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親の家の片付けを業者に頼もうとすると、どの会社も「丁寧」「安心」とうたっていて、違いが見えにくいものです。遺品整理業者の選び方で差が出るのは、値段よりも、誰が何を受け持つかが書面で分かるかどうかです。重要物を守り、家庭ごみを運ぶ会社を確かめ、同じ条件で見積りを比べます。この順に進めれば、依頼先を根拠つきで決められます。
業者に連絡する前に、何を探して、何を止める?
業者に見積りを頼む前に、家族で2つのことを確かめます。建物に安全に入れるかと、片付けや処分を誰が決めるかです。ここがあいまいなままだと、作業が途中で止まったり、あとで家族ともめたりするおそれがあります。
遠方に住んでいる、体調がすぐれないといった理由で入れない相続人もいるでしょう。その場合は、信頼できる親族や代理人に確認を任せる方法があります。業者に、写真で記録を残しながら探してもらうこともできます。
きょうだいがいなくて一人で抱えそうなときは、一人っ子の実家の片付けの記事で判断と作業の分け方を確かめられます。
重要物は、まずここを探す
重要物(あとの手続きに使う書類や、替えのきかない品)は、しまわれやすい場所から探します。健康保険証、マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなどの本人確認書類も先に保管してください。
- 金庫や鍵のかかる引き出し:現金、貴金属、通帳、印鑑
- 机や書棚:権利証、契約書、年金や保険の書類
- 確定申告の控えや領収書を入れた箱:取引のある銀行や証券会社の手がかり
- 仏壇や神棚のまわり:遺言書、位牌、家系図
- 玄関や台所の小物入れ:家・物置・車の鍵、車検証
- 押し入れやたんすの奥:写真のアルバム、手紙、日記
探すのは、安全に入れて、入ってよいと家族で確かめた場所だけにします。床が傷んだ部屋や、鍵のない物置などには無理に入らず、「未確認」と書き残してください。未確認の場所があっても、処分を伴わない相談や、見積りのとり方の確認なら始められます。
見つけた重要物は、売ったり分けたりせず、一時的に保管するだけにします。誰がどこに保管し、どんな状態かを写真に残して、相続人どうしで共有しておきましょう。なくした、持ち出したといった疑いを防げるからです。
残す物・探す物・処分候補を書面にする
家財は、次の3つに分けて書面にします。口で「この棚は残して」と伝えるだけでは、当日の作業員全員には届かないことがあるためです(出典:国民生活センター 遺品整理。参照資料の一覧へ移ります)。
| 区分 | 中身 | 業者への伝え方 |
|---|---|---|
| 残す物 | 形見分けや引き取りが決まった品 | 1部屋に集めて「作業対象外」と貼る。動かせない家具は色テープで印を付ける |
| 探す物 | まだ見つかっていない通帳・書類・写真 | リストにして渡し、見つけたら作業を止めて手渡してもらう |
| 処分候補 | 引き取り手のない家具・衣類・壊れた家電など | 廃棄か買取かを、見積りの場で確かめる |
捨てるか決められない物は「保留」とし、残す物と同じく作業の対象から外します。探す物が見つかっていない部屋は、見つけたときの止め方を業者と決めるまで、中の品を動かしません。売ったり捨てたりするのも、それまで待ちます。
書類には、相続人やほかの人の個人情報が含まれていることがあります。紛失や持ち出しを防ぐため、書類の保管・返却・廃棄の方法を、契約で決めておきましょう(出典:個人情報保護委員会。参照資料の一覧へ移ります)。
捨ててはいけない物の見分け方は、相続した実家の片付けで捨ててはいけない物の記事にまとめています。決めきれない物の預け先は、実家の荷物を一時保管する方法の記事で比べられます。
相続放棄を考えているときは、処分の契約をしない
相続放棄は、借金も含めて、亡くなった人の財産を一切引き継がない手続きです。家財を売ったり捨てたりすると、放棄できなくなるおそれがあります(出典:民法第921条。参照資料の一覧へ移ります)。限定承認(引き継ぐ財産の範囲で借金を払う方法)を考えている場合も、同じ注意が要ります。処分してよいかを家族で決めていない場合も、見積りまでで止めておきましょう。
片付けてよい範囲は、相続放棄を考えている実家の片付けの記事で順に確かめられます。
詳しく:相続放棄を考えているときに避けたいこと
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家の現状を保つための行為(保存行為)は、すぐに単純承認(無条件に引き継ぐこと)になるとは限りません。一方で、貴金属の換金、家財の売却、車の廃車は、処分とみなされるおそれがあります(出典:民法第921条。参照資料の一覧へ移ります)。
相続放棄の申述(家庭裁判所への申し出)は、亡くなったことと自分が相続人になったことを知った時から3か月以内にします(出典:裁判所 相続の放棄。参照資料の一覧へ移ります)。借金があるか分からないうちは、家財をまとめて処分しないでください。どこまでならよいかは、業者と契約する前に弁護士や司法書士に相談してください。
遺品整理業者の選び方は「家庭ごみを実際に運ぶ会社」から
家庭からごみとして出す家具や日用品、粗大ごみは、法律上の「一般廃棄物」にあたります(出典:国民生活センター 契約トラブル報告書。参照資料の一覧へ移ります)。これを仕事として集めて運べるのは、家のある市区町村の許可か委託を受けた事業者です(出典:環境省。参照資料の一覧へ移ります)。この許可を「一般廃棄物収集運搬業の許可」といいます。
ただし、遺品整理業者には、仕分けや梱包、清掃を受け持ち、運ぶ許可は持たない会社もあります(出典:環境省 報告書。参照資料の一覧へ移ります)。そのため、片付け会社に許可がないことだけで、候補から外す必要はありません。確かめるのは、家庭ごみを実際にトラックへ積んで運ぶ会社がどこかという点です。
運び方は、おおむね次の3通りです。
| 運び方 | 誰が運ぶか | 確かめること |
|---|---|---|
| 片付け会社が自分で運ぶ | 家のある市区町村の許可を持つ片付け会社 | 許可を出した市区町村名と許可番号 |
| 地元の許可業者と組む | 室内の作業は片付け会社、運ぶのは地元の許可業者 | 運ぶ会社の正式名、許可番号、運び先、支払先 |
| 自治体の施設や収集を使う | 家族が施設へ持ち込むか、自治体の収集に出す | 持ち込みの条件と、事前の申請が要るか |
2つ目の形なら、「許可業者と提携しています」という口頭の説明だけでは足りません。運ぶ会社の名前と許可番号を、見積書か書面の回答で出してもらいます。
そのうえで、その会社が今回のごみを扱えるかも確かめます。家庭ごみを運ぶ契約が、依頼主と許可業者の間で直接結ばれるかも聞いてください。契約相手と請求先は、書面で確かめます。
許可のない回収業者に家財を渡すと、不適切な処理や不法投棄に巻き込まれるおそれがあります(出典:国民生活センター 不用品回収。参照資料の一覧へ移ります)。なお、エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4品目は、家電リサイクル法の対象です。廃棄するときは、排出者が収集運搬料金とリサイクル料金を支払います(出典:環境省 家電リサイクル法の概要。参照資料の一覧へ移ります)。
自治体の窓口で確かめる
運ぶ会社の名前が分かったら、家のある市区町村で許可や委託を確かめます。自治体のホームページに、許可業者の一覧が載っていることがあります。見つからないときは、代表電話から家庭ごみの収集運搬の担当につないでもらいましょう。
担当の課の名前は「ごみ減量課」「環境業務課」など、自治体によって違います。電話では、次のように伝えると話が早く進みます。
実家の片付けで出る家庭ごみについて、一般廃棄物収集運搬業の許可業者の一覧を確認したいです。聞くのは、許可があるかどうかだけではありません。その会社が、今回の家の所在地で、今回出る品目を運べるかまで確かめます。片付けで一度に多く出るごみの扱いは、自治体ごとに決まりが違うことがあるからです。
詳しく:依頼主がトラックに同乗する運び方
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「依頼主がトラックに乗れば、自分で持ち込んだ扱いになる」と案内する業者もいます。ただし、同乗すれば必ず認められるわけではありません。自治体の処理施設は、持ち込める車の種類や、運転する人と家族の関係、事前の申請などに条件を設けていることがあります。この方法を勧められたら、同乗して持ち込めるかと必要な書類を、家のある自治体に先に確かめてください。
許可・資格・保険は、それぞれ何を示している?
業者のホームページや名刺には、いろいろな許可や資格が並んでいます。どれも意味はありますが、家庭ごみを運べることを示すのは、一般廃棄物の収集運搬の許可か委託です(出典:環境省。参照資料の一覧へ移ります)。ほかの許可や資格が示す範囲は、次のとおりです。
| 示されているもの | 分かること | 分からないこと |
|---|---|---|
| 産業廃棄物収集運搬業の許可 | 許可された種類・範囲の産業廃棄物を運べる | 家庭ごみを運べるか |
| 古物商の許可 | 中古品を買い取る営業ができる | 家庭ごみを運べるか、買取額が適正か |
| 貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー) | 運賃をもらって荷物を運べる | 廃棄物を運べるか |
| 民間の資格 | 民間の団体が認めた資格を持っている | 法律上の許可があるか、作業の質 |
| 損害賠償の保険 | 事故のときに使える保険がある | 補償の範囲、自己負担の額 |
| 法人番号の公表 | 会社名と本店所在地が公表されている | 許可、作業の質、安全 |
会社が実在するかは、国税庁の法人番号公表サイト(新しいタブで開きます)で、会社名と本店所在地を照らし合わせられます。個人事業の場合は、代表者の名前、事業所の所在地、連絡先、許可証を確かめます。固定電話があるかどうかだけで判断しないでください。
反対に、法人番号が見つかった、口コミがよい、行政処分の記録が見当たらない、といったことは許可の証明になりません。作業の質や安全を保証するものでもないのです。
見積りは、全社に同じ条件を渡して取る
見積りの出し方は業者で違いますが、家を見てもらう「訪問見積り」では、家財の量や運び出しの経路を確認してもらえます。費用に含まれているかは、書面で確かめます。間取りや「定額パック」の表示だけでは、押し入れの奥や物置の量、運び出しの経路までは分かりません。それが、当日になって追加料金が出る原因になります。
遠方で立ち会えないときは、写真や動画で仮の見積りを出してもらいます。その場合は、どの時点で金額が確定するのかを先に決めておきましょう。
比べやすくするため、複数社に同じ条件を渡します(出典:国民生活センター 遺品整理。参照資料の一覧へ移ります)。渡すものは、次のとおりです。
- 対象の場所:母屋の部屋、物置、納屋、庭、ベランダ、屋根裏のうち、どこまでか
- 作業の範囲:仕分け、梱包、搬出、運搬、処分、掃き掃除のどこまでか
- 家財の一覧:残す物・探す物・処分候補・保留の区分
- 写真:大型の家具、家電4品目、仏壇など、運び出しに手間がかかる物
- 未確認の場所:安全や権限の理由で、まだ入れていない場所
- 希望の時期:作業日と、家を引き渡したい日
見積りの訪問は、1社ずつ日時をずらします。同じ日時に何社も呼ぶと、1社ごとの確認が浅くなりやすいためです。担当者が質問にどう答えるかも、1社ずつなら落ち着いて見られます。
全社に渡す条件と各社の回答は、遺品整理・片づけ業者3社比較シートに書き込めます。入力した内容は保存も送信もされず、会社の順位も表示されません。
遺品整理業者の見積書は7つのまとまりで比べる
見積書が届いたら、総額の数字より先に、中身が書面で分かるかを見ます。「作業一式」とだけ書かれた見積書では、どこまでが範囲なのかが分かりません。比べる項目は、次の7つのまとまりに分けると整理できます。
| まとまり | 見る点 |
|---|---|
| 契約相手 | 契約し請求する会社の正式名、所在地、現場責任者 |
| 実際に運ぶ会社 | 家庭ごみを運ぶ会社の正式名、許可・委託の確認結果、処理先の施設名、支払先 |
| 作業の範囲 | 対象の場所と作業内容、実際に仕分け・清掃する会社の正式名と担当範囲 |
| 総額 | 税込総額と、人件費・車両費・収集運搬費・処分費・家電4品目の料金・資材や養生費・付帯作業費の内訳 |
| 買取 | 買い取る会社、品目ごとの査定額、作業代金と分けて書かれているか |
| 当日の変更 | 追加が出たときの止め方と、承認する人 |
| キャンセル・完了 | 解約料の決め方、補償、完了時に受け取る書類 |
このうち5つのことは、ほかの項目の良さで補えません。家族の間で処分の権限が決まっていること、実際に運ぶ会社、自治体での確認、書面の総額、追加料金の事前承認です。対応が丁寧でも、金額が安くても、ここが欠けた会社には頼まないでください。
各社の状態は「第一候補」「予備候補」「回答待ち」「不採用」の4つで整理します。必須の項目に答えがない、説明が食い違うという会社は、書面で答えがそろうまで「回答待ち」にしておきます。答えを断る会社や、はぐらかす会社は「不採用」です。
「追加料金なし」「積み放題」「無料回収」といった言葉も、条件が書面になければ比べる材料になりません。口コミやランキング、いちばん安い総額だけで順位を付けないようにしましょう。費用の内訳の見方や、家全体の片付けにかかる金額は、空き家の片付け費用の記事で扱っています。
追加料金は、止める・見積もる・承認する・再開するの順
作業を始めてから、床下の荷物が見つかったり、家族が作業を足したりすることはあります。追加の費用そのものが、不当とは限りません。困るのは、合意のないまま作業が進み、あとで請求されることです。国民生活センターも、遺品整理サービスの契約トラブルについて注意を呼びかけています(出典:国民生活センター 契約トラブル。参照資料の一覧へ移ります)。
たとえば、次のような場合です(想定の例)。作業中に「物置にも荷物があったので、追加で運びます」と言われ、その場で了承したとします。完了後の請求を見て、初めて追加分の金額を知るという流れです。
こうしたトラブルを防ぐため、編集部は次の手順を契約前に書面で決めておくことを勧めます。
- 見積りにない物や作業が出たら、その部分の作業を止める
- 追加の内容と金額を書いた変更見積書を出してもらう
- 処分を決める権限のある人が、作業の前に書面で承認する
- 承認を受けてから、作業を再開する
契約書には、追加作業は内容と金額を事前に書面で合意する、と定めておきます。
買取を頼むときは、作業の契約と分けて確かめる
見積りの場で「使える家財を買い取って、作業代から差し引きます」と提案されることがあります。片付けの作業と、品物を買い取る訪問購入とでは、適用される規制が異なることがあります(出典:消費者庁 訪問購入。参照資料の一覧へ移ります)。そのため、2つは分けて確かめましょう。
中古品を買い取る事業者には、古物商の許可が必要です(出典:古物営業法。参照資料の一覧へ移ります)。自宅に査定に来た担当者には、古物商許可証か行商従業者証を見せてもらいます(出典:国民生活センター 遺品整理。参照資料の一覧へ移ります)。行商従業者証は、古物商の代理人などが持つ証明書です(出典:警視庁 行商従業者証。参照資料の一覧へ移ります)。
実際に買い取る会社の正式名と、古物商の許可番号も控えておきます。片付けを契約する会社と買い取る会社が違うこともあるので、会社ごとに担当を書き分けてもらいましょう。
見積りとは別に、頼んでいない買取業者が突然訪ねてくることもあります。その場合の断り方は、押し買いの業者への断り方と相談先の記事にまとめています。
作業代から買取額を「まとめて差し引く」と、どの品がいくらと見られたのかが分からなくなります。買取を頼むなら、品目ごとの査定額を書いた明細を、作業の見積書とは別にもらいます。買取の見込み額は、確定した値引きではありません。差し引く前の作業代の総額も、あわせて確かめておきます。
家電4品目は、買い取って再び使うのか、廃棄するのかを分けて考えます。廃棄するときは、リサイクル料金と収集運搬料金がかかります(出典:環境省 家電リサイクル。参照資料の一覧へ移ります)。料金を支払うと家電リサイクル券が発行されるので、引き渡したら受け取ってください。
詳しく:訪問購入のルールと、対象にならない品物
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業者が自宅に来て品物を買い取ることを、特定商取引法では「訪問購入」といいます。規制の対象になる訪問購入では、頼んでいない品物の売却を勧めることが禁じられています。品物や価格、引き渡しの時期を書いた書面を渡す義務もあります(出典:特定商取引法。参照資料の一覧へ移ります)。
対象の契約なら、書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフ(無条件の解約)ができます(出典:消費者庁 訪問購入。参照資料の一覧へ移ります)。その間は、品物の引き渡しを断ることもできます。ただし、自動車(二輪を除く)、家具、書籍、有価証券、CD・DVDなどは対象外とされています(出典:消費者庁 施行令第34条の例。参照資料の一覧へ移ります)。
持ち運びが容易でない家庭用電気機械器具も、対象外です。このほか、常連取引などでは、クーリング・オフ等が適用されない場合もあります。
契約前に決めておく、キャンセル・破損・誤処分・鍵・立ち会い
作業が始まってから決めようとすると、話がこじれやすい項目があります。次のことは、契約書か書面の回答で先に決めておきます。
- 発見品:探す物や現金が見つかったら、作業を止めて誰に手渡すか
- 保留品:残す物や保留の品を、どう区別して作業から外すか
- 誤処分:残す物を誤って捨てたときの連絡の手順と、賠償の決め方
- 損傷:壁や床を傷つけたときの補償と、入っている保険
- 鍵:預ける鍵の本数、預かる人、返してもらう日
- 立ち会いなし:立ち会えない時間の連絡先と、写真での報告のしかた
残す物が処分場まで運ばれてしまうと、取り戻すのは難しくなります。誤処分の決まりを書面に残しておくのは、そのためです。
現場の体制も確かめます。当日の現場責任者の名前と連絡先、仕分けや清掃を協力会社に任せるかどうかです。協力会社を使うこと自体は、問題ではありません。
その場合は、事故のときに元の会社が責任を負うかを書面で決めます。一方で、廃棄物を運んだり処分したりする役目は、誰でも引き受けられるわけではありません。誰が受け持つのかを、家のある自治体の条件と照らし合わせてください。
マンションなら、共用部の養生、管理組合への届け出、駐車の場所も確かめます。近所へのあいさつを、業者と家族のどちらがするかも決めておきましょう。実家が遠くて通えない場合の進め方は、遠方の実家を売却する方法の記事で整理しています。
遺品整理業者とのトラブルになりやすい4つの場面
国民生活センターは、遺品整理サービスの契約トラブルの相談事例を報告書にまとめています(出典:国民生活センター 契約トラブル報告書。参照資料の一覧へ移ります)。2025年にも、見積りと違う請求や、残す物の誤処分の相談を挙げて注意を呼びかけました(出典:国民生活センター 遺品整理。参照資料の一覧へ移ります)。許可のない回収業者による不法投棄や、保管中の火災も報告されています(出典:環境省。参照資料の一覧へ移ります)。公表された例と、契約前に防ぐ点は次のとおりです。
| 場面 | 公表された相談の例 | 契約前に防ぐ点 |
|---|---|---|
| 追加料金 | 電話で約20万円と聞いた作業が、終わってから30万円と言われた。見積書は受け取っていなかった(2025年) | 書面の見積書と、追加料金がかかる条件をもらう |
| キャンセル料 | 37万円で契約して解約すると、説明のなかったキャンセル料17万円を求められた(2018年の報告書) | いつから、いくらかかるかを契約のときに確かめる |
| 残す物の処分 | 残す約束の物が処分され、アルバムなどは処理場に運んだので取り戻せないと言われた(2025年) | 残す物は運び出すか、作業員に分かる印を付ける |
| 無許可の回収 | 許可のない業者が集めた物の不法投棄や、保管中の火災 | 実際に運ぶ会社の許可か委託を、市区町村で確かめる |
2018年の報告書には、141,000円の見積りに対して320,000円を請求された相談も載っています。業者を呼ぶ前には、見積りに出張料や見積料がかかるかも聞いておきます。追加料金・キャンセル料・残す物の処分の3つは、相談者の申し出をもとに公表された例です。料金の相場や、トラブルの起きやすさを示すものではありません。
立ち会えない・遠方のときに業者と決めること
国民生活センターは、誤処分を防ぐため、作業にはできるだけ立ち会うよう助言しています(出典:国民生活センター 遺品整理。参照資料の一覧へ移ります)。遠方に住んでいて通えないときは、立ち会えない部分を書面の約束で補います。家族のだれかが代わりに立ち会えるなら、その人の名前と連絡先も業者に伝えておきましょう。
賃貸住宅の残置物の処理を扱う国土交通省の資料に、仕分けのときの確認があります。依頼主へ確かめる物として、現金や貴重品、重要書類、写真が挙げられています(出典:国土交通省 残置物報告書。参照資料の一覧へ移ります)。遺品整理の中で、貴重品を探す作業に取り組む家財処分の業者もあります(出典:国土交通政策研究第178号。参照資料の一覧へ移ります)。探す範囲や報告のしかたは、契約の前に会社ごとに確かめます。
立ち会えない分は、この節の最初に挙げた項目のうち、発見品、鍵、立ち会いなしの決め事で補います。見積りの額が確定する時点も、見積りの節で書いたとおり、先に決めておきます。加えて、作業前後の写真を、どの部屋のどの時点で撮って送るかも決めておきましょう。いずれも公的な決まりではなく、編集部が勧める確認項目です。
キャンセル料は「平均的な損害」が目安
解約料のうち、同じ種類の契約で事業者に生じる「平均的な損害」を超える部分は無効です(出典:消費者契約法第9条。参照資料の一覧へ移ります)。「契約後は理由を問わず全額」という条項は、無効とされる余地があります。一方で、直前の解約で無駄になったトラックや作業員の手配の分は、請求されることがあります。何日前まで無料か、前日と当日はどう計算するかを確かめてください。
自宅で見積りを受け、その場で作業の契約を結ぶと、訪問販売にあたる場合があります(出典:消費者庁 訪問販売。参照資料の一覧へ移ります)。当てはまれば、法律で決まった書面を受け取った日から8日以内はクーリング・オフができます。ただし、見積りを頼んだいきさつや契約の場所によって、当てはまるかは変わります。自分から自宅での契約を求めた場合などは、対象外になることもあるため、迷ったら消費生活センターに相談してください(出典:消費者庁 適用除外Q&A。参照資料の一覧へ移ります)。
保険と、責任を免れる条項
搬出で壁や床を傷つけたときに備え、業者が入っている損害賠償の保険を確かめます。保険会社の名前、補償の上限、自己負担の額(免責金額)を聞いておきましょう。預かった物の破損や誤廃棄が、補償の外になっている保険もあります。
規約に「破損について当社は一切責任を負わない」とあっても、責任をすべて免れる条項は無効です(出典:消費者契約法第8条。参照資料の一覧へ移ります)。故意や重大な過失による責任を免れる条項も、同じく無効とされています。
作業当日と完了時に照らし合わせること
作業の当日は、始める前に、来た会社・現場責任者・車両・作業の範囲が契約と同じかを確かめます。残す物と探す物のリストを現場責任者に渡し、もう一度読み合わせましょう。壁や床、柱に元からある傷は、責任者と一緒に日付入りの写真に残します。
作業中は、できるだけ立ち会います。一日中いられない場合も、探す物が見つかったときにすぐ連絡がつく電話番号を伝えておきます。
運び出しが終わったら、責任者と一緒にすべての部屋を回ります。
- 処分するはずの物が、押し入れや物置、庭に残っていないか
- 残す物や保留の品が、運び出されていないか
- 掃除が契約の範囲どおりに済んでいるか
- 壁や床、共用部に新しい傷がないか
完了の確認書は、内容を読み、未完了の作業や異議があれば書き添えてからサインします。安全や権限の理由で止めた作業や、まだ片付いていない家財があるときも、その旨を書き添えます。サインを、片付け全体が終わったことにはしないでください。
支払いのときは、次の書類と鍵を受け取ります。
- 内訳つきの領収書(見積書と同じ内訳と金額か)
- 家電リサイクル券(家電4品目を引き渡した場合)
- 買取の明細書や受領証(買取があった場合)
- 作業後の写真と、運び先や処分先が分かる資料
- 預けていた鍵(本数を契約と照らす)
最後の請求額が、承認した変更見積書を含めた金額と合っているかも確かめましょう。
高額請求や威圧があったら、どこに相談する?
作業員に威圧されたり、帰るよう求めても居座られたりして身の危険を感じたら、話し合いを続けないでください。安全な場所に移り、緊急のときは警察に通報します(出典:国民生活センター 不用品回収。参照資料の一覧へ移ります)。
見積りと大きく違う額を請求されても、その場で全額を払う必要はありません。納得できない追加分は、その場で払わず、消費生活センターに相談すると伝えます。
相談の前に、次の資料をそろえておきます。
- 広告やホームページの画面の保存
- 見積書、契約書、規約、指示リストの控え
- 請求書、領収書、振込の記録
- 作業前と作業後の写真
- やり取りの日時のメモや、メッセージの記録
話し合いで解決しないときは、消費者ホットライン「188」に電話します(出典:消費者庁 188。参照資料の一覧へ移ります)。近くの消費生活センターにつながり、解約や交渉の進め方について助言を受けられます。
この記事の内容は一般的な情報です。個別の契約が無効か、解約できるかは、消費生活センターや弁護士にご相談ください。許可や持ち込みの条件は家のある市区町村に、相続放棄の判断は弁護士や司法書士に確認してください。
