片づけや解体を予定しているなら、先に近所へ予定を伝えておきましょう。動物や跡を見かけたら、知らせてもらえるようにもしておきます。
近所の人に伝えておくこと
東京都は、空き家になることを近所に伝え、緊急時の連絡先を知らせておくよう案内しています(出典:東京都住宅政策本部。参照資料の一覧へ移ります)。動物に気づいたときも、この連絡先が役に立ちます。伝える内容は、たとえば次のとおりです。
- 動物が入ったかもしれないこと(分かれば種類も)
- 相談している窓口や業者と、作業の予定
- 自分の連絡先と、連絡がつきやすい時間帯
- 家の周りで動物や跡を見かけたら知らせてほしいこと
動物がすみつくと、管理不全空家になる?
空家法(新しいタブで開きます)(空家等対策の推進に関する特別措置法)には、管理不全空家という区分があります。法律での名前は「管理不全空家等」です。適切に管理されず、放置すると特定空家になるおそれがあると、市区町村が認めた空き家を指します。特定空家は、さらに状態が悪く、市区町村がより強い措置をとれる空き家です。
動物のすみつきを含む、区分ごとの判断の例は、管理不全空き家と特定空き家の違いの記事の表でも確かめられます。
国のガイドラインでは、駆除などがされず、動物が継続してすみついている状態が、判断の例に挙がっています(出典:国交省 ガイドライン。参照資料の一覧へ移ります)。ただし、当てはまるかどうかは、個別の事情に応じて総合的に判断されます。動物を一度見かけただけで、決まるものではありません。
指導に従わず、市区町村から改善を求める勧告を受けると、土地の固定資産税の軽減措置(住宅用地特例)が外れることがあります(出典:国交省 空き家を放置するリスク。参照資料の一覧へ移ります)。近所に被害が出たときに所有者がどこまで責任を負うかも、事情によって変わります。個別の判断は所在地の市区町村の窓口に、損害の話になったときは弁護士にご相談ください。管理不全空家にならないための見回りの考え方は、空き家管理チェックリストで説明しています。
空き家でネズミや動物の再発を防ぐには
動物がまた入る理由を減らすには、餌と隠れ場所と通り道を見直します。ネズミ対策では、生ごみや食べ残しを出したままにしないことが案内されています(出典:さいたま市 ネズミの防除。参照資料の一覧へ移ります)。食べ物は密閉できる容器で保管し、巣の材料になる紙や布は片づけるよう、新宿区も案内しています(出典:新宿区 ねずみ。参照資料の一覧へ移ります)。空き家に残っている物も、次の点から見直してみてください。
- 食べ物は密閉できる容器に入れるか、家から持ち出す
- 生ごみやペットの餌の食べ残しを残さない
- 巣の材料になる紙や布を片づけ、物を整理して隠れ場所を減らす
- 屋根に伸びた庭木の枝を切る
- 庭木の果実は早めに取る
枝を切ることと果実を早めに取ることは、ハクビシンやアライグマの対策として案内されています(出典:葛飾区 アライグマ・ハクビシン。参照資料の一覧へ移ります)。庭木の手入れの進め方は、空き家の庭木と雑草の記事を見てください。
見回りの間隔はどう決める?
国の指針は、空き家を一定の頻度で点検し、壊れた所があれば直すよう求めています(出典:国の基本指針。参照資料の一覧へ移ります)。ただし、国の指針は、月に何回という一律の回数を示していません。動物被害についても、確かめた範囲では「月1回なら十分」といえる根拠は見つかりませんでした。
そこで間隔は、家の状態と、通える回数に合わせて決めます。いつもの見回りとは別に、次のようなときは、見に行くか、管理の委託先に見てもらうとよいでしょう(編集部の提案です)。
- 地震・強風・大雨・大雪のあと
- 近所から、音や動物についての連絡があったとき
- 侵入口をふさぐ工事のあと、しばらくの間
- 庭木の実がなる時期
東京都の案内も、地震や大雨などのあとの確認と、自分で管理できないときの管理業者への委託を挙げています(出典:東京都住宅政策本部。参照資料の一覧へ移ります)。見回りで見る場所は空き家管理チェックリストに、戸締まりや防犯は空き家の防犯対策の記事にまとめています。
見回りのたびの様子は、無料の空き家管理・巡回記録票に写真の番号と一緒に書き残せます。
よくある質問
質問と回答を開く(4件)
隣の空き家から、ネズミが来ている気がします。どうすればいい?
まず、その空き家の所有者か、管理している人に気づいたことを伝えます。連絡先が分からないときは、所在地の市区町村の窓口に相談してみてください(出典:横浜市 近隣の空家。参照資料の一覧へ移ります)。あわせて、自分の家でも餌を残さず、隙間をふさぐ対策を進めます。
火災保険で、駆除や修理の費用は出る?
駆除や修理の費用が支払われるかは、この記事からは判断できません。補償の範囲は、契約している保険の約款(契約の細かい決まり)で確かめます。保険会社によっては、保険の種類と始期日(契約が始まった日)で、見る約款が違うと案内しています(出典:東京海上日動 Web約款。参照資料の一覧へ移ります)。保険証券を手元に置き、保険会社か代理店に被害の原因と内容を伝えて確かめてください。
空き家になったときの保険の見方は、空き家の火災保険の記事で説明しています。
業者との契約で困ったら、どこに相談する?
消費者ホットライン「188」に電話すると、身近な消費生活センターなどの相談窓口につながります(出典:消費者庁 消費者ホットライン。参照資料の一覧へ移ります)。解約や返金をめぐって話がこじれたときは、弁護士への相談も考えます。
市役所に頼めば、費用はかからない?
市役所に相談すれば、費用がかからないとは限りません。対象となる動物、対応する作業、自己負担の有無を、所在地の自治体に確かめてください。清掃・消毒や侵入口の補修が、自治体の対応に含まれない地域もあります。
相談の前に、市役所の窓口でできることの記事で、聞いておくことを整理しておくと話が早く進みます。業者に頼む部分の費用は、害獣駆除の費用相場の記事で見積書の見方とあわせて確かめられます。
