使っていない空き家を売却しようと考えたとき、真っ先に家財の処分業者を手配したり、建物の解体工事を発注したりするのは避けてください。
まとまった自己資金をかけて片付けや解体を行っても、使った費用をそのまま上乗せした価格で売れるとは限りません。工事費用を回収できず、かえって手元に残るお金を減らしてしまうおそれがあります。
空き家の売却で最初に行うべきことは、誰の名義になっているか、建物が安全な状態にあるか、そして手元にある権利関係の資料を確かめ、今の状態(現況)のまま不動産会社へ査定を依頼することです。今の状態での価値や地域の需要を把握した上で、そのまま売るか、手を加えて売るかを判断します。
現地に入る前の安全確認と放置リスク
長期間人が立ち入っていない空き家を訪れる際は、室内へ入る前に敷地の外周から建物の傷み具合を慎重に確かめます。
外観とライフラインの点検手順
- 外壁に大きな亀裂がないか、モルタルや外装タイルが浮いて崩れ落ちそうになっていないか、目で見て確認します。
- 屋根瓦のズレや割れ、雨樋の外れや落下、庇(ひさし)の垂れ下がりがないかを下から観察します。
- 基礎のコンクリートに幅の広いひび割れがないか、地盤沈下などで建物が傾いていないかを確かめます。
- 玄関のまわりや室内でガスの臭いに気づいたり、警報器が鳴ったりしたときは、決して中に入らず、点検をすぐに中止してください。引火や爆発を防ぐため、火を使うのはもちろん、照明や換気扇のスイッチ操作も行わず、敷地の外の安全な場所へ避難した上でガス会社へ至急連絡してください。
- 玄関を開けたときに強いカビ臭や腐敗臭がする場合は、窓やドアを開けてしっかり換気を行います。床を踏んだときに大きく沈んだり、ふわふわしたり、床板が抜け落ちていたりする場合は、それ以上奥へ進まず、安全な場所へ引き返してください。
- 屋内の配線が傷んでいることによる火災や、水道管の凍結・破損による床下の水漏れを防ぐため、電気や水道を通すのは控えます。電気や水道を使えるようにするのは、専門家や事業者と一緒に設備の安全を確かめてからにしてください。
空家法による管理責任と税負担の注意点
管理が行き届かずに周囲へ危険を及ぼす空き家には、法律に基づいた改善の手続き(是正措置)が定められています。空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)に基づき、放置された建物は市区町村から「管理不全空家等」や「特定空家等」として、指導や勧告を受ける対象になります(出典: 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」(新しいタブで開きます))。
市区町村長から指導を受け、それでも改善されずに「勧告」を受けると、固定資産税や都市計画税の「住宅用地特例」が使えなくなります(出典: 国土交通省「空き家を放置するリスク」(新しいタブで開きます))。住宅用地特例とは、住宅1戸につき200平方メートルまでの敷地(小規模住宅用地)について、税金を計算する基準となる額(課税標準)を、固定資産税では6分の1、都市計画税では3分の1に軽減する仕組みです。この特例から外れると減額が受けられなくなり、土地にかかる税金の負担が大きく跳ね上がります。維持にかかる年間の費用やリスクの詳細は、空き家の維持費用と税金負担で詳しく解説しています。
ただし、空き家だからといって、すぐに指定されたり税金が高くなったりするわけではありません。指定や税制上の措置は、自治体が現地調査を行い、法律の基準に沿って個別に判断します。また、税金の急激な上昇を抑える仕組み(負担調整措置など)もあるため、実際の支払額そのものが機械的に6倍になるとは限りません。敷地や建物の課税状況については、毎年1月1日時点の現況をもとに、各自治体の税務担当窓口で確認してください。
権利と名義の確認:売主の確定と必要書類
不動産の売買契約を結んで買い手へ所有権を移すには、その物件を処分する正当な権限を持った売主が決まっていなければなりません。親や親族から相続した空き家では、まず登記簿に誰の名前が書かれているか(登記名義人)を正確に把握します。その上で、誰がどのような権限を持って売却活動や契約を進めるのかを整理します。詳しい進め方は、相続した実家を売却する流れと手続きも参考にしてください。
登記事項証明書と登記識別情報の確認
土地と建物の登記記録は、最寄りの法務局の窓口だけでなく、郵送やオンラインシステムを使えば誰でも手に入れられます(出典: 法務局「登記事項証明書(土地・建物)を取得したい方」(新しいタブで開きます))。土地と建物はそれぞれ別々に登記されています。そのため、両方の「全部事項証明書」を取得して、次の点を確認してください。
- 甲区(所有権に関する事項)に記載された名義人が誰になっているか
- 乙区(所有権以外の権利に関する事項)に、過去の住宅ローンや事業資金などの担保(抵当権や根抵当権)が残ったままになっていないか
- 登記済証(いわゆる権利証)や、12桁の英数字が記載された登記識別情報通知書が手元に保管されているか(出典: 法務省「登記識別情報制度について」(新しいタブで開きます))
もし権利証や登記識別情報通知書をなくしていても、売却すること自体は可能です。ただし、司法書士に本人確認のための書類を作ってもらったり、法務局の「事前通知制度」を利用したりする必要があるため、余分な手続きの手間と費用がかかります。
相続登記の義務化と売却手続きの進め方
登記名義人が亡くなった被相続人のままになっている場合でも、不動産会社へ価格査定を相談することは可能です。ただし、契約から代金決済・引渡しに至る過程で売却権限を法的に確定させ、最終的な引渡し日までに売主となる相続人への相続登記を完了させておく必要があります。
2024年4月1日より相続登記の申請が義務化されました。不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請を行わなければなりません(出典: 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」(新しいタブで開きます))。
この義務化は、制度開始より前に発生した相続にも適用されます。期限は2024年4月1日と取得を知った日のいずれか遅い日から3年以内であり、制度開始前から相続を知っていた場合は2027年3月31日までに申請する必要があります。もし遺産分割協議がまとまらない場合でも、法定相続人が単独で申し出られる「相続人申告登記」を行えば申請義務を果たせます(その後に遺産分割が成立したときは、成立日から3年以内に追加の登記申請が必要です)。
遺言書による単独取得や法定相続分での共有など、遺産分割協議書が不要なケースもあります。売買契約を結ぶ前に関係者全員の合意や代理権限を固め、決済日までに確実に登記を完了できるよう、早めに司法書士と手順をすり合わせてください。
| 取引の段階 | 必要な確認事項と作業 | 主な相談・調整先 |
|---|---|---|
| 査定依頼時 | 亡くなった方の名義のままでも、登記簿などの情報をもとに机上査定や訪問査定を依頼できます | 不動産会社 |
| 媒介契約締結時 | 相続人の代表者を決め、売却する権限や他の共有者・法定相続人が売却に合意していることを伝えます | 不動産会社・親族 |
| 売買契約締結時 | 単独相続、遺言、遺産分割協議などにより、誰が売主となり売却する権限を持つかが確定している状態にします | 司法書士・相続人全員 |
| 代金決済・引渡時 | 売主への相続登記が完了していて、買い手への所有権移転登記をすぐに申請できる状態にします | 司法書士・法務局 |
他の相続人へ売却の意向を確認する文例
相続人が複数いる場合は、査定依頼や売却活動に入る前に代表者から連絡を取り、方針を共有しておきます。
件名:【相談】実家の空き家の現地確認と査定について
〇〇さん(相続人の氏名)
お疲れ様です。〇〇(自分の氏名)です。
空き家になっている〇〇の実家について連絡しました。
先日、建物の外観や安全状態を確認してきましたが、放置が長引くと管理費用や固定資産税の負担が続くため、手放す方向で検討したいと考えています。
建物の解体や荷物の処分にはまとまった費用がかかるため、まずは現況のまま不動産会社に査定を依頼し、いくらで売却できるか、どのような手放し方の選択肢があるかを取り寄せてみたいと思います。
査定結果や諸費用の目安が手元に届き次第、内容をまとめて共有します。まずは査定を進めてもよいか、ご意見を聞かせてください。よろしくお願いします。家財と重要書類の仕分け:処分を急がない理由
空き家の中に親の家具や荷物がたくさん残っていても、売却する前に自分のお金ですべて捨ててしまう必要はありません。安易に処分してしまうと、お金の面でも法律の面でも損をしてしまうことがあります。荷物を残したまま売却する方法については、残置物がある空き家の売却方法でも詳しく解説しています。
最初に捜索して確保すべき書類と貴重品
片付けを始めるときは、ゴミを運び出すことよりも、権利関係や建物の成り立ちを証明する大切な書類を探し出すことを最優先にしてください。
- 固定資産税・都市計画税の納税通知書および課税明細書(固定資産税評価額や課税標準額を確かめるために使います)
- 建築確認済証、検査済証、設計図書、竣工図(建物の構造や、法律に合致しているかを確かめるために使います)
- 地積測量図、土地境界確認書、筆界確認書(敷地の境界がどこまで決まっているかを確かめるために使います)
- 権利証(登記済証)、または登記識別情報通知書
- 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍(相続の手続きに使います)
- 現金、預貯金通帳、有価証券、貴金属、印鑑類
荷物の処分を慎重に進めるべき実務上の理由
家財の片付けを急いではいけないことには、実際の取引において次のような理由があるからです。
- 相続放棄を考えている相続人がいる場合、遺産である家具や荷物を勝手に捨てたり、売ってお金に換えたり、自分で使ったりすると、相続することを認めた(単純承認)とみなされるおそれがあります。その結果、借金も含めたすべての財産を受け継がなければならなくなる危険があります。相続放棄をする可能性があるときは、今の状態のまま維持・保存することにとどめ、売ったり捨てたりする前に必ず弁護士などの専門家へ相談してください。
- 相続人全員の同意を得ずに一部の相続人が勝手に荷物を捨ててしまうと、遺産をどう分けるかの話し合いで激しい感情的な対立が起きたり、損害賠償を求められたりするトラブルに発展します。
- 古い家具や調度品、オーディオ機器、道具類などは、専門の古物商やリユース業者に査定してもらうと値がつき、結果として全体の片付け費用を安く抑えられる場合があります(ただし、これは換金できるかどうかを確かめる査定の話です。相続放棄を検討しているときに、自分の判断で売却してはいけません)。
- 不動産の売り方の中には、家具や荷物を室内に残したまま引き渡せる「直接買取」や「残置物付き現状渡し」という方法も存在します。自分のお金で数十万円から百万円前後の処分費用を先に支払ってしまうと、その分が無駄な出費になってしまうケースがあります。
土地と建物の条件整理:法規制・境界・未登記
不動産の価値や売却のしやすさは、建物の傷み具合だけでなく、敷地と道路の関係や法律上の制限に大きく左右されます。
接道義務と再建築可否の調査
家を建てたり建て替えたりする敷地には、建築基準法第43条(新しいタブで開きます)(確認日: 2026-09-19)により、原則として幅4メートル以上の道路に敷地が2メートル以上接するという接道義務があります。適用除外や許可の可否は敷地ごとに異なるため、自治体の建築指導窓口で確認します。
- 接している道路が公道か私道かという持ち主の違いだけでなく、建築基準法で認められた道路(法第42条第1項各号の道路や、幅4メートル未満でも指定を受けた「2項道路」など)に当てはまっているかを、自治体の建築指導窓口で確認します。
- 道幅が4メートル未満の2項道路に面している場合は、建て替えるときに道路の中心線から一定の距離だけ敷地を後退(セットバック)させなければならず、敷地として使える面積が狭くなります。
- 道路に接している長さが2メートル未満であったり、他人の土地を通らなければ道路に出られなかったりする敷地は、原則として建て替え(再建築)ができません(ただし、敷地のまわりに広い空地があるなど特別な条件を満たし、建築審査会の同意や許可を得られる例外もあります)。
- 建て替えが難しい物件は、建物を壊して更地にしてしまうと新しい家を建てられなくなるため、土地としての資産価値が大きく下がってしまいます。解体工事を考える前に、必ず自治体の建築指導窓口で、建て替えができるかどうかとその条件を確認してください。
境界標の有無と未登記建物の確認
敷地の境界があいまいなままだと、買い手が住宅ローンを使えなかったり、将来お隣との間で境界をめぐるトラブル(越境トラブル)が起きることを心配して購入を見送られたりします。
- 敷地の四隅や折れ曲がっている場所に、コンクリート杭や金属標、鋲などの「境界標」が残っているかを現地で見て確かめます。
- 過去に作られた地積測量図が法務局にあるか、お隣の土地の所有者と交わした「境界確認書」が保管されているかを確かめます。
- 増築したサンルーム、離れ、車庫、物置などが登記簿に載っておらず、「未登記」のまま残っていないか確認します。登記されていない部分がある場合、売却するときに「建物表題変更登記」や「建物表題登記」をして正しく記録し直すよう求められることがあります。
- 周辺にある似たような土地や中古の一戸建てがいくらくらいで取引されているかは、国の公的な取引価格ポータルサイトで相場を調べておくと見当がつきます(出典: 国土交通省「不動産情報ライブラリ」(新しいタブで開きます))。
現況のまま査定を依頼する手順
事前の片付けや解体は行わず、荷物が置かれた状態のまま不動産会社へ査定を依頼します。会社を選ぶときの着眼点は、信頼できる不動産会社の選び方を参考にしてください。
机上査定と訪問査定の使い分け
査定には、書類データをもとに概算価格を算出する机上査定と、現地を訪れて詳細に調べる訪問査定の2段階があります。
- 机上査定:所在地、敷地面積、延床面積、築年数、構造などの公簿情報をもとに、近隣の成約事例や公示地価水準から価格帯を試算します。複数の不動産会社へ同時に依頼し、査定価格の算出根拠や担当者の対応を比較します。
- 訪問査定:不動産会社の担当者が現地を訪れ、基礎や外壁のひび割れ、室内の傾きや雨漏り痕、日当たり、道路との高低差、隣地との越境状況、家財の残存量を直接確認します。
不動産会社へ送る査定依頼の文例
不動産会社の問い合わせフォームから査定を申し込む際は、今の状態のままで売却を検討していることを最初から伝えておきます。
お問い合わせ内容:空き家の売却査定依頼(現況のまま比較希望)
現在、〇〇市〇〇町にある空き家の売却を検討しております。
【物件概要】
・所在地:〇〇県〇〇市〇〇町〇-〇
・土地面積:約〇〇坪(公簿)
・建物構造・築年:木造2階建て・昭和〇〇年築(未改修)
・現況:空き家(家財や家具がそのまま室内に残っている状態です)
【ご相談内容】
遠方に住んでいるため、売却前の解体工事や大規模な片付けは行わず、できる限り現況のまま手放したいと考えております。
つきましては、以下の条件に応じた査定価格と見通しをご提示いただけますでしょうか。
1. 荷物を一部または全部残したまま「仲介」で売り出す場合の想定成約価格
2. 御社で残置物ごと直接買い取っていただく場合の「買取条件および価格」
3. 更地にして売る場合の費用対効果(更地渡しが有利かどうか)
登記事項証明書および公図、課税明細書の控えがございますので、必要に応じて送付いたします。ご検討のほどよろしくお願いいたします。建物の状態と売却ルートの組み合わせ
空き家を売却する際は、建物の状態と買い手を募る経路を組み合わせて検討します。建物の状態は「現況・片付け後・解体更地」から選び、募集経路は「仲介・直接買取・空き家バンク」から状況に合わせて選択します。解体か現状渡しかの判断基準は空き家を解体して更地にするか古家付きで売るかの判断基準、仲介と買取の詳しい比較は仲介と直接買取の違いと選び方も確認してください。
| 売却ルート | 事前費用と手間の特徴 | 価格形成と現金化の目安 | 契約不適合責任の傾向 | 主に適した物件の条件 |
|---|---|---|---|---|
| 現況のまま仲介(古家付き・残置物あり) | 工事の費用をかけずに始められます。荷物を片付ける手間も少なくて済みます | 相場の水準を目安に買い手を探します。売れるまでに一定の時間がかかります | 築年数が古いため、話し合いによって欠陥の責任を免除する特約を付けることが一般的です | 柱や梁などの構造に大きなゆがみがなく、リフォームを前提とする個人やDIYをしたい人の需要が見込める家 |
| 片付け後に仲介(室内空室の古家付き) | 荷物を処分する費用が先にかかりますが、見学(内覧)に来たときの印象が良くなります | 室内の見栄えが良く、荷物を置いたまま売り出すよりも売れやすくなります | 話し合いによって、欠陥の責任を免除する特約を付けることが一般的です | 部屋の日当たりや建物の状態が良く、見学した人が暮らしたあとの生活を具体的に想像しやすい物件 |
| 解体更地渡し(更地として仲介) | 解体費用が先にかかります。契約が途中で解除された場合に費用負担が残るリスクがあります | 土地を探している一般的な買い手を広く集められます。工事が終わるまでの時間がかかります | 建物の欠陥に対する責任はなくなりますが、地中に埋まったゴミなどの責任は残ります | 道路との関係が良くて建て替えができ、建物の傷みが激しくて修繕して住むのが現実的ではない物件 |
| 不動産会社による直接買取 | 荷物を残したまま今の状態で引き渡せる場合があり、見学の対応をする手間もありません | 仲介で売るよりも価格は控えめになる傾向がありますが、短期間ですぐに現金化できます | 買い手が不動産のプロであるため、売主の責任を免除する合意を取りやすくなります | 遠くに住んでいて管理が難しく早く手放したい物件や、売却後のトラブルや責任を避けたい物件 |
| 自治体の空き家バンク活用 | 登録や現地調査の手続きが必要です。地域の移住支援の取り組みと連携しています | 安い価格帯での相談が多くなります。需要が少ない地域では売れるまでに時間がかかりがちです | 取引の形(個人同士の直接取引か、提携する不動産会社が仲介に入るか)によって個別に決まります | 民間の不動産会社では買い手が見つかりにくい郊外・農村部・過疎地の物件や、農地が付いている住宅 |
※直接買取の事業者選びについては、空き家買取業者の選び方で詳細をまとめています。また、自治体の空き家バンクは、国土交通省の公募により選ばれた民間事業者が全国版ポータルサイトを運営しており、各自治体に登録されている物件をまとめて検索できます(出典: 国土交通省「全国版空き家・空き地バンク」(新しいタブで開きます))。空き家バンクには、自治体が情報提供のみを行う個人同士の売買形式と、協定を結んだ不動産会社(宅建業者)が仲介に入る形式があります。後者の場合は通常の仲介手数料がかかりますので、利用の条件を事前に各自治体へ確認してください。
工事・作業別の費用対効果と注意点
片付け、修繕、測量、解体といった作業は、事前に費用を支払っても売却代金で回収できる場合と、回収できずに自己負担の赤字に終わる場合に分かれます。
片付け・家財処分:事前支払いの要否
一戸建てに残された家財の処分を専門業者へ依頼する場合、荷物の量や運び出しやすさによって数十万円から百万円を超える費用がかかります。
- 一般の個人の買い手に向けて仲介で売り出す場合、室内の不用品や生活臭を取り除いておくと、見学に来たときの印象が良くなり、早く売れやすくなります。
- 一方で、買い手が建物を解体して新築を建てる予定の場合や、不動産会社がリノベーションを前提に買い取る場合は、室内に家財が残っていても売却価格にあまり影響しないことがあります。
- そのため、まずは貴重品と大切な書類の仕分けだけを行いましょう。高額な処分費用の支払いは、訪問査定で複数の不動産会社からアドバイスをもらい、売り方を確定させてから判断するのが安全です。
リフォーム・修繕工事:原則として見送り
売却する前に数百万円を投じて外壁塗装を行ったり、水回り設備を新品に交換したりすることは、慎重に避けるべきです。
- 中古の一戸建てを探す買い手の多くは、購入費用を抑えて、自分好みのデザインや間取りでリノベーションしたいと考えています。
- 売主側が行ったリフォームが買い手の好みや予算に合わなければ価値として評価されず、かけた工事費用を売却価格に上乗せして回収することは極めて困難です。
- 雨漏りや水道管の破損など、建物の傷みを急激に進めてしまう場所の応急処置を除き、原則として売却前に自分のお金で大規模なリフォームを行う必要はありません。直すべき場所があるときは、隠さずに今の状態を買い手に伝え、価格交渉で調整するほうが持ち出しのリスクを抑えられます。
測量・境界確定:契約条件に応じた実施
お隣との境界を明確にする「確定測量」は、土地家屋調査士へ依頼すると数十万円規模の費用がかかります。また、道路や水路など国や自治体が所有する土地との境界(官民境界)を決める作業が含まれると、完了までに数か月を要します。
- 都市部の住宅地や資産価値の高い土地では、境界がはっきり示されていないと買い手の住宅ローン審査が通らないことが多く、売主が費用を負担して確定測量を行うことが契約の前提条件になるのが通例です。
- 一方で、地方の広い敷地や山林・田畑が混ざっている地域、または価格の安い古家付き土地として今の状態のまま売り出す場合は、実際に測量をせず、登記簿に書かれた面積のままで取引する「公簿売買」で買い手と合意できる場合があります。ただし公簿売買であっても、現地で確認できる境界標を指し示して教える義務(境界標の明示義務)が契約に含まれることがあるため、測量や確認の手間が一切不要になるとは限りません。
- 測量を発注する前に、まずは査定の段階で不動産会社へ相談し、その地域や価格帯で確定測量が契約の前提条件になるかどうかを確認してください。
解体更地化:手付受領後の解除リスクに注意
木造住宅の解体工事費用は延床面積30坪程度でも百万円単位の費用がかかり、鉄骨造やRC(鉄筋コンクリート)造ではさらに高額になります。
- 前述のとおり、再建築不可の敷地で建物を解体してしまうと新しい家を建てられなくなり、土地の資産価値が致命的に下落します。
- 更地にした状態で年を越すと固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、土地の課税標準に対する軽減措置が外れて税負担が跳ね上がります。
- 「手付金を受け取ったから安心」と考えて契約直後に解体を発注するのも危険です。売買契約に買主の住宅ローン特約が付いている場合、融資が否決されると契約は白紙解除となり、手付金は全額返還しなければなりません。更地にしてしまった建物と解体費用は戻らないため、大きな損失を被ることになります。
- 解体渡しを条件とする場合でも、融資利用の承認期限や各種解除条件の期日がすべて無事に経過したことを確認した後に解体へ着手するか、あるいは解体費用相当額を売買価格から値引きして「買主自身に引渡し後解体させる」方法を選ぶのが安全です。
売却費用・税金・手取り額の計算手順
空き家を売却したときに手元に残る現金(手取り額)は、売れた金額から諸費用と税金を差し引いて計算します。詳しい試算方法は、不動産売却の費用と手取りの計算方法を確認してください。
最終手取り額 = 売買代金 - (仲介手数料・登記費用等の諸費用 + 既存ローンの残債返済 + 後日納付する譲渡所得税・住民税)※売却代金を受け取った当日に手元に入る金額と、翌年に税金を納めたあとに残る「最終手取り額」は異なります。また、住宅ローンの残り(残債)の返済額や相続登記費用などは実際に手元から出ていくお金ですが、税務上の「譲渡費用(売るために直接かかった費用)」には直接算入できない点に注意してください。
金額・税率は、国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」(新しいタブで開きます)、国税庁「不動産の登録免許税」(新しいタブで開きます)、国税庁「不動産売買契約書の印紙税」(新しいタブで開きます)(いずれも確認日: 2026-09-19)を基に、契約時点の条件を確認します。
| 費用の項目 | 目安の金額・料率の基準 | 支払いのタイミング |
|---|---|---|
| 仲介手数料(通常) | 売買価格400万円超:(売買価格×3%+6万円)+消費税(法定上限額) | 売買契約時(半金)および引渡決済時(半金)に支払う合意例が多いです |
| 仲介手数料(低廉な空き家特例) | 売買価格800万円以下:現地調査等の費用を含め最大33万円(税込)上限 | 媒介契約を結ぶときに書面で説明を受け、合意した場合に支払います |
| 相続登記費用 | 登録免許税(固定資産税評価額の原則0.4%)+司法書士報酬(個別見積り) | 登記申請時または事前手配時 |
| 抵当権抹消登記費用 | 登録免許税(不動産1個につき1,000円)+司法書士報酬(個別見積り) | 代金決済・引渡時 |
| 印紙税 | 売買契約書に貼付する国税(売買金額に応じた規定額) | 売買契約書の締結時 |
| 家財処分費・解体費(実施時) | 物量・構造・面積に応じた個別見積り | 専門業者との契約に基づく期日 |
| 確定測量費用(実施時) | 敷地規模や隣地・官民境界の状況に応じた個別見積り | 測量完了および境界確認書の受領時 |
| 譲渡所得税(所得税・復興税) | 課税譲渡所得に対して約15.315%または約30.63% | 売却翌年の2月16日〜3月15日の確定申告時 |
| 住民税 | 課税譲渡所得に対して5%または9% | 売却翌年度の6月以降(普通徴収または特別徴収) |
譲渡所得税の仕組みと計算方法
不動産を売却して利益(譲渡益)が出た場合、その所得に対して所得税と住民税が課税されます(出典: 国税庁 No.3202「譲渡所得の計算のしかた」(新しいタブで開きます))。
課税譲渡所得 = 収入金額(売却価格) - (取得費 + 譲渡費用)- 取得費:土地を買ったときの代金や、建物を建てたり買ったりしたときの代金から減価償却費相当額を差し引いた額です。相続物件などで購入価格が不明な場合は、売却価格の5パーセントを取得費とする概算取得費を使える場合があります。計算方法は国税庁 No.3258「取得費が分からないとき」(新しいタブで開きます)(確認日: 2026-09-19)で確認し、領収書や通帳記録など実額を裏付ける資料も探してください。
- 譲渡費用:今回の売却のために売主が直接支払った費用のことです。不動産会社へ支払った仲介手数料、売買契約書の印紙税、土地を売る条件となった解体更地費用などが該当します。
- 税率の区分:物件を所有していた期間によって税率が変わります。売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得、5年以下の場合は短期譲渡所得です。税率と相続時の所有期間の引継ぎは、国税庁 No.3208「長期譲渡所得の税額の計算」(新しいタブで開きます)とNo.3211「短期譲渡所得の税額の計算」(新しいタブで開きます)(確認日: 2026-09-19)で確認します。
空き家の3,000万円特別控除(相続空き家特例)の適用条件
相続した古い空き家を売却する際、一定の要件を満たすと譲渡所得から最高3,000万円を差し引くことができる特例があります(出典: 国税庁 No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(新しいタブで開きます))。
- 売る建物が、昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された旧耐震基準の家屋であること
- 相続が始まる直前において、被相続人が1人で暮らしていたこと(要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所していた場合も、一定の条件を満たせば対象になります)
- 区分所有建物(マンション等)ではないこと
- 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること(現行の制度自体の適用期限は、2027年12月31日までの譲渡が対象です)
- 売却代金が1億円以下であること(他の相続人が分割して売却した場合等を含め、全体を合算した金額で判定します)
- 相続開始から売却する時まで、事業に使ったり、貸し出したり、誰かが住んだりしていないこと
- 売主が相続または遺贈によって取得し、売却相手が配偶者や直系血族などの特別な関係にある人(特殊関係者)ではないこと
- 売却時に耐震基準を満たしていること、または建物を解体して更地として売却すること(売却したあとに買い手側が耐震改修工事や解体工事を行う契約であっても、売却した年の翌年2月15日までに工事が完了していれば対象になります)
国税庁 No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(新しいタブで開きます)(確認日: 2026-09-19)では、2024年1月1日以降の譲渡で、対象の家屋や敷地等を取得した相続人が3人以上の場合、控除限度額は1人あたり2,000万円とされています。市区町村が交付する確認書を含む申告書類も必要です。契約条件や工事期限で適用可否が変わるため、売却前に税務署または税理士へ確認してください。
媒介契約の締結と売却活動の進め方
仲介で売却を進める場合、不動産会社と「媒介契約」を結びます。契約の様式は、国土交通省が定める標準媒介契約約款に基づき3種類に分かれています(出典: 国土交通省「標準媒介契約約款」(新しいタブで開きます))。
媒介契約の特徴と選択基準
契約期間、レインズ登録期限、報告頻度は、国土交通省「標準媒介契約約款」(新しいタブで開きます)(確認日: 2026-09-19)に基づいて確認します。
- 専属専任媒介契約:依頼できる不動産会社は1社のみで、売主自身が見つけてきた相手と直接契約を結ぶこと(自己発見取引)はできません。契約の有効期間は最長3か月です。不動産会社専用のネットワークである「レインズ(指定流通機構)」への登録は、契約締結の翌日から5日以内(不動産会社の休業日を除く)に義務付けられ、業務処理状況の報告は1週間に1回以上行われます。
- 専任媒介契約:依頼できる不動産会社は1社のみですが、売主自身で見つけた相手と直接契約することは可能です。契約有効期間は最長3か月です。レインズ登録は契約締結の翌日から7日以内(休業日を除く)、報告は2週間に1回以上行うことが義務付けられます。
- 一般媒介契約:複数の不動産会社へ同時に売却活動を依頼できます。自分で見つけた相手と直接契約することも可能です。レインズへの登録や定期報告の法的な義務はありません(契約期間は行政指導上3か月以内が目安とされますが、法令上の固定期間ではなく当事者間の合意によります)。
専属専任または専任媒介契約を結んだ場合、不動産会社からレインズの「登録証明書」が交付されますので、登録内容に誤りがないか必ず確認してください。遠方にあり見回りや鍵の管理を任せたい場合は報告義務のある専任系の契約が扱いやすく、人気エリアで複数の会社を競わせたい場合は一般媒介契約も選択肢になります。
内覧時の準備と清潔感の確保
空き家の見学(内覧)を受け入れる際は、高額なリフォームを行わなくても、次の点に気を配るだけで印象が大きく改善します。
- 窓を開け放して、長期間こもっていた湿気やホコリの臭いを換気します。
- 電気配線やブレーカーの安全を確認した上で、切れた電球を取り替えて室内の照明を点灯できるようにしておきます。
- 給排水設備の破損や水漏れがないことを事前に確認できた場合に限り、各所の排水口(トラップ)へ水を流して下水臭の逆流(封水切れ)を防ぎます。
- 玄関周りやアプローチの雑草を抜き、郵便受けに溜まったチラシを片付けて清潔な外観を整えます。
売買契約で押さえるべきトラブル防止条項
売買条件がまとまり契約を交わす際は、引き渡し後のトラブルを防ぐために書面での取り決めを厳格化します。
物件状況等報告書(告知書)による情報開示
売主には、建物の欠陥や過去の不具合について知っている事実を、買い手へ書面で正確に伝える義務があります。
- 過去の雨漏り履歴や、給排水管の詰まり・水漏れ
- シロアリ被害の有無や、防蟻工事の履歴
- 建物の傾き、床鳴り、地盤の不同沈下
- 敷地内での事故、事件、火災などの心理的瑕疵(告知の要否や期間は、国のガイドラインや専門家の見解を踏まえて判断します)
- 隣地との境界紛争や、樹木・越境物の存在
「知っていたのに告げなかった不具合」については、後述の免責特約を結んでいても責任を免れることはできません。不具合があること自体を隠さず書面に記録し、その状態を前提として価格や条件をすり合わせることが最大の防衛策となります。
契約不適合責任の免責条項の確認ポイント
引き渡された物件が契約内容と合っていない(雨漏りやシロアリ被害などの隠れた欠陥があった)場合、買い手は売主に対して、修理の請求、代金の減額請求、契約解除、損害賠償の請求ができます。これを契約不適合責任と呼びます。
個人が売主となる築古空き家の取引では、引き渡し後の過大な補修リスクを避けるため、特約によって契約不適合責任の一部または全部を免除とする合意を結ぶのが一般的です。ただし、買い手が無条件に免責を受け入れるとは限りません。そのため、免除とする範囲や期間を売買契約書の条項で明確に取り決めておきます。なお、不動産会社が直接買い取る場合はプロが買い手となるため免責特約を結びやすい傾向がありますが、契約条項に明記されて初めて効力を持ちます。契約案の文面を必ず確認してください。
【契約不適合責任の免責条項の確認ポイント(合意例)】
・対象物件が築年数を経過した建物(古家)であることを買主が承諾している旨の記載
・建物および敷地について、売主が修補請求、代金減額請求、契約解除、損害賠償請求等の責任を負わない範囲
・売主が知りながら告げなかった事実については免責されないことの確認残置物の譲渡および清算に関する確認ポイント
家具や家財を残したまま引き渡す場合は、処分負担や所有権を巡るトラブルを避けるため、契約書面に適切な特約を定めます。単に「放棄する」と書くと所有権の所在があいまいになりやすいため、買い手へ無償譲渡する形式か、処分を委託する形式かを整理します。また、売主に処分権限のないリース品や第三者の所有物が混ざらないよう、対象となる荷物を目録や写真で特定しておく必要があります。
【残置物に関する特約条項の確認ポイント(合意例)】
・売主に所有権がある家財道具等の動産に限定し、目録または現地写真等で対象を特定する
・残代金の決済完了をもって残置物の所有権が買主へ無償譲渡(または処分委任)される旨の合意
・買主が自らの責任と費用で搬出・処分を行い、売主に対して状態に関する異議や費用請求を行わない旨の取り決め
・売主に処分権限のない第三者の所有物やリース品等が含まれていないことの確認売れない場合の見直し手順と管理の継続
売り出しを開始しても問い合わせなどの反響が少ない場合は、漫然と放置せず一定の期間で原因を検証します。
媒介契約の期間に応じた見直しステップ
専属専任や専任媒介は、国土交通省「標準媒介契約約款」(新しいタブで開きます)(確認日: 2026-09-19)で定める最長3か月の契約期間を一つの区切りとして、活動状況をさまざまな視点から確かめます。
- 広告露出と反響の確認:レインズや不動産ポータルサイトへの掲載状況、閲覧数、問い合わせ件数の推移を確認します。広告の露出が極端に少ない場合は、掲載媒体を増やしたり、物件写真を撮り直したりすることを検討します。
- 内覧時の反応の検証:見学(内覧)はあるものの購入申し込みに至らない場合は、価格設定、室内に残った荷物の圧迫感、湿気や臭気、接道などの条件面で、購入希望者がどの点に躊躇しているかを聞き取ります。
- 販売方針の再検討:地域の相場動向や競合物件の状況を比べた上で、価格の改定、現況仲介から直接買取への切り替え、あるいは自治体の空き家バンクへの登録追加などを検討します。単に理由なく値下げを繰り返すのではなく、要因を特定した上で次の手段を選んでください。
売却完了まで継続すべき日常管理
売買契約が成立して買い手へ物件を引き渡すその日まで、建物の適切な管理責任は売主にあります。
- 台風や強風による屋根瓦・外壁材の飛散、トタンのめくれが起きないよう定期的に外観を確認します。
- 敷地内の雑草が隣地や道路へ越境しないよう草刈りを行います。高所作業や電線付近に達した樹木の剪定は自力で行わず、電力会社や専門の伐採業者へ相談してください。
- 不法投棄や放火の標的にならないよう、郵便受けのチラシ投函口をふさぎ、敷地内の見通しを確保します。
- 遠方に住んでいて自力での巡回が難しい場合は、地域のシルバー人材センターや民間の空き家見回りサービスの利用を検討してください。
よくある質問
質問と回答を開く(3件)
Q. 仏壇や神棚が残っている場合はどのように対応すればよいですか?
A. 仏壇や神棚の取り扱いは、ご家族の心情や宗派、地域の慣習に応じて進めます。仏壇については菩提寺や仏具店に相談して閉眼供養(魂抜き)などの法要を執り行うケースが多く、神棚についても神社へ相談してお焚き上げを依頼するのが一般的です。その後の本体の引き取りや処分は、専門業者への依頼や自治体の適法な廃棄ルールに従って進めます。方針が決まる前に訪問査定を受ける場合は、「仏壇や神棚が残っている」と不動産会社へ事前に伝えておき、現地での動線や案内に配慮してもらうと安心です。
Q. 遠方に住んでいて現地へ立ち会えない場合でも売却は可能ですか?
A. 鍵を不動産会社へ預けることで、査定や内覧案内に立ち会わずに進めることは可能です。売買契約や代金決済についても、郵送による持ち回り契約やオンラインでのIT重説(重要事項説明)を利用できます。ただし、代金決済日までに司法書士による売主の本人確認手続きを確実に完了させておく必要があり、必要書類の収集や金融機関の対応可否を事前に確認しておくことが前提条件となります。
Q. 家の中がゴミ屋敷のように散らかっていても査定に来てもらえますか?
A. 査定を依頼することは可能です。ただし、室内に荷物が大量に散乱していると床や壁の傷み、基礎の状態が目視できず、隠れた不具合のリスクを考慮した条件付きの概算査定になりやすい点に注意してください。また、足の踏み場がない状態や床抜けの危険がある場合は、安全確保のため立ち入りが制限されることがあります。事前に室内の写真や状況を不動産会社へ伝えておき、安全に立ち入れる範囲を確認した上で査定を依頼するのが確実です。
まとめ:現況査定を起点に最適な手放し方を選ぶ
空き家の売却を円滑に進めるコツは、自己資金を使った片付けや解体工事に踏み切る前に、手元の資料を整理して「現況の価値」と「手取り額の目安」を確かめることです。
- 登記事項証明書や納税通知書を確認し、正当な名義人と売却権限を明確にします。
- 敷地の外側から安全を確認し、危険箇所の無理な点検や立ち入りは控えます。
- 現況のまま複数の不動産会社へ机上査定・訪問査定を依頼します。
- 現況仲介、片付け後仲介、更地渡し、直接買取などの選択肢を、持ち出し費用と手元に残る金額の観点から比較します。
- 相続空き家の特別控除など、利用できる税制特例の要件と期限を事前に確認します。
まずは手元にある権利証や課税通知書を揃え、現況のままで動かせる選択肢を把握することから売却の第一歩を踏み出してください。
