当サイトはアフィリエイト広告を利用しています

相続登記の司法書士費用はいくら?見積内訳と追加報酬の確認表

相続登記の司法書士費用に全国共通の定価はありません。総額は、登録免許税、戸籍・郵送等の実費、司法書士報酬と消費税、別登記・付随業務・他資格者費用に分けます。同じ依頼範囲と追加条件で見積書を比べてください。

まだしないこと

「相続登記一式」の総額だけを見て、最安値や割高・割安を決めない

まずすべきこと
  1. 相続人・不動産・管轄・依頼範囲の案件カードを作る
  2. 税・実費・報酬・別手続に分かれた見積りを依頼する
  3. 追加条件・税込総額・完了時の成果物を同じ欄で比べる

このページで決めること見積額の内訳と業務範囲をそろえ、どこまで自分で準備し、何を司法書士へ依頼するか決められます。

相続人が相続登記の司法書士見積りを報酬・税・実費に分ける様子
公開日 2026年9月2日最終更新日 2026年9月3日法令・制度確認日 2026年9月2日執筆・編集 住まいのよりみち編集部読了目安 16

相続登記を司法書士へ依頼する際にかかる費用は、提示された見積総額の多寡だけで比較してはいけません。見積書の金額には、性質の異なる三つの項目が合算されています。各事務所が個別に設定する「司法書士報酬」、法務局へ納める国税の「登録免許税」、そして市区町村窓口などで支払う「戸籍・証明書等の実費」です。登録免許税の税率は国税庁の税額表(新しいタブで開きます)、相続登記に必要な主な書類は法務局の案内(新しいタブで開きます)で確認できます。

登録免許税は同一の登記・課税条件であればどの事務所に依頼しても同額ですが、公的実費は取得通数や請求方法によって総額が変わります。さらに司法書士報酬は、基本料金に含まれる作業範囲や、不動産の筆数・相続人の数・管轄法務局の数などに応じた加算基準によって事務所ごとに大きな差が生じます。

納得のいく依頼先を選ぶためには、総額の数字だけで判断せず、内訳を「報酬・税金・実費」に分解したうえで、前提条件をそろえて比較する必要があります。

見積書の総額を「報酬・税金・実費」の三つに分解する

司法書士から受け取った見積書は、まず費用項目を次の三つに分類して整理します。登録免許税は国税庁 No.7191「登録免許税の税額表」(新しいタブで開きます)(確認日:2026年9月2日)を基準にし、証明書は提出先や取得先の最新案内を確認してください。

表:費用の区分、主な内容、金額の決定要因、消費税の扱い
費用の区分主な内容金額の決定要因消費税の扱い
① 司法書士報酬登記申請代理、書類作成、戸籍調査など事務所の役務対価各事務所の報酬基準、物件数、相続関係の複雑さ課税対象(10%)
② 登録免許税法務局へ納付する登記名義変更の国税固定資産税評価額 × 0.4%(法定税率)非課税(国税)
③ 証明書等実費・通信費戸籍謄本、住民票、登記事項証明書の手数料、郵送費各機関の公定手数料 × 取得通数、郵送実費公的手数料は非課税、郵送代等は課税取引を含む

登録免許税や役所の証明書交付手数料は、手続きを完了させるために必ず発生する公的な負担金であり、司法書士の売上にはなりません。これらは通常、司法書士が立て替える「立替金」や、事前にお金を預かる「預り金」として処理されます。

一方、同じ戸籍集めにかかる費用であっても、役所へ納める証明書交付手数料(実費)と、事務所が代わりに取得する作業の手間賃(取得代行報酬)は別物です。見積書を比べるときは、税金や実費の立替分を除いた「純粋な司法書士報酬の合計額(税込)」と、「その金額でどこまでの作業を引き受けてもらえるのか」を突き合わせることが比較の出発点になります。

日司連の公式報酬アンケートは前提条件と業務範囲を確認する

司法書士の統一的な報酬基準は廃止されており、現在の報酬額は各事務所が定めます。したがって、全国共通の定額や上限があると考えず、業務範囲と追加条件をそろえて比べることが大切です(出典:日本司法書士会連合会「司法書士の報酬」(新しいタブで開きます))。

依頼する前に費用の目安を知る手がかりとして、日本司法書士会連合会(日司連)が全国の司法書士を対象に定期的に実施しているアンケート調査があります。2024年3月に行われた最新アンケートでは、次のような具体的なモデルケースを設定して調査が行われました。なお、モデルケースの金額は報酬の調査値であり、国税庁の税額表(新しいタブで開きます)に基づく登録免許税は別に見込む必要があります。

  • 対象物件:土地1筆、建物1棟(固定資産評価額の合計が1,000万円)
  • 相続関係:相続人3名のうち1名が単独で取得
  • 委託業務:遺産分割協議書の作成、戸籍等5通の交付請求、および相続登記の申請代理

このモデルケースにおいて、登記申請・協議書作成・戸籍等5通の請求業務を含めた司法書士報酬の全国平均値は、74,888円(税込、回答1,109件)です(出典:日本司法書士会連合会「報酬アンケート結果(2024年3月実施)」(新しいタブで開きます))。

この金額は司法書士報酬の調査値であり、法務局へ納める登録免許税は別にかかります。登録免許税の区分と税率は国税庁の税額表(新しいタブで開きます)で確認できます。

> 登録免許税はこの平均額に含まれません。税率の確認先は国税庁 No.7191(新しいタブで開きます)です。

調査の設問には、登記申請の代理だけでなく、遺産分割協議書の作成や戸籍等5通の請求業務が含まれています。そのため、戸籍を取り寄せる基本作業のすべてが、この平均額に丸ごと上乗せされるわけではありません。ただし実際の相続では、物件の数が多かったり、相続人が大勢いたり、集めるべき戸籍が5通を超えたりすることがあります。その場合は、この調査の範囲を超えて追加の手間と費用がかかる点に注意してください。

登録免許税は固定資産税評価額から0.4%を基準に試算する

登録免許税は、不動産の名義変更登記を受けるときに法務局へ納める国税です(出典:国税庁 No.7191「登録免許税の税額表」(新しいタブで開きます))。登記や課税の条件が同じであれば、司法書士に依頼する場合でも自分で申請する場合でも、納める金額は変わりません。

登録免許税の基本計算式と税率の区分

名義変更にかかる税率は、不動産を取得した理由によって分かれています。以下は国税庁 No.7191「登録免許税の税額表」(新しいタブで開きます)(確認日:2026年9月2日)のうち、相続・遺贈に関係する区分です。

  • 相続(遺産分割、法定相続)および相続人に対する遺贈:税率0.4%(1,000分の4)
  • 相続人以外に対する遺贈(特定遺贈など):原則として税率2.0%(1,000分の20)

登録免許税の計算手順は次の通りです。課税標準と税額の端数処理、最低税額は登録免許税法第15条(新しいタブで開きます)同法第19条(新しいタブで開きます)で確認できます。

  • 課税標準額:亡くなった方の死亡時ではなく、登記を申請する年度の市区町村の固定資産課税台帳に載っている価格(固定資産税評価額)を使います(出典:しほサーチ「相続登記の費用はいくらかかるのか」(新しいタブで開きます))。共有持分を取得するときは、固定資産税評価額に取得する持分の割合を掛けた金額が課税標準になります。
  • 端数処理(課税標準):同じ申請書で申請する土地と建物の課税標準額を合算し、1,000円未満を切り捨てます(別の管轄の法務局へ申請する場合は、申請書が別になるため管轄ごとに合算します)。
  • 計算式:課税標準額 × 税率(0.4%)
  • 端数処理(税額):算出された税額の100円未満を切り捨てます(税額が1,000円未満の場合は1,000円になります)。

例えば、同じ管轄の法務局へ一度に申請し、土地の評価額が1,200万円、建物の評価額が300万円のすべての持分を相続するとします。この場合、合算した課税標準額は1,500万円になります。登録免許税は「1,500万円 × 0.4% = 60,000円」と計算できます。

最初の見積書で登録免許税が「概算」や「未定」と書かれるのは、最新年度の固定資産評価証明書や課税明細書を確認するまで、正確な評価額が確定しないためです。

土地の相続登記における主な免税措置

土地の相続登記を進めやすくするため、租税特別措置法に基づいて次の免税措置が設けられています。適用期限や申請書への記載例を含む条件は、法務局「相続登記の登録免許税の免税措置」(新しいタブで開きます)(確認日:2026年9月19日)で確認できます。確認時点の適用期限は2027年3月31日です。

  • 価格が100万円以下の土地についての免税(租税特別措置法第84条の2の3第2項):評価額に取得する持分割合を掛けた課税標準額が100万円以下の土地であれば、登録免許税が全額免除されます。土地全体の評価額だけで判断せず、取得する持分に応じた価格で判定します。この免税を受けるには、登記申請書に免税の根拠となる条文を記載する必要があります。
  • 相続により土地を取得した個人が登記を受ける前に亡くなった場合の免税(租税特別措置法第84条の2の3第1項):相続が重なる数次相続において、中間にあたる亡くなった方(被相続人)の名義へ変更する登記(中間の移転登記)にかかる登録免許税が免除されます。最終的に引き継ぐ相続人への登記にかかる税額まで免除されるわけではありません。

これらの免税措置の対象になるのは「土地」だけであり、建物には適用されない点に注意してください。

戸籍・証明書等の公的実費は単価と取得通数で計算する

法務局へ相続登記を申請するときは、法律上の相続人を確定させる公的な証明書類を一式そろえて提出する必要があります(出典:法務局「相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等」(新しいタブで開きます))。書類の種類はこの案内で確認し、発行手数料は取得先の市区町村や法務局で申請時点の金額を確かめてください。

公的な証明書の発行手数料には、全国一律で決まっているものと、自治体ごとに異なるものがあります。必要書類は法務局の案内(新しいタブで開きます)で確認したうえで、実際の手数料は各取得先の最新案内を優先してください。

  • 戸籍全部事項証明書(戸籍謄本):1通450円(法令に基づく全国一律手数料)
  • 除籍謄本・改製原戸籍謄本:1通750円(法令に基づく全国一律手数料)
  • 登記事項証明書(登記簿謄本):1通600円(法務局窓口等での通常の書面請求の場合)
  • 住民票の写し(本籍地記載):1通300円〜400円前後(自治体条例により異なる)
  • 住民票の除票または戸籍の附票:1通300円〜400円前後(自治体条例により異なる)
  • 印鑑証明書:1通300円〜400円前後(自治体条例により異なる)
  • 固定資産評価証明書:1通300円〜400円前後(自治体条例により異なる)

実費の総額に決まった相場があるわけではなく、「必要な書類の通数 × 取得先の手数料」と、往復の郵送料などを足した合計で決まります。必要通数は相続関係によって変わるため、固定額として予算を組まず、取得した証明書の領収書と通信費の明細で精算内容を確認しましょう。

なお、2024年3月1日から戸籍の広域交付制度が始まり、本籍地以外の最寄りの市区町村窓口でも戸籍謄本などをまとめて請求できるようになりました。ただし、広域交付を請求できるのは、本人、配偶者、直系尊属(父母や祖父母など)、直系卑属(子や孫など)に限られます。兄弟姉妹の戸籍は広域交付の対象外なので、本籍地がある自治体の窓口へ直接出向くか、郵送で取り寄せる必要があります。

また、司法書士による職務上請求や、代理人による請求、郵送を使った広域交付請求は認められていません。司法書士が職務上請求書を使って郵送で取り寄せる場合は、これまで通りそれぞれの本籍地へ個別に請求するため、定額小為替の手数料や往復の郵送代がその都度加算されます。

基本報酬に含まれる作業範囲を見積書ごとに突き合わせる

見積書に記載された「相続登記基本報酬:〇〇円」という金額は、事務所によって含まれている業務の内容が違います。金額だけを横並びで比較する前に、次の標準的な作業が含まれているか内訳を確認してください。

  • 登記事項証明書の事前調査(対象となる不動産の現在の権利関係を確認する作業)
  • 登記申請書の作成(法務局が指定する形式に沿って申請書類一式を作成する作業)
  • 登記申請の代理提出(オンライン申請、または法務局窓口への書面提出)
  • 登記完了後の登記事項証明書(完了謄本)の取得と、登記識別情報通知(権利証)の受け取り・確認
  • 相続関係説明図の作成(提出した戸籍謄本の原本を法務局から返してもらうための家系図の作成)

基本報酬を一見安く設定している事務所の中には、登記申請書の作成と提出の代理だけを基本業務とし、相続関係説明図の作成や完了謄本の取得を別料金のオプションにしているケースがあります。基本報酬の安さだけで判断せず、標準的な作業がどこまで含まれているかを突き合わせて確認することが重要です。

物件数・管轄法務局・相続関係による追加加算の基準を確かめる

基本報酬のほかに請求される追加報酬は、物件数・管轄する法務局の数・相続関係の複雑さに応じて加算されます。事務所によって加算の仕組みが異なるため、事前に加算基準がはっきりと示されているかを確認します。

物件数(筆数・棟数)による加算

基本報酬で対応する範囲を「土地1筆・建物1棟」までとし、それを超える不動産がある場合に、物件ごとの加算報酬を設定している事務所が見られます。私道の持分や敷地権が複数ある土地、遠方にある山林や畑が含まれている場合は、何筆(何棟)目からいくら加算されるかを確認します。

管轄法務局(申請件数)による加算

不動産の登記は、その物件の所在地を管轄する法務局ごとに申請しなければなりません。例えば、自宅と実家の土地が異なる法務局の管轄にある場合、申請も管轄ごとに分かれます。別管轄の加算があるのか、追加分の基本報酬がどのように設定されているかを確認します。

相続人の数と相続関係の複雑さによる加算

配偶者と子のみといった第1順位のシンプルな相続に比べ、次のようなケースでは調査する戸籍の量が大幅に増えます。相続人どうしの確認作業も複雑になるため、追加報酬の対象となるのが一般的です。

  • 数次相続:最初の相続が起きたあとに登記を行わないまま、次の相続が発生している場合
  • 代襲相続:本来相続人になるはずだった人が亡くなった方より先に亡くなっており、孫や甥・姪が代わりに相続する場合
  • 兄弟姉妹相続:亡くなった方に子どもがおらず、親もすでに亡くなっていて、兄弟姉妹(第三順位)が相続する場合

登記名義人の住所相違に関する確認

登記簿に記載されている亡くなった方の住所が、最後の本籍地や住民票除票の住所と一致しない場合でも、亡くなった方の名義人住所変更登記を事前に申請する必要はありません。相続登記では、登記簿上の住所から死亡時の住所へ移転した経緯(住所のつながり)を住民票の除票や戸籍の附票で証明し、亡くなった方と登記名義人が同一人物であることを確認して申請を行います。

ただし、役所の保存期間が過ぎたなどの理由で、住民票の除票や戸籍の附票が取得できないケースもあります。その際は不在籍証明書・不在住証明書や権利証(登記識別情報)といった追加書類が必要になり、調査や書類収集に伴う追加の実費・報酬が発生することがあります。登記簿の住所と最後の住所が異なる場合は、追加調査が必要になるかどうかや、その費用の条件を見積もりの段階で確認してください。

遺産分割協議書作成や戸籍収集代行などの別業務を確認する

相続登記の申請代理とは法的に切り離せる業務について、司法書士へ任せるか自分で対応するかによって費用総額が変わります。

表:業務項目、司法書士へ依頼した場合の役割、自分で行う場合の作業と費用、依頼判断の基準
業務項目司法書士へ依頼した場合の役割自分で行う場合の作業と費用依頼判断の基準
遺産分割協議書の作成不動産の特定や法的な条項を正確に書面化相続人全員の合意内容を文章化し署名・実印押印を取りまとめる(用紙代のみ)不動産の特定や登記記載の不備による申請却下リスクを防ぎたい場合に検討
戸籍謄本等の収集代行職務上請求書を用いて各自治体から必要な戸籍一式を取り寄せる最寄りの市区町村窓口(広域交付)や本籍地への郵送請求で集める(公的手数料のみ)平日に役所窓口へ行く時間が無い、または古い除籍の解読が困難な場合に検討
相続関係説明図の作成戸籍を読み解き系統図を作成(戸籍原本還付に活用)戸籍を読み解きパソコンや手書き等で系統図を作成(用紙代のみ)基本報酬に含まれている事務所もあるため見積内訳を確認

遺産分割の内容について相続人全員が完全に合意しており、自分たちで正確な協議書を作れる場合は、登記申請のみを依頼して費用を抑える相談が可能です。一方、記載内容に不備があると、法務局から書類の修正(補正)を求められたり、申請を却下されたりするリスクがあります。そのため、登記申請とまとめて作成を委託する相続人も多く見られます。

紛争・税務申告・表示登記は司法書士以外の専門家へ切り分ける

司法書士は不動産の権利に関する登記や、法務局・裁判所へ提出する書類を作成する専門家です。ただし、法律によって取り扱える業務の範囲が厳格に定められています(出典:日本司法書士会連合会「司法書士の業務」(新しいタブで開きます))。トラブルの内容や相談したい項目に応じて、ほかの専門家(士業)への依頼が必要です。

1. 相続人間で遺産分割の争いがある場合:弁護士

司法書士は、相続人の間でまとまった合意内容を書面化できます。ただし、利害が対立している相続人の間に入って交渉したり、遺産分割調停・審判において代理人として出頭したりすることは、弁護士法第72条(非弁行為の禁止)により禁止されています(出典:しほサーチ「遺産分割調停を司法書士に依頼できるか」(新しいタブで開きます))。遺産の分け方をめぐって揉めている場合は、司法書士ではなく弁護士へ依頼します。

2. 相続税の申告や具体的な節税相談がある場合:税理士

相続登記の相談時に「相続税はどれくらいかかるか」「どのように分ければ税金が安くなるか」といった具体的な税務相談を行ったり、相続税申告書を作成したりすることは、税理士法によって司法書士には禁じられています(出典:国税庁 No.9204「税理士制度」(新しいタブで開きます))。遺産総額が基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を超える可能性がある場合は、司法書士への相談と並行して税理士への相談を進める必要があります。

3. 未登記建物の表題登記や現況変更がある場合:土地家屋調査士

司法書士が担当するのは、所有権や抵当権などの「権利に関する登記」です。新築したまま登記されていない建物の「建物表題登記」や、建物を増築・一部取り壊しした際の「建物表題部変更登記」、土地の分筆や地目変更といった物理的な現況を確定させる表示に関する登記は土地家屋調査士が専門です(出典:日本土地家屋調査士会連合会「相談Q&A」(新しいタブで開きます))。表示に関する登記は所有者本人が申請することも可能ですが、専門家に代理を依頼する場合は土地家屋調査士へ相談します。相続した実家に未登記の離れや増築した部分がある場合は、現況と登記内容を確認したうえで必要な登記を判断します。

見積書の税込総額と実費預り金・着手金の精算ルールを比較する

見積書を確認する際は、金額の内訳だけでなく、消費税の扱い、支払う時期、精算方法のルールも必ず比較します。

  • 報酬の税込表示の確認:見積書を比較するときは、必ず消費税を含めた「税込支払総額」で比べます。国税庁「総額表示に関する主な質問」(新しいタブで開きます)(確認日:2026年9月2日)では、見積書や請求書等は不特定多数向けの価格表示ではないため、総額表示義務の対象外と説明されています。税抜表示だけを見て安いと判断せず、税込総額にそろえて比較しましょう。
  • 実費預り金と着手金の区別:依頼時に支払う前払金には、「実費のための預り金」と「司法書士報酬の着手金・前払金」の2種類があり、性質が異なります。登録免許税や公的実費に充てる預り金は、手続き完了時に実費領収書と突き合わせて精算されます。一方、報酬着手金は役務対価の前払いであり、途中解約時の返金条件などは委任約款の定めに従います。
  • 後日精算の透明性:戸籍の取得通数や郵送回数が当初の見積もりと変わった場合、手続きの完了時に差額が返金または追加請求されます。完了時に公的証明書の領収書原本や計算明細書をきちんと提示・返却してくれる事務所を選びます。

依頼前の見積比較と質問はチェック表で確認する

複数の司法書士事務所へ見積もりを依頼する際、および届いた見積書を評価する際は、以下のチェック項目に沿って条件を突き合わせます。

表:チェック分類、確認項目、なぜ確認が必要か
チェック分類確認項目なぜ確認が必要か
前提条件の整理不動産の個数(土地の筆数・建物の棟数)を正確に伝えたか一筆・一棟を超えると追加報酬が発生する場合があるため
前提条件の整理申請先法務局が複数管轄にまたがっていないか管轄が分かれると別件申請となり費用が増えるため
基本報酬の範囲完了後の登記事項証明書取得や相続関係説明図作成が含まれるか基本報酬から除外されて別料金になっている場合があるため
付随業務の有無遺産分割協議書の作成費用が見積もりに含まれているか書面作成費用が別途計上されているか確認するため
付随業務の有無戸籍収集を依頼する場合の「一通あたりの代行報酬」と実費立替金の扱い実費とは別に取得代行料が通数分加算されるため
税金・実費の扱い登録免許税が申請年度の評価額に基づき別枠で明示されているか報酬と税金が混同されていないか確認するため
支払いルール実費預り金と報酬着手金の内訳、支払い時期、完了時の精算方法が明示されているか手続き途中の資金負担と最終支払額を正確に把握するため

見積もりを依頼する際は、市区町村から届く最新の「固定資産税の納税通知書(課税明細書)」のコピーを手元に用意してください。そのうえで、対象となる不動産の所在地・地目・現況・固定資産評価額を事務所へ正確に伝えます。前提情報が正確であるほど、契約したあとに追加料金が発生して予算が狂うのを防げます。

前提条件をそろえた見積書を取り寄せて比較する

相続登記の費用を比較する鉄則は、「不動産の数」「管轄する法務局の数」「相続人の人数」「書類作成の委託範囲」という前提条件をすべてそろえたうえで、各事務所から見積書を取り寄せることです。

単に広告上の「基本報酬一律〇〇円〜」という最安値表示だけを見て契約すると、後から遺産分割協議書の作成代、筆数加算、戸籍取得代行料などが加算され、最終的な請求額が予想を上回る事態になりかねません。

2024年(令和6年)4月1日より、相続登記の申請が義務化されました(正当な理由のない不申請には10万円以下の過料規定があります。出典:法務省「相続登記の申請義務化特設ページ」(新しいタブで開きます))。申請期限は、施行日以降に取得を知った場合は「知った日から3年以内」、施行日より前から取得を知っていた場合は経過措置として「2027年3月31日まで」です。義務化に対応するためにも、まずは対象不動産の課税明細書を手元にそろえ、同じ前提条件を伝えて内訳の透明性と説明の丁寧さを比較してください。

参照資料

日本司法書士会連合会「司法書士の報酬」参照日 2026年9月2日日本司法書士会連合会「報酬アンケート結果(2024年3月実施)」参照日 2026年9月2日日本司法書士会連合会「司法書士の報酬と報酬アンケートについて」参照日 2026年9月2日しほサーチ「相続登記の費用はいくらかかるのか」参照日 2026年9月2日国税庁 No.7191「登録免許税の税額表」参照日 2026年9月2日法務局「相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等」参照日 2026年9月2日法務省「相続登記の申請義務化特設ページ」参照日 2026年9月2日日本司法書士会連合会「司法書士の業務」参照日 2026年9月2日しほサーチ「遺産分割調停を司法書士に依頼できるか」参照日 2026年9月2日国税庁 No.9204「税理士制度」参照日 2026年9月2日日本土地家屋調査士会連合会「相談Q&A」参照日 2026年9月2日